5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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嘘予告なんてなかったイイネ?
しおり機能使ってた方はごめんなさい

オリ主にもそろそろ立ち位置を考えてもらいます


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「お、おかえりなさい」

「……ただいま」

 

早朝バイトを終えて帰ってみれば五月に出迎えられた

そういえば昨日から成り行きで泊まってたんだった…

時々、風太郎やらいはが家に来ることはあるがこんな時間帯に来ることはまずないから反応に困る

ん?この匂い

 

「あ、あの

 勝手には悪いと思ったのですが

 お礼と言いますか」

 

そういや昨夜のあの散歩?の後心許なかった食材買い足したんだった

どうやら五月がそれで朝食を作ってくれたようだ

まあ、見た目は少しあれだが作ってくれたものに文句を言える立場ではない

礼を言って食卓に着き食事を始める

五月の方も向いに座ると

 

「……どう、でしょうか?」

 

自分の食事もほどほどにこちらの様子を伺ってくる

ここでお世辞の一つでも言ってやれればいいかもなんだが

 

「大味」

「〜〜っ!

 そこはお世辞でも美味しいと言ってくれてもいいのでは?」

 

恥ずかしそうに顔を赤くして睨まれた

その手の誤魔化しが出来るんなら学校で変な噂なんか流されません

 

「普段の食事は当番制とかじゃないの?」

 

中間の時に泊まりに行った時は二乃しか作ってなかった気がするけど

 

「……一度、当番制にしようと話が出たのですが」

 

曰く

四葉→分量はフィーリング

五月→作る量も大味

一花→寝坊したので出前

三玖→何故か名状しがたいものが出来上がる

 

「これはひどい」

「うぐ……

 い、いいんです!

 二乃が作ってくれるご飯が美味しいので問題は…」

 

言いかけて気まずそうに口をつぐむ

しまった…

家族の話題は間が悪かったか

昨夜の話で少しは前向きに解決に向かうと思ったけどそんなに急展開は望めないらしい

結局そのまま微妙な空気のまま朝食を食べ終え登校することに

なんとかするとこっちも決意したが前途多難らしい…

 

 

いつもの通学路

いつものコーヒーチェーン店の前

時刻は概ねいつも通りの登校時間

なので

 

「五月ちゃん!?」

「い、一花!」

 

まあ、こうして一花と遭遇する可能性はあるわな

一花は心配しただの、どこにいたのかだの、食事はどうしてるのかだの矢継ぎ早に質問してくる

五月、俺の背に隠れないでちゃんと話すなりうまく誤魔化すなりして

 

「というか、五月ちゃん

 制服とか教科書どうしたの?」

「昨日偶然会った四葉に持ってきてもらいました」

 

なんでその時財布も受け取らなかったのか…

そういえば一花と四葉は昨日用事とかでいなかったな

一花は仕事だろうけど四葉の用事って…

 

「え…

 聞いてないのですか?

 陸上部の助っ人で大会前の練習があるらしいですよ」

 

あっ……

 

 

「四葉!

 試験週間に入ったら辞めるんじゃなかったのか!」

「すみません〜!」

 

放課後

うさ耳リボンを風太郎に引っ掴まれて四葉が悲鳴をあげている

さすがに四葉の用事の件は風太郎の耳にも入ったようで予想通りの展開

風太郎としてはテストに対しての不安要素を減らしたいわけで辞めるよう言うが、四葉の方もお人好し全開で断りきれなさそう

家では風太郎作の問題集を進めてるそうだが部活やりながらで間に合うもんか?

 

「私!頑張りますから!」

「あっ

 まだ話は終わってねぇぞ!

 逃がすかよ!」

 

練習を再開すると呼びに来た陸上部の方へ駆け出す四葉を追う風太郎

 

「俺が行こうか?」

「お前は一花たちの方を頼む!」

 

そう言い残して走り去る幼馴染

頼むってのはテスト勉強のことなんだろうが…

さすがにこの期に及んであいつらの勉強にまで穴あけさせるわけにもいかんか

しゃあない

一花たちの試験勉強は俺が…

 

『あんたが一番わけわかんないのよ!』

 

二乃の言う通りだよ

半端なまま関わり続けてきたからこんな時に余計なこと考えちまう

試験よりも二乃と五月の問題をどうにかしたいってスタンスに変わりはない

が、頼まれた以上テスト勉強を蔑ろにするわけにもいかず

とりあえず、勉強会でどうにか和解のきっかけを掴めればいいんだが

少し前までは楽しみですらあった図書館への足取りが重く感じた

 

 

あれから数日

試験まで後四日

風太郎は二乃へ家に帰るように説得するとともに、四葉の陸上部の方にも駆けずり回っている

が、どうにも事態は好転していないらしい

こっちもこっちで五月をどうにか説得したいがどうにも手応えはない

放課後の勉強会では一花と三玖と顔を合わせるわけだから、そっちからも説得は入るわけだが聞き入れてくれる様子はない

ないのだが…

 

「二乃が謝罪したって…

 そんなにすんなりいきますか?」

 

我が家の食卓で五月が訝しげに言う

 

「にわかに信じられません」

「本当だ!お前もいつまでも意地張ってんじゃねーよ」

「お兄ちゃん

 いつもより髪サラサラ〜」

 

たしかにあの二乃が謝罪とかあんま想像できん

今日も二乃のところに行ってたとのことだから、少しは根気が実を結んだか

あと、らいはの言う通りなんでそんな髪サラサラしてんの風太郎は

 

…………うん

そろそろこの状況にもツッコミたい

 

「お前ら

 ナチュラルに人ん家で飯食うのヤメロ」

「最近そうでもなかったがいつものことだろ?」

「うんうん」

 

あっさり返された

そりゃここ最近は俺も風太郎もバイトやらで忙しかったが少し前は頻繁に家にお裾分けの名目で食事に来てたりしてた

 

「おーう

 帰ったぞー」

「あ

 おかえりなさーい」

「いやあんたも普通に来るんかい…」

 

親父さんまで……

ただでさえ五月がいるってのに上杉家一同で来られるとか正直居心地悪いぞ

 

「ほら、お前らランチとかでつるんでたりしてたろ?」

 

こっちの気も知らないで風太郎は五月との会話を継続するらしい

五月の方はその言葉に微妙な顔

 

「そうは言いますが

 あの時だって…」

 

曰く

二人で映画を見に行き予告にあったアレが面白いという話になったそうだが

二乃→恋のサマーバケーション

五月→生命の起源〜知られざる神秘〜

とてんで違うジャンルだったそうで

 

「昔に比べ二人とも好みが変わってしまったのです」

「ちなみに俺はどちらも見ようとは思わない」

 

そういう横槍止めような…

別に好みがバラバラなのは普段から見てて分かる

この家出の根本の問題はそこじゃないと思うんだけどな

なんとか話し合える場くらい整えたいが、今回の二乃の謝罪が足掛かりになったりして欲しいもんだ

 

「あ!

 今日まだごみ出してないかも」

「今日は不燃ごみの日ですね

 まだ間に合いそうなので私が出しておきます」

「五月さん、ありがとー」

 

五月…

この数日で随分所帯染みてきたな

普段から家は掃除してる方だが最近はチリひとつ落ちてない気がするし

他にもさりげなく気を回してる様子に風太郎が何故か居心地悪そうにしてるが

やっぱり最初から上杉家に任せた方が良かったかなーなんてよからぬことを考えてしまった…

 

 

さらに翌日

今日と土日を挟めばもう週明けからは期末試験だ

 

「よう

 おはよう」

 

今日はけっこう早めに家を出たんだが風太郎はわざわざ待ってたようだ

 

「お前

 なんかあった?」

「まあ…少しな」

 

なんというか、ある意味吹っ切れた顔をしてる

昨日も二乃のところに行ったと思うがなんか状況は好転したのか?

 

「もう大丈夫なのですか?」

 

五月の方も風太郎が色々苦心してるのは見てたので当然の疑問

当の風太郎は自分たちの心配だけしてろとぶっきらぼうに返してるが

そのまま試験勉強の進み具合を確認してくる

五月の方は家で順調に進めていたし一花と三玖も放課後の勉強会を見る分には順調だったはずだ

残るは…

 

「二…二乃もやってるんですよね

 それなら安心です」

 

 

なんて会話をした後なんだが…

 

「二乃?

 今日は休むらしいよ」

 

わざわざ別のクラスまで出向いてみたがとうとう学校まで休むとは…

しかし風太郎はやはりと言った顔

 

「直接二乃のところに行きましょう」

「残念だが、それも今となっては叶わない」

 

「信じて待つ

 俺にできることはそれだけだ」

 

マジで何があったんだよ

言うほど本人が悲観してそうじゃないが

 

「本当に大丈夫なのか?」

「ああ…

 もう一人の問題児のところに行くぞ」

 

わざわざ早朝に来たのはそっちの目的もあってのことか

 

 

「お前が天才とは世も末だな」

「う、上杉さん!?」

 

グラウンドの一角

朝練をしていたであろう一団に近づくなり言い放つ風太郎

当然、陸上部員は不審そうにしてる

ついでに俺への視線も冷たい

 

「期末試験があるのに大会の練習なんてご立派だな」

「うん

 大切な大会なの

 試験なんて気にしてらんないよ」

 

その言葉に風太郎の顔色が変わる

まあ、悪意はないのかもだが人の気も知らないで試験を軽視する発言はそりゃ頭にくるよな

 

「わー!大丈夫です!

 ちゃんとやってますよ!」

 

しかし割り込んだ四葉に話は途切れた

五月の心配にも大丈夫といつも通りの笑顔

だが、どうも無理してる感は伝わってくる

 

「君」

 

どうしたもんかと考えてたら陸上部員、さっきの風太郎との会話から部長みたいだが、そっちから話しかけられるようなことあったっけ?

 

「君が噂の下川くん?」

「……どの噂か知らんけどたしかに下川ですが?」

 

部長は笑顔だが

 

「中野さんに付き纏うのはやめてくれない?」

 

ストレートに敵意を向けてきた

面と向かって言われるのは随分久しぶりだな

 

「ぶ、部長さん

 私別に付き纏われてなんて」

「私たち、今大会に向けて大切な時期なの

 君みたいな問題児と関わって台無しにされたくないんだけど」

 

そりゃ真面目に部活やってる身ならアレをもう一回やられて今度こそ問題になったら出場危ぶまれるもんな

 

「おい

 勝手な噂鵜呑みにしてこいつのこと決めつけんなよ」

 

風太郎まで一層喧嘩腰で部長を睨む

四葉以外の陸上部の面々も部長ほどでないが嫌悪感が滲んでるし、とうの四葉は五月とともにオロオロしだしてるし

 

「風太郎」

「優希…

 お前ここまで言わせっぱなしで」

「目的忘れんな」

 

いらん火種を撒いた俺が言えた試しでないが、このまま揉めてたら本末転倒だ

ここはお望み通り消えるとするか

 

「邪魔して悪かった

 ただ、四葉さん」

「は、はい…」

 

その前に一言は言っとくか

 

「もうちょいこいつ信用してやって」

 

風太郎の肩を叩きながら言い、返事を聞くことなくその場から離れる

後ろから風太郎と四葉が呼び止めようとしたのか呼んでるけど今ばっかりは無視

困惑させただけかもしれんが、あの子もけっこう一人で抱えがちに思えた

姉妹はもちろんだが風太郎にももっと頼って欲しいもんだ

 

「下川君」

 

五月の方はわざわざ追いかけてきたのか

あいつらの方についてなくていいの?

 

「上杉君が何故かいっしょに走りながら四葉の復習をすると言い出しまして…」

 

えぇ…

相変わらず時たま頭悪い行動に出る幼馴染に眩暈がしてくる

 

「あの…さっきの話」

「?ああ…

 どんな噂聞いてるのか知らないけどほぼ事実だよ」

「そんな…

 下川君は理由もなく人を傷つけるような人じゃ」

「理由があっても人を傷つけていいわけじゃないだろ?」

 

そう言ってやれば五月は口を噤む

しかし、これでこっちは四葉の方について余計に手が出せなくなったか

風太郎の方でなんとか四葉と二乃の問題を解決してくれることを祈るしか出来んわけだから、なんとか五月の方だけでも歩み寄ってもらえるよう説得はしたいが

……何があったのか聞きたいけど聞くのは何か申し訳ないって顔の五月

しゃあない

 

「一年の時」

「え?」

 

突然こんな話を始めた俺に五月はキョトンとしている

 

「お礼参りに来た先輩とちょっと揉めてね

 最終的に殴り合いになった」

 

正確には殴りかかられたからカウンター気味に反撃して向こうが一方的にぶっ飛んだんだが

というか今の時代、しかも進学校でお礼参りとかなかなかツッコミどころの多い事件だったな

 

「よりによって正門前でやらかしたから見てた人は多かったし、ぶっ飛んだ先輩は打ちどころ悪かったのか救急車で運ばれてったからな」

 

こうしてめでたく暴力振るう野蛮なやつと印象づけられたと

先輩の親が学校側に詫び入れたことと、その後の素行に問題なしと判断されたから奨学金は打ち切られなかったのがマジでラッキーだったと思う

ただ、そんなこっちの事情なんて大半の生徒は知らない上に、俺自身風太郎以外の交友なんてないから誰も噂について否定がない

結果として、噂はどんどん独り歩きしていくと

 

「それでも下川君は悪くないです!」

 

一通り説明したら五月は憤慨した様子で言う

 

「いいですか!

 間違ってることは間違ってると正さないといけません!」

「間違ってないだろ?

 さっきも言ったけど暴力で人を傷つけたのは事実」

「あなたが怒るのは、いつも他の誰かのためですよね?」

 

……まさかこんな形で核心ついてくるか

 

「ですから、下川君が自分から問題を起こすような人でないとちゃんとわかってもらうべきです」

 

こいつみたいに他人のためにここまで真剣になれるのは美徳だとは思うけどなんでここまで…

というか

 

「別に誰も彼も理解してもらえなくたっていいよ」

「ですが!」

「少なくともお前らはわかってくれてるならそれで良い」

 

正直もう名前と顔が一致しないような人からの評価なんてどうでもいいしな

 

「……ずるいです」

「何か言った?」

「なんでもありません!」

 

五月は結局御機嫌斜めのままずんずん校舎へと歩いて行った

いかん…説得どころか機嫌損ねてしまった

試験まで残り少ないというのに、なかなか問題は解決してくれないらしい




オリ主若干めんどくさい思考になってきてないかと感じたあなた
正解です

例の事件目撃者談
『人間って…動力や翼なしで空飛べるんですね(遠い目)』

オリ主は中学〜高校入学直後くらいまで少し荒れてました
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