5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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【警告】
少し原作から時系列をいじります
加えて完全にオリジナルの物語
次の話から原作沿いに戻るのでスルーしても問題なしです



オリ主の雰囲気が少し変わるくらいなので


幕間
21


 

ただ誰かを助ける

あの頃の俺にとってはそれが疑いようのない正しいことだった

 

何がきっかけだったのか

テレビや絵本の中のヒーローだったか

助けられた人からの感謝だったか

正しいことをしたとほめてくれた両親の言葉だったか

今となっては思い出すこともできない

そんな曖昧なものが、俺の小さな世界の中心だった

 

「行こうぜ!相棒」

「いい加減それ恥ずかしいって!」

 

子供のくせに金髪にピアスまで開けてる幼馴染を引き連れて町中を走り回った

どんな小さなことでも困ってる人すべて助けようとした

なんだってできる気がした

 

修学旅行の後、勉強して誰かに必要とされる人になるって急に勉強を頑張りだした幼馴染とは、一緒にいる時間は減ったけど

それでも一人で走り続けた

 

俺にとって、いや、両親にとっての不幸は

俺がなまじ力を持っていて大抵のことを解決できてしまったこと

どうしようもない理不尽なんて知らなかった

 

 

火事だった

家の中に小さい女の子が一人取り残されてると聞いた

消防車はまだ来ない

 

 

結果的に、家の住人に死傷者は出なかった

死んだのは火事場に飛び込んだ無謀な息子を連れ戻そうとした俺の父だけ

重傷を負ったのは息子をかばった俺の母

俺の負った傷は痕こそ残るが奇跡的に身体の機能に影響はないという

だが、そんなことが何の救いになるというんだ

 

俺が信じていたもの、憧れていたものにクソほどの価値もないと思い知らされた

俺は間違った夢に気づくことがなく進み続け、その代償をよりによって一番大切な人たちに支払わせた

俺の未来はそこで終わった

 

なのに俺は

 

「ユーキ君」

 

夢を追うそのひたむきさに

 

「下川」

 

家族を思う心に

 

「ユーキ」

 

変わりたいと願う強さに

 

「下川さん」

 

真っ直ぐな思いに

 

「下川くん」

 

正しくあろうとする姿に

 

「優希」

 

歩き続けてきたその努力に

 

あいつらの近くでいっしょに過ごしている時を楽しいと感じてしまった

そんな間違いにこんな形でしか気づかなかった

 

俺には誰かのそばにいる資格すらない

 

 

 

葬儀

簡素ではあったけど風太郎の親父さんが手続きや手配をしてくれた

自分の家のことや仕事もあるのに本当に申し訳なく思う

 

父さんも母さんも施設育ちで天涯孤独だって話だったから、葬儀に来てくれる人なんて多くないって思ってた

けど、同じ施設出身の人たちや、学生時代の友達という人たちが来てくれた

その中には中野先生の姿もあった

中野たちも新しい生活のことで忙しいはずなのに来てくれた

 

みんな泣いていた

風太郎も、親父さんも、らいはも、一花も、二乃も、三玖も、四葉も、五月も、中野先生も

みんな母さんのために泣いていた

 

けど俺は

全部終わって

母さんが家に帰ってきて

本当に独りぼっちになったと実感しても

 

 

 

一滴も涙が出ない

 

 

 

「あ…」

 

新学期早々出会ったクラスメイトは何とも言えない表情をしていた

 

「おはよ

 中野」

「……おはよう」

 

歯切れ悪いな

いつも言いたいことを言ってくるイメージあったけど

 

「なんで…」

 

ん?

 

「なんで…そんな

 いつもと変わらないようにしてるの?」

「いつも通りの朝でしょうが」

 

別に遅刻しそうなわけでもなければ、朝から変な厄介ごとに巻き込まれてるわけでもない

いつもと変わらない朝のはずだけど

 

「違う!」

 

急に大声出すなよ

 

「無理してるよ…

 ユーキ君は」

「……そりゃ

 睡眠時間三時間なんてのは普通からしたら無理なのかもな」

「はぐらかさないで!」

 

熱くなるなよ

お前の方こそらしくないぞ?

 

「いいからさっさと学校行かない?

 たまには予習でもしたら?」

 

一花から視線を切って歩き出す

 

「……ユーキ君

 ちゃんと泣いた?」

 

ちゃんと?

ちゃんとって何だよ

泣かずにすむならそれでいいだろ

そもそも

 

「泣いたって何も変わらないでしょ」

 

もうそんなことに意味はないから

 

いつもなら隣を歩くはずの一花は何も言わずに少し後ろを歩いていた

 

 

「下川君」

 

放課後になったら今度は五月か

どうせ言われる内容なんて

 

「大丈夫なんですか?」

 

これだ

朝教室に入った時から顔を合わせる知人みんなこれ

休み時間に偶然会った二乃たちまでこんな具合

 

「大丈夫だから学校に来てんだけど?」

「そうじゃありません!」

 

他に何があるのさ

悪いけどこれからバイトだからまた今度な

 

「ダメです!」

 

手を掴んでまで止められた

五月にしてはかなり力が入ってるのか簡単に振り解けなさそう

 

「何で…

 一人になろうとするんですか」

 

俯いた五月の顔は見えない

声は震えている

 

「ご家族のこと…

 一花や上杉君から聞きました」

 

「私たちも…

 母を亡くしてます

 けど…お父さんや姉妹がいてくれたから前を向けたんです」

 

「私たちでは頼りないかもしれません

 けど!力になりたいんです」

 

顔を上げた五月の目には涙が溜まっていた

それでも

 

「それはお前が本当に大切に思う人たちにとっといてあげな」

「……え?」

 

嬉しいよ

涙が出そうなほど嬉しい

けどもう決めた

いや、あの日からもう決まっていた

 

「俺はもう…誰にも頼れない」

「そんなの…!」

「始めから間違ってたんだよ」

「っ!」

 

「いつか言ったな?

 間違いは正さないといけないって」

 

「俺に関わること自体、お前たちにとって間違いだ」

 

そのせいでこいつら、五月に余計な涙を流させてる

人の心に本気で寄り添える子たちだ

 

わかっていたはずなのに浅ましくも手を伸ばした代償がこれだ

 

手を振り解く

五月はもう追いかけてこない

 

「……や…だぁ

 こんな…こんなの…」

 

あいつには家族も友達だっている

だから大丈夫

あいつらは前を向いて進める

 

 

 

 

「…………まさか全員で来るとは思わなかったよ」

 

ため息とともにそう漏らす

見慣れたはずのリビングには居るはずのない顔が五つと

 

「こうでもしないと、お前まともに話さねえだろ」

 

随分久しぶりに明確な怒りを俺に向けてくる幼馴染

 

「お前の口からちゃんと話してくれ

 お前に、お前の家族に何があったのか」

「何?傷口に塩塗り込みに来たわけ?

 そこまでムカつくやつならほっとけば良いんじゃない?」

「ムカついてるからほっといてやんねえ」

 

こいつなりのぶっきらぼうな気遣いも今はちょっとなぁ…

せっかくの決意が揺らぎそう

 

「ユーキ君」

 

「お願い

 聞かせて

 あなたのこと」

 

別に隠してるつもりはない

さっさと話して退散してもらうとしようか

どうせ…最後だしな

 

 

くだらない話だ

身の丈に合わない、しかも間違った夢なんか本気で追いかけてた子供の話

そのせいで最愛の人を亡くして、傷付けて

とうとう全部無くなってようやく間違いを思い出した

 

みんな泣いていた

そうだ

この子たちは人のために泣ける優しい子たちだ

これから先この子たちに救われる人が沢山いる

それをこんなところで使うべきじゃない

 

「下川さんは!」

 

「いつも誰かのために頑張ってる人です

 私も…一花も、二乃も、三玖も、五月も!上杉さんも!

 みんなあなたに助けられてます!」

 

「だから…きっと

 天国のお父さんとお母さんも許してくれますよぉ…」

 

違うよ、四葉

俺は許されたいんじゃない

許されたいと望む事が間違ってる

 

「あんたは!」

 

「そうやって一人でいつまでもうじうじしてる気!」

 

「あんたのお父さんもお母さんもどんな人だったかなんてわかんないけどね

 あんたがそんな生き方するのを望んでると思うの!?」

 

そうだな、二乃

誰よりも俺を愛してくれてた

そんな人たちが望まないこの生き方はきっと間違ってる

 

「ユーキ」

 

「変わるのって多分すごく怖いよ」

 

「だから

 私たちと変わろう?いっしょに」

 

三玖みたいに前を向けていたら

俺も変われたかもしれない

 

 

でも俺は

自分で自分を許さないと

間違っていても

変わったその先をもう求めないって

あの日から決まったんだ

 

そんなこともっと早く思い出さないといけなかった

 

「お前たちにはさ」

 

だからもう終わりにしないと

 

「夢だって、大事な人だって、正しさも全部揃ってる」

 

たとえ傷付けたとしても

 

「風太郎だっている」

 

この子たちを前に進めないといけない

 

「俺一人いないくらい大したことないだろ?」

 

「だから…ーーっ!

 風太郎?」

 

胸ぐらを掴まれた

 

「本気で言ってんのか」

 

怒りと涙を浮かべた目でメチャクチャな表情

 

「俺の仕事は

 ーーいや、俺のやりたいことはコイツらを全員笑顔で卒業させることだ」

 

「知ってるよ

 もう、お前一人でもじゅうぶん」

「お前がいないと無理だ!」

 

そんなことは…

 

「断言してやる!

 もうお前だって俺たちの一部なんだよ」

 

「お前がどんだけ一人になろうとしても

 どんだけ逃げたとしても」

 

「俺たちはお前を諦めねえ!」

 

反射的だった

風太郎を突き飛ばしていた

これ以上はダメだ

とっくに捨てたはずのものに手を伸ばしてしまう

 

「なん…で」

 

リビングを出ようとしたところで抱き止められた

ダメだ振り切れ

こんなの間違ってる

 

「……離せよ」

「嫌です」

「頼むから…」

「絶対に嫌です!

 今度は離しません!」

 

「私は!

 あなたと一緒にいたいんです」

 

「みんなと同じくらいあなたも大切だからっ…」

 

俺にそんな資格ない

そんなの許されるはずが

 

「許すから」

 

ない…のに

 

「他の誰が許さなくても…

 あなた自身があなたを許さなくても…」

 

「私はあなたの味方だから

 だから…そばに…居てよぉ」

 

何かが砕ける音がする

 

「ユーキ君」

 

「ごめんね」

 

何でお前が謝るんだよ

お前たちは何も

 

「ユーキ君は強いって

 一人で何でもできるって

 ずっとそう思ってた」

 

「けど、君も私たちと同じ

 出来ないことがあったんだね」

 

もうやめてくれ…

 

「一人で泣けないっていう君の弱さに気づけなかった」

 

「だから

 一人にしてごめんね」

 

ヒビが広がる

 

「何でだよ…」

 

「突き放しただろうが…」

 

「どうしようもないやつだって思い知っただろうが…!」

 

「もう構うなよ!放っておけよ!」

 

「お前らの事が嫌いなんだよ!」

 

「図々しく踏み込んでくるとこも!

 知ったふうな口きくことも!

 こっちの都合なんか構わないとこも!」

 

「全部気に食わねえ!」

 

「だから!

 頼むから…」

 

「嫌いになって…

 嫌わせて…くれよ」

 

もう自分で何を言ってるかよくわからない

目を背けて必死に隠してきた自分の感情なんて

 

「私たちはあなたが大切だよ」

 

「一人になんてしないよ」

 

何もかも砕け散った

 

もう何もかも全部剥き出しにして泣いた

 

子供みたいに泣き喚きながら謝り続けた

 

腹の中のもの全てを出し尽くして

いつしかそのまま眠りについていた

 

 

 

結構な時間眠ってた気がする

もう覚えてもいないはずなのに、誰かの体温を感じながら眠る心地よさに懐かしさを感じてしまう

 

「……中野?」

「うん

 おはよ」

「おはようございます

 下川君」

 

我ながら酷い声だ

……って

 

「暑苦しいんだけど」

「昨夜から離してくれなかったのはどこのどなたかな…?」

 

横向きに寝てた俺の前後に一花と五月

昨日の醜態を思い出して軽く死にたくなってくる…

 

「ってか学校…

 やば!バイト…!」

 

何時だ今!?

今の季節にもう完全に日が登ってるなんてことは遅刻とかいうレベルじゃねーぞ!?

 

「とっくに連絡済だ」

 

風太郎の声が頭上からふってきた

……何故携帯のカメラをこっちに向ける

 

「いざという時の脅しの材料になるかなと」

「わかっちゃいたけどやっぱサイテーだなお前」

 

体を起こす

起こしたが…

 

「中野…

 そんなしがみついてなくてももう逃げないから」

「……本当ですね?」

 

すっかり信用が無い

いや自業自得なんだけど…

というか

 

「あんたらやっと起きた?」

「おはようございます!

 朝ごはんできてますよ!」

 

まさか全員泊まって

ってか全員で学校サボりって

 

「ユーキ」

 

三玖が皿を持ってる

 

「元気が出るよう頑張って作った

 食べて」

 

名状しがたいものが皿の上に鎮座してるんですがそれは…

全員目逸らしてないで助けて

 

「だ、大丈夫だ

 見た目の割に味は普通にうまいはずだ!」

「じゃあ何でそんな青い顔してる!?」

 

三玖がフータローの分もあるよ、なんて言えばさらに顔色悪くしてるし

頼むから誰か助けて!

 

 

結論から言うと

見た目の割に味は普通だった

聞いた話だといつぞやの家庭教師の時に風太郎は大量のコロッケ?を食べることになりそれが軽くトラウマだとか

何で朝飯からこんな疲れる羽目になるのか…

 

…………ダメだ

ついいつもみたいに接してしまった

昨夜は思わず感情ぶちまけたけどやっぱり俺は

 

「優希」

 

風太郎が正面に座り言う

 

「俺は今、家庭教師をやってる」

 

うん?何を今更

 

「その教える相手ってのがな…

 まあ、馬鹿ばっかりだ」

 

後ろで抗議の声が上がってるぞ良いのか?

 

「しかもどいつもこいつも癖が強過ぎてな」

 

それもわかるけど

 

「いい加減

 一人だと手に余ると思ってたところだ」

 

は?いや、ちょっと待て

 

「手伝ってくれ

 目標は、全員で笑顔で卒業だ」

 

いつもの自信満々の笑みでそんなことを告げる

いや、でも俺は…

 

「言っとくけど、拒否権なんてないからね」

 

二乃が会話に割り込んでくる

 

「この子たち散々泣かせたんだから

 責任取りなさいよ」

「……二乃も泣いてた」

「三玖!適当言ってんじゃないわよ!」

 

説得?するのか喧嘩するのかハッキリしてくれ…

 

「……大したこと出来ないぞ」

「いーや

 お前がいれば百人力だ」

 

なんでそこまで…

だいたい、もう俺に

 

「お前のことだ

 理由がどーとか、資格がどーとかまた考えてんだろ?」

 

「散々心配かけた罰だ

 大人しく手伝ってもらうぞ」

 

給料が出るかどうかはわからねえけどな、なんて笑いながら風太郎は言う

 

こいつは…

中野たちも全員そんなんで良いのか?

 

「もちろん」

「しょうがないからよ」

「頼もしい」

「さいきょーコンビ!ですね!」

「是非お願いしたいです」

 

お前ら…本当に

 

買い被りすぎだ

どうせ俺なんかいなくても風太郎はきっと成し遂げる

 

それでも

 

理由をくれて

意味をくれて

居場所をくれて

 

「ありがとうな」

 

その期待に応えてやりたい

 

 

「…………って

 なんだよお前らその顔は?」

 

なんでみんなしてポカンとしてる?

 

「ユ」

「ゆ?」

「ユーキ君が笑った!?」

 

驚くとこそこ?

 

「は、初めて見ましたよ!」

「もう一回

 今度はちゃんと撮る」

 

いや、俺そんな笑わなかったか?

三玖は何を撮ろうとしている

 

「いや、俺も随分久しぶりにそんな顔見た気がするんだが」

 

マジか…

バイトの時の営業スマイルはノーカンらしい

 

「意外といい顔してんのが腹立つわね…」

 

二乃に至ってはぶつぶつ何か言ってるけどよく聞き取れん

 

「三玖!」

 

お、五月頼む

このわけわからん流れ止めてくれ

 

「その写真後で送ってください」

 

なんでさ

 

「大丈夫

 みんなにグループ送信する」

 

ヤメテ

 

「じゃあユーキ君

 もう一回どーぞ!」

 

この流れでどう笑えと!?

風太郎

お前生徒の暴走止めろ!

 

「もうお前の生徒でもあるからな

 観念して笑っとけ」

 

いい笑顔だなお前はコンチクショウ

こうなったら…

 

「あ!逃げた!」

「四葉!追いなさい!」

「逃しませんよ!」

 

なんかいつぞやと逆!?

お前らなんでこんな時は息ぴったりなんだよ!?

追いかけっこは結局中野たちが根負けするまで続いた

 

 

こうして改めて俺たちの新しい一年は始まった

俺にとって、文字通り生まれ変わったかのような始まり

忘れられない一年が始まる

 

 

 

「よお」

「おじさん?」

 

晴れた平日の午後

見慣れた場所にここにいるのに少し違和感のある姿

平日の昼間からこんなところで何やってんの?とか、一人で来たの?とか色々言いたいことはあるけど

 

「その花

 おじさんだったんだな」

「なんだ

 気づいてなかったのか」

 

おじさんの手には花束

いつも、といっても最近はずいぶん来る頻度が減ってたけど

来るたびに同じ花が供えられてた

 

「あいつらが好きな花でな

 それほど高いもんじゃないから気にすんな」

 

いつもの調子でおどけて言うと、手慣れた様子で花を供える

 

 

「スッキリしたじゃないか」

「……抵抗虚しくね」

 

随分短くなった前髪をいじりながら答える

あの後何故か取り押さえられて前髪をバッサリやられた

額の火傷の跡までしっかり見える程度に…

バイト以外でこんな視界が広いのはまだ慣れない

 

「そっちもだが

 いい顔になった」

「泣き腫らしたこんな目で?」

 

軽く睨んでみるも笑って受け流された

 

 

「すまなかったな」

 

父さん達の墓を見つめたままおじさんは口を開いた

 

「何でだよ」

 

家を手放さなくてすんだのも

まともに高校に通わせてくれたことも

バイトの口利きしてくれたことも

自分たちの家に余裕がない中で他人の俺のためにこれだけしてくれた

それだけでも十分なんだ

 

「俺のことガキ扱いせずにいてくれただろ?

 対等に扱ってくれたのがすげえありがたかった」

「それが間違いだったんだよ」

 

おじさんの顔も声色も今まで見せたことのないものだった

 

「あの時

 生き急ぐことが分かりきってるお前を

 無理矢理にでも子供のままでいさせてやらないといけなかった」

 

「お前から子供でいられる時間を奪っちまったのは俺だ

 頼りない大人で…すまなかったな」

 

あんたがそんな顔することないだろ

あんたがいなければそれこそ本当に何もかも手元に残らなかった

感謝してもしきれないくらい恩があるんだ

 

「まだ、自分が許せないか?」

 

諭すような顔

悲痛な顔で俺を見る

その顔に答えることができず目線を逸らした

 

「お前が自分で自分を責め続けてるのは知ってる

 幸せになる資格が無いなんて考えてるのも」

 

きっと一生これは変わらないんだと思う

 

「けどな

 お前に幸せになってほしいと願う人たちがいる」

 

思わず顔を上げた

もう随分色褪せた記憶

父さんと母さんと同じ表情

悪戯をした子供を叱るみたいな顔でおじさんは俺を見ていた

 

「俺だってその一人だ

 迷惑かもしれねえけどな

 お前のことも大事な息子だと思ってる」

 

これだけ思ってくれる人がいる

それだけでまた泣きそうだ

 

もう一度墓石に向き合う

ここに魂なんてものが残ってるのかはわからないけど

自己満足だけど

それでも伝えたい

 

父さん

母さん

愛してくれたあなたたちに何も返せなくてごめんなさい

それでも俺を信じてくれる人たちをもう一度信じてみたいんだ

いつか、そっちに行った時その人たちの話をするよ

だからその時まで

 

さようなら

 

ありがとう

 

「おじさん」

「おう」

「父さんと母さんの話

 聞いてもいい?」

「ああ

 お前の知らない話がいっぱいあるぞ

 あんまり話しすぎると化けて出てくるかもしれんけどな」

「それならそれで直接話せるからありがたいかな」

「違いないな」




色々勢いで書き殴った
長くなるので活動報告で色々書く予定

オリ主の嫌いなものは自分
最近は少し変わろうと思ったとか思わなかったとか
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