なお、アンケートの結果は①三玖ルート導入でした
三年生編に入る前にそっち書きます
なお、違う種類の回したらまたも三玖(浴衣)
「今日呼び出したのは他でもないわ」
「……はぁ」
まだまだ春休みの最中
中野たちのアパートに呼び出され来てみれば床に正座させられた上で二乃がこれである
テーブルについてる二乃は何故か白手袋した手を顔の前で組んで珍しく眼鏡までかけてる
眼鏡が光を反射してるので表情はわからない
さらに三玖はその斜め後ろで手を後ろに組んで直立
なんだこの状況は…
「なあ
二乃のやつなんか悪いもんでも食った?」
「あはは…
少しだけ付き合ってあげて」
一花に聞いても苦笑いでこれ
なんだ?怒られるようなことはしてないはずだが
「聞きたいことがあるわ
大人しく答えなさい」
「答えれることなら答えるけどさ
何で俺は正座させられてんの?」
「ノリよ」
「そうかノリか」
ノリなら仕方ないな
で結局何が聞きたいのさ?
「フ」
「ふ?」
「フータローの誕生日っていつかしら
あと、あいつが欲しいものってわかる?」
………………えぇ
「な、何か言いなさいよ!」
いやだって、ねぇ?
二乃はいつの間にか眼鏡も白手袋もとってるので表情は見えるがわかりやすく顔が赤い
出会った頃の冷ややかな目を思い出すと今の態度との落差に風邪ひきそう
つまりは、風太郎へ日頃の感謝(という建前)もあるのでこの機会にサプライズで何か贈ろうとしてると
「まあ、誕生日くらい教えるけどさ
4月15日」
「割と近いじゃない
ちょうどよかったわね」
うん
本当にタイミングが良かった
これで半年後とかだったらどうするつもりだったんだ…
そんであいつが欲しいものか
「金」
「言うと思ったけどもっとオブラートに包みなさいよ!」
ですよねー
言うだけ言っといてだが確かにこれは無かったわ
「そうだな…
体力が欲しいとか、疲れが溜まってるから疲労回復したいとか、最近寝つきも悪いらしいし
あと、運の悪さは筋金入りだから運気も上げたいとか」
ここ最近あいつとどんな会話したかなんて考えてたら大体こんなもんだった気がする
「なんでしょう…
具体的なようで絶妙に要望を叶えるのが難しいような」
五月の指摘もごもっともだけどあいつの物欲なんてたかが知れてるしな
むしろ方向性だけでも聞き取ってた俺を褒めてもらいたい
二乃、三玖、四葉はあーでもないこーでもないと既に何をあげるか議論中
一花と五月も遠巻きながらそれに参加しだしたし俺もう帰っていい?
「そういえば、下川さんの誕生日っていつなんですか?」
唐突に四葉がそんなことを聞いてくる
「そうね、ついでだからあんたの誕生日も考えといてあげるわ」
言葉の割に二乃の声色は優しいので多少は信頼されてるようで何よりだ
「そうですね!お友達ですから誕生日は祝わなければいけませんよね!
さあ、教えてください!」
「そうそう!
何か欲しいものある?何でも言って!」
五月と一花は急に勢いがすごい
今度は三玖と四葉が苦笑いしてて、二乃は若干呆れたような顔をしてる
「いや別に隠してるわけじゃないから
答えるから
3月30日」
「そっか3月30日かー」
「3月…」
「30日って…」
「過ぎてんじゃないのよ!」
うん
今はもう4月に入ってるのでもう先日だったりする
「な、何で教えてくれなかったんですか!?」
「いや、聞かれなかったし」
「言ってくれたっていいじゃん!」
「自分から言ったらなんかプレゼント強請ってるみたいじゃん?」
さっきまでとは違う理由で問い詰められる
こいつらだって今の生活じゃそこまで余裕あるわけじゃないだろうからわざわざ部外者のために余計な出費をする必要ないだろ
ちなみに俺の誕生日もともと知ってたのは上杉家だけなのでささやかに祝ってもらったりはしてる
らいはには本当に頭が上がらない
「世話になってる人の誕生日祝うくらい普通よ
あんた遠慮しすぎ」
溜息混じりに言う二乃
全員同意らしくうんうんと頷いてる
たしかに、つい最近こいつらのお爺さんにももう少し頼れと言われたばかりだった
「わかったよ
じゃあ、また飯でも作ってくれればありがたいかな」
「それっていつもとあまり変わらないんじゃ…」
一花は苦笑いしながらそう言ってくるがそれならたまには料理手伝ってくれ
結局、この後夕飯をご馳走になったんだが
「手伝うことあれば…」
「座ってなさい!」
「うん
今日のユーキはお客さん」
「コーヒーでもどうぞー」
「そうだ
マッサージしてあげるよ
お疲れでしょ?」
「わ、私も!
下川君、肩は凝ってませんか?」
落ち着かねえ…
貧乏性が染み付いてしまってるからか座ってるだけってのは性に合わなさすぎる
あと、一花と五月はそこまでしなくてもいい
人に頼るって疲れるんだな…
「ところであんた
いつか私たちのこと妹分扱いしてたけどあんたの方が弟になるんじゃないのよ」
「誕生日で年下扱いとか小学生か…」
「下川さんが…」
「弟…」
「下川君!たまには甘えてくれてもいいんですよ!
お姉ちゃんに!」
「ほーらお姉ちゃんにもっと頼ってくれて良いんだよー」
「……うぜぇ」
そんなこともあったので欲しいものって考えたら
そういえば携帯買うかって決意したんだった
とは言え、どんなの買えばいいのかわからんし
「そういうわけだから付き合ってくれ」
『いや別にいいけど
俺だってそんなに詳しくないぞ』
電話口の風太郎は若干めんどくさそうだが、去年から厄介ごとに散々巻き込んでくれたのでこれくらい付き合ってくれ
だいたい、そんな最新のとかでなくていいから風太郎が使ってるみたいなシンプルなのでいいんだが
『ちょうど明日とかならバイトも休みだが
って、おい!らいは!?』
『もしもし優希君?
お兄ちゃんしばらく忙しくてお出かけは難しいみたい』
何故か唐突に電話口がらいはに変わった
今さっき風太郎はバイト無いって言ってたはずだが
『そういうわけだから、五月さん誘ってみるのはどうかなー?』
ふむ
五月か
風太郎が無理となると確かに次に頼れそうなのは中野たちで
その中でも一番とっつきやすいってのはある
らいはに礼を言って電話を切る
幸いにも番号はわかるのでかけてみる
これでダメならものすごく気は進まないけどバイト先の人たちに相談するかね…
「あれ?待たせた?」
「い、いえ
私も今来たところですので」
集合場所の駅前に着いてみれば既に五月の姿はあった
5分前ではあるが待たせてたら悪かったけどそうでもないならよかった
あの後、電話で携帯買いたいから付き合ってくれと五月に頼んでみたら大分食い気味でOKをもらえた
『え?今なんて』
「ん?だから携帯を買いたいから暇な時に選ぶの手伝ってくれないかって」
『行きます!
いつですか?
私は明日でもいいですよ!』
「お、おう
助かる」
『それでは明日に!
楽しみにしてますね!下川君』
『い、一花!
お茶こぼれてるよ!』
『聞き耳立てといて自爆してんじゃないわよ!』
後ろの方も大分騒がしかったが大丈夫だったんだろうか
少し早いけど店に向かう
隣を歩く五月は何故かご機嫌
「なんかいいことでもあった?」
「はい
下川君とお出かけできるなんて思ってもみなかったので」
……ストレートにそういうこと言われるのはなんとも慣れない
短くそっかとだけ答えて目を逸らす
こっちの都合に付き合わせたけど嫌じゃないならよかった
昼飯くらいはご馳走しよう
さて
せっかく五月が楽しそうなので厄介ごとの予感は早めに摘んでおこう
「五月
そこの角曲がったらそのまま待ってて」
「え?下川君?」
角を曲がり五月を立ち止まらせ、一人さらに路地に入る
そのまま駆け抜けて再び大通り、さっきまで歩いていた道に戻り
「何か用?」
「ーーっ!!」
追跡者の背後をとる
五月と合流してから妙な気配が周りにいるのが気になっていた
敵意は感じないけどこそこそ付け回されるのは気分良くない
…って
「何やってんのさ、一花」
「あ、あはは
奇遇だね〜ユーキ君」
普段かけてるとこ見たことないサングラスの一花だった
いや、そんなコソコソしといて奇遇も何もないだろ
そして気配の一つがコイツってことは
「そこの植え込みの影の三人」
「「「ーーっ!」」」
「自販機の影の二人」
「「!!」」
「お前らも一体何のつもりか説明してもらおうか」
そこまで怒ってないはずだが思ったより不機嫌そうな声が出てしまった
観念して出てくる二乃、三玖、四葉に風太郎とらいは
随分気配が多いと思ったらこういうオチかよ
「五月
なんか機嫌悪くなってない?」
「そんなことありません」
いや、さっきまでご機嫌そうだったので今との落差くらいわかる
「ごめんね五月
一花の暴走止められなかった」
「ぼ、暴走って…
私は五月ちゃんがユーキ君になにかされないか心配で」
「下川君はそんなことしません!」
「い、五月ちゃん
冗談!冗談だって!」
急に騒がしくなったな
一花は俺のこと猛獣か何かと思ってんのか
「風太郎も忙しいんじゃなかったの?」
「いや、俺は別に用事も無かったんだが
らいはが勝手に痛たたた!」
目を逸らしながららいはが風太郎の手をつねってたのをしっかり見てしまった
なるほど、いらん気遣いをしてくれたわけか
その後わざわざ野次馬しに来るのはいただけないが
「とりあえず俺、携帯買いに行きたいんだけど…」
「そーなんだ!
じゃあお店こっちだね」
何故一花が仕切る
そしてまさか全員で来る気か?
いや、こいつらも暇なら断る理由は無いが
「ごめんなさい
こんな騒がしくなってしまって」
「五月が謝ることじゃないでしょ
確かに騒がしいけど、まあ、悪くはないんじゃない?」
そもそも俺の都合に付き合わせてるわけだし
出かけるにしてもこいつらとなら気を遣わないしな
……何その顔は
「ふふふ
何でもありませんよ」
くすくすと笑う五月は少し機嫌回復してくれたか?
しかし、こいつらと出かけるってなると、いつぞやのように色々見て回ることになるんだろうな…
あの時ほどそれが億劫でないのが我ながら意外ではあるが
目的地の携帯ショップに到着
この大人数で、しかも五人同じ顔が入ってきた時店員さんの表情が引き攣ってたが
とりあえず新しく携帯を買いたいと店員に聞いてみるが、案の定何を言ってるのかさっぱりわからん
今まで全く興味を持ってなかったので、アプリだなんだ言われてもなぁ…
やっぱ五月に通訳お願いしといて正解だったな
結局、中野たちが使ってるのと同じものを買うことに
本体の価格を見て目眩がしたあたり貧乏が骨身に染み付いてる
「お待たせ」
「おー
これにしたんだね」
「優希君もとうとうスマホを」
店の一角で周辺機器やらアクセサリやらを見てた一花たちに声をかける
らいはは何故か感無量な様子
「早速、連絡先を交換しましょう!」
「そうだね!これ私のね!」
「私も〜」
うん
そりゃ君たちの連絡先はありがたいけど場所変えようか
いくらなんでもこの人数だと店の一角占領してしまう
そんなわけで近くのファストフード店へ
少し早めのランチをしながら俺は買ったスマホと睨めっこ
初期設定をしているんだが手こずっていて、分からないとこが来るたびに一花に聞いてを繰り返している
ちなみに五月はハンバーガーに夢中なので邪魔しない方がいいだろう…
「……できた」
「あはは
お疲れー」
ようやく終わった
すっかりハンバーガーは冷めてしまってる
他のみんなもほぼ食べ終わる頃だが、慣れんことに疲れたのでゆっくり食べさせてもらいたい
「苦戦してましたね」
「学校の授業でパソコン触ってる時はそこまで苦手そうじゃなかったけど?」
「事務のバイトやってたからそっちはね
一花こそパソコンは一本指打法のくせになんでスマホは簡単そうにいじるのさ」
「それをここで言うのはズルくないかな!?」
外面を良く見せるこいつの学校での貴重なポンコツシーンだから印象強くてな
「へー
一花さんにも苦手なことってあるんだね」
「意外とドジなんだなお前」
上杉兄妹の反応を聞いた一花が顔を赤くしてこっちを睨んでくるがこっちは食事に集中
「ユーキは意外と一花のこと見てるんだね」
あーっと
まさか意外なとこから爆弾飛んできたかー
「目立つから目につくだけだし…」
「そんな細かいところまで見といてそれは無理があるわよ」
二乃…何故わざわざ退路を潰してくる
「なんだなんだ
私に興味津々かー?」
ほらー
こいつわかりやすく調子に乗るから
さっきまでと一転してニヤニヤしながらこっちを覗き込んでくる
隣の五月が助け舟出してくれないかなーなんて期待してそっちを見る
「そういえば同じクラスだったんですよね
羨ましいです…」
なんでか五月はむくれてる
助け舟は期待できないらしい
結局その後、買うものも買えたし帰ろうかと思ったんだが全員がかりで遊びに行くぞと連行された
特に目的もなく町をブラブラしてただけだが意外と楽しめたな
「今日はありがとな」
隣を歩く五月にそう告げる
「こちらこそ
誘ってくれてありがとうございました」
五月の方も笑顔で答えてくれた
こいつも楽しんでくれたのなら何よりだ
もうすぐ新学期が始まって、進路のことで今みたいに遊びに行く機会は少なくなるだろうし
こんなふうにみんなでいられる時間も限りがあるんだな
……柄にもなくセンチになってしまった
「また遊びに行きましょう
みんなで」
「……おう」
そんな心情でも見透かされてるのかのような五月の言葉
またいくらでもこんな風に遊びに行ける
だから大丈夫と言われたような気がした
人に頼るのは疲れるだけじゃないらしい
新学期が始まっても多分こいつらとなら楽しめるんだろうな、なんてらしくないことを思った
「ところで、三玖がうちのバイト先に新しく入ってきたわけだけど
五月はバイトどうなの?」
「……」
「……賄いが美味しいバイト先なら紹介するけど」
「わ、私食べ物のことばかり考えてるわけじゃありませんよ!?」
ぐだぐだした日常回があってもいいと思い
買い物中、風太郎は二乃、三玖、四葉に振り回されておりました
オリ主のお気に入りスポットは静かなところ