5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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マジでこの後の展開どうしましょうかね…


修学旅行編
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「えーっと…

 三玖、ここってパン屋さんだったよね?

 石屋じゃなくて」

「……」

 

正式に家庭教師を依頼されたあの日から少しだけ時間は遡る

統一模試が終わって程なくの頃のバイト先でのやりとりだ

三玖に呼ばれたらしい四葉の前には言う通り石のような塊、もとい三玖作のパン

念願かなってパン作りに挑むことになった三玖だったが成果はご覧の通り

 

「ま、まぁ

 中野さんはバイト始めたばかりだし」

 

店長も流石に予想外の出来に微妙な表情

 

「最初は誰でもこんなもんでしょ…」

「幸運にも向かいのケーキ屋はそれほど脅威じゃないし

 私もできる限り教えていくから上達していこう!」

「はい!」

 

店長…実は目の敵にされてるの根に持ってます?

 

 

それから数日

 

「なんかベチャっとしてる…」

「おかしい…

 手順通り作らせているのに不思議な力でなぜか失敗する」

 

店長の言う通り手順通りのはずなのにこの有様だ

林間学校の時にカレーに勝手に隠し味を仕込もうとしたらしいから余計なことしないように目を光らせてたんだかな…

 

「最近向かいの店調子良さげだなぁ…」

 

やっぱ対抗意識あるんすね店長…

けど今それ言うのは三玖に変なプレッシャー与えるのでやめていただきたい

 

「やっぱり才能ないのかなぁ…」

「じ、自信持って!

 前より食べ物に近づいてる気がする!

 この調子だよ」

「うん…」

 

 

なんてやりとりを経て現在

四葉の前には

 

「パンだ…

 この前食べたのは幻じゃなかったんだ!」

 

どういう評価なんだそれは

三玖の方は渾身のやり遂げた顔

 

「まだお店に出せるレベルじゃないけどね

 三玖ちゃんがここまで作れるようになれて私もうれしいよ…」

 

そうは言うが店長の表情はけっこう暗いあたり苦労が憚られる

まあ、あの失敗の山を目の当たりにしたらなぁ

こちらも腹を壊した甲斐はあったというものか

 

「何も毎回律儀に全部食べなくても…」

 

流石に勿体無くて…

 

「店長さん

 ユーキ

 ありがとうございます」

 

三玖の方は深々と頭を下げてる

 

「やっぱりすぐ上杉さんに食べてもらおうよ

 きっと驚くよ」

 

四葉はそんな提案をしてくるが三玖には考えがあるようで

 

「まだ美味しいパンじゃない」

「三玖ちゃん

 修学旅行までにとか言ってたっけ?」

「はい

 一日目のお昼が自由昼食のはず…」

 

なるほどね

いつの間にか三玖まで本気で攻略する気になっていたわけか

 

「侵掠すること火の如し

 そこで私のとっておきをあげる」

 

随分物騒な例えをしてるが一つ問題があるんだよなぁ…

 

 

「全国模試も無事終わったということで

 修学旅行の話に本格的に入りたいと思います」

 

ホームルームの教室に風太郎が告げる言葉に色めき立つクラスメイトたち

パンフレットはもう配られていて今日の議題は班決めについて

当日は班行動、そして班の定員は五人まで

おあつらえ向けに五人ってことでてっきり中野姉妹はそれで班を組むもんだと思ってたんだが

 

『三玖!

 私にまかせて!』

 

『私と三玖と上杉さんで班になろうよ

 私から上杉さんに言っておくからさ!』

 

とのことらしい

たしかに三玖の頑張りを見てた身としては、応援したい気持ちもわかるが四葉自身はそれでいいのかね?

 

『は!

 でも、私たちが上杉さんを取ってしまったら下川さんがボッチに!?』

 

いらん気遣いのおかげで色々台無しだよ

鼻の頭つまんで泣かしてやろうか

とはいえ、聞いてしまった以上無視するわけにもいかんし

それとなく協力が出来ればいいんだが

 

 

「お、今日は珍しく三玖がいるな」

「この後バイトだけどちょっとだけ参加する」

 

放課後の図書館には久しぶりに全員集合

三玖の方は言ってる通り俺たちはこの後バイトだが

 

「なーに熱い視線送ってんのよ」

「えっ!いえっ!

 さっ、勉強を始めましょう!」

 

五月の方は何やら風太郎に言いたげ

それを二乃に指摘されて慌ててるあたりあんまみんなの前では言いづらいことなのかね

 

「その前に」

 

ん?三玖?

 

「修学旅行の話がしたい」

 

おっと

三玖の方が自分から切り出すとは正直思わなかった

二乃と四葉はその言葉に面食らった表情

二乃はともかく四葉は意図知ってるはずでは?

 

「フータロー

 誰と組むか決めた?」

 

やっぱその話題だよな

さて…

 

「あ!四葉が話したいことあるって」

「ええ!?」

 

ん?

こっちも三玖の発言後押ししようとしたところで何故か一花の割り込み

その言葉で注目を浴びた四葉の方はそれでなぜかあたふたしだした

なんだ?

一花はどうも三玖のこと応援してると思ってたからそれを後押ししたのかと思ったんだが

どうも様子がおかしい

しゃあないか

 

「この際だから全員で同じ班組む?」

「「「「「「は?」」」」」」

 

うん、予想通りの反応

我ながららしくないことを言い出したのは自覚してる

 

「それが一番だけど…」

「定員は五人までって…」

 

当然の疑問だが

 

「別に名目上は別の班にしといて向こうでの行動は合わせるとかさ

 やりようはいくらでもあるだろ?」

 

結局全員で行動ができれば万事解決だろ

三玖と四葉はともかく他の姉妹がもう友達と組んでたりしてたらアウトだが

 

「おい、優希

 何言って…」

「勝手に話決めてんじゃないわよ!」

 

風太郎が何か言いかけるのを二乃が遮る

まあ、こいつが噛み付いてくるのはなんとなく予想ついてたが…

 

「言っておくけど私は最初から決めてるんだからね」

 

そうして風太郎を指差し

 

「私とフー君が二人っきりの班を組む」

 

ハッキリと宣言した

まさかここまで直球勝負でくるとは

ってか、フー君って…

随分とかわいいあだ名がついているのな

 

「好きな人と回る

 あんたに拒否権はないから」

 

気の強そうな目つきはいつも通りだが頬は微かに赤い

他の姉妹も流石に固まってる

 

「お、おい…

 二乃、勝手に…」

「フー君は黙ってて!」

 

そりゃ突然こんな宣言をされてしまえばこんな反応になるよな

二乃は取り付く島も無さそうだが

 

「フー君…

 わ…私も…」

 

気圧されながらも三玖はかすかな声でそう言うがこれは風太郎本人には届いてなさそう

 

「言いたいことがあるなら

 今

 言ってみなさい」

 

二乃の凄みに結局何も言えず三玖は俯いてしまう

これはいくらなんでも可哀想なので助け舟でも…

 

「あ!じゃあユーキ君は組む相手いないんじゃない?

 しょ〜がない

 お姉さんが班組んであげよっか?」

 

はい?

いや、今この空気で突然何を言い出すんだこいつは

 

「そうね

 せっかくだしあんたらで班組めばいいわ」

 

なぜ二乃までそんなことを言い出す

どのへんがせっかくなのか

 

「わ、私もいいでしょうか?下川君」

 

五月まで?

 

「それは…」

「そうねそれもいいんじゃない?」

「ちょ!?二乃!」

 

もうわけわからんくなってきたぞこの状況

四葉は「何故こんなことに…」なんて呟きながら目を回しだしてるし

 

「お前らいい加減俺の話を聞け!」

「そうだな

 少し落ち着こう」

 

風太郎の方も状況落ち着かせたいのは同じようだ

流石に全員が全員思い通りってのは難しいかもだがどうにか妥協点を…

 

「だいたい、優希まで突然何言い出してんだよ

 俺らはもう武田たちと班組んだだろうが」

 

……………あれ?

 

「その顔…

 やっぱ聞いてなかったのか

 ついさっき教室出る前に決めただろうが」

 

あー

あれそういう話だったか

この勉強会で三玖の手助けどうするか考えてて完全聞いてなかった…

 

うん

ぼーっとしてた俺が悪いんだけど五人がかりで睨んでくるのはヤメテ

 

 

「下着と靴下

 歯ブラシは持っていくんだっけ?」

 

休日のショッピングモール

上杉兄妹、というよりらいはに呼び出された

 

「おい、らいは

 わざわざ新調しなくていいだろ」

「えー、だってお兄ちゃんも優希君もパンツビロビロだもん

 クラスのみんなに笑われちゃうよ!」

「今笑われてますけど」

 

何故俺の下着事情まで把握しているのかこの子は

最近は俺ん家の家事は遠慮しているはずだが…

 

「家庭教師に復帰できたんだから少しくらい自分のために使ってもバチは当たらないよ」

 

本当にこの子は風太郎が兄妹なのか疑わしくなるレベルでいい子だな

 

「あ、でも

 五月さんたちへの誕生日プレゼントをケチってたら嫌われちゃうよ?」

「……あんだけ色々したんだから十分だろ」

 

うん

中野たちの誕生日、連休の最終日の五月五日だったわけだがささやかながらパーティーなるものを催してたりする

らいはや風太郎にも協力しもらって柄にもなくサプライズなんて仕掛けてみたら

 

『熱でもあるんじゃない?

 大丈夫?』

 

などと割とガチ目のトーンで心配された

そんなこと言ってきた長女様からはケーキ取り上げといたが

 

「あれは優希君主催でしょ!

 お兄ちゃんからも何か贈らないとって言ってたじゃん!」

 

別にそこまでこだわらんでも

俺は協力して用意しましたって体のつもりだったし

 

「もう!

 優希君はお兄ちゃん甘やかしすぎ」

 

えぇ…

実の妹から見ても俺って風太郎に甘いのか?

 

「やっぱあげたほうがいいかな?」

「ひゃあっ!」

 

あいつは急にどうしたんだ

って

 

「あっ

 誰かと思えば…」

「上杉さん!

 らいはちゃんに下川さんもこんにちはー」

 

五月と四葉か

いきなり見知らぬ人に話しかけたわけじゃなかったようで何より

 

「五月さんと昨日メールしたんだ

 一緒に買い物しようって」

「ふーん

 それより誕生日の…」

「あー!

 シーシー!」

「ぐっ」

「お兄ちゃん

 頭いいんだからそれくらい考えられるでしょ?」

 

今回のでサプライズに懲りた俺としては微妙な反応されるくらいなら欲しいもの聞いてしまうに一票なんだが

 

「優希君も手助けしちゃダメだからね!」

 

えぇ…

らいはってたまに風太郎に厳しくなるよな

 

「下川君はともかく、上杉君も一緒だなんて…

 そういうことなら一緒に買い物はできません」

 

なんでさ

ここ最近の五月は風太郎に対して微妙な対応をしてるというか、言いたいことがあるけど言い出せないといった雰囲気ではあるが

 

「な、なぜ付いてくるのですか!?」

「どうせ同じものを買うんだ

 いいだろ」

 

風太郎の方は珍しく食い下がってる

というか、らいはに言われた通りプレゼント送るために観察してるだけだったりしてな

……マジで有り得そうだなこいつなら

 

「下着買いに来たんです!」

 

五月…わざわざ大声で言わんでも

 

 

結局、五月はそのままランジェリーショップに

らいはまで付いていってしまったので店の前で待つことに

 

「お前はいいのか?」

「あはは

 私物持ちが良い方なので」

「またお子様パンツか」

「なぜそれを…!!」

 

ベンチに座る風太郎と四葉の会話を横目に俺もこの機会にこの場を離れるべきだったなと密かに後悔

どう考えても俺おじゃま虫じゃん

 

「四葉

 お前将来なりたいものとかあるか?」

「えっ」

 

風太郎、もしかしてこの間中野先生に宣言したこと早速実行しようとしてる?

 

「突然ですね

 うーん、考えたことなかった…」

 

そりゃそうだろうよ

とはいえ、こいつは運動全般得意だし本人がその気ならそっち方面でいくらでも道はあるだろう

 

「おまたせー」

 

あれ?らいは一人か?

 

「あれ?五月は?」

「奥で採寸と試着してるよ」

 

なるほど

健やかに成長中な様でなによりだ

 

「あ!

 下川さんセクハラですよ!

 シモハラ!」

 

だから思考読むなや

しかもなんだその不名誉極まりない単語は

 

「それにしても採寸なんて不自然ですね…

 はっ!

 もしや五月…一人だけ抜け駆けしたんじゃ…」

 

自分の胸に手を置いて戦慄する四葉

どう抜け駆けをするというのかそれは…

 

「五つ子のみなさんも大変なんだね」

「そうなんですよ

 最近なんて特に…」

 

ん?

なんだ、なにかあったか?

 

「い、いえっ

 とにかく、林間学校の時みたいに修学旅行も後悔のないようにしましょうね!」

 

相変わらずこの子はこういうこと恥ずかしげもなく言うよな

 

「どうでもいいがな

 体調管理だけは気をつけるさ」

 

またこいつは

 

「どうせ家で付箋だらけのしおり何度も読み返してんだろーな」

「優希!!」

 

図星だったらしい

らいははうんうんと頷いてるし、それを見て四葉もニッコリ

 

「それに、写真の子にも会えるかもしれないしね」

 

らいはさん!?

なにもよりによって本人(推定)の前でぶっ込んでこんでも……事情察してるの俺だけだったな

 

「それはないだろ…」

「あれ?京都じゃなかったっけ?

 お父さんそう言ってたけど」

「だとしてもあっちも旅行者…」

「写真の子ってなんですか?」

 

いかん…当たり前だけど話が進んでいく

かといって、俺が無理に話の流れ切れるわけないし

 

「ほら見せてあげなよー」

 

らいはは楽しそうに風太郎の周りをくるくる

 

「なんでもねーよ

 写真ももうない」

 

もうないって…あれだけ肌身離さなかった写真をなくしたのか?

 

「むっ

 何だか怪しいですね!

 何もないなら言えるはずですよ!」

 

「なぜ話せないのか私にはわかります!

 それは未練があるからです!」

 

「さぁ話してスッキリしちゃいましょう!」

 

四葉の勢いがすごい

風太郎の方はこの手の話題てんでダメなので気圧されてる

 

「京都で偶然会った女の子だ

 名前は零奈」

 

零奈…だと?

その名前は

 

「えっ

 零奈って…」

 

当然、四葉もその名前に呆けている

風太郎はそんな四葉の反応を確認して

 

「おしまい」

「おしまい〜!?」

 

話を強制的に終わらせるのであった

って、どんだけ話したくないんだよこいつは

 

「か、かなり気になるんですが…

 もう少し詳しく教えてくださいよー」

 

四葉は当然食い下がる

風太郎は心底話したくなさそうだが

 

「つまりお兄ちゃんの初恋の人だよね」

「は、初恋!!」

 

おっとここにきて四葉の顔がわかりやすく赤くなった

まあ、こいつの初恋は例の写真の子じゃなくて小学校の時同じクラスだった…

 

「……」

「……睨むなよ

 余計なことは言わねえよ」

 

考えてることは筒抜けだったようだ

 

「えへへ

 食べ物の話してたらお腹すいちゃった」

「一言も話してないけど」

 

らいはのお腹の音で話の流れは切れたか

 

「じゃ、じゃあ私がなんでも買ってあげちゃいますよ!」

 

四葉の方もあれだけ食いついてたのにこれ以上追求する気はないようで

 

「上杉さんは五月を待ってる係です!」

「ほら、優希君も行こう!」

 

らいはに手を引かれ俺もその場を離れることに

とはいえ、俺もいろいろ風太郎には聞いときたいことあるしなぁ

なので

 

「あれ?優希君?」

「風太郎と五月にも持っていってやるわ」

 

フードコートで買ったハンバーガーを持って戻る

別にわざわざ持ってく必要はないんだが、特に二人とも疑問に思わなかったようで「いってらっしゃ〜い」と手を振っている

 

さて、まだ五月が戻ってなければ好都合だが

 

「こんなことしなくてもいつも会ってるだろ」

 

見つけた風太郎は見覚えのない少女とベンチに並んで腰掛けていた

いや、帽子の影で顔は見えないがあの子はまさか

 

「なぜ母親の名を名乗った」

「はは…そこまでバレちゃってるんだ…」

 

「あの時はとっさにね…

 でも今日伝えたいことを君から言ってくれて良かった

 信じてもらえなかったらどうしようかとおもってたから…」

 

「君の考えてる通り

 私は五つ子の中の一人

 君に私がわかるかな?」

 

立ち聞きしてる情報だけだといまいち状況が飲み込めんな

だがあの子、零奈になんらかの意図があるにせよ敵意はなさそうだが…

 

「わからん!

 早く教えろ」

「諦め早っ!」

 

風太郎…お前もう少し考えようぜ

 

「誰が誰とか…

 誰のフリした誰とか…

 もうたくさんだ」

 

…あの春休みの旅行はたしかに散々だったが

 

「楽しい修学旅行にケチつけんな」

 

言って、しっしっと手で零奈を追い払うようなジェスチャー

どうにも、風太郎は前にもこの零奈と対面してはいるみたいだが、あれだけ大事にしていた思い出の少女との再会に今はそれほどこだわりがないみたいだ

 

「…私のことどうでも良くなったの?」

「お前には…」

 

呆然と呟いた零奈は風太郎の答えを聞く前に踵を返した

 

気は進まないが…

人混みに消えそうなその背中を追う

敵意はないんだろうが流石に何を考えているのかは確認しておきたい

零奈は人混みをすり抜けてそのままショップに入る

って、この店…

つまり、零奈の正体は

 

はぁ……

正直一番意外な正体だ

写真の子だとあたりをつけていた子でなかったというのもそうだが、こんな真似ができる子ではないと思ってたんだが

 

いったいどういうつもりなんだ…

 

 

五月…




こうしてオリ主の心労は積み重なっていくのでした
当たり前ですけど修学旅行は原作から展開を変えますので難産になりそう…

オリ主の初恋は風太郎の母親
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