ただだた素晴らしかった
カットもやむなしのシーンは二次創作で補完する
泳ぐのなんてマジで何年ぶりだったかな?
中学からは水泳の授業なんて無かったし
去年のクリスマスに冬の川に飛び込んだのはノーカンとしたい…
「ていうかそれはただ浮かんでるだけじゃん?」
ん?
声をかけられるなんて思ってなかったがこの声は
「やっほー!」
「下川さんも楽しんでますかー!」
浮き輪をつけたらいはとそれを押してきたのか四葉
当然2人とも水着姿
らいははこの旅行の直前に四葉と買い物で購入したらしい
相変わらずねこ可愛がられているのはいいが中学生にビキニは早すぎないか?
「こー見えてたのしんでるよー」
「こんなだらけきった下川さん初めてですね」
漂ってるだけでも時折波に運ばれてゆらゆら
さっきあった一悶着を忘れるのにちょうどいい
「で、みんなと遊ばなくていいの?」
「あ、そうそう
みんなでビーチバレーしようってことになったから呼びに来たんだよ」
なるほど
確かに全員で8人だから2人1組4チームはできる計算
しかし
「俺はパス
球技苦手だし」
もともと一花や五月と距離置こうとしてたしさっき一悶着あったところだ
テキトーな理由で断っとこう
「そういえば一花から鼻血は大丈夫?って伝言を預かってきたのですが」
…………退路は初めから塞がれていたらしい
「四葉さん!」
「まっかせて!」
らいはの上げたトスに四葉は素早く反応
もう三試合目なのにジャンプの高さまるで落ちてないな
「おおりゃああ!」
けっこうな音で放たれるスパイク
だったが
「〜〜っ!
こんの馬鹿力!」
しっかりとレシーブする二乃
なんだかんだいって姉妹だからかついていけてるあたり流石だ
「一花!」
「はいはーい!」
コンビの一花の方も無難にトスを上げてるし四葉ってジョーカーが相手じゃなければやっぱ一番バランスがいいみたいだ
「にしても情けねえなぁ男子陣は」
「……うるさいぞ0勝3敗」
俺の呟きに風太郎が忌々しげに返す
ただそれを聞いた俺の相方、三玖も不機嫌そうな顔になってるぞ
結局、有る事無い事吹聴されるよりは大人しく従っておこうと浜に上がり宣言どおりビーチバレー
くじでチームを分けた結果
一花、二乃の姉コンビ
四葉、らいはの妹コンビ
風太郎、五月の犬猿コンビ
三玖、俺の凸凹コンビ
となって総当たり戦をしたわけだが
風太郎の言う通り俺たちはあっさり3タテを食らっている
なんなら俺たちが取った得点はほぼ三玖の手柄という体たらく
「あはは…下川君は体力あるのに不思議ですね」
「脳筋なんだよ
なんでも力で解決できると思ってやがる」
五月の苦笑いに風太郎がいつもの憎まれ口
いつからこんな頭でっかちになってしまったのやら
「全力で打ったサーブがネット超えなかった風太郎はこの機会に鍛えたら?」
「真横にスパイクかっ飛ばしてるやつにだけは言われたくねぇ!」
「あ"あ"ん!?」
「なんだよ!」
ぬぐぐぐと睨み合い
少し前なら慌てて止めに入られるところだったかもだが五月も三玖もいつものことと慣れたもの
三玖のジトッとした視線が少し痛いが俺にまで嫉妬しなくてもそんな気は俺にはないから
と、そうこうしているうちに
「いやったー!」
「四葉さんすごーい!」
あっちは決着がついたらしい
肩で息をしてる一花や二乃に比べて四葉の元気なこと
らいはのフォローでほぼ1人で駆けずり回ってたはずなんだが文字通り無双で終わったな
「いやー流石に四葉には敵わなかったかー」
「一花、二乃
お疲れ様でした」
手で顔を仰ぎながら座り込む一花
二乃も大の字になって悔しがってる
「さてさて
それじゃ最下位には罰ゲームといこうかな〜」
一転して意地の悪い笑顔でこちらを見る一花
もしかして初めからこれが狙いだった?
何にしようかなーなんて楽しそうだが本来それは一位のチームの権利では?
なんて考えてたところに
「〜〜〜〜っっ!!」
盛大な腹の虫
音の主人、五月は文字通り火が出るように顔が真っ赤
「まずは昼飯だな
準備してくる」
パラソル付近にバーベキューの一式は揃ってたな
子供だけなのに火元任せるのは信頼されてると見るべきなのか?
「なんだかんだ言いながら楽しんでくれてるじゃん」
一花が追いついてきて顔を覗き込んでくる
我ながらテンションは上がってる自覚はある
癪だがこいつら全員スタイル良すぎてな
ビーチバレーって名目でじっくり堪能させてもらったし
「うわぁ…」
ガチなトーンで引かれた
声出してないはずなのに相変わらず考えてることは筒抜けらしい
「ま
楽しんでくれてるないいや」
「これで最後かもだし」
…………は?
「ほら
みんなお腹すかしてるし、準備しちゃおう」
一瞬、本当に一瞬だが遠い目をしたと思ったらさっさと前を歩いていく
あの表情、一回だけどっかで
ーーー林間学校の時のあれか?
だとしたら最後ってのは
『私学校辞めるかも』
そう…か…
いや、あいつが本気で女優業に打ち込んでるのは知ってるし簡単な決断じゃないのは分かる
応援したいとも心から思う
それでも…
「下川君?」
「…っ!ああ、悪い聞き逃した
どこだっけ?」
あれから、昼食の時からぼんやりしてたらいつの間にやらもう夜
夕食も済ませて宣言通り夜は受験勉強なんだが
「お疲れなんですか?
さっきからどこか上の空のようですけど」
「柄にもなくはしゃいでたからねぇ」
心配そうな五月と対照的に茶化してくる一花
そのお前が悩みの種なんだがな…
「何でもない
ちょっと外の空気吸ってくる」
五月はまたも心配そうに声をかけてきたがやんわりと静止して席を立つ
宿、つーか別荘のリビングで全員で勉強してたわけだがそこからバルコニーへ
エアコンの効いた室内と違ったじめっとした空気だが、昼間ほどの熱はない
昼のあの一言と一花の表情が脳裏から消えない
林間学校の時にも同じ話題を聞いたはずなのにあの時俺は何で返したっけ?
「ー痛っ!」
「あ、悪い…」
後頭部に衝撃とともに床に落ちる金属音
振り返り睨んでみればバツの悪そうな幼馴染
「俺じゃなきゃ傷害沙汰だぞお前…」
「いつものお前なら俺が全力投球してもキャッチするだろうが」
いくらなんでも不意打ちで背後から投げられたのは取れんわ
改めて風太郎は落ちた缶を拾い手渡してくる
「で、らしくなく考え込んでるじゃねえか?」
我ながら動揺隠しきれてないとは思ったが風太郎にまで余計な気使わせたか…
わざわざ家庭教師中断してまでなんてよっぽどヤバく見えたのか俺
「……一花のこと聞いたか?」
「ん
ああ、思い切ったことするよなあいつ」
そうか
風太郎の方は聞いてたのか
そりゃ、ここ最近は特に一花と五月から距離置こうとしてたから必然相談事は風太郎にいくよな
渡された缶を開ける
口に含んでやっとそれがコーヒーだって気付くがまるで味気なく感じる
「なんだ?それで悩んでるのか?」
「そりゃあ…まぁ」
だいぶ前に一度相談を受けたとはいえ、今とは立場が違いすぎる
というかあの時どうやって返したのかがなかなか思い出せん…
「あの時ああ言えばよかったなんていつも後悔してる」
「っ!風太郎」
「お前が事あるごとに言ってた事だろ?」
「お前は家族に対してそんなふうに思ってるんだろうけど、いつかこの関係でもきっとそんなふうに考えちまう時が来るんじゃないか?」
「この前なクラスの奴らと海に行ったんだ
俺が今まで不必要だと切り捨ててきたものだ
だがきっとあんなことも、あいつらと過ごす時間も今しかない」
風太郎の言葉を黙って聞く
「全員揃って笑顔で卒業って中には当然お前だって含まれてる」
聞きながら少しずつ何をすべきか、どうしたいかが見えてくる
「だからお前も本当にやりたいことは迷うな
フォローならしてやるからよ」
そう言って風太郎は笑う
こいつにはガキの頃から肝心なとこで助けられっぱなしだな
「二乃や三玖への返事ははぐらかしてる風太郎の方はどうなのさ?」
「はーっ!?今俺のことはいいだろ!つーかあれはあいつらが!」
内心の感謝を照れ隠しして返したら思ったより過剰反応が返ってきたな
いつも通りの馬鹿なやりとりで少し落ち着いた
腹は決まった
どんな結果になってもやれることはやってやるさ
「や、やー
こんな夜中にお姉さん呼び出すなんてなかなか大胆だねー」
声裏返ってるじゃねえか
いざという時にヘタれるのは相変わらずらしい
あの後、勉強が終わった後に話したいことがあると一花を呼び出した
他の姉妹に余計な心配かけないように呼び出せるって点ではスマホ買って正解だったと思う
だが申し訳ないが今回の要件は多分期待に沿えるもんじゃないぞ
「学校のこと、本気なの?」
「……あー」
少しがっかりした様子からバツが悪そうに頭をかく一花
「そういえば肝心の君には何の相談もしてなかったね」
「別にそこはいい」
距離置こうとしたのは俺の方だからそんなのこいつにはどうしようもできないだろ
「でもほら!ユーキ君ならわかってくれるかなって
前から応援はしてくれてたじゃん?」
そうだな応援してたし、今も頑張ってほしいとは思ってる
けど
「一花」
「ん?」
「今からすごく矛盾したこと言う」
「え?」
「お前のやりたいことは素直に応援したい」
「う、うん」
「でも俺たちと…あいつらとの時間も諦めて欲しくない」
「あ」
「高校卒業すればきっとそれぞれ違う道だ
それが遅いか早いかだけなんだろうけど」
「それでも、今しかできないことをお前らとしたい
当然その中にはお前も含まれてる」
「〜〜!」
「学校に残りながら、卒業を目指しながらできる道がきっとあるはずだ」
「ん??」
「お前に負担かかるかもしれないけど俺は全力でサポートする」
「えっと…」
「だから頼む
退学について考え直してくれ」
言い切った
我ながら一方的でテンションおかしかった自覚はある
だが後悔はしない
果たして一花の答えは…
「ちょっと待って
退学って何の話?」
……………………あれ?
「そ、それでぷくく
そんな前の退学話を間に受けてくくく…
暴走しちまったわけかくくく」
「フ、フー君ふふ
わ、笑ったら悪いわよ」
「ほわー
すごーい
優希君にこんな一面が」
「ええ!こんなにも情熱的だったなんて!」
「うんうん」
もうけっこうな深夜だってのに別荘のリビングには全員集合
当たり前だけど何を話すのか心配してた手前内容を隠すわけにはいかず
一花の方から説明が終わったら御覧の反応だ
風太郎と二乃は俺のやらかしが相当ツボったらしく笑いを堪え
らいは、四葉、三玖の方は何故か目を輝かせてる
何という両極端なリアクション
結局、
・一花が言った最後かもは長期間の撮影でみんなといられる時間が減るから
・拘束時間の長い仕事になるため学校は休学
・とはいえ、全員で卒業のためにはある程度の成績は必要だから個別での授業を風太郎に依頼
なんて話が俺が知らない間に進んでいたらしい
いや、風太郎もそこまで決まってるなら教えてくれたってよかったじゃん
聞こうとしなかった?あハイそうですね
「今しかできないことをお前らとしたい」
「一花テメェ!」
「ぶはっ!はははは!」
「キャ、キャラじゃなさすぎでしょアンタ!
あはははお腹痛い!」
一花のやたら低い声での演技にとうとう吹き出した風太郎と二乃を睨む
ぶっ◯すぞお前ら!
いやむしろぶっ◯してくださいお願いします
机に突っ伏すがもう耳の先まで顔が熱い
何でこんなアホな勘違いをした?
「むぅ…」
五月は五月でなんか複雑そう
いや一花が欠けるのは嫌だったのはそうだがそれは姉妹仲を思ってだな
「でも二乃や三玖ならここまで取り乱すこともなかったはずでは?」
……反論できねぇ
「いやいやー
ユーキ君ってば五月ちゃん相手にも弱いところあるからね〜」
「むむむ…そ、それは余裕だからの発言ですか!?」
珍しく五月が一花に喧嘩腰
やめてくれ
別にどっちかがリードしてるとかそんなのはない
……ないよね?
「ところでさ」
「あん?」
「個別で勉強見てもらうって話あったじゃん?」
「風太郎がやるって言ってたあれ?」
「い、一花まさか…」
「ユーキ君にお願いできない?」
えぇ…
こと勉強に関しては風太郎に見てもらう方が絶対いいじゃん
「ダメです!
一花ばっかりそんなのずるいです!」
「えー
五月ちゃんは前から個別でよく勉強見てもらってたじゃん」
「うう〜〜」
ああ…頬膨らまして沈黙してしまった
いや確かに五月とは前々から一緒に勉強することはあったけどさ
「全力でサポート、してくれるんでしょ?」
「む、ぐ」
「期待しちゃうね、せんせ」
もとより拒否権はないらしい……
無理矢理旅行に連れ出され急転直下でこの展開
距離置こうとした反動なのかね…
「じゃあ私が一花の勉強を見ます!」
「落ち着け五月
ちゃんと五月との時間も作るから」
「本当ですか!?」
この子も忙しい子だな…
「あーいうのを天然タラシって言うのよね」
二乃…いつのまにか冷静になったかと思ったら不名誉極まりない称号を付与するのやめてくれ
オリ主暴☆走
この物語では一花は社長の反対を押し切って休学の選択を取ってます
オリ主爆死しろ
映画でないならアニメでここに該当する原作話やってくれません?無理?そんなー
オリ主は体力あるけど極端なノーコン