勢いって怖いね
終わりが見えて来たので最後まで駆け抜けたいですね
グループトーク
5Sぷらす2(7)
上杉風太郎
学園祭初日15時に教室に来てくれ。
『いよいよ始まります旭高校「日の出祭」
まずは我が校が誇る女子生徒ユニットによるオープニングアクトです!』
アナウンスと共にステージの幕が上がる
カクテルライトと軽快なBGMと共に五人の女生徒たちがダンスと共に熱唱
「まぁ!」
「うわぁ…」
五月と三玖はそんな正反対なリアクション
壇上で踊る女生徒のセンターには二乃の姿があった
あいつ、誘われてたのは知ってたけど結局引き受けたのね
ずっと気乗りしないみたいでぶつぶつ言ってた割には、にこやかにパフォーマンスするあたりさすがだなと
しかし、こうして見ると他の子もレベル高いな
二乃がいい意味で浮いてな痛たたたた!
「い、五月さん?」
手の甲に割と強烈な痛みを感じてそちらを見ればむくれた様子で顔を背ける五月
なんだ?なにが悪かったんだ?
「他の女の子に鼻の下伸ばしてたからだよ」
「…………伸ばしてない」
三玖もずいぶんズケズケと言うようになったな…
そんなやりとりをしてるうちに壇上のパフォーマンスは大盛り上がりのうちに終了
そして、
『第29回「日の出祭」開幕です!』
宣言の通り学園祭の幕も上がる
掴みはばっちり
さて、こっちも仕事に取り掛かるとしようか
旭高校学園祭、「日の出祭」と呼ばれるこの行事は今日から三日間にかけて行われる
各クラスや部活によるパフォーマンスや展示
三年生は屋台という習わしがあり、特に気合が入っている
しかし、うちのクラスはメニューを決める段階からたこ焼きとパンケーキで綺麗に真っ二つ
結局、二つともやることになったわけだが
「田中!食材、特に卵とか牛乳は日の当たるとこに置くな!」
「は、はい〜」
「前田!火の元近くに紙屑置くな!この袋に纏めとけ!」
「お、おう」
まだ客が入る前の準備段階
通路を反復横跳びの如く動きながらそれぞれの屋台に指示を出す
屋台を二つやるのはいいがちょっとばかし飲食物や可燃物を扱うという危機感が足りなすぎる
風太郎や四葉の方は学級長として学園祭全体の運営に駆り出されてるのでこっちの面倒までは難しいだろう
そういうわけもあってクラスのやつに若干引かれながらも準備段階から勝手に指揮を取らさせてもらっている
いや色々大変だった
前田が改造コンロ持ち込もうとしたり、女子陣が本格的なオーブン持ち込もうとしたりと道具でまで競い合い始めたしな
最終的に「火舐めんな」と左の袖を捲って黙らせたが
運営委員との厳正な交渉の結果こうして近くに二店舗並べられたわけだし助かる
「あれは893のやり口一歩手前だったよね…」
「正直運営の人たちに同情しちまったもん…」
「そこ!
サボるなら目立たないところでサボれ!」
「「はい〜!」」
まったく
準備さえできて軌道に乗れば余裕はできるからそれまでは我慢して欲しいもんである
「なんであいつこの間から急に張り切り出したんだ?」
前田が怪訝そうな顔でヒソヒソと話してるが聞こえてるからな
喋る余裕があるならひたすらキャベツをみじん切りしてもらおう
「ユーキが仕事に没頭するのは考え事がある時」
ん"ん"…!
「って!食材の扱い気をつけろって言った側から落とすなコラ!」
す、すまん前田、ナイスキャッチ
「あー…下川君らしいかもねー」
「多分一花と五月とで何かあった」
「やっぱり!」
三玖さん!?
あと周りの女子もやっぱりってなんだやっぱりって
「三玖ちゃん
下川君と一花ちゃん達ってどんな感じなの?」
「最近は特に付きっきり」
「キャー!」
そしてそのままの流れで俺たちの近況?を暴露するんじゃない
説明不足でまたよからぬ噂が広がるでしょうが
こうなったら…!
「中学時代の写真」
「ーー!」
声を潜めてだったが目標の三玖にはしっかり届いていたみたいだ
「ここでこの話の流れを止めてくれたらあいつが1人で写っているものを厳選しよう」
「この話はここでお終い
準備に戻ろう」
「えー!?」
話のわかるやつでよかった
「何か怪しい買収されてなかった?」
「してない
これは公平で厳正な取引き」
そうだぞ
何もやましいところなんてないぞ
ピシガシグッグッ
交渉成立の握手も交わしたしこの話は終了
さて、客足が本格的になる前に準備を終えてしまおう
一般の客も入場が始まって、いよいよ本格的に賑わってきた
で、人が増えれば当然トラブルも増える
屋台の仕事も落ち着いてるみたいなので風太郎たちの様子を見るべく探してみたんだが
「ボンベこれでいい?」
「わーありがとうー」
「ぐすっ…」
「泣くな坊主
放送部に呼出してもらうから」
「ひぃっ!!」
「お、お疲れ様です!
下川先輩!」
こうも歩く度にトラブルばかりとは…
大人しく屋台の面倒見とけばよかったか
とはいえ、あまりに張り切りすぎ仕切りすぎでクラスの奴ら男女双方からは正直煙たがられてる
見たところどっちも売り上げは好調だが対立関係の方はどうにかできんもんかね
「道案内ご苦労
君は素晴らしい若者だ」
胡散臭そうな髭の割に礼儀正しいおっさんを食堂に送り届けたところで気づけば風太郎が指定した15時まであと5分か
「お待たせっ」
「三玖おっつー」
集合場所、教室に駆け込んでくる三玖に四葉が労いの声をかける
「遅いっ
遅刻よ」
「私たちだって時間を過ぎていましたが…」
そうだな
あの後、風太郎が息も絶え絶えで休憩所を設営してたのを見つけちまったもんだから四葉と一緒に手伝っていた
それで約束の時間をオーバーして来てみればちょうど二乃と五月も教室に入るところだった
「ともかく
これで全員揃ったね」
「いや、まだ一人」
言ったタイミングで教室のドアが開く
入って来たのは
「一花!」
「や」
ここ最近はロケで家に帰ってなかったはずなのでこいつらも久しぶりなんだろう
「来てたんだ!」
「なんで連絡よこさないのよ」
「よく騒ぎにならなかったね」
「あはは
なんとかね」
決して何事もなかったわけではないがここでわざわざいうのは野暮だな
「これで本当に全員集合だ」
風太郎も全員揃って安心したのか近くの机に腰掛ける
「なぜ呼び出したのですか?」
「わざわざ学園祭中に呼び出さなくてもいいのに」
「でも
やっぱこの感じが落ち着くよね」
五月や二乃は不思議そうにしてるが四葉は久しぶりの全員集合に嬉しげ
「確かにそうだね」
「せっかくだし食べよっか」
一花が同意し、三玖が手に持った荷物を机に広げる
屋台で買える食べ物飲み物諸々
やっぱりこいつらにはこうしていてくれるのが一番しっくりくる
なんて少し感傷的になってたところに
「俺はお前たち全員が好きだ」
風太郎がそんなことを口にした
当然というか中野たち全員は分かりやすく動揺してる
俺としては風太郎が今まで聞いたことないような真剣な声で告げた以上、真意の方は知っときたいが
「この七人でずっとこのままの関係でいられたらと願ってる」
「だが答えを出さなければいけないと思う」
さて、この場でその答えとやらは聞けるもんなのか
「とはいえ
こんな祭りの最中に言うほど俺も野暮じゃない
俺も俺で整理しきれてないからな」
一転してなんか焦った雰囲気に
「最終日まで時間をくれ」
お前…本当に答え出てんのかよ?
「もー!何それ!」
二乃の方は拍子抜けとこぼし、四葉も苦笑い
どうしてくれんだこの空気
「じゃあ気を取り直して、乾杯しますか」
一花の仕切り直しで各々飲み物に手を伸ばす
「ようやくか?
ずいぶん時間かけたみたいだけど?」
「からかうな」
その隙に俺の方は風太郎と声をひそめて話してみる
いつの間にこんな決意決めたのかとか、後でこっそり教えてくれとか聞きたいことは色々あるが
「優希」
遮られた
中野達に聴こえるような声量でないが力強い声で
「俺は選ぶぞ」
そう告げられる
「だからお前も後悔だけはするな」
その言葉に答えることができず目を逸らす
残り二日で俺にも腹を決めろってね…
自分のことすら定まってない俺に正しい選択なんてできる自信はない
だかそれでも
「それじゃ
学園祭初日、無事終了を祝して…
「「「「「かんぱーい」」」」」
選ばないといけないらしい
後に俺は知ることになる
学園祭初日は無事に終わりなんてしなかった
最後の風太郎のセリフ言わせたかっただけだろ!と思ったあなた正解です
オリ主の悪癖のせいで良いか悪いか負担が減る風太郎と四葉にはしっかり学園祭を楽しんでもらいます
オリ主は水着を持ってなかったため中学時代のジャージで海にダイブしました