コ○トーさんかな?
「上杉君と四葉ちゃんの今日の仕事はなし」
「「え」」
少し離れたところの学園祭実行委員の会話に聞き耳を立てる
別のクラスの委員に突然そんなことを告げられた風太郎と四葉は当然困惑気味
俺の方は思惑通りに事が進んで胸を撫で下ろしている
学園祭の屋台の交渉関係で実行委員と話す機会が何度かあったんだが、聞けば聞くほど四葉がいろんなとこに首を突っ込みまくってる
いくら体力オバケの四葉でもこれじゃ無理がたたって倒れかねんし、何より文化祭らしいことは楽しめんだろ
なので、勝手ながら実行委員の仕事を何個か片付けておいた
ついでに顔見知り何人かにも協力してもらい助っ人を肩代わりしてもらうことにも成功
四葉のためってことで協力してくれるやつが多かったのはさすがの人望だ
少し熱が入りすぎて四葉どころか風太郎のやることまで終わらせてしまったが嬉しい誤算としておこう
さて、あと何個か頼まれたことは残ってる
さっさと片付けて屋台の方を見にいかねーとな
「下川君?」
ん?
一通り頼まれごとは済ませてクラスの屋台の方へ向かう途中
聞きなれない声に呼び止められた
振り返ってみれば少し癖のある髪にメガネの男子
こいつはもしかして
「真田、か?」
「うん
久しぶり」
身長は伸びてるし当然声変わりもしてるが、面影は残ってる
意外なやつが声をかけて来たなという印象
風太郎とは小学校時代に同じクラスで、例の修学旅行の後にこいつの幼馴染と勉強を教えてたのは知ってる
しかし俺との接点なんて風太郎通してくらいしかないし話したこともあったか覚えがねえぞ
「一人か?」
「ううん
竹林も来てるよ
上杉君に挨拶してくるって」
そうだろうなとは思ったがその幼馴染も来ているらしい
しかしこれは…
中野姉妹、特に234と遭遇したらややこしい事態になるのでは?
風太郎の初恋の相手と、変わるきっかけの恩人と、誰かは不確定だが今現在想っている相手が一同に会するわけか
あ、ダメだ
想像するだけで胃が痛くなるわこの光景
「ふふ」
なんだよ
何がおかしい?
こっちは一人地獄絵図を想像して苦々しい顔をしてる自覚あるってのに
こいつこんなS野郎だったっけ?
「いや
元気そうでよかったなって」
あー…
そういやこいつとは小学校以来で
つまり最後にこいつらが見た俺は荒れに荒れてたあの自分だったわけで
「その節はご心配をおかけしました」
「なんで敬語?」
いやなんとなく
しかし一体何の用?
昔話に花咲かせるほどこいつとのエピソードがあるわけじゃないはずだけど
「そう?
僕は上杉君に揶揄われてるところよく助けてもらってたけど」
あー…
昔、小学校時代の風太郎はだいぶヤンチャなやつで
今からじゃ想像できないほど誰彼構わず突っかかっていくやつだった
良くも悪くもそこでトラブル起こした風太郎をある時はシバき、ある時はシバき、またある時にはシバいていたのは俺だったわけで
「……上杉君が色んな意味で打たれ強くなったのは君のおかげ?だと思う」
「何故疑問系」
気付けば他愛のない昔話で盛り上がってる
共通の友人の話題ってのもあるが、話しやすいのはこいつの人柄なんだろうな
「そういえば、下川君は何をしてたの?」
「ん?あぁ
色々雑用をね」
「へぇ
実行委員なんだ」
「違うけど?」
「??」
うん
事情知らないとそんな顔になるよね
俺も冷静に考えてみるとここまでやる立場ではないな
「せっかくだしパンケーキかタコ焼きでも食べてかない?」
「何その組み合わせ…」
どっちもうちのクラスの屋台って告げれば更に怪訝な顔
説明すんのは面倒だから下手に追求してくれないと助かるな
話のわかるやつだったので特に面倒な追求もなく俺たちのクラスの屋台へ
そこで
「風太郎パンケーキだって
食べようよ」
見慣れない女生徒に手を引かれる風太郎と呼び込み中であったのだろう五月と二乃
あまりにも予想外の光景だったのか五月と二乃は固まってしまっている
いや、フラグ回収早すぎるでしょ
三玖と四葉の姿はないが十分ややこしい状況に
思わず頭抱えて真田に不思議がられた
「ああ
ここは俺のクラスの屋台だ」
「そうなんだ
いつもうちの風太郎がお世話になってます」
女生徒、随分雰囲気は変わったが多分竹林なんだろう
風太郎の頭を押さえて自らもお辞儀
保護者かな?
「うちの…」
「どちら様ですかー?」
竹林の発言に呆気に取られる五月
二乃の方は笑顔で返してるがどう見てもイラついてる様子がわかる
予想通りすぎる展開に胃が…
「初めまして、竹林と申します
風太郎とは小学生からの同級生です」
竹林の方はそんな二乃の様子もどこ吹く風な様子
そんなに空気読めないやつだった印象はなかったがもしかしてわざとやってる?
「あらそう
私たちも同級生だけど教師と生徒
いわば同級生以上の関係といっても過言じゃないわ」
なんの対抗だそれは
「そうなんだ奇遇ですね!
私も風太郎に勉強教えたんです」
「!」
おっと、そう捉えたか
たしかに小学校時代のあの風太郎を知ってりゃ、あいつが教える側に回るなんて想像できんよね
「ずっと言うことを聞かなかった問題児に頼まれた時は驚いたなー」
「いや、こいつらが俺の生徒」
当然というか、風太郎の方もそんな反応が予想できてたのかぶっきらぼうに返す
なんか疲れてない?
「あ、そうなんだ
じゃあ、これではっきりしたね」
「私とあなたたち
どちらがより親密なのか」
さっきから竹林はどうしたんだ?
悪意があるようには感じないがやたら挑発的というか、二乃たちを試してるような
ふと隣を見ると今度は真田の方が頭を抱えてる
ん?
少し離れた物陰から今度は四葉が飛び出して来てる
「わ、私の方が上杉さんのこと…」
「ありがとうございます!」
四葉が口を開きかけたところで五月の声が遮るように響く
「もしそれが本当ならば、私たちは間接的にあなたのお世話になったといえます
上杉君と過ごした時間はあなたに負けてしまいそうです
しかしその深さでは負けるつもりはありません」
まさか五月の口からこんな言葉が聞けるとは
変なところで負けず嫌いを発揮せんでも
しかし、五月は言い切った後二乃の方を見て
「こう言って堂々としていればいいんです!」
と言わんばかりだったあたり、押されてる姉への助け舟って感じなのか?
「お前ら…こっ恥ずかしいからやめてくれ…」
当の風太郎の方は珍しく照れてるのか顔が赤い
「それに竹林
あんまりからかうな」
「こいつらは俺の数少ない友人だ
全員が特別に決まってる」
言って顔を逸らす
そこは恥ずかしがらずに堂々と言ってやればいいものを
さて、そろそろ頃合いかね
隣の真田もそれを察したらしく風太郎たちの元へ
「その辺にしておきな竹林」
「あれ?真田君結局来たんだ」
「真田?
それに優希まで」
呆れた様子で真田が声をかけるが竹林の方は悪びれる様子はない
「ごめんね上杉君に…えーと、生徒さんたち
この子気に入った子からかって反応楽しむの癖になってるみたいで」
「ひどいなー
幼馴染とのスキンシップじゃん」
……小学校の時から竹林のことがなんとなく苦手だった理由が今更わかった
こいつ、一花と同じ匂いするやつじゃん
いや、逆に一花のこと苦手に感じてたのは竹林と同類と察してたからか
まあ、今回の竹林のは趣味半分、風太郎の成長具合の確認半分ってとこだろうけど
「ほら
五月も二乃も仕事に戻る
風太郎も手が空いてるなら手伝ってやって
あと、そこの二人は少しオマケするから売上に貢献していってくれ」
手を叩きながらさっさと指示
それなりに人通りのある箇所なので、これ以上人の流れ止めとくのもまずいだろ
屋台前のやりとりで様子を伺ってたタコ焼き班とパンケーキ班の他の奴らもさっさと仕事に戻ってもらおうか
「ん〜…」
「……何?」
パンケーキ班の動きが若干鈍ってたのでそちらに指示を出してたら横から視線
焼き上がりを待ってる竹林
隣の真田は余計なことを言うなよと言外に竹林の方を見てるが気づいているのか無視をしてるのか
6年越しにこいつへの苦手意識を思い出した以上あんま関わりたくないんだが
「いやいや、『北中の狼』も随分と丸くなったなぁって」
手に持ったボールが滑り落ちて甲高い音を立てる
いやお前なんで今それをぶっ込んでくる!?
「えっと…それって下川君の?」
「何何?こいつのヤンチャしてた時の話?」
五月はおずおずと二乃は興味津々とした様子で竹林に詰め寄る
お前らさっき険悪になりかけたよな!?
真田、盛大なため息ついてないで幼馴染止めてくださいお願いします
「けっこう有名な話だよー
ここらの不良全部にケンカで勝ったとか
バイクで逃げた引ったくり走って捕まえたとか」
「「おぉ…!」」
マジでやめて…
我ながら中学時代の荒れっぷりは黒歴史すぎて消し去りたい
あとそのダサい異名は他称だからな
自称じゃないよ
「はぁ……
竹林そろそろ行くよ」
「あ、ざ〜んねん
続きはまたの機会にね」
続きがあってたまるか!
五月も二乃も嬉々として連絡先を交換するんじゃない!
にこやかに手を振る竹林と申し訳なさそうにこちらに一礼する真田が去っていく
俺の方は五月たち含むクラスのやつからの生暖かい視線に耐えられそうにない
「……悪い
俺少し外していい?」
「激しく同情はしてるが、お前がいた方が屋台がうまく回る」
だから堪えてくれ、なんていつになく優しい声で言ってくる風太郎に薄情者めと恨み言を残し仕事に戻る
恐怖とはまさしく過去からやってくるものらしい…
「竹林…
何もあんなところで」
「下川君、元気そうだったね」
「……うん」
「五つ子のみんなも良い子だったし」
「え?五つ子…?」
「頑張りなよ
風太郎
下川君」
半オリキャラと化した真田君と場をかき回し原作より五つ子と仲良くなる雰囲気の竹林
竹林のキャラ付けは13巻の巻末おまけから
みんな読もう!(ダイマ)
オリ主の中学時代の噂
不良半グレその他諸々ボコってる(前田君はカジュアル勢なのでニアミス)
族を二つ潰してる(本当は八つ)
893も一つ潰してる(本当は人(893)違い含めて三つ、上杉家借金絡み)
その手の筋の人からスカウトが来てる(バイト先の店長(見た目完全にそっち系)からの就職のお誘い)
災害か何かかな?
次回からは原作よろしく最後の祭りが〜の場合
その前に番外書くかも?