5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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色々ツッコミどころは勘弁してください
オリ主の生死やいかに!?


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薄暗い照明の待合室

独特だが約1年前までは嗅ぎ慣れていた匂い

 

しくじった…

考え事してたのと、竹林ショックのせいで少し注意が散漫になってた

だからってここまで大袈裟にしなくても

 

「ユーキ君!」

 

ほら

わざわざいらん心配して来る奴もいるわけで

って

 

「一花

 お前撮影は?」

「そんなことより大丈夫なの!?」

 

そんなことじゃねえだろ

だいぶ取材は佳境だったはずだけど

……っと

 

「〜〜〜!」

 

涙目で睨んでくる一花にさすがに言葉が詰まる

結果的に心配かけたわけで

 

「……大したことないから」

「……何があったの?」

 

何がって

説明すんのは少し難しいんだが

 

 

 

学園祭二日目も気付けばもう間も無く終わる

竹林の投下した爆弾のせいでクラスの連中からの視線は生暖かい

時折狼と聞こえるたびにデコを腫らして寝込む男子が増えてるのは気のせいだろう

 

「しっかし、ずいぶん繁盛してるなどっちも」

「そうだね

 他のクラスから、うちに客を取られすぎてると嘆かれているよ」

 

前田と武田が言うように屋台の方はどちらも順調に売り上げを伸ばしている

途中経過とかは発表されないが多分どっちかが売上一位

うまくいけばワンツーもあり得るんじゃないかと思ってる

 

ただ…

 

「ぜってー俺たちが最優秀店舗だぜ!」

「こっちの方がウケてるに決まってるじゃん!」

 

こうして男女の対立は続いてしまってるわけで

当初の俺の策、男女共に共通の敵になることで団結してもらおうってのは今のところ機能してない

というか、我ながら変な熱が入ってしまいどっちの屋台も成功させる方に注力してしまってる

どうしてこうなった…

 

「ごめんユーキ…

 女の子たちみんな意地になってる」

 

三玖が申し訳なさそうに言う

しかし三玖の方は傍目から見ててもどうにか関係修復させたいと動いていたように見える

結果の方は残念ながらだが…

 

まったく…

完全に仕事ってだけならある程度人間関係の割り切りも出来るが

学生時代の思い出がこのままではケンカで雰囲気の悪いまま終わってしまう

どうしたもんだか

 

「ふふ」

 

なんだよ?

人が悩んでるの見て面白がるような性格じゃないだろお前は

 

「ううん

 ユーキならまたなんとかできそうだなって」

 

またって…

もしかして、バイト先の店長たちのこと?

 

俺と三玖のバイト先であるパン屋の店長と、風太郎と二乃がバイトしてるケーキ屋の店長なんだが、まあ仲が悪かった

顔を合わせれば嫌味の応酬で正直雰囲気が悪くなってたし、お互い対抗心で新商品開発やらで暴走気味だったんでそろそろどうにかしてもらおうかと思い立った

風太郎に二乃と三玖、さらに何故か双方から崇められてる五月とかにも協力してもらいなんとか和解させようと色々動いてみたら

気付けば二人はそういう関係になっていた

うん…さすがこんな成果になるとは思ってなかったわけだが

 

「あの時とは規模も状況も違いすぎてなぁ…」

 

頭抱えるしかない

クラスの問題に個人的にも考えないといかんこともあるってのに

 

「ユーキは意外とこういうの向いてるかもね」

「ん?」

「参謀とか軍師」

 

それ現代日本で需要ある?

 

「なんだかんだ言って、クラスのみんなはユーキについてきてくれてるよ?」

 

「だからきっと、ユーキらしくやればなんとかなる」

 

言うようになったなこいつも…

その言葉にどうしてもいつか一花から言われたことを思い出す

俺らしくやる…ね

そういうのも悪くな

 

「うお!?」

「え?」

 

思考が中断されて声が上がった方を見る

宙に舞う鉄板とその落下先にいるであろう女子

焦げたかなにかした鉄板を運んでる最中につまずいて放り投げる形になったと

偶然その先にはしゃがんで作業をしてた女子

弾かれるように走る

はたき落とす?足元の女子に結局当たる

はじき飛ばす?この人混みで誰かに確実に当たる

残る選択肢は

 

「ーーっづぅ…!」

「ユーキ!?」

「下川!」

 

 

とまあ、そんな具合で焼けた鉄板を素手で受け止めてしまったわけで

そっからは大混乱

鉄板を落とした男子は顔面蒼白だし、しゃがんでた女子の方は半泣き

大したことないって言ってるのに救急車呼ぶ寸前まで行きかけたが、近くにいた生徒指導の先生に車で病院に連れていってもらうことに

後のことは四葉と三玖に任せて病院に来て治療してもらって今に至るわけで

つか、三玖か?

一花にまで連絡したのは

 

「薄皮一枚火傷しただけ

 この通り手はちゃんと動く」

 

わざとらしく一花の目の前で手をぐっぱ

まだ痛みは残ってるが少し気合い入れてポーカーフェイス

 

「無茶しないでよ」

 

言って俯いてしまう一花

心配かけたのは悪かったけど、俺としてはこの行動が最善だったと思うわけで

どうしたもんだか…

 

「なんだ

 一花も来たのか」

 

む?

風太郎と二乃

病院に着いた時にはそっちの用事は済んでたみたいだがまだ残ってたんだな

 

「お父さんにあんたの具合聞いてきたのよ」

 

二乃が言いながら何やら袋を手渡して来る

 

「冷却シートと痛み止め

 熱出て眠れなかったりしたら使いなさいって」

 

むぅ…

余計な心配をかけさせてしまったか

さすがにこれを、大したことないからと突き返すわけにいかんし

 

「さて、あんたはもう帰っていいみたいよ

 一花」

「え?」

「こいつ送ってってやりなさい」

 

はい?

帰っていいなら帰るけどお守りは必要ねぇぞ

つか

 

「まだ学校の片付けあるだろ」

 

あんな騒ぎを起こした以上、片付けは終わってたとしても学校とかに謝っておかねえと

 

「いいから今日は帰れ」

「む、ぐ…」

 

風太郎にしては珍しく反論を許さない威圧感

 

「一花

 このバカよく見張っててくれ

 厄介ごとに首を突っ込みかけたら、無理矢理にでも引き剥がせ」

「わ、わかった」

 

俺はアホ犬かなんかか?

 

 

「わっ

 ここ意外と広いんだね」

 

病院を出て夜道を歩く

なんだかんだ結局、一花と共に帰宅することに

 

「ユーキ君覚えてる?」

「花火大会の会場か

 屋台と人混みがなくなればそりゃそうでしょ」

 

もう一年前になるのか

思えばあの時なんだよな

一花とまともに話したのは

 

「無人ってわけじゃないけどねー」

 

路地裏には人影がチラホラ

凝視はしてないけど多分そういう人たちなんだろう

一年前にはこいつと同じシチュエーションになったなんて思い出しかけて頭を振る

 

「あ、誰かまた花火してるみたい」

 

遠くからは火花が弾ける音と笑い声

うちの生徒だったりするかな?

そういえば、うちのクラスの奴らに騒ぎを起こしてしまったせいでお咎めとかはないかどうか心配だ

 

「ユーキ君はそーいう考え方やめてほしいな」

「は?」

 

どういう考えだよ

別におかしなこと考えてた気はないが

 

「ユーキ君の「せい」じゃなくて、ユーキ君の「おかげ」で誰も怪我しなかったんだよ?」

 

それで君が怪我しちゃったのは悲しいけどね、なんて続けて苦笑いの一花

いや、そもそもボケっとして鉄板運ぶ奴らに指示できてなかったのが原因でもあるし…

 

「何でも一人で出来るなんて少し傲慢じゃない?」

 

「悪い事は全部自分のせい

 上手くいけば周りのおかげって、立派かもしれないけどさ」

 

「ユーキ君の頑張りはみんな知ってるから

 少しは自分で自分を認めてあげなよ」

 

……最近こいつに言い負かされっぱなしな気がする

というか、コイツらからは色々と気付かされることばっかで

まったく、どっちが生徒なのやら

 

「ね?

 もう少しだけ話さない?」

 

ん?

一花の指の先には公園

ここは、あの時姉妹で花火をした公園か

偶然にも同じように多分うちの学校の女子が数人花火をしてる

特に断る理由も時間がないわけでもないし

一花に促されるままベンチへ

 

「はい」

「さんきゅ」

 

渡される缶コーヒーを受け取る

俺が買いに行くと言ったが怪我人は大人しくしてると押し切られた

 

そこからは取り止めのない話が続く

出会った頃からは考えられないほど穏やかな気持ちで話ができることに我ながら驚いてるが

 

「そういえば知ってる?

 学園祭中ってカップル成立が多いみたいで

 その中でも特にすごいのが三日目の後夜祭」

 

流れとはいえその話題になって来るかー

言外に早く答え出せってプレッシャーかけてる?

 

「そんなつもりはないって

 ただフータロー君はそれを知っててあんなこと言ったのかなぁって」

 

あーなるほど

 

「あいつああ見えてミーハーなとこあるしな」

「そうそう

 高級車見たら覗き込んだり

 久しぶりの旅行でテンション爆上がりしたり」

「あいついまだに景色いいとこだとヤッホーとか叫んだりするしな」

 

言って笑い合う

共通の友人だし話は盛り上がるな

 

「まっ

 フータロー君はそこが可愛いとこでもあるんだけどね」

 

お、おう

 

「あの子にはああいう素直な気持ちを大切にしてほしいよ」

 

……そうだな

相変わらずのお姉さん目線ってのはどうかと思うが

これも一花なりの気遣いか

 

「そういうユーキ君は」

「あん?」

「私がキスしたって聞いてどう思った?」

「ぶっ!?」

 

むせた

口に含んだコーヒーが変なとこ入った

どうにか落ち着かせて一花を睨むが本人はニヤニヤ

なんか久しぶりに見るなその表情!

 

「で、どう思ったの?」

 

この反応で答え言ったようなもんだよな!?

なんかそのまま答えんのも癪だ…

女優なんだからそういう仕事もあるし

別にコイツが誰とキスしようがそういう関係になろうが俺は別に

 

「なんかモヤっとした」

 

だというのに口をついて出た言葉はこれ

いやマジで何言ってんだ俺は!?

顔を逸らす

一花がそれを聞いてどんな反応をしたのかは見えない

まだニヤニヤと俺が苦手に感じるあの笑顔でいるのか

はたまたドン引きされてるのか

 

「我ながらキモいな…」

 

思わず呟く

そうして一花の方に向き直り

 

「ふふっ

 キモいね」

 

一花の言葉と共に胸元の服を掴まれて引き寄せられ

唇に柔らかい感触と熱

眼前には一花の顔

 

「私も大概だ…」

 

遠くの花火の弾ける音でようやく頭が再起動

いやコイツまたなにしてんの!?

 

「お前な…」

「昨日言ってたドラマの話ね、相手は同じ女優の子なんだ」

 

はい?

仕事で慣れてるからってって言ってやろうとしたら遮るような一花の言葉

いや確かに男の人とキスしてたとは言ってなかったけども

それとこれとでは話が違ってくるだろ

 

「男の人とキスなんて今はまだNGかな

 そうでなくても、私の初めてはあの時だよ」

 

あの時…あの時って

雨が降り出す直前の空気の中で感じた熱と感触が蘇って来る

 

「〜〜〜!」

 

耳の先まで顔が熱い

気付けばベンチの端まで後ずさってる

 

「あ

 あの時のことも含めてなんだけど」

 

「嬉しかった?」

 

月を背に微笑む一花

その顔があまりにも…

 

「〜〜〜っ!

 休憩終わり!帰るぞ!」

「はいはい」

 

一方的に告げてベンチを立つ

照れ隠し?あぁそうだよ!悪いか!?

足速に歩き隣に並ばれないようにする

どうせ、後ろからでも耳の赤さは隠せないだろうがせめてもの抵抗だ

 

本当に、やっぱコイツはなんか苦手なやつだ




オリ主生きてました!よかったね!
火傷で緊急来院なんてされたマルオ先生の心境はお察しください

オリ主の子供の頃の夢は正義の味方
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