5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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みんな大好きあの人が出るよ!
声をあわせて呼んでみよう!
せーの!

し ぬ が よ い




最後の祭りが五月の場合
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「は?

 学祭中も一人で自習してる?」

 

食堂に足を運んでみれば風太郎の驚いたような声

見れば五月も一緒なようで

 

「お前…

 勉強ばっかで大丈夫か?

 友達いる?

 学校つまんねーなら相談に乗るぞ」

「あなたにだけは言われたくなかった言葉です」

 

あー…

五月が学祭返上で勉強するつもりってのは聞いてたが

風太郎の方も見回り中に様子見に来たとかか?

 

「お疲れ」

「下川君」

「優希か」

 

見かけた以上黙って見てるのもおかしいかと思い二人の近くへ

 

「お前からもこの馬鹿真面目に何か言ってやれ」

「馬鹿とはなんですか!」

 

なんだか久しぶりに見るなこの漫才

まあ風太郎に言われるまでもなく正直心配なわけで

 

「少し根詰めすぎじゃない?

 わからないところがあれば今日の夜にでも教えるし」

 

別に受験のことを今は忘れろなんて言わないから

せめて日中だけでも学園祭を楽しんでほしいもんである

ただ、こっちの思いは伝わってるのか伝わってないのか五月は微妙な顔

 

「しかし不可解だな

 これだけやってりゃいくらお前ほどの馬鹿でも何かしら成果が出ても不思議じゃないが…」

 

また一言多い…

とりあえず風太郎の頭をしばいておきさっさと実行委員の仕事に戻れと追い出す

 

「あー…五月

 あいつの軽口はあんま」

「私は正しく努力できてないんでしょうか…」

 

五月のその言葉にドキリとさせられる

いつかこいつに言った言葉

 

『結果が出ないってことは正しく努力できてないからだろ』

 

決して軽い気持ちで言った言葉ではないし、今もその考えが間違っているとは思わない

だがその言葉がこの子を苦しめていたとしたら…

 

「ごめんなさい

 下川君にあんな風に宣言したのに」

「……それは別に

 お前の言いたいことはわかってるつもりだし」

 

学園祭の直前くらいだったか

流れで俺の進路の話になったことを思い出す

 

 

「大学行かないって…

 何故、ですか?」

 

姉妹だなやっぱ

一花と同じ反応だ

なんて茶化して場を収めることは流石にできないか

 

「もしかして、先生から呼び出しを受けていたのは」

 

そこもお察しの通り

早くから就職の希望を出していたら進路指導の先生は目の色変えて説得してきてな

先生によってはいい大学に行ける可能性ある生徒がみすみすそれを放棄するのが勿体無いと嘆いてたり

またある先生は家庭の事情に理解をしてくれつつも奨学金やら学費免除の制度を紹介してくれたりしてくれてはいる

後者の先生の方が善意100%なのでより断りづらいのが最近の悩みだったりする

 

「まあ、先生たちの言うこともわかるんだけどな

 大学行きゃあ選択肢は増えるんだろうが

 俺にはその先のイメージがな」

 

女優を目指した一花

調理師を目指した三玖

そして、教師を目指す五月

二乃や四葉だってきっと目指す未来がある

風太郎にも家族のためっていう明確な目標がある

 

そして俺は、随分前に夢なんて考えることをやめてしまっていたわけで

 

「わかりました!」

「ん?」

 

突然どうした?

まあ、わかってくれたならありがたいが

 

「下川君!

 次の入試判定で私はA判定をとります!」

「は!?」

 

いやいや待て待て

なんでそうなる!?

やる気になってくれるのはありがたいけどいきなり目標ぶち上げすぎるのはどうなんだ

しかも

 

「この流れでまたなんで?」

 

たしかにさっきまで五月の入試判定について相談は受けてたけども

なんで唐突にそこまで話が戻るんだ

 

「下川君がやりたいこと…

 下川君が夢を見つけるお手伝いをしたいんです」

 

お、おう

それはありがたい?んだが

 

「ですが自分の夢も叶えられない私では下川君も頼りないでしょう

 ですので!まずは自分の夢を叶えられるようにします」

 

「そうすれば

 下川君も遠慮なく私を頼ってくれますよね」

 

相変わらずの暴走っぷり…

しかしこの子の純粋な好意には何度も救われてきたわけで

結局曖昧な返事でその場をやり過ごすことしかできなかった

 

 

この子なりに俺のことを気遣ってくれて

自惚れていいなら、そのためにも頑張ってくれてるわけで

なんて言葉をかけるのが正解なのかぜんぜん思いつかん

思いつかんが

 

「うわっ!うわわわ!

 な、何をするんですかー!?」

 

少し乱暴めに頭をわしゃわしゃ

頑張ってるこの子が間違ってるはずがない

ただ言葉にするのに難儀しているわけで

 

「一回や二回結果出なかったくらいで全部間違いなわけないだろ?

 自信持て」

「わ、わかりました

 わかりましたからー!」

 

撫でながら思いつくまま言ってみたが果たして

髪を手で整えながら五月は少し不機嫌そうな赤い顔で睨んでくる

これ以上邪魔するのも悪いか

 

「じゃ俺も行くわ

 15時、忘れんなよ?」

「え、あ、はい」

 

今度は一転して少しがっかりした様子か?

頭の触覚が萎れてる

どうなってんだその髪…?

 

「わかんないとこあったらまた夕方、学園祭終わった後とかにでも連絡くれ」

 

歩き出しながら背を向けて言う

つきっきりで見てやりたい気持ちもあるが、変なプレッシャーかけるかもだし、やらなきゃいけないこともある

気にはなるがこの子の頑張りを信じよう

 

「はい

 お願いしますね

 下川君」

 

背中から聞こえる声は少し元気を取り戻したみたいで安心した

 

しかし

結局、15時に集まった時も、その日の夕方も五月から質問をして来ることはなかった

自分でやると宣言していた問題集は終わらせてたみたいだが、また何やら悩んでる様子

どうしたもんなのやら…

 

 

学園祭二日目

最後の最後でやらかした俺を家で待ち構えてたのは

 

「優希君!

 手は大丈夫!?

 他に怪我は!?」

 

らいはからの怒涛の心配ラッシュだった

今まではもともと体の弱いこの子を逆に心配してたんだが、まさか立場が逆転する日が来るとは

 

「おう

 災難だったな」

 

当然のように親父さんもいる

二人にも心配かけたみたいで申し訳ない

ちなみに家まで送ってくれた一花はタクシーで帰らせた

今日はロケ地に戻らず家に帰るらしい

 

閑話休題

二人ともわざわざ俺が帰るまで夕飯は待っていてくれたみたいなので一緒に夕飯

その途中で風太郎の方も帰ってきた

この四人で飯ってのは意外と久しぶりだな

 

「ところで風太郎に優希

 学園祭で変なおっさん見なかったか?」

 

変なおっさん?

お祭り騒ぎだから変なテンションのやつはたくさんいたが、おっさんはいなかった気がするが

風太郎の方も特に心当たりはない様子

 

「そうなの

 お父さん昨日からずっと言ってたんだから」

 

らいはも不思議そうにしていてる

昨日は学園祭来てたみたいだけどなんでそんな話?

 

「見なかったならいいんだ

 こう…ヒゲがもさっとした…」

 

ん?

 

「頭丸めててヒゲがもさっとしたおっさんならいたな

 つか道案内したわ」

 

初日に休憩スペース探してるとかで食堂に案内した人か?

特に多く話したわけじゃないがそこまで変な人には思わなかったけど

 

「やっぱ来てやがったか」

「そのおっさんがなんなんだよ」

 

風太郎の言葉に親父さんは少し考えるそぶりをした後

 

「お前らにら伝えておいた方がいいかもな

 あの男は…」

 

 

 

目も眩むような怒りってのは本当にあるもんだな

血が逆流してんじゃないかって感覚が全身を走ってる

 

「落ち着け優希!

 早まんな!」

 

落ち着いてるし早まる気もない

ただ、ちょっと話を聞いてくるだけだ

 

「そんな据わった目で何言ってんだ!

 いいから一回座れ!」

 

風太郎にしては随分乱暴めで、突き飛ばされるようにダイニングのテーブルに戻される

親父さんはしまったって顔で頭抱えてるし、らいはは目に涙を貯めてカタカタ震えてる

 

「親父も、こいつにそんなこと聞かせたらこうなることくらい予想ついただろうが」

「まったく…

 怪我して少しは落ち着いてるかと思ったんだがなぁ」

 

親父さんから聞かされた内容

俺が出会った髭の男、無堂という男の素性と行ったことについて

あの男がまさか、五月たちの実の父親だなんて思いもしなかった

中野先生が義父であることは聞いていた

しかし思えば、母親のことはともかく、あいつらが父親について話すことはない全くなかった

むしろ話したくなさそうな雰囲気を感じたので聞こうとはしていなかったが

 

聞けば、無堂は親父さんや、中野先生、の高校時代の先生

そして五月たちの母親とは恩師にして同僚であり

憧れていた人だった

恩師に憧れて教師を目指し、その夢を叶え、憧れの人と結ばれ子を成した

そこまではよかった

お腹の中の子が五つ子であると知ったその男は何も言わず姿を消した

その後のことは俺も五月から聞いている

五人の子供を一人で育て、そして…

 

そこまででも万死に値するが、やつは五月と接触し何やら嘯いたらしい

どんな話をしたかは分からないが五月の様子は昨日の夕方から明らかにおかしかった

どんな話をしたか、内容によっては本気で…

 

「お前が力ずくでおっさんを排除して

 それで何か解決すんのか?」

 

冷や水をかけるような言葉

親父さんは見たことないほど冷ややかな目で俺を見ている

 

「乱暴な言い方だが

 これは五月ちゃんたちやマルオの問題だ」

 

「昔お前が力ずくで問題を解決した時にどうだったか忘れたか?」

 

それを言われると弱い…

いつだったか我ながら暴走して大暴れした挙句、今のバイト先の店長がことを納めてくれたが、結局親父さん含め周りに大迷惑をかけた

親父さんの方はそれに助けられた俺が一番情けなかったんだが…なんて頭をかいているが

 

「あの子たちが答えを出して、それで力を貸してくれと求めてきたなら存分に助けてやればいい

 だがな、その答えを今のお前が決めつけるな」

 

ぐうの音も出ない

ここまで怒りで周りが見えなくなったのは久しぶりすぎた

深呼吸をひとつ

らいはや風太郎に謝る

五月にまずは会おう

会って話を聞かねえと

 

 

「五月なら来てないわよ

 今日は最終日だってのに…」

 

翌日の学校

屋台は繁盛してるが肝心の五月の姿がない

いきなり出鼻をくじかれた

二乃と三玖が休憩に入るタイミングで風太郎と一緒に呼び出して聞いてみればこの返事

 

「どうしたんだろう…

 昨日からずっと部屋に籠ってる」

 

三玖の反応を見るにどうやら五月は無堂と会ったことを話していないみたいだ

風太郎の方も話すべきか思案顔だが

 

「そうかどうりで捜してもいないはずだ」

 

後ろからの声にそちらを振り返る

 

「僕も五月ちゃんに会いに来たのに…」

 

丸めた頭に口を覆う髭

何故か額には絆創膏

こいつ…堂々と…

 

「フータローたちの知り合い?」

「言伝があるならお聞きしますが」

 

素性を知らない三玖と二乃の反応

それを制した風太郎が無堂へ近づく

 

「五月に何か言いました?」

 

その言葉に微かに髭の下の口角が上がった

 

「怖いなぁ、アイスあげるから許して

 ただ現実を教えただけだよ

 それが僕の務めだからね」

 

ほう、そうか

今直感した

こいつの言葉に五月は囚われてる

何を言ったかまではわからないしわかりたくもないが

あいつを苦しめてる元凶

 

生かしておく理由はないな

 

「し、しもか…!

「待て!落ち着け!下川ああああ!!」

 

踏み出した足が地面に着く前に人の波に押し流される

なんだ!?何が起こった!?

肩やら脚やら胴体やらにしがみつかれながら無理矢理後退させられた

で、しがみついてるのは前田に武田に水澤に、ってクラスの奴らか?

お前ら屋台はどうした?

 

「詳しくは知らねーけど、上杉からお前抑えろって言われてたんだよ!」

「どう見てもさっきの君は普通じゃなかったよ…」

 

風太郎…お前

離れたところで「すまんお前ら」と口パクする風太郎

無堂はいつの間にか姿を消している

 

「わかった、落ち着いた

 落ち着いたから離れてくれ」

 

怪訝な様子だがみんな離れてくれる

風太郎め…俺が顔見知り相手だと本気出せないこと分かりきっててクラスメイト肉壁にしやがった

 

「あー優希

 お前手が相当痛むみたいだなー」

「は?」

 

なんだ急にわざとらしい

 

「怪我人は大人しく休んでろ

 つか、少し外の空気吸って来い」

 

「そういえば、五月さんの姿がないね」

 

「おう、そうだな

 心配だし誰か様子見に行ってやればいいのにな」

 

武田と前田まで何便乗してんの?

下手な芝居しやがって…

 

「持っていきなさい」

 

二乃が差し出してきたのはカードキー

こいつらのマンションの

 

「五月の様子代わりに見てきなさい」

「こっちは大丈夫だから

 五月をお願い」

 

二乃に続いて三玖もそう告げてくる

ああ、そうだな

わかったよ

何を言ってやれるのか、あいつの助けになれるかわかんねえけど

 

「悪い

 後任せた

 ちょっと行ってくる」




二回ほど死亡フラグを立てましたがあえなく回収されず
残念!
フラグが回収された場合の末路はお察しください
ミンチよりひでぇ…

オリ主が学園祭を練り歩くだけで例年よりトラブルは激減しました
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