5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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オリ主によるカウンセリングフェイズプラス無自覚愉悦切開あります
閲覧注意

高校の図書室には自習スペースが標準装備だと認識してますが合ってる?




「全部貸し出しで!!」

 

目の前の貸し出しカウンターに歴史関連の書籍が文字通り山のように積まれる

マイナーなエピソード集からどう見ても小児向けのものまで手当たり次第

 

「……歴史学者でも目指すのか?」

「優希!?」

 

本の山の横から驚いたように顔を出す風太郎

 

「お前また…図書委員でもないのに」

「どうせバイトまで暇だしな」

 

図書委員の担当先生に気に入られてるのかちょくちょく頼まれて当番の真似事をしてるんだが風太郎には面倒を押し付けられてるように見えるらしい

それにしても

 

「で、どういう風の吹き回し?テスト勉強に直接関係なさそうなのばっかだが」

「ああ、これは三玖に……いや、なんでもない」

 

ふむ

また家庭教師絡みか

 

「昼休みに気持ち悪い顔でどっか行ってたがなんかあったわけだ」

「見てたのかよ!?てかお前まで五月みたいなこと言ってくんな」

 

貸し出しの処理を進めながらいつものやりとり

そこに五月の名前が出て少し驚いたが完全に避けられてるわけでないようなのは何よりだ

 

「どうにか出来そうか?」

「……ああ、見てろ

 意地でも俺が勉強教えてやる!」

 

ギラギラした目で大量の本を抱えて幼馴染は帰って行った

なんだかんだ歩み寄ろうとしてるあたり少し前からは考えられない進歩だろう

しかし、ふと風太郎に押し付けられた小テストの結果を改めて見てみるが

風太郎にしては割と無難な難易度のテスト問題なのにどいつもこいつもひどい結果だ

だいたい五つ子なら間違いの傾向も同じになってくれたなら楽なんだが…

 

「………全員正解してる問題が違う?」

 

これはこれですごいな

マジで五人全員で100点だったわけだ

もしかしたらこれは全員の得点アップに活かせるのでは

………て

 

「こんなこと考えちまうあたり、風太郎の思惑通りかよ…」

 

癪だからあいつが気づくまで放っておくというのも考えたがさすがにそれはそれでヤキモキさせられそうだ

それとなく伝えてやるとするか…

 

「下川くん?」

 

ん?

かけられた声に顔をあげれば意外なものを見た表情の

 

「中野」

「ですから五月でいいと

 それでは姉妹の誰かわかりませんよ」

 

ここ数日で何度か繰り返しているやりとりをする

わかっちゃいたけどこいつも他の姉妹同様名前で呼ばれることに抵抗ないようだが、こっちは付き合いの浅い女子を名前呼びなんてできん

地の文?知らん

 

「下川くん、図書委員だったんですね」

「ん?違うけど」

「??」

 

まあ、事情わからなければこんな顔になるよな

 

「中野は勉強?」

「ですから…えぇ、奥の自習スペースを使わせてもらってました」

 

呼び方が改善されなくて少し不満げだが会話には応えてくれる

数日前の中野家での騒動があったにもかかわらずコイツは俺への接し方を変えるつもりがないらしい

 

「出来の方は?」

「うぅ…」

 

相変わらずよろしくないと

 

「意地張らずに風太郎の家庭教師受けてくれればいいのに」

「そ、それだけは嫌です!

 あんなデリカシーのない人だけは絶対に!……下川くんだったら…」

「……俺が何?」

「いえ!な、何でもありませんよ!?」

 

怒ったり慌てたり忙しいやつ

 

「と、とにかく!私は自分の力で成績向上を目指します」

 

立派な心がけだとは思うが

 

「結果が出ないってことは正しく努力できてないってことだろ」

「え?」

 

キョトン顔の五月に構わず続ける

 

「勉強とかテストなんて普通やったらやっただけ結果出るもんだろ

 なんたって正解は決まってるからな」

 

まあ、正解にたどり着く過程が複数ある場合もあるが今は置いといて

 

「努力は立派だけど、結果より過程が大事なんてのはある程度の結果を残してないとただの負け惜しみになるわけで」

 

学校の成績、テストの結果に努力賞なんてない

綺麗事並べたところで結果が悪ければ落第という結末は避けられない

 

「今の結果を見て、それでもやり方を変えないなら今までの繰り返しだぞ?」

 

コイツらが転校してきた原因が成績不振なのはなんとなく察している

風太郎のためにこれ以上の落第は勘弁してほしいって打算もあるが、自分たちのこれまでを省みずに同じこと繰り返して取り返しがつかなくなる、なんてのは見てて気分がいいもんじゃない

しかし、厳しく言い過ぎたか?

これでも言葉は選んだつもりだったが五月は俯いてしまい、表情も髪に隠れてわからない

 

「でもまあ、努力をしようとしてるってのはすげえよ」

「え?」

 

再びのキョトン顔

我ながらもう少し気の利いた言葉を言えればいいんだが

 

「中野は真面目だから、わからないところは素直に他の人に聞くとか、少しやり方を変えればすぐに成績なんて良くなると思うけど」

 

やろうともしてない他三人、一、二、三番に比べたらな

なんて、他の姉妹への当て擦りをしてしまえば台無しになる気がしたのでそこは口に出さず堪える

 

「そんなわけだから、今後は風太郎の」

「わかりました!」

 

うん?

家庭教師を少しは前向きに受けてくれることを提案しようとしたが遮られる

しかし、分かったということは俺が頼むまでもなかったようでよかった

 

「下川くん!

 私に勉強を教えてください!」

「…………はい?」

 

いや、あれ?なんでそんな流れになった?

あまりの予想外な展開に全く思考が追いつかん

しかし、目の前の五月はこれ以上の名案はないと言わんばかりの自信満々な顔

 

「ええ!そうです!

 初めて会った時に勉強を教えてくれた下川くんなら信頼できます」 

 

あの時の気まぐれかー……

 

「いや…あの時も大したこと出来てないし

 どうせ教えてもらうならもっと成績いい風太郎に」

「いいえ!もう決めました

 人に教えてもらうとアドバイスをくれたのは下川くんですよ?」

 

この子ブレーキ壊れてないか?

突っ走って将来痛い目にあわないか今から心配なんだが…

 

「ですから

 責任、とってくださいね!」

 

なんていい笑顔で言うもんだから流石に無下にできるわけもなくて…

 

「…………放課後も休みの日もバイトだから時間なんてそう取れないぞ」

「大丈夫です

 時間が合う時だけでも結構です

 友達に勉強を教えるだけなので気楽にお願いします、ね?」

 

友達…友達ね

そう呼べる知り合いなんて風太郎以外いなかったからなんだかむず痒い

変な展開になってしまった事を風太郎に対して申し訳ないと思うよりも、久しぶりに面と向かって友達なんて言われた動揺の方が優ってしまい、視線を逸らすしか出来なかった

 

 

「わお、下川さん!」

「……中野、か」

「はい、中野の四葉です!」

 

あれから二日、下校するばっかりで職員室前を通りかかったところででかい段ボール箱を抱えた四葉と遭遇した

 

「お前、また先生に雑用押し付けられてんの?」

「あはは…

 困ってるようでしたので」

 

コイツらが転校してきて一週間程度だが、この数日でこんな光景を何度も見ている

人のこと言えないが、頼まれたら断れないタイプらしい

やれやれ…

 

「あれれ?下川さん?」

 

いくらなんでも大荷物すぎる

視界を塞いだまま歩かれたら誰かを荷物の下敷きにしかねん

二つ重ねになった箱の一つを持ち上げてやったらその影から不思議そうな表情の四葉の顔

 

「どこ持ってくの?」

「ー!ありがとうございます!西昇降口近くの倉庫です」

 

目的地は分かったしさっさと歩きだす

四葉はすぐに追いついてきて隣を歩く

 

「今日は上杉さんと一緒じゃないんですね?」

「そーだな

 どうも忙しいらしい」

 

この二日間、風太郎の方は相変わらず歴史関連の本ばかり読み耽っていてこちらの話もまるで聞いてない

俺が五月に勉強を教えることになったことについても生返事で返されたから多分話した内容は覚えてないだろう

正式に雇われた家庭教師がいるのにこんなどこぞの馬の骨に勉強を教わってる、なんて事態を早くなんとかしないと五月にも風太郎にも悪いと思ってるんだが、集中している風太郎に何言っても無駄なのでだいぶ困っている

ちなみに今日は五月の方が買いたい本があるとかで早々に切り上げたところだったりする

 

「それは大変そうですねー

 ーーーって、わお

 上杉さん!噂をすればでした」

「四、葉…?」

 

何故か窓の外には慌てた顔、いや驚いた顔か?

風太郎が息を切らして立っていた

 

「……すまん…四葉…

 落ち着いて聞いてくれ…」

 

一度後ろを大きく振り返った後四葉に向き合う風太郎

 

「お前のドッペルゲンガーがそこにいる

 お前死ぬぞ」

「えええええ

 死にたくないです〜!!」

 

至極真面目な顔でそう告げる風太郎に涙目の四葉

風太郎の後ろには確かに四葉と同じ顔、同じリボンの女生徒の姿

 

「本当だ、あそこにいる

 最期に食べるご飯は何にしよう…」

 

可哀想なくらい本気にしてる…

しかしリボンつけて髪型似せてはいるがどう見てもあれは

 

「いやあれは三番だろ…」

「優希、お前もいたのか

 三番?何のこと……」

 

言ってる側からドッペル四葉はリボンを外しヘッドホンを首にかけ

 

「お前三玖だろ!!トリッキーな技使いやがって!」

 

どうやら三玖を追いかけていたところ化かされたようだ

五つ子の利点フル活用してやがる…

走り去ろうとする三玖の姿を追いかける風太郎の背へ声をかける

 

「体力勝負なら手伝うか?」

「いい!これは俺が解決する!」

 

おお、風太郎からこんな頼もしい言葉が聞けるとは

事情は分からんががんばれよーとエールを送り見送った

 

「あ、あの!下川さん!」

 

ん?四葉の声にそちらを向けば

 

「何で三玖って分かったんですか?」

 

驚いた顔、そしてどこか思い詰めた様子でそう問いかけられた

いつものような能天気な様子はまるでない

 

「髪の長さとなんとなくだけど表情、あと服装

 人の顔と名前覚えるのは割と得意な方でね」

 

少し困惑したが特に変な理由でないはずなのでそう答える

見分けられると困るようなことでもあるもんなのか?

 

「そ、そーなんですねー!

 下川さんはやっぱりすごいんですねー!」

 

結局答えを聞いた四葉はいつもの笑顔に戻る

気にはなるが深く詮索するのも悪そうだ

気づけば目的地の倉庫にたどり着いたのでさっさと荷物をしまってしまう

 

「いや〜助かりました〜!」

「ん、別にいい」

 

どうせバイトまではやることがないし

帰ろうと玄関へ向かうが行き先が同じらしく四葉は俺の隣を歩く

こっちは生返事しかしてないのに楽しそうに最近の出来事を話す

風太郎にちょっかいをかけた話だとか、何故か風太郎が戦国武将のはなみずにまつわるエピソードを調べていて、スマホで検索をかけて教えてあげたとか

まあ、共通の知人なので話題が出ることにおかしいことはないんだがそうやって風太郎とのやりとりを話す表情があまりにも楽しそうなもんだから

 

「あんた、風太郎に以前どこかで会ってる?」

 

そんな聞かなくてもいいことを聞いていた

 

「…………」

 

完全に固まってしまう四葉

先ほどとは比べものにならないほどの動揺した表情

変なことを聞いたつもりはなかったが、これ以上踏み込むのは何か重大なものを壊してしまう気がする

 

「ごめん…今のは忘れてくれ」

「え、あ……

 い、いえいえ!すみません違うこと考えちゃってました」

 

あはははと笑う四葉だがさっきまでと違いから元気なのは隠し通せてない

 

「そ、それでは私はこれで!

 教室にカバン置いたままなので!」

 

また明日!と言い残し四葉は階段を駆け上がって行った

 

しかし、あの表情…

普段のあの楽しげな笑顔が本心じゃないなんてことはないだろうが、その下にあんな罪悪感と諦めが入り混じった顔を隠してるなんてのは結構堪えた

しかも、これは風太郎でないと取り除くことは絶対に出来ないと何故か確信めいた予感がある

当人たちの問題とはいえ、知ってしまった以上無視もできん

やれやれ本当にあいつらに関わってからペース乱されまくりだ

今後の気苦労を考えてしまい重くなった足を引きずりバイトへ向かう

遠くでは当の風太郎が三玖を前に何やらを熱弁してるように見える

あっちの問題の方はこれ以上ややこしくならないように祈るよまったく…

 

 

「だから、何回言ったらわかるんだ…」

 

翌日の放課後

図書室の自習スペースに響く風太郎の不満気な声 

 

「ライスはLじゃなくてR!

 お前、シラミ食うのか!」

「あわわわ」

 

図書室では静かに願いま〜す

なんて注意したところで聞きそうにないが…

風太郎は四葉の宿題を見ている

四葉は何度も凡ミスをしては怒られているが終始ニコニコしている

何でも家庭教師の日でもないのに風太郎に宿題を見てもらえることが嬉しいらしい

昨日のような変な様子はなさそうなので正直安心した

 

「………ところで

 何で五月は優希に勉強教わってんの!?」

 

風太郎の矛先がこちらに向く

風太郎たちの斜め向かい、机の対角線上で俺と五月も同様に宿題を広げていた

 

「何か問題でも?」

「いや、家庭教師は俺なわけだから…わからないところがあれば俺がちゃんと…」

「結構です

 私は友達と宿題をしているだけです

 交友関係にまで口を出される筋合いはありません」

 

あの、五月さん?

この間、少しは考慮しますって言ってませんでした?

何で風太郎目の前にしたら敵対心全開になっちゃうの?

 

「ぬぐぐ……

 ふ、ふん!まあ、優希は俺の相棒なわけだし?

 優希が教えるってことは実質俺が教えたも同然だし!」

「はあ!?何でそうなるんですか!?」

 

おい、ガキの頃の恥ずかしい呼び方引っ張り出してくんなや

しかもその呼び方恥ずかしいからやめろって言ってきたのお前の方だろうが…

 

「しかし、残り三人か…先が思いやられる」

「何で私をカウントしてるんですか!?

 私はあなたに教わることなんてありませんよ!」

「あはは、五月

 押さえて押さえて

 ………あ、でも上杉さん、残りは三人じゃなくて二人ですよ

 ね、三玖」

 

騒ぐ五月を宥めながら四葉が風太郎の背後を覗き込む

そこにはヘッドホンと顔半分が隠れる髪型が特徴の女生徒、三玖の姿がある

 

「来てくれたのか」

 

風太郎が喜んで声をかけたがその横をすり抜けた三玖は窓際の本棚へ近づく

そこは確か風太郎も読み漁っていた歴史絡みの本のコーナーだが

何冊かの本を取り出し、本そのものではなく貸し出しカードを眺めた三玖が口を開く

 

「フータローのせいで考えちゃった

 ほんのちょっとだけ、私にも…

 できるんじゃないかって…だから…」

 

振り返り今まで見せたことのない柔らかな表情で

 

「責任取ってよね」

 

風太郎を見つめそう言った

 

「任せろ」

 

風太郎も胸を叩き力強くそう返した

なんだ、ちゃんと先生らしいことできてるじゃねえか

と、幼馴染の成長に少し感動させられた

 

 

 

ピコーン!

「み、三玖もしかして」

「?」

「この前隠してた好きな人って上杉さんじゃ…」

「ないない」




風 ピコーン!て言った?今言った?
優 言った!言った!

当初はマジで三玖とのやり取りを傍観するだけとするはずだったのにどうしてこうなった…
加えて原作での名シーンを微妙な誤字で台無しにするという失態(訂正済)
ご指摘ありがとうございます

オリ主は人の顔と名前同様道も覚えるのが得意なため配達のバイトで地図要らずです
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