5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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ひとつの終わりの形


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「あ…」

「ーーー五月ちゃん」

 

「五月ちゃん

 私…」

「おめでとうございます

 一花」

「え、あ…」

「本当に良かったです

 一花、下川君のためにすごく頑張ってましたし」

「五月ちゃん…」

「下川君なら一花のこともきっと大切にしてくれます」

「五月ちゃん」

「すごくお似合いだと思います

 私、応援しますね」

「五月ちゃん!」

 

「ーーーーごめんなさい」

 

「わかってるんです

 一花が真剣だってことも

 下川君が自分の意思で決めてくれたことも」

 

「本当は喜ばしいことだってわかってるんです

 けど…それでも…」

 

「悔しい…」

「ーーっ…」

 

「なぜ私じゃないんですか…」

 

「私じゃだめなんですか…」

 

「私…こんなにも下川君のことを…」

 

「ーーーーねぇ、五月ちゃん」

 

「ユーキ君と…」

 

 

 

「……ごめん

 待たせた」

「いえ

 私も今来たところです」

 

時刻は夕方に差し掛かる頃

いつかの夜に歩いた公園

待ち合わせの人物、五月は既にそこにいた

 

表情は穏やかで表面上はいつもと変わらないように見える

……いつのまにか、この子がなんてことない日常の象徴みたいになってたんだな

それでも…告げないといけない

 

「なあ」

「あの」

 

被った

 

「えっと…」

「それでは、私から」

 

五月?

穏やかな表情

それだというのに感じたことないような真剣な気配

 

五月は少しだけ深呼吸をした後

俺の目を正面から見据えて

 

 

「下川君」

 

「好きです」

 

そうはっきりと告げていた

 

「ずっと好きでした

 多分、初めて出会った時から」

 

あぁそうか…

あの時からずっと

この子も自分の想いと向き合って

そうして今ここで答えを出した

 

嬉しいことのはずだ

それでも…

 

「ありがとう五月」

 

「俺も五月のこと好きだ」

 

「けど」

 

「お前の気持ちには応えられない」

 

情けねぇ…

五月が覚悟決めてるってのに、俺は涙が出そうなのを堪えて

一番泣きたいはずのこの子が涙を見せねえってのに

 

「一花が好きなんだ」

 

「あいつの隣にずっといたい」

 

わかっていたはずだ

一花を選ぶってことは五月を選ばないってことくらい

五月の想いが本物だったことは分かり切ってたはずだ

 

それでも

何を傷つけたとしても

どんな結果だったとしても

この選択の結果は受け止めないといけないんだ

 

「ごめ…っ」

 

謝ろうとした唇に人差し指

五月は変わらず穏やかな表情

 

「わかってます

 わかって…いるから」

 

「五月…」

 

「下川君

 私、君に出会えてよかった」

「…っ!」

 

「きっとこうなることがわかっていても

 何度繰り返したとしても」

 

「私はあなたのことを好きになるんだと思います」

 

本当に…この子には敵わない

 

「一花のことよろしくお願いしますね」

「ああ」

「自分のことも大切にしてくださいよ?」

「努力する」

 

その答えに満足したのか五月は微笑んで

 

「それでは」

 

振り返り離れていく

その背中に

 

「五月」

 

俺も素直に思ったことを伝えようと思う

 

「俺も

 お前に会えてよかった」

 

「その…えっと…

 また明日な」

 

上手く笑えてるだろうか

想いには応えられない

それでもこの子との歩みはまだ続いていく

この子の覚悟を、俺がみっともなく泣いて汚すことだけは死んでも許されない

だからいつもみたいに笑って別れるんだ

 

「はい

 また明日

 学校で」

 

振り返って笑顔で告げて今度こそ五月は去って行った

 

誰も彼もが納得して、笑っていられる結末なんてない

そんなこと始めからわかってたはずだろう

それでもあの子を

誰より優しいあの子の気持ちに応えられなかったことがこんなにも

 

それでも…

歯を食いしばる

絶対に泣くな

五月は俺の前で最後まで涙を見せなかった

なら、俺は絶対に泣いちゃだめだ

この痛みも全部受け入れる

それもひっくるめて一花を選ぶと決めた

 

いつのまにか日は沈んで暗くなり始めている

戻ろう

いろんなことが変わったけど

それでも日常は続いていくんだから

 

 

 

「あ

 二乃…三玖…」

「ーーー帰るわよ」

「あ、はい

 ありがとうございます

 待っていてくれたんですね」

 

「さ、帰りましょう」

 

「……今日は」

「え?」

「あんたの好きなものいっぱい作るわ」

「二乃…」

 

「五月」

「あ…」

「がんばったね」

「三玖ぅ…」

 

「あ…

 うぁ…ああぁああ」

 

大好きです下川君

ずっとずっと大好きでした




書き始めた当初、五月はヒロイン候補ではありませんでした
書いてるうちにどんどんハマっていきました
それでもどこかで決着をつけないといけないと思って書きました

オリ主の最近の安らぎは五月とのティータイム
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