5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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正真正銘最終章
長くなったので前後編



とある姉妹と幼馴染
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夢を見ていた

君と出会ったあの日

あの夢のような日の夢を

 

 

「優希君!」

「うおっ…!」

 

「もう…

 一花もう降りて来るよ」

「ん

 わかったよ」

 

隣からの女性の声、五月の声に目を開ける

眼前には高層マンションのエレベーターホールではなく、この一年ばかりですっかり見慣れたコンソール

いくら、停車中とはいえ運転席でうたた寝するとは…

 

五月に促されるまま外に出る

何組かが出て行ったその後から

 

「帰ってきたわ

 日本」

 

大きめのハットにサングラス

ほとんど顔隠してるとはいえこうして見るとやっぱ良くも悪くも目立つ容姿だよな

 

「旅行行ってただけでしょ」

 

五月が声をかければそいつはサングラスを外し

 

「五月ちゃんお迎えありがと〜」

「わっ

 ゆ、有名人なんだから!

 こっそりこっそり」

 

五月が慌てるも本人は大して気にした素振りはない

たった1ヶ月程度じゃこの無頓着っぷりは変わらないようで

大体、同じ顔なんだから五月の方も気をつけたらどうなんだと

 

「あ」

「…おう」

 

こちらも運転席側から出て一花の元へ

……って!

 

「ただいま〜!」

「だーっ!

 ガキか!人目あるとこでやめろっていつも言ってるだろーが!」

 

長旅のテンションそのままで飛びついてくるんじゃねえよ

毎度毎度受け止める身にもなって欲しい

 

「あーもう!

 二人ともいいから行くよ!」

 

五月に促されてようやく離れる一花

全く…

色々忙しくなる一日だってのに早々に疲れさすんじゃねえ

 

 

「っていうか一応お仕事だったんだけど

 恋人で担当の女優一人で海外なんて酷くない?」

 

後部座席から一花の口撃

その隣の五月は苦笑いはしつつも止めてはくれなさそう

 

「公私は混同しないし、うちも大所帯になってきたからお前一人に付きっきりなんて無理なの」

「石頭〜」

 

1ヶ月ぶりのウザ絡み…

やっぱ俺が直前でキャンセルになったこと根に持ってるな

こっちだって色々予定狂ってどうしたもんかと悩んでるってのに

 

「それで

 手応えあった?」

「うーん

 まだイントネーションだけが不安かな」

「一花

 イント↓ネー↑ション→」

「あちゃー

 厳しいなー」

「一応

 先生だからね」

 

五月先生が厳しいのは姉妹相手でも変わらずか

さて、もう着くな

久しぶりの全員集合だ

 

 

通い慣れた建物

それこそガキの頃から馴染みの深い建物

その一階、店舗のドアをくぐれば

 

「いらっしゃー

 ってあんたたちか」

「一花

 久しぶり」

 

これまた見慣れた顔がさらに二つ

店を開ける時間でもないのでさすがに客の姿はない

 

「うんうん

 二人とも元気そうでよかった

 お店も大繁盛のようで」

「へー

 流石アメリカかぶれはジョークがお上手ね」

「五月とユーキもお疲れ様

 今、朝食用意するね」

「やった!」

 

久しぶりの懐かしいやりとり

姉妹水入らずを邪魔するのも悪いので少し離れた席へ

 

「ふんっ

 アメリカのあんな気取ったカフェに行ってる人の口に合うかしら」

「あれ?私が行ったこと教えたっけ?」

 

「二乃

 いつも一花のインスタ見張ってるから」

「三玖!

 言うんじゃないわよ!」

 

身内贔屓な二乃は相変わらず

三玖とのやりとりも変わらないからなんか安心する

 

「そっかそっか

 お礼にこのお店も紹介したいところだけど…」

 

一花が肩越しにこっちを伺ってくる

わざわざ俺の反応見てるってことはあんまよろしくないことは自覚があるようで

店主の意向次第ってことで視線をそっちにやると

 

「一花の人気にあやかればお客さんも絶対増える

 とっても嬉しいけど今はまだ遠慮しとく」

 

「最近は常連さんも増えてきたんだ

 こんな設備の整った場所を貸してくれたお父さんのためにも…」

 

「もう少しだけ私たちの力だけでやってみたい」

 

しっかりと地に足がついてるようでなにより

夢を叶えたなんてこっちは思ってたけど、まだまだこれからってことらしい

一花は感極まったのか三玖に抱きついてる

 

「また私が体調崩しちゃった時はよろしく」

「おい馬鹿やめろ」

 

あれ誤魔化すのにどんだけ苦労させられたと思ってる

三玖本人ももう勘弁って表情だし

 

「あんたが売れなくなったら働かせてあげてもいいわよ」

「あっちは可愛くないなー」

「あれはあれで可愛い」

 

二乃が素直じゃないのにも慣れっこなのかそんな対応

変わってないようで前に進んでるもんもあるんだなと実感

ーーっと、外から車輪の音

今日の主役が到着か?

 

「どーも

 皆さんお集まりで」

 

最後の一人、四葉が店内へ入ってきた

しかし、式当日だってのになんで汗だく?

 

「なんだかじっとしてられなくて

 うちから自転車で走ってきたんだ」

「走ってきたって……

 え?自宅から!?」

 

四葉も四葉で相変わらずのバイタリティか

 

「元気だねー

 ここからあのマンションって意外と遠いもんね」

 

あ…

 

「あんた…

 一花に言ってなかったの?」

「つい…」

 

二乃にジト目で睨まれる

仕事の合間をみての連絡はしてたがこれの報告を漏らしてたか

 

「四葉、最近引っ越してフータローと一緒に東京で暮らしてるんだ」

「そうなんだ〜

 へぇ〜

 幸せそうで結構ですな」

 

言いながらこっちをチラチラ見るのはヤメロ…

 

「一花

 また一緒に暮らしていく上での秘訣教えてね」

「任せなさい」

 

どっから来るその自信は…

一緒に暮らし始めた最初の頃に比べたらマシになったとはいえ、油断したら部屋がえらい事になるくせに…

 

「はいはいご馳走様

 ーーーさて、一花」

「持ってきたよ」

 

主役も来たしようやく本題か

 

「私が預かってた方は結局しまったままだったわ」

「これが私たちからの結婚祝い」

 

「お母さんの形見のピアス」

 

懐かしいな

数年前までは一花の右耳にあったピアスと、その片割れ

 

「四葉

 覚悟できてるわよね」

「うん

 お願いします」

 

「じゃあいくわよ皆」

 

「せーの」

 

「「「「四葉、結婚おめでとう!」」」」

 

「痛った!!!」

 

勢いよくやりすぎでしょ

少しは手加減してあげなよ

 

「な、なんか祝福以外の感情を受けた気がするんだけど!」

「さてね」

 

二乃、顔顔

せめて隠せその感情

 

「そろそろ私たちも会場に行こっか」

「ええ

 諸々の準備があるもんね」

 

三玖はそう言い手早く片付けを始め、五月もそれを手伝い始める

 

「……なぁ

 本気でやるの?」

「とーぜん

 あ、メイクの桃さんは?」

「予定通り会場に着くってさ」

 

あの人もノリノリなのはホント勘弁して欲しい…

止めてくれよ年長者

 

「五月までこんな悪ノリに付き合わんでも…」

「ふふ

 上杉君には確かめておかないと」

 

随分と融通の効くようになったというべきか、何というべきか

 

「あいつも大変だな…」

 

暫くぶりに会う幼馴染に今から同情しておいた

 

 

結婚式はつつがなく進行…

とは言い難いがまあ、無事に終わった

指輪交換すっ飛ばすとか一体何考えてるのやら

 

まあ、花嫁の親族が式にも出ずにサプライズの準備をしてるなんてのが一番ありえないわけだが…

 

さて、式の間に準備は終わったらしいからあいつを、風太郎を呼びに行くとするか

 

「えーっと…

 風太郎の控え室は…」

 

見慣れた姿と鉢合わせる

こんな時でもサングラスを頭に乗っけてるあたり今更ながらこの人もなかなかぶっ飛んでると再認識

 

「おう、優希

 悪巧みの準備は出来たのか?」

「人聞き悪い言い方やめてくれよおじさん…」

 

こっちの苦い顔にもガハハと豪快に笑って誤魔化すあたりこの人も変わらない

目的は同じだったので取り止めのない話をしながら歩き

 

「母が死んだのは十年以上前のことです」

 

目的の部屋、風太郎の控え室の前で聞こえてきた会話に中に入るのをとどまった

 

「事故が起きたのは母の夢であった自分の料理店を出した直後でした

 うちに残されたのは開業資金のための多額の借金だけ」

 

ドアの隙間からのぞけば会話の相手は中野先生のようだ

 

「親父が二乃と三玖にあの空き店舗を貸したのも半分はあいつらを助けるため

 そして半分は母の夢を託すためだったのかもしれません」

 

「一人の女性を一生かけて愛する

 俺は…そんな男になりたい」

 

「二人の父のように」

 

隣に立つ親父さんの表情は柔らかい

息子の成長はやっぱくるものがあるらしい

 

「ほれ

 風太郎呼びに来たんだろ?

 行った行った!」

「は?

 いや、おじさんの用事は?」

 

ばしんと背中を叩かれてドアを開けられる

風太郎は驚いた様子だが、中野先生は相変わらず表情を変えない

珍しくワインの入ったグラスを手には持っているが

 

「あー…久しぶりのとこ悪いけど

 風太郎借りてくね、先生」

「は?」

「あいつらが呼んでる」

「ーーーえっと…」

「行きたまえ」

 

その言葉に深く一礼をして部屋を後にする風太郎

俺も軽く会釈をし後に続く

 

「マルオよぉ

 俺らも老けたもんだな」

 

おじさんと先生の会話を背にして廊下を歩く

あの二人がどんな話をするのか少し気にはなるが

 

「なあ、あいつら式の時に姿見えなかったんだが…」

「ああ

 ちょっとサプライズの仕込みがな」

 

怪訝そうな顔

俺の方はだいぶ疲れとか呆れとかで複雑な顔になってる気はするのでその辺察してほしい

 

「しかしまぁ…

 高校生の頃から変わっちゃいねぇ

 問題児どもめ」

 

言う割に頬が緩んでる

本当に色々あったからな

お互い未だにあの日を夢に見るほどだし…

 

「さて

 こっからは一人でな」

「は?なんで?」

「いいから入った入った」

 

困惑した様子の風太郎を指定された部屋に押し込む

さて、六年前ならいざ知らず

今更この問題に躓くような心配はないだろ

頑張んな風太郎

五つ子ゲームファイナルだ

見分ける方法は説明するまでもないよな?

 

 

 

「風太郎、四葉

 結婚おめでとう

 こういった場ではありますがいつも通りの呼び方をさせていただきます

 

 風太郎とは文字通り、生まれた時からの仲で、何をするにもずっと一緒でした

 そんな僕らに転機が訪れたのは高校時代

 風太郎が家庭教師のバイトを引き受けたのがキッカケでした」

 

 

 

さてさて

どうなったことやら

なんとなく中の会話を聞くのは避けて少し離れたとこで待ってみたが

……っと

 

「おう

 終わったみたいだな」

 

出てきてのは風太郎

結果は…やっぱ聞くまでもないらしい

 

「ったく

 お前までこんな馬鹿に付き合ってんじゃねえよ」

「はは…

 すまんな」

 

こればっかは呆れられてもしょうがないな

しかしその顔が晴れやかなあたり期待通りの結果には終わったみたいで…

 

「でだ

 どうやら俺も大馬鹿野郎らしい」

「は?」

 

唐突にそんなことを言い俺の腕を引く風太郎

そして

 

「次はお前の番だ」

 

扉の中に放り込まれた

当然その中には

 

 

 

「最初は成り行きで巻き込まれただけの家庭教師

 しかし、高校時代の数えきれないほどの思い出は、風太郎とそれに力を尽くしたからこそあったと今ではそう思えます」

 

 

 

「…………ネタがバレてるやつにこれはどうなんだよ」

「何をするかまでは分かっていても

 実際に答えられるかどうかは別でしょ?」

 

「五つ子ゲームファイナル

 第二ラウンド」

 

「愛があれば見分けられるよね」




オリ主の愛車はワンボックス
いつか家族で過ごす日のために
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