5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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五つ子と幼馴染と歩み続けた日々も一区切り


55(終)

純白のドレスを身に纏う女性

花嫁って言葉を体現したようなその姿

ただ、その姿はコピペしたかのように五つ並んでいる

 

「披露宴までそんなに時間ないはずなんだが…」

「じゃあさっさと終わらせちゃおう」

 

簡単に言ってくれるな三玖

 

「ちなみに

 風太郎はちゃんと全問正解」

「優希君に限って出来ないなんてないよね」

 

惑わそうと口調や俺たちの呼び方まで統一かよ五月に二乃

やれやれ…

 

「上等

 安い挑発に乗ってやる」

 

 

 

「家庭教師を始めた頃は反発も多く、その度に風太郎は頭を悩ませていました」

 

 

 

「まずお前が

 ーーーーー二乃だな」

「あら

 あんたもそのパターンなのね」

 

あー…そういうことか

二番煎じは少し気まずいが…まあこの際いいだろ

 

「えっと…改めていうのもなんだが…」

「何よ?」

 

「ありがとな」

「は?」

 

色々と文句はある

こいつのせいで家庭教師は初っ端から躓いてたし、なにかとトラブルの種になったし

だがそれ以上に

 

「お前に気付かされなかったら

 俺はどうなりたいかなんて考えもしなかった」

 

「つまり…まあ…そういうことだ」

「そ

 もう大丈夫みたいね」

「ああ

 ーーーあと、披露宴の前に涙の跡は拭いとけよ」

「一言余計!」

 

湿っぽいのはお互い柄じゃないだろ

こいつの強さの中の優しさは本当に羨ましい

 

 

 

「それでも風太郎は、一人一人に向き合い続け、お互いに少しずつ変わっていきました」

 

 

 

「三玖だな」

「うん」

 

初めて会った時から随分と表情が柔らかくなったもんだ

 

「それ、ユーキにだけは言われたくない」

「それもそうか」

 

言ってお互いに笑い合う

こんな風になんてことないことで笑い合うなんて予想もできなかったな

 

「私はフータローと…

 フータローとユーキに会えて変われたよ」

「ああ

 俺も…少しは変われたか?」

「うん

 自信持って」

 

この子の変わっていく姿が眩しかった

そんな子にそう言われたなら、俺も少しは自信を持っていいのかもしれない

 

 

 

「風太郎が成し遂げたこと、その選択を少しでも助けることが出来たことは

 ささやかながら僕としても誇りに思います」

 

 

 

「お前は四葉だな」

「正解」

 

俺としてはこの子が一番変わったように思う

そして

 

「今更だが

 お前、俺のこと苦手だったろ?」

「あ

 バレてた?」

 

割と爆弾発言だったのか他の姉妹が驚愕の顔

対する四葉はあっけらかんとしてるが

 

「下川さんってば的確に聞かれたくないことに踏み込んでくるんだもん」

「…それは正直すまんかった」

 

「あはは」

「はは」

 

そうして笑い合う

他の姉妹たちにはなんのことかわかってないみたいだが俺たちにはこれで十分分かり合えてる

 

「風太郎のこと頼むな」

「はい!頼まれました」

 

自分で掴んだ未来をこの子には大切にしてほしい

 

 

 

「四葉

 風太郎のことをよろしく頼むな

 二人でどこにも負けないくらい幸せな家庭を築いてください」

 

 

 

「そして…五月」

「はい」

 

思い返せば全ての始まりはこの子か

あの時の気まぐれが随分と複雑な縁になったもんだ

 

「私は…」

「ん?」

「私は一つ夢を叶えたよ」

「ああ

 大したやつだよ本当に」

「君のおかげ

 本当に感謝してる」

 

そう言ってもらえるだけで報われたよ

 

「次は優希君の番だね」

「…………おう」

 

こいつが理想と言ってくれた姿に恥じないよう、これからも進んでいくんだ

 

 

「でお前が一花な

 はい全問正解」

「ちょっと!?

 そこまで同じ!?」

 

知らんがな

おーい風太郎終わったぞー

 

「わ、私にも何かないわけ?

 いつも頑張ってるーとか

 お前は理想の恋人だーとか」

「うるせー!

 今更改まって言えるか!」

 

ええい!そんな動きにくそうな格好でしがみついてくんな

スカート踏んで転ぶ

 

「この二人はまったく…」

「しょうがないよ

 一花がこんな風に自然でいられるのは優希君の前だけだもの」

 

「……ったく

 お前は…お前らは相変わらず」

 

「図々しく踏み込んでくるとこも

 こっちの都合なんか構わないことも

 本当気にくわねぇ」

 

「ーーーでもまぁ」

 

「そんなお前らだから俺は救われたよ」

 

「家庭教師なんてやらしてもらったけど

 逆に教えられることばっかだった」

 

「お前ら五つ子に出会えたことが

 俺にとって数少ない自慢だよ」

 

…………って、なんだよ全員揃ってそんな顔して

 

「あはは」

 

たしかに我ながら流れでくさいこと言った自覚はあるが

そんな笑うほどか?

 

「ううん

 違うって」

「あんたたち

 私たちよりよっぽど兄弟みたいじゃない」

 

そうかよ

それはまあ…悪くないんだろうが

 

「ほれ

 さっさと着替えろ

 披露宴までそんな時間ねえだろうが」

 

「照れてる」

「うん

 間違いなく照れてるね」

 

うっさい馬鹿ども

 

 

 

 

披露宴の方は特に波乱もなく終わった

友人代表スピーチなんて柄じゃないことやらせやがって

 

「ええ、ありがとうございました

 ……分かってますって

 お土産期待しててください」

 

手伝ってくれたメイクの桃さんへ連絡

次の仕事があるってんで直接礼は言えなかったのもあってご機嫌取るのにまた苦労しそうだ

 

「あら

 お疲れ」

 

声の方を向けばみんな勢揃い

控え室が別の風太郎と四葉は当然まだではあるが

もうすぐ来るだろうということでロビーで待つことに

 

しかし、これでようやくひと段落か

風太郎たちがどんな家庭を作っていくのかってのを見てるのは楽しみではある

あいつは他人事だと思って面白がるな、なんて睨んできそうだが

 

「ーーねぇ優希君」

「ん?」

 

いつの間にか隣を歩く五月が顔を覗き込んでくる

 

「今幸せ?」

 

柔らかい笑みでの問いかけ

こっちの迷いとか悩みは見透かされてるみたいで

 

「これからだよ」

 

顔を逸らす

ポケットの中で小箱を転がしながらこれからの計画を色々考えてみて

 

「何してんだお前ら」

 

向こうも片付けが終わったのであろう

風太郎と四葉もロビーに降りてきた

いつの間にか二乃たちはテーブルに何やらパンフレットを広げてるみたいだが

 

「何って決まってるわ

 式が終わればやることはひとつ」

 

「新婚旅行よ!」

 

「「は?」」

 

いやいや待て待て

いくらなんでもそこまでぶっ飛んだことないだろ?

 

「お前ら付いてくるつもりか!?」

「当然」

「その行き先に悩んでるところ」

 

あ、あり得ねぇ…

というか一花

明日からも長めに休みとってたのはもしかして

 

「当然

 このためだけど?」

 

ジーザス…神は死んだ

今度こそって色々考えた俺の計画どうしてくれる

 

「あはは

 いいじゃん」

 

「皆一緒の方がもっと楽しいよ

 ね?」

 

花嫁の方がノリノリってのもどうなんだよ

 

「それなら行きたいとこ指差そっ」

 

姉妹の輪に加わっていく四葉

 

「なあ

 前にも同じことで揉めなかったか?」

「あー高校の…」

 

 

 

「ユーキ君」

「下川起きなさい」

「ユーキ」

「下川さーん」

「下川君起きて」

 

「えっ」

 

聞き慣れた声に目を開ける

目の前には結婚式場のロビーではなく

見慣れたリビングにこれまた見慣れた顔が六つ覗き込んできていて

 

「お前が居眠りなんて珍しいな」

 

そう言ってくる幼馴染の顔はいつも通り

いつも通りのはずなんだが

いや、あれ?

 

「ーーー結婚式は?」

「はえっ!?」

 

素っ頓狂な声で赤面する一花

 

「うーわ…

 妄想もここまでいくと哀れになってくるわ」

「ユーキ大丈夫?疲れてる?」

 

ドン引きする二乃と真面目に心配してくる三玖にようやく自分の失言を悟る

 

「ま、待て

 違う

 俺じゃなくて風太郎と四葉のだな」

「えええっ!?」

「なんでだよ!?」

 

今度は風太郎と四葉が赤面して飛び上がる

あーもうめちゃくちゃだ

 

「あはは…下川君にしては珍しく寝惚けてますね」

 

五月も苦笑いしてないで落ち着かせるの手伝って

 

「まったく

 寝惚けてないでさっさと決めるわよ」

 

何を?

 

「卒業旅行

 フータローとユーキが提案してくれたんでしょ」

 

あー…そうだっけか

 

「と、とりあえず五人で指差ししよっか」

 

いや俺らの意見は?

 

「そ、そうだね

 まあ、結果は知れてるけど」

 

そう思うなら止めろ

 

「じゃあせーのでいきますよ」

 

ノリノリかよ

 

「……なぁ優希」

「……言うな」

 

言われなくても分かってる

全く本当に

 

 

どれだけ経っても

どんなに俺たちが変わっても

きっと考えることは同じだ

 

風太郎と二人、呆れたような笑顔を浮かべ

 

「五つ子って」

「めんどくせー…」




これにて本編としては完結です
色々後語りはまた後日活動報告にて
こんな拙い文章を最後まで読んでいただけたら非常に嬉しいです

応援等ありがとうございました


オリ主(23)の最近の悩みはプロポーズのタイミング
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