5Sぷらす2 【本編完結】   作:しろすけ

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風太郎セクハラ冤罪裁判は概ね原作通り進みますのでスルー
オリ主はバイトに勤しんでいました

追記:未だかつてヒロインの浴衣姿に一切言及しないオリ主がいただろうか?
   てことで屋台の前のやりとりを追加


花火大会編


9月も終わりだというのにこの街では何故か花火大会が開催される

で、それはつまり縁日の屋台も当然並ぶわけで

 

「いらっしゃいませー!ベビーカステラいかがっすかー!」

 

こうして書き入れ時の屋台のバイトをさせてもらってるわけだ

世話になってるバイト先の店長が店を休んでまで出す屋台で時給がよくて廃棄品までもらえる言うことない条件

売り上げも好調だからこれはマジで収入が期待できそうだ

 

「二つくださ〜い」

「はーい!いらっしゃいま…せ…」 

 

作業していた鉄板から顔を上げ固まり言葉が詰まる

今月に入ってから振り回されに振り回されている幼馴染の生徒である

 

「ありゃ?ユーキくん?」

「下川くん!今日のバイトはこちらだったんですね」

 

中野一花と中野五月が目を丸くしていた

うわぁ…休みの日にクラスメイトと数少ない友達にバイト姿見られるとか結構効くぞ

 

「……二つね、すぐ用意する」

「えー

 普段と違う格好の女の子に対して無反応は酷いんじゃない?」

 

そう、今日は縁日なわけで当然二人とも浴衣姿

元がいいだけにより美人に見える、なんて癪だから絶対に口にしないけど

 

「ハイハイ、トテモオニアイデス」

「ん〜…喋り方が気になるけど素直に褒めてくれたからよしとしよう」

「あ、ありがとうございます」

 

それはどうも

てか一花…お前は何様だ…

五月の反応見習え

 

「へー、それにしても、ふーん」

「………何?」

 

一転して今度は一花がニヤニヤと楽しげにこちらの顔を覗き込んでくる

 

「ん〜、普段前髪で隠れてるからなんか新鮮だな〜なんて」

「そうですねそちらの髪型もいいと思いますよ」

 

そりゃどうも…

バイトの時は帽子なりバンダナなりで前髪上げることが多い

ちなみに今日に関しては何故か黒地に炎の模様が描かれたものを渡された

他のバイトの人からもっとオラついた感じでしゃべってとか言われたがそこまで人格ぶっ飛びはしない

 

「それにしても

 バイトをたくさん掛け持ちしてると聞きましたが、ちゃんと寝れてますか?」

「そうだね〜クマすごいよ」

 

ほっとけ

こっちは寝る暇も惜しいんだよ

つか、客足が少し止まってたとはいえあんまり居座られるのも他の人に迷惑かける

 

「ほれ、おまけしといたから」

「え!?わ、悪いですよ!」

 

五月にわずかばかりだがおまけした商品を渡してやる

言葉と裏腹にものすごいいい笑顔

わかりやすいなこの子は

 

「じー……」

 

不満げな視線がその隣から向けられてる

てか口で言うな

 

「ユーキくんて五月ちゃんには優しいよね」

「……はいはい、クラスメイトのよしみで少しおまけな」

「雑!」

 

いくらなんでも愛がなさすぎない!?と一花が喚くがそんなもんあってたまるか

いい加減仕事が進まないのと後ろの方からの生暖かい視線がなんか嫌なのでさっさと行ってほしいんだが…

 

「店員さ〜ん、お客様にその態度はないんじゃないんですか〜?」

「ちょっと一花!これ以上は迷惑ですよ」

 

めんどうな絡み方までしだす一花を五月がなだめる

マジで首根っこ掴んで放り出してやりたくなったが流石にまずい…

だったら

 

「お客様、お買い上げありがとうございました

 またのお越しをお待ちしております」

 

どう考えても縁日には場違いな他のお店で培った接客スキル

渾身の営業スマイルもサービスだ、持ってけドロボー

 

「………う、うわぁ、気持ち悪…」

 

予想通りの反応ありがとう

声が上ずるレベルで気持ち悪いですかそうですか

頬がヒクヒク引き攣るのがわかるが笑顔は崩さない

 

「そ、それでは私たち行きますので!下川くん、バイト頑張ってくださいね」

 

五月が一花の手を取って慌てた様子で離れていく

あんま走って転ぶなよー

とりあえず一難は去った

あとは他三人が来ないことを祈るだけだな…

 

 

「で、なんでまだ会場を徘徊してんのかね俺は…」

 

つぶやいた声に応える声は当然ない

あの直後、一花と五月が去った後程なくしてバイト先の店長から友達と遊んでこいと暇をもらってしまった

昼の準備から働きづめとはいえ、体力だけは自信あるからまだやれると食い下がったが、手当の方は弾んでやると強引にバイト終了となった

『若人から青春を取り上げるなんて許されてないんだよ

 何人たりともね』

とやたらいい声で送り出された

何でわざわざ鉢巻にしてた手ぬぐいを目隠しにしたんですか?

そのうえ、各種屋台の食べ物類引換券のおまけ付き

一人で全部食うとも考えだが流石に「友達と食べな」と渡されたものを一人でどうこうするのも気が引ける

多分中野の姉妹全員できてるだろうし、もしかしたららいはにせがまれた風太郎も会場に来てるかもしれないだろうからこうして探しているんだが

 

「あー!優希くん!」

案の定いたな

向こうから見つけてくれて手間が省けた

 

「よう、らい、は……」

 

幼馴染兄妹の見慣れた姿があるものかと思い振り返ればまさかの光景が

いや、流石に…

 

「げ、下川」

「こんばんわユーキ」

「おお!下川さん!バイトはもうよかったのですか?」

 

まさか中野姉妹全員と一緒にいるとは思わなかった…

先程会った一花と五月同様全員が浴衣姿だ

何でか知らんが一花と五月の顔は赤いが熱中症とか大丈夫?

 

「お前のバイトがこんな早くに終わるなんて珍しいな」

「まあ、店の人が気使ってくれてね…

 そう言うお前こそ休みの日にまで中野たちと一緒なんてどういう心境の変化だよ」

 

風太郎のことだから家庭教師が無い日だからのびのびと一人で勉強して、祭りに来るにしてもらいはだけと来るもんだと思ってたが

 

「……いや、ここまで来たのは成り行きだが

 らいはがすっかりコイツらを気に入っちまって」

 

五月に引き続き他の姉妹も籠絡したか…

末恐ろしいな全く

 

「あ、あの!下川くん」

 

ん?何故か顔が赤いままの五月と一花が顔を覗き込んでくる

 

「きょ、今日は暑いですし少し前髪をあげてみてはどうでしょう?」

 

はい?

 

「そうそう、せっかくだし!」

 

せっかくの意味がわからん

 

「嫌だけど?」

「そこを何とか!」

「そうだよほら!やってあげるから」

 

いやマジでやめて

何故かヘアピンを手に持っていつもよりやばめな目で迫ってくる五月と一花をいなしながら風太郎か四葉あたりにアイコンタクトで助けを求めようとするが

 

「アンタ、一花たちに何したわけ?」

 

何故か二乃の方が敵意剥き出しで睨んできてる

 

「何かされそうなのはこっちなんだよ…

 お前、姉と妹の奇行止めろ」

 

この際このわけわからん状況がどうにかなるなら誰だっていい

とりあえず抵抗し続けたのと二乃が目的地に向かうことを促してくれたため何とか諦めてもらった

すごい残念そうだったけどマジで何なの?

で、その目的地っていうのが

 

「店の屋上貸し切って花火とかブルジョワか…」

 

なんでも毎年やってるらしい

あまりの文化格差に打ちのめされたので帰ろうと思ったがらいはにせがまれたため断念

女の子の涙には勝てんのだ

目的地の店まで向かっているのだが

 

「あんたたち遅い!」

 

先導する二乃が叫ぶ

が、この人混みの中じゃまともに進むのが困難で既にけっこう離れ離れになりかけてる

 

「二乃のやつ、気合入ってんな

 お前らもずっとテンション高いし

 花火なんて毎年やってるだろ」

 

風太郎が呟く

たしかにいつにも増して全員はしゃいでるように見えるな

聞けば珍しく花火までに宿題を終わらせてきたとかで思い入れがあるのか

 

「花火はお母さんとの思い出なんだ」

 

懐かしむように三玖が言う

 

「お母さんが花火が好きだったから、毎年そろって見に行ってた

 お母さんがいなくなってからも毎年揃って

 私たちにとって花火ってそういうもの」

 

なるほどね

家族の特別な思い出か

それなら二乃の張り切り方にも納得がいく

風太郎ほど中野たちに関わる機会があったわけではないが、二乃が俺や風太郎に敵意を向けるのは家族、姉妹の領域に踏み込んだ時だ

多分だがあいつが一番家族と、その思い出を大事にしてるんだろう

つまりあいつにとって俺たちは侵略者なわけだ

家族への愛情の裏返しが敵意として部外者である俺たちに向けられていると

 

「お前も苦労するな……」

「は?何だよ急に」

 

風太郎が今後家庭教師を続けていくにあたって確実に起こるであろう衝突を想像すると同情の一つでも湧いてくる

また犯罪まがいの手で妨害されなきゃいいが…

そんな考えをしてるうちにいつのまにか花火の開始時間となったらしい

放送がかかった途端人の流れがこれまで以上に速くなる

 

「ちょっと…みんなどこ!!」

 

て、人混みに揉まれてあっという間に何人かを見失った!?

風太郎の方は二乃と合流できたようで人混みを抜けるべく進んでいく

とにかく一人でも一緒に行動すべくとっさに手を伸ばし

 

「っ!ユーキくん!?」

 

…………よりによってコイツかよ

手を握ってこちらに引き寄せたのはショートカットの長女様だった

 

「へ、へー…いきなり手握るなんて意外と大胆だねー」

 

相変わらず余裕があるように振る舞ってくる態度に少しイラっとしたが今は我慢

とにかく一人は確保したので、一旦人混みから抜けるため道の端による

まだどうにか風太郎と二乃が先を進んでいく姿は見える

 

「さっさと行くぞ

 風太郎と中野次女見失う」

 

他の四人の姿は既に見当たらないがまずは合流して目的地に行く方が無難だろ

そう思い一花の手を引き歩き出そうとしたが

 

「…………うん

 ちょうどいいかな」

 

一花は俺の手を振り払い立ち止まった

 

「……おい、

 急がないと花火始まるんじゃないか?」

 

そう言い振り返った先の一花は今までに見せたことのない表情

 

「ごめん

 私はみんなと一緒に花火を見られない」

 

決意と不安とが入り混じった表情でそう告げた

 

「…は?」

「急なお仕事頼まれちゃって…だから花火は見に行けない」

 

それじゃ!といつもの作り笑いと共に振り返り風太郎達とは逆方向へ足を向ける一花

……いくらなんでもそんな説明で納得なんかできん

 

「おい、少し待て」

 

そうして再び一花へと手を伸ばしたが

 

「君、誰?

 一花ちゃんとどういう関係?」

 

見知らぬ男に横からその腕を止められていた

中年の若干胡散臭そうな髭のおっさんだ

 

「は?どうだっていいだろ

 アンタこそ何?コイツこれから大事な約束あるんだけど?」

 

少し強めな声と共に睨んだらおっさんは喉の奥で悲鳴を上げた

思ったよりドスの効いた声になってしまった

 

「ユーキくん!」

 

慌てた様子の一花がこちらに戻ってきていた

 

「…お前、他の奴らはこのこと納得してんのか?」

「っ!…」

 

正直ここまで深入りする理由なんてない

風太郎と違い家庭教師の義理も無ければ友達ってのも…多分ない

が、この日を大切に思っているであろう二乃の様子や母親との思い出を語る三玖の顔を見てしまった以上、一人でも欠けさせたくないんだよ

 

「……わかった、説明する

 ごめんなさい、少しだけ時間をください」

「わ、わかった

 でも、本当に時間ないからね!」

 

ようやく観念して説明する気になってくれたらしい

しかしこのおっさん、五月から少し聞いたバイトってやつの関係か?

 

「ユーキくん、ここじゃ人目あるからちょっとこっち」

「は?…おい!」

 

今度は一花が俺の手を引き走り出す

後ろでおっさんが戸惑ってるぞ、いいのか!?

 

 

「人目つかないところつってもよりによってここか…」

 

確かに人目はつきにくいよな路地裏じゃあ

なに?このまま口封じでもされるわけ?

で何故か壁を背にした俺の肩の横あたりに一花は手をついて見上げてくる

いわゆる壁ドン…

生まれて初めての壁ドンは女の子にされる方とか悲しすぎる

 

「…お望み通り人目のない場所だから説明してくれるんだよな?」

「……その前にこっちからも聞いていい?」

 

あん?

この期に及んで話逸らすつもりか?

 

「なんでお節介焼いてくれるの?」

 

いつも通りの表情、薄ら笑いを張り付けて一花は続ける

 

「フータローくんと違って家庭教師ってわけでもないのに」

 

そうだな、珍しく的確な指摘だ

明確な答えなんか当然持ち合わせてない

さっきは少し感情的になったが少し歩いて頭は冷えた

だからひとつだけハッキリさせときたいことがある

 

「お前ら姉妹にとって花火がどういうものか聞いた」

「だから?それって私たち家族の問題だよ?」

「その家族にまで言えないほどの事情ってのが納得いかねぇ」

「…!」

 

二乃も三玖も、多分四葉と五月も姉妹全員で見る花火を特別なものと思ってる

部外者の俺にそれに立ち入る権利なんか当然ない

だからこれはただ俺が納得できるか、というか個人的な願望

 

「お前の事情を深く詮索するつもりはない

 けどせめて他の姉妹にだけは説明しろ

 お前の口から」

 

ただもう少しだけ家族を信じてほしいと思った

 

「なんで…そこまで……あ、やばっ」

「は?…おい!?」

 

一花が口を開き何か言いかけたと思ったら体勢を強引に変えさせられた

俺は背を路地の外、大通り側に向け腕の中に身を隠すように一花が収まっている

 

「何してんの?」

「しっ

 すぐそこにさっきの…お仕事の人いるの

 待たせちゃって怒られちゃう」

 

こいつは…

さっさと突き放してやろうと肩を掴んだところで一花の様子がおかしいことに気づき思いとどまる

一花の顔は見えない

俺の胸に顔を埋めたままだ

 

「ふふふ」

「何だよ…」

「私たち傍から見たら恋人同士に見えるのかな?」

 

この状態でそんな会話ができるんなら大したもんだよ…

 

「事情を知らなきゃそう見えるんだろうな」

「……そっか、本当は恋人でもないのに悪いことしてるみたい」

 

さすがにそれなりに羞恥が勝ってきたのか、一花の髪の隙間から見える耳は赤いし胸から伝わる鼓動は早い

いつまでもこうしてるわけにいかんからどうにかしたいと思ったいたところ路地の外のおっさんの電話が鳴る

慌てた様子のおっさんの口からトラブルがあったことと撮影という言葉が

 

「あー…実はあの人はカメラマンで」

 

ここまできてそれか…

 

「言ってくれるんなら事情は聞くけど…

 さすがにつまんない嘘なら勘弁してほしいんだが」

「…!う、嘘なんかじゃ」

「お前の嘘つく時はなんかわかんだよ」

 

なんとなくだけどな

理由は俺にもハッキリしんがクラスで毎日のように顔合わせてるからだろうと自己完結

 

「一花ちゃん見つけた!」

 

おっと、さすがに隠れきれなかったか?

おっさんの声に観念して振り返るが

 

「こんなところで何やってんの

 言い訳は後で聞く、早く走って!」

「えっと…えっ?」

 

おっさんの方は一花と同じ顔をした女の子の手を引いてその場を離れていった

髪型がさっきの時と違うしいつものヘッドホンは見当たらなかったがあれは

 

「三玖!?もしかして私と間違えて…」

「もしかしなくてもだろ」

 

二人であわてて追うがさすがにこの人混みで追いつくのには手こずりそうだ

一花の方は三玖かおっさんへ電話をしているようだがつながらないらしい

いよいよもって人混みの中に三玖が消えてしまいそうな時

 

「っ!フータローくん?」

「いいタイミングだよ全く」

 

風太郎が三玖の手を取り抱き寄せていた

その後ろには五月の姿もある

 

「なんだ君は…

 君はこの子の何なんだ!?」

 

おっさんの困惑した声

風太郎は少しだけためらった後

 

「俺はこいつの、こいつらの

 パートナーだ

 返してもらいたい」

 

見たこともないような決意の表情でそう言い放っていた

 

「な、何をわけのわからないことを!」

「よく見てくれ!こいつは一花じゃない!」

 

おっと

幼馴染の成長ぶりに感心してる場合じゃなさそうだ

一花を引き連れ場に割り込もうとして

 

「その顔は見間違いようがない!さあ早く…

 うちの大切な若手女優を放しなさい!」

 

…………撮影ってそっちの方かー

気まずそうに顔を赤くする一花にじとっとした視線を向け溜息がもれた




風太郎は店を出た後
三玖発見→アンケート→五月発見し三玖の元へ戻る→おっさんに三玖見つかる→五月と追いかける→三玖たちに追いつく
と言った流れです
姉妹との関係云々は原作通り葛藤してます

今回色々難産だったのでなんか意見あれば甘んじて受けます

オリ主はバイトの時だけ意図的に人格をスイッチしてます
トリガーはバンダナ等で前髪を上げる
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