今日は3月21日、AiRBLUEに所属する声優、六石陽菜の誕生日だ。
しかし、1ヶ月後、陽菜とは離れることになる。
この春は、悲しい春となる。
そんな悲しい春に、マネージャーである俺が桜を咲かせようとする。

1 / 1
このお話の中で出てくるマネージャーは先日投稿した連載小説「あの日、幸せの花が咲く」とは別のマネージャーです。
その点ご理解の上、読んで頂ければと思います。


桜色の君に、想いよ届け。

今日は3月21日、陽菜の誕生日。

陽菜は今日も事務所に来ていた。

すごいな、誕生日なのに、事務所に来るなんて。

そして、用を済ませた陽菜がソファーに座っている。

 

「お疲れ様です!マネージャーさん!」

 

「陽菜、お疲れ様。何してるの?」

 

「私宛に届いた手紙を読んでいたんです」

 

「そっか。たくさん届いていたからね」

 

「テストがあったので、なかなか読む機会がなくて……」

 

「テストお疲れ様だったね」

 

「はい。テスト終わりにこういうお手紙もらうと、すごく嬉しいです」

 

陽菜は笑顔で手紙を読む。

外に目をやると、桜にも蕾ができていた。

ふと気付いたことを口にした。

 

「そういえばもうすぐ春だね」

 

「ふふっ、今年はどんな春になりますかね?」

 

「どうだろうなぁ……」

 

陽菜とそんな話をしながらも、実は心のどこかでは陽菜と離れることが決まっていて、悲しい気持ちがあった。

出会いには、必ず別れが来る。

それは確かにそうで、それは何度も経験している。

でも、今年の春はどこか違う気持ちを持っている。なんでだろう……ずっとモヤモヤしている。

そんなことを考えていると……

 

「マネージャーさん……?」

 

陽菜がきょとんとしていた。

 

「ああ、ごめん。すこし考えごとしてた……」

 

(陽菜を困らせちゃったのかな……)

外は日が西に傾いていて……

 

「あ!夕日ですよ!」

 

「夕日……」

 

その夕日を陽菜と一緒に見ていた。

陽菜は未来を見つめるような目をしていた。

その時、俺の気持ちがすこし吹っ切れた。

と同時に、陽菜がこんなことをつぶやいた。

 

「私……ずっとこれからも、マネージャーさんと夕日を見ていたいな……」

 

陽菜は寂しい顔をしながら呟いた。

今日は陽菜の誕生日なのに、すこし寂しい誕生日を過ごしてほしくない。

その思いが強かった。

 

「マネージャーさん……私……マネージャーさんと離れるのが……」

 

そう言いかけた時に、俺は陽菜のことを抱きしめた。

 

「え、ちょ、マネージャーさん!」

 

「俺も……陽菜とこのまま夕日を一緒に見ていたい……離れたくない……」

 

陽菜に今思っているありのままの思いを伝える。

その目からは涙が零れ落ちていた。

 

「私も……です……」

 

陽菜も一緒のことを思っていた。

陽菜からも目から涙が零れ落ちていた。

 

「陽菜……大好き……」

 

今思っているそのままの思いを静かに呟いた。

 

「はい……私もです……」

 

陽菜が優しく応える。

その目からは涙が止まらない。

 

「マネージャーさん……涙が……止まらない……」

 

陽菜はずっと泣きっぱなしだ。

その涙は嬉し涙へ変わっていた。

 

「陽菜……やっといえた……遅くなって……ごめん……」

 

陽菜と出会ったときからずっと思っていたことを口にできた。それでも、今まで言えなかった自分が悔しかった。でも、陽菜が優しく受けてくれたことが嬉しかった。

 

「マネージャーさん……私……嬉しいです……」

 

「うん……僕も嬉しい……」

 

陽菜が俺のことをぎゅっと抱きしめた。

それぞれの目から零れ落ちる涙は夕日に照らされて、輝いていた。

 

「陽菜……」

 

ゆっくりと俺が顔を近づけた。

 

「マネージャーさん……」

 

陽菜が優しくそれを受け止める。

夕日に照らされて、僕たちは唇を合わせた。

ゆっくりと時間が流れてほしい。

そう思いながら、静かに唇を離した。

 

「陽菜、お誕生日おめでとう」

 

そう言って一つの紙袋を陽菜に渡す。

その紙袋の中には一つの箱が入っていた。

 

「ありがとうございます、すごく嬉しいです!開けていいですか?」

 

「うん、もちろん」

 

陽菜はソファーに座って、箱を開けた。

そこには……

 

「わぁ……いいんですか?」

 

「うん」

 

箱の中には腕時計が入っていた。

銀をモチーフに、すこしピンクがかったブランド品。

陽菜の高校ではピアスやイヤリングを付けれないならと思って、時計を選んだわけ。

あまり派手なものは付けれないし、俺もあまり派手なものは好きじゃないからシンプルなものにした。

それともう一つ……

 

「袋……?」

 

小さな小物が入った袋が中に入っていた。

その中身は……

 

「わぁ……可愛い!」

 

亀のストラップが入っていた。

スマホに付けれるようなタイプのものを選んだのだ。

陽菜のスマホに何もストラップが付いてなかったから、それは寂しいかなと思って買ったんだ。

 

「うふふ、ありがとうございます。大切にします!」

 

「陽菜……ありがとう……」

 

陽菜の笑顔が弾けていた。

渡して良かったと改めて思う。

そんな時、舞花から電話が掛かってきて……

 

「ん?舞花どうしたの?」

 

「陽菜いますか?」

 

「ああ、いるけど……」

 

「今日の夜ご飯はすき焼きだから、早く帰ってきてって言ってください」

 

「うん、わかった。ありがとう」

 

って舞花には言われたけど、それは、サプライズにしよう。

その方が陽菜も嬉しいだろうしね。

だから舞花には「夜ご飯はサプライズということで」って文字を打った。

 

「さ、みんなも待ってるし、帰ろうか。寮までついていくよ」

 

「うふふ、ありがとうございます」

 

気づけば空も暗くなっていた。

舞花たちも待ってるし、暗い夜道を一人で歩かせるのはマネージャー、いや恋人としてどうかと思うからね。

 

2人で夜だからこそできるお話しをたくさんした。

これからのこと、今のこと、昔のこと……

どれも話しているだけで楽しかった。

 

「さ、着いたよ」

 

「ふふっ、ありがとうございます。マネージャーさん……」

 

陽菜は顔を近づける。

もう一度唇を合わせた。

照明に照らされて。

ゆっくりと唇を離して……

 

「マネージャーさん、また明日」

 

「うん、また明日」

 

陽菜を寮まで送った。

今日の夜は舞花たちがすき焼きを用意しているから、どんな反応をするのかな……すごく楽しみだ。

寮の近くには桜が咲き始めていた。




皆さん、こんにちは。おみです。
今日は陽菜の誕生日ですね!おめでとうございます!
推し以外の小説を書いたことがなかったので、どんな感じか迷いながら書きましたが、いかがでしたか?
感想などくださると嬉しいです!
「あの日、幸せの花が咲く」を読んでいただいた方はあることに気がついたでしょうか?
実はこの小説では、マネージャーの一人称が「僕」ではなく、「俺」になっていたんです!(もしそうなってなかったら僕のミスです)
僕個人は文章を書く際に一人称で「俺」を使うことはないので、すごく新鮮で、違和感がすごかったです(笑)
さてこの小説は1話のみです。
今まではマネージャー絡みの話が多いですし、今後も続いていきますが、もし時間があればチーム内のお話なんかも書いていきたいと思いますので、応援してくださると嬉しいです!
それでは次の小説もお楽しみに!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。