ここは瀞霊廷。死神たちが過ごしている場所。ここに足を踏み入れてすぐに戦闘が始まった。そこにはあたしこと…バンビエッタ・バスターバインもいた。普段のあたしであれば戦場を駆け回っていただろう。
でも、今回に関してはそうはいかない。それはあたしの隣に立っている…一人の男性が関係している。その男の名は『ルイ』。あたしたちの育て親である男。本当は待っていて欲しかったんだが、どうしても行くと言って聞かないので仕方なく、あたしが付いていくことになった。一人で行かせるなんて選択肢は絶対にない。
「ルイ」
「どうしたの?」
ルイは涼しい顔をしていた。あたしたちにすごく心配されていることを知らないように。まあ、ルイは知らないだろうから仕方ないけど。
「あたしの側から離れないでよ」
「大丈夫だよ。バンビエッタは自分の身だけを案じてくれば。自分の身は自分で守るからさ」
「だめ。あんたに傷でも負われたら私たちは一生自分たちのことを恨むことになる。あたしたちはあんたに返せないほどの恩がある」
「そんなこと僕はしていないよ」
本当にこの人は優しい。いつも優しい笑顔を浮かべていて、あたしたちのことを包んでくれた。それがあたしたちにとってどれだけ救いになったのか分からないだろうな。ルイが居なければ私たちは誰かに心酔するようなことはなかった。
「はぁ…あんたはすごいんだよ。あたしたちがここまで執着している時点で」
「普通だよ。僕は特別なことなんてやってないよ」
「あんたはすごい。これだけはあたしでも断言できる。それぐらいにあんたはすごい」
「そうかな?」
「そうだ。あんたが強いのは分かっているが、もし、あんたの身に何かあったらあたしたちは一生自分たちのことを恨むことになるからな」
ルイが付いてこないでと言ってもそれを素直に『はい』と答えることは出来ない。唯一、ルイの命令であったとしてもだ。
「どうしても付いてくるんだよね?」
「ええ、傷を負わせないためでもあり、迷子にならないようにね」
完璧のような存在に見えて、ルイには一つ弱点がある。それは方向音痴であり、一人では目的の場所に着くことは絶対に出来ないということ。これだけは断言できる。
「僕はキミたちよりも年上だよ。さすがにもう迷わないよ」
「いや、絶対に迷う。もう何度そのセリフを聞いたか数えきれないよ。ルイが一人で帰って来れた事なんて今まで一度もないでしょ。そろそろルイ自身でも自分は方向音痴だということを認知してよ」
「いや、僕は方向音痴じゃないです!」
「いや、ルイは方向音痴だ!!」
そしてルイとあたしは1時間以上もこのやり取りを繰り返した。
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