ここは町外れの廃工場。
そこの内装は風化がかなり進んでおり、所々に見えるサビや何年も動いていないであろう重機の数々は、フラフラとやってきた私を歓迎するかの様に、出迎えてくれた。
「はい、はい!それで此処に来るってわけね!!」
「そんな事言ってないで、早く急ぎましょう!みんな来ちゃうよ!?」
私が何処か懐かしく物珍しい世界の感傷に浸っていると、突然どこからともなくと廃工場内に現れた2人組の男女は、赤ん坊を抱えており、声を荒げ、謎に慌ただしくしていた。
そのもの達は私の待ち人であり、互いに互いを知っている中でもある。
しかし、この場では初対面である為、私は男女にどう声を掛ければ良いか悩んでいた。
「チェスター!居るか?」
すると赤ん坊を抱いていた男性の方が、物陰に隠れていた私に向けてそう質問を投げかけた。
「勿論!居ますとも!今回は少し遅めでしたね。あの約束の時間まで残り20分と言ったところでしょうか。『何かトラブルでも?』」
「いや、トラブルって訳でも無いけどさ、まぁ強いて言えば『心の問題』かな?」
「そうですか、それは大変だったでしょうに、、、」
「チェスター、あなたそんなキャラじゃ無いでしょ、良い子ぶるのは辞めて。不愉快。」
男性の方と意思疎通していると、何やら此処に来た時と格好が変わっている女性の方が、私を知った様な口振りでなぜか貶してくる。
「いやー辞めてくださいよ。これでも真剣に心配してましたよ?」
「どうだか。あなたを知っている身としては、その薄っぺらい簡単に剥がせそうな顔が
『嘘でーす!笑』とか言ってるもの。」
「なんか俺の悪口言ってた?」
「あんたに言ってない!!」
さらに私に追い討ちを掛けてくる女性だったが、男性には自分の悪口が言われたと勘違いされており、先ほどまで静かだった工場内は
少しだけだが賑やかになっていた。
しかし、男女は少し言い合い、それが終わると何かの準備に戻り、再び工場内は短い静寂に包まれるが、突然立て付けの悪そうなドアが工場内の入り口付近から開く音がした。
気になって私は入り口付近に向かおうとする中、男女は先ほどよりも慌ただしくしくなっていた。どうやら今来たであろう人物が男女の待ち人でもあり、私の1人目の待ち人で間違いないだろう。
「やばい!もう『1人目』かよ!」
「もう約束の時間も近いから、そろそろ皆んな集まってくる頃かもね!ほら、あんたも早く準備しなさい!」
「了解、全くなんでこんな格好する羽目に!
センスを疑っちゃうね!本当!!」
男女が再び何か言い合っているが、私にはもう何も聞こえない。
私が今来た「参加者」を確認したあと、
先程の男女の元に戻ると他にも数名の「参加者」が既に到着しており、先程の男女の姿はもう無く、赤ん坊のみその場に置かれたままだった。
今来た「参加者」もこちらに向かっており、その足取りは「誇り」が時折垣間見える、堂々とした歩き方だった。
少し時間が経ち、「参加者」はすでに13名に達していた。
「チェスター、あんたいつになったら始める気なのよ!とっくに約束の時間は過ぎてるでしょ!」
「参加者」の1人が声を荒げ、私に問いかけをしてくる。
「どうやら、最後の1人は遅れてくる様です。
悪気はないので、責めないであげてくださいね!」
問いかけた「参加者」はため息をつき、
その場にあった椅子に腰を掛ける。
すると再度、工場内の入り口付近から立て付け悪いドアが開く音がして、続け様に此方に向かってくる足取りは、、、
何も感じさせてはくれなかった。
そして最後の「参加者」である日比谷司は他の「参加者」を前に、身だしなみが整っている上でこう言った。
「すいません!寝坊しました!!」
その声は何故か聞き覚えのある声だった。
「今が始まる」
小さい声ではあるが、その声は先程聞いた声だった。
読んでいただきありがとうございました。
物語のあらすじでも触れていますが、この物語は「タイムトラベル」が主なジャンルになっております。
根気が続く限り描き続けていこうと思いますので、
宜しくお願いします。
キャラクターの身なりや声、性格などイメージはできますか?
-
すごくできる
-
まぁまぁできる
-
どちらでもない
-
あまりできない
-
全くできない