嘘の道導 <英雄 日比谷司>   作:もみじん

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こんばんは!

本当は今回でゲームの参加者は全て登場させる予定だったのですが、
もう少し先になりました。

以上


第七話 過去からの贈り物

<日比谷side>

 

毎朝使っていた石橋を渡る。

 そして歩き慣れた坂道を登りきりると姿を表す母校、私立菊ノ原高校。

 

夕暮れ時、俺は今数年ぶりに母校の土地に足を踏み入れようとしていたーーー。

 

「オット、、これ不法侵入にならないかな。また警察に追われるのは勘弁してほしいし、

裏山側からこっそり入るか。」

 

学校の校門から一歩足を引き、Uターンするかの様に来た道を戻りながら、裏山側へ向かおうとしたのだか、振り返った矢先、白髪の男が学校前の坂を登り切り、此方に向かって来る姿を捉えた。

 

「あいつはーーー!? 」

 

確か、最初工場内で見かけた気がする。

おそらくゲームの参加者だ。

 

「でも、何故此処に。。。

 あいつもこの時期にここにいたってのかよ。」

 

俺の同級生にあんな顔の奴は居なかった。

だとすると後輩か、それとも先輩か。

 正直どちらでも構わないが、あいつが今の俺と会ってしまったら色々とまずい事になるだろう。 その前に、、、

 

「早く俺を見つけないとな。

わざわざ裏山側から入るのも時間が惜しいし、ここは正面から堂々と潜入だ。」

 

今いた校門から右へ行き、来客専用の入り口へ向かった俺は学生の保護者の様に振る舞い、出口付近にいた見覚えのある先生へ声をかける。

 

「旗乃先生、、、でしたっけ?

わたくし2年D組の日比谷司の父でして、

あいつの忘れ物を届けにきたのですが、

今、司はどちらに? 」

 

よし、なんとかそれっぽく騙せただろうか。

あとは「埋め込め」れば嘘に厚みが出るだろう。

 

「おい、司。

 お前、俺がもう40歳間近だからって、おちょくってないか?そんなふざけた事してないで、さっさと始末書提出しろ。

 もう明日で期日だぞ?」

 

「え?!」

 

流石に今の俺と勘違いされるとは思わなく、拍子抜けした声が出てしまったが、まぁ一周回って上手くいっただろう。

 

「あ、あはー、ばれちった〜!

さっすがはたのん、まだ般若の旗乃は死んでないよねー!」

 

「はいはい。 さっさと始末書だせよ?

俺が帰れないんだからよーーー。」

 

去り際に旗乃先生へ手を振り、放課後の校舎内へなんとか入ることができた俺は、2年のクラスがある3階へと向かう。

 

「それにしても、あの時は嫌でしかなかったのに、やっぱ懐かしく感じるもんだな。

 時間が経つっていうのはなんか不思議だな。」

 

俺が見慣れた廊下を歩き、階段を登って自分がいるであろう教室へ向かう途中、この頃を懐かしく感じてしまう嫌な匂いが、目的地である教室から漂って来る。

 

 

 

「いーじゃん!! 帰り遊んでいこうぜ!」

 

「いや。 てゆうかタバコ臭いから近寄らないで。」

 

女子生徒と男子生徒の会話が聞こえてくる。

男はタバコを手に取りながら、女子生徒の肩に手を回すが、女子生徒はそれを嫌がり身を捻る。

そう、残念なことにその男子生徒が私、日比谷司です。

 

そして過去の俺は女子生徒に誘いを断られたのに頭がカッとし、いきなり女子生徒の腕を掴み、壁側へ押しやり耳元で囁く。

 

「お前、あの事いってもいいんだぞ?」

 

「あんたマジで最低。」

 

俺はもう見ているのも辛かったから、

少し女子生徒に対し、手助けをする事にした。

生憎と過去の俺はあんな大胆な事しておきながら、中々のビビりであり、逆に女子生徒側がとても勇敢であることも知っていた為、俺は彼女が逃げ出せるよう隙を作る為、拳を握り、勢い良く腕を振りかぶり、教室の壁に向かって壁ドゥンをする。

すると、2人だけの静かな教室には似つかない大きい音が響く。

 

「??!」

 

すると、急な音に過去の俺は激しく動揺し、その隙に彼女は彼の手を振り解き、教室の出口へ向け、走り出した。

 

「お、おい! 待て! 」

 

過去の俺は彼女を追うべく、近くの机に置いていたスマホを手に取り、彼女の後を辿る様に教室の出口へ向かう。

 

その間に彼女は教室を出て、右へ曲がる、

過去の俺もそれに続くように教室を出て彼女を追いかける。

 

そして、2人は階段がある廊下の角を曲がり、俺の視界から消えていった。

 

「よし、俺も追うか。」

 

俺は視界から消えた2人を追うべく、夕日に照らされている廊下を少し早歩きで歩いていく。

 

「ぐぁああああああーーーー!!!」

 

すると、突然下の方から過去の俺の叫び声が聞こえる。

 俺は何があったのか知るべく、急いで廊下を渡りきり、角にある階段を降る。

 

その間に何故か左手が疼いていたのは知るよしもしなかった。

 

「あ?よく見たらガキ側だったか。

 まぁ、どのみちやる事になんだ。今やったって問題ねーはずだ。」

 

階段を降りきった俺が目にした光景は、

白髪の男が片手に持つナイフを血で染めていて、そのナイフに付着する血の持ち主だったであろう過去の俺は廊下に横たわって、左右に転がりながら、血の出所である左手を押さえ、悲鳴を上げていた。

 

「はっ、ようやくお出ましかよ。

 やっぱここに来るよな?? 日比谷司ァー。」

 

「・・・」

 

俺は白髪の男が俺に殺意を向けていることを自覚する。

 

そして白髪の男はナイフを片手に俺のいる方へと段々と近づいて来る。

 

「過去のお前を殺す方が手っ取り早いが、

過去のお前を俺は恨んじゃいねーんだよ。」

 

「要するに、過去の俺はまだお前に恨まれることはしてないと? 見かけによらず真面目だなお前!!

だったらナイフでザクッとしたこと後ででいいから謝っとけよ?!」

 

「今のお前と話すつもりはねーんだよ!!」

 

白髪の男は一歩、足を強く廊下に踏みつけ、

勢いよく俺の元へナイフを翳しながら向かってくる。

 

「ほら、やっぱりまずい事になった。」

 

俺は微かに疼く左手も含めて、両手を勢いよく握り、臨戦体勢に入るーーー。

 




読んで頂きありがとうございました。

次回からやっとこの物語の軸っぽいものが書けそうです。

めげずに頑張ります。

以上

キャラクターの身なりや声、性格などイメージはできますか?

  • すごくできる
  • まぁまぁできる
  • どちらでもない
  • あまりできない
  • 全くできない

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