少年とウマ娘たち - ススメミライヘ - 作:ヒビル未来派No.24
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あの後、俺とスズカは寮の屋上へとやってきた。
約束を交わした後、お互い感情が熱くなっていたので、気持ちを落ち着かせるために夕涼みへ行こうと提案したのだ。
屋上へ着くと冬のヒンヤリとした夜の空気が肌に刺さる。
……流石に部屋着一枚は寒かったか?
それに一応俺は病み上がりなんだから、そんな夕涼みとか言わずにベッドで休めばよかったものを……。
なんて思っていたけど、空を見上げた瞬間……そんな思いは吹っ飛んだ。
「わぁ……綺麗……」
「あぁ……本当に……」
空には……星空が広がっていた。
雲ひとつない。この都会の空で3等星よりも暗い星が見えそうだ。
「ねぇ、レオくん」
「なんだ? って、呼び方戻っているし……」
「やっぱりレオくんはレオくん呼びの方がしっくりくるから」
「なら、俺もスズちゃんって呼ぼうかな?」
「それはちょっと……後輩もいるし」
「確かに、なら親しみを残してスズとか?」
「う、うう〜ん。それはそれでもっと恥ずかしいような……」
からかうような俺の言葉に、少し苦笑・羞恥しているスズカ。
うん、こんな感じでいいんだよな。
にしても呼び方に関しては、自分も正直スズかスズちゃんしか考えられないから、2人きりの時は今のまま、人の前ではスズと呼ぶことにしよう。
「んで、何言いたかったんだ?」
「あっうん……レオくんはさ、あの町の夜空って覚えている?」
「覚えているよ」
あの町は、このトレセン学園や俺が住んでいるところよりは田舎なので、星はここよりも綺麗に見えてた。
「小学校3年生の時に山に二人で行って、星を見に行った事があったよね」
「……あ〜、確かにあったなぁ」
「その時約束した事覚えてる?」
「約束? ……何かあったっけ?」
と俺はとぼけたが、本当は何となく覚えている。
ほんと、子供は何であんな恥ずかしい約束を簡単に口にできるんだろう。
「あの時レオくん、私にプロポーズしてくれたんだよ?」
「えっいや、そっちが確かしてきた気が……あっ」
矛盾を指摘してから気づいた……スズカがニコニコ笑っていることに。
「やっぱり覚えてた」
「は……嵌められた……」
してやられたと……俺はその場に寝転がる。
ヒヤッとした感覚が背中に伝わる。
すると……スズカが俺の横に座った。
そして俺たちは頭上にある夜空を眺める。
それはまるで、あの時の再現……。
「ねぇ、レオくん。聞いてもらってもいい?」
「……なに?」
スズカの目を見てそれが真剣な話だと分かり、彼女の顔を見て彼女の言葉を待つ。
「私は……見たい景色があるの」
「……」
「だから私は走る……だから、その姿を見てて欲しい」
「当たり前だ。スズカが例え速すぎて異次元に行ったとしても、ちゃんと見つけてやる」
「流石にそこまでにはならないと思うけど……でもお願い」
「あぁ!」
・ ・ ・
次の日、俺は放課後になった後教員室に訪れた。
理由は先生に昨日風邪で休んだ事を謝りに、そしてスズカのことを言いに来た。
先生はあの夜、間近で俺とスズカを見ていた。
そして拒絶した俺を見て……先生は怒りを露わにしていた。
だからもう仲直りしたことを伝えておいた方がいいと考えたのだ。
「もう大丈夫なのか?」
「はい、風邪も……そしてスズカのことも大丈夫です」
「そうか……」
そう言って、先生はそれ以上何も言わなかった。
多分、こっちで解決したことだから、もう口を挟まなくてもいいと思っているんだろう。
「それはそうと先生、一つ聞きたい事があるんですけど……」
「何だ?」
「何で俺とスズカが知り合い同士って分かったんですか?」
「あ〜簡単な話だ。スズカのデータを調べたら出生地がお前と同じだって分かってな……もしかしたらって思っただけだ」
「そうなんですね……」
俺は……この人のお陰でこの学園に入れた。
そしてそれだけではない……スズカと再会するための場所を作ってくれた。
そう思うと……俺はこの学園に入ってから、この人にすごくお世話になっている。
「先生……いやトレーナーさん、ありがとうございます。俺をこのチームに入れてくれて……スズカと再会させてくれて……」
「お礼を言うのはまだ早いぞ、これからどんどん学ばせて行くからな!」
「はい!」
「よし、じゃあこのメニューを先にやっててくれ、俺は後から合流する。後、新しい奴が入ったから挨拶はしておくように」
「分かりました!」
元気よく返事をし、俺は教員室から出て行く。
よし、ちゃっちゃと部室に行くか!
・ ・ ・
校舎から部室までずっと走って来た。
部室の扉の前で一度止まると、さっきまで感じなかった肺のキツさが襲ってくる。
なので一回深呼吸……やっぱもう一回深呼吸……あれ、もう一回……。
「なにやってるの、レオくん?」
「うわっ!? す、スズちゃんか……やべ焦った。いやちょっと走って来たから呼吸を整えてて……」
「走って来たんだ……気合い入ってるね」
「うん……よし、行くか!」
そして俺は扉を開ける。
そこにはウオッカにスカーレット、ゴールドシップ……そして初めて見る子がいた。
「あっ玲音先輩! こんにちわです!」
「玲音さん、もう風邪は大丈夫なんですか?」
俺が入ってきた瞬間駆け寄ってくる後輩2人……ちょっと距離が近いかな。
「うん、心配かけてごめんね2人とも」
2人に声を掛けると、2人の後ろにゴールドシップが仁王立ちをしてこっちを見ていた。
「新人、私は信じてたぞ。こんなところで終わる奴じゃないってな」
「もちろん……ここで終わるつもりはない」
ふっと、ゴールドシップが笑みを浮かべて、その場から横にずれる。
そしてそのゴールドシップに隠れるようにして……その子は立っていた。
「あなたがみなさんが言っていた人ですか!」
そう言う彼女は数歩俺に近づく。
「私、スペシャルウィークって言います! 夢は日本一のウマ娘になることです! 今後ともよろしくお願いします!!」
その元気すぎる自己紹介に、少し俺は驚いて気持ちが半歩後ろに下がる……が、ここまで元気よく自己紹介されたら、返さない訳にはいかないよな……!
「初めましてスペシャルウィーク! 俺は谷崎玲音!! いつか一人前のトレーナーになるために、このチームにいる男だ!!」
みんなの前で大きな声で……俺は高らかにそう宣言した。
あぁ、俺は絶対に……一人前のトレーナーになってみせる……いや、なってやる!!
・2期13話はマジで泣いた。
・トレセンに入ったキタちゃんとサトちゃん可愛い (*´д`*)ハァハァ
・これでススメミライへ、プロローグのような何かに該当するお話は終わりです。
・少し間を開けます。次の投稿は4月3日にする”予定”です、どうぞお楽しみに……。