少年とウマ娘たち - ススメミライヘ -   作:ヒビル未来派No.24

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 前回のあらすじ:玲音はルドルフが卒業することを知る。

・UA229,000突破しました。ありがとうござます!



なぜここにいるのか

「ねぇねぇ、サイレンススズカさんと幼なじみって本当!?」

 

「しかも幼少期の頃からってまじで!? どんな子だったの??」

 

「あぁー! だからもう何度も話したでしょうがぁぁああああ!!」

 

 3学期が始まってからというもの、俺はこういった質問攻めに休み時間があるたびに遭っていた。最初は勉学についていけるだろうかとか、みんなから奇怪な目で見られるんじゃとか不安だったが、そんなことよりもネットとかで自分がサイレンススズカの幼少期からの幼なじみであることを、誰かがバラしやがったせいで今こんなことになっている。

 多分特定班とかそういうやつで、さらに炎上させるために暇な誰かがやったのだろうが、結果としてはこんな状態になっているし、一部「幼なじみにあそこまでできるって尊いのでは?」という声が誹謗中傷の中に紛れてもいた。

 

「俺とスズty──サイレンススズカは同郷ではあるけど、幼少期からは別れて特に話すことないんだって!」

 

「でもでもここで再会したってことは何かあったんだよね! ね!!」

 

「むしろ何かないと男じゃないぞー!」

 

「だーかーらー! 俺とスズちゃんは!!」

 

「またスズちゃんだ!! またスズちゃんっていったぞおおおお!!」

 

 てな感じのやりとりを、ここ数日間繰り返している。まだ良かったことはあの病室のことや年始で一緒だったことはバレていないから、変な関係ではないということだ。ただあんな乱入の仕方をしたんだから、深い関係だと睨んでいる一部のクラスメートがこうやって質問攻めをしているのだ。シンプルに恥ずかしいんだよなんかの罰ゲームかよ!?

 

「はいはいそこまでだ、飯食いに行こうぜ〜谷崎」

 

 そう言いながら尊野が間に入ってくれて、隣にいる道に連れられて教室を出る。その後すぐに尊野がついてくる。ここ数日で出来上がったルーティンだ。

 

「今日も囲まれていたね、玲音くん」

 

「まぁ実際サイレンススズカの幼なじみってなればなぁ、どんな強運なんだよお前」

 

「いやそれに関しては本当にそれな」

 

 そんな他愛のない会話をしながら、食堂まで行き、適当な空いているところに3人で座り、そして昼食を取る。最近のトレーナー学科はどうだーとか、こんな知識がーとか、軽い学生同士の意見交換会にもなっている。

 

「そういえば二人は書いたか?  志望調査」

 

 尊野が言っているものは、おそらく始業式の後に配られた一枚の紙のことを指しているのだろう。トレーナー志望調査書、ここ一年間を振り返り、今一度自分はトレーナーに必要なことを学んでいくか、それとも大学進学や企業就職に向けたカリキュラムを組んでいくかを決めるものと説明された。

 期限は一週間でそろそろではあるが、俺と道はもう出している。

 

「そりゃトレーナーに丸して出したけど、それ以外のやつっているのか?」

 

「意外と多いみたいだよ、理想とのギャップとか、将来に不安を感じてとか」

 

 意外とそういうものなのかと俺は驚く。いやまぁ、俺も一時期自分には何もないことを気付かされたことがあったから、そういった悩みは結構みんなも抱えているのかもしれない。

 

「そういう尊野はどうなんだよ?」

 

「よくぞ聞いてくれた、俺はな」

 

 そう言いながら、バンッと机に志望書が置かれた。そこには就職に丸がついている。

 え??

 

「おまっ、就職の方を選んで──」

 

「トレーナーに転属ってどういうことなの尊野くん!?」

 

 就職についていた丸に驚いた俺に対し、道はその先にあることに対して驚いていたようだった。その言葉を聞いてしっかり見てみると、そこに『トレセン学園トレーナー転属』と書かれていた。

 

 俺もそれに驚いて尊野の方を見ると、尊野はまるでジョジョ立ちでもしているかのようにポージングしながら右手と人差し指と中指でバッジみたいなものを挟んでいた。

 

「「……レプリカ?」」

 

「なんでこの流れでレプリカになるんだよ! ってかなんでハモるんだよ!!」

 

 尊野はバンッ!と両拳を叩きつける。水を入れた紙コップが少しだけ浮いた気がした。

 だがそのトレーナーバッジが本物だということは、トレーナーを目指している俺らにとってはすぐに認識できるものだった。ただ先生や東条さんがつけている色とは、また違う色だということが気になる。

 

「でもなんで尊野くんが? トレーナーバッジって取れるのはせめて20歳になってからでしょ?」

 

「去年の夏に短期で海外に行って、俺の年齢でも取れるところで取ったんだよ。ほぼ言語勉強で海外を満喫する余裕もなかったぜ」

 

「けど尊野、ここに通っていれば自ずとトレーナーバッジを取れるレベルの知識を得られるんだぞ? なんで海外でわざわざトレーナーバッジなんか」

 

「キングのためだ」

 

 俺の質問に対して、尊野は即答で、そしてとても真剣な顔で答えた。その顔はまるで見たことのない、知らない学友の表情だった。

 道もそれを感じたのか、少し目を見開きごくりっと固唾を飲んだ。

 

「あの子はあそこで消えていい存在じゃない、けどトレーナーはそれに気づいていない。なら俺が導く、どんなに無謀だとしてもな」

 

「彼女のこと、そこまで気にかけていたの?」

 

「ダービーの後、契約を結んだからな、『一緒に一流になる』って」

 

 そういった後、尊野はビシッと俺と道のことを指差して、笑みを浮かべながらこう叫んだ。

 

「俺は先に行ってる、うかうかしてたら追いつけねぇほど遠くに行ってやるからな!」

 

 尊野のその言葉に対して、俺と道も笑みを浮かべながらコクリッと力強く頷いた。

 

       ・ ・ ・

 

 その後はまたいつものテンションで昼ごはんを食べた。目の前の人間がどこまで先に行ったとしても、友人としてのこの距離感は変わらないんだろう。数年後俺らが大人になったとしても、こういった距離感なんだろうか。なんて突拍子もないことを考えていると、いつの間にか食べ終えていた。

 そのまま片付けようと俺たちは席を離れて、食器の返却口の方に足を向ける。その時だった、俺の視界の端に車椅子に乗った幼なじみの姿が見えた。

 スズカ、学園に来れるほどには回復したのか。そう思い、視線を外そうとすると今度はスズカが俺の方を見た。じっと見過ぎて視線にでも気づいたのだろうか。スズカがこっちを見ながら手招きをする。

 

「ひゅ〜、視線だけで語り合えますよってか」

 

「茶化さないの尊野くん、玲音くん先行っているよ」

 

「あだだだだだだ!?!?」

 

 道が器用にトレーを片手で持ちながら、尊野の耳辺りに引っ張ってその場を去っていった。あれ結構痛そうだな…。

 俺は道に甘えて、そのままスズカの方に近づく。俺が近づく度にゆっくり揺れるウマ尻尾の振れ幅が大きくなっている気がした。

 

「学園来れるようになったんだな、スズ」

 

「…お陰様でね、まだ当分は車椅子だとは思うけど」

 

「俺は何もしてないよ、スズが頑張ろうとしている証拠だろ」

 

「……」

 

 スズカの顔は、笑顔から少し悲しそうな顔、そしてむすっとした表情に変わっていった。え、なんで? 俺なんか変なこと言った?

 

「す、スズ? どうし──」

 

「それ、やめて。スズちゃんって言ってよ、私もレオくん呼びだし…」

 

 きゅっと、制服の袖を掴みながら、上目遣いでこっちを見てくるスズカ。その姿に俺の心臓はドクンッと跳ねる。くっそ俺の幼なじみってやっぱ可愛すぎないか…!? 普段はクールな方なはずなのに、こういう時は甘い顔になるのは反則すぎるって…!?

 やっぱあの病室での一件があってから、前以上に俺はきっとスズカのことが好きになっている。ずっと会えなかった寂しさと守れたことによる安堵感、そしてずっとこうしたかったという欲望が合わさり、もうどうしようもないくらいにスズカのことを……言葉にするのも勿体ない。

 

「わ、分かったよ。スズちゃん」

 

「うん、レオくん♪」

 

「スズカさーん! プリン買って──って玲音さん!?」

 

「やぁスペ……いやプリン多くない??」

 

 振り返ってみると、そこには両腕いっぱいにプリンを抱えていたスペがいた。一個ぽろっと落ちそうになったので、慌てて手を伸ばしなんとか掴む。そしてスペはそのまま向かいの空いている席に座った。

 

「スペ、お前まさかそれ全部食べるつもりじゃ」

 

「そ、そんなことありませんよ! す、スズカさんと一緒に」

 

「わ、私もそんなに食べられないのだけど」

 

「えっ!?」

 

 苦笑を浮かべるスズカに、驚くスペ。いや何をそんなに驚くんだ。ちょっと考えればこれがどんだけ多いのかは分かるだろうに。

 

「れ、玲音さんも食べますか?」

 

「いいけど俺でも限度ってものが──」

 

「お困りのようですね」

「お困りのようデース!」

 

 その声と共に現れたのは、グラスとエルだった。二人とも俺と同じように食べ終わったトレーを持っているため、俺と同じく食べ終わって片付けようとしたタイミングでここに通りかかったんだろう。

 そのままグラスは俺の横に、エルは向かいに行ってスペの隣に座った。

 

「もうスペちゃん、いくらスズカ先輩に良くなって欲しいと思っていたとしても、ここまで空回りしては台無しですよ?」

 

「あはは…スズカさんのために、何かしなきゃ!ってなっちゃって」

 

「それで授業中にあんなノートを書いていたんデスねぇ」

 

「「ノート?」」

 

 仲睦まじい同級生のお話に耳を傾けておきながら、さりげなく出てきた言葉に俺とスズカは一緒に反応した。

 

「スズカ先輩に対してできることを、ノートにまとめていて、先生に怒られてマシタ〜」

 

「何やってんだスペ…」

 

「だって、私にもできることは何かないかって真剣に考えていたんですよ!」

 

「それで勉学に支障が出てしまったら、本末転倒というものですよスペちゃん」

 

 グラスは笑っていた、笑ってはいるのだが、どことなく般若のお面が見えるほど怒気が漏れ出ていた。隣にいる俺ですらピリピリと伝わってくるレベルだ、スペも分かっているようで、耳がしゅんっとへたっていた。

 

「うっ、こ、今度から気をつけます」

 

「まぁまぁ、まずは…このプリンの山をどうにかすることを考えよっか」

 

 この後、お昼休みギリギリまで使ってなんとかプリンの山を5人で食べ切った。おそらく、スペ以外の俺含めた4人は、しばらくプリンは食べなくてもいいと思ったに違いない。

 

       ・ ・ ・

 

 昼に食べたプリンによるむかむかに耐えながら、なんとか放課後を迎えて、俺はチーム・スピカの部室まで足を運んだ。

 年末に忘年会で来たとはいえ、普通の状態になっている部室に来るのは、あの事件以来だ。あの時とは違って、ようやく帰ってきたみたいな感傷に浸りつつも、ゆっくりと部室の扉を開けたのだが。

 

 その先には制服のまま、片手逆立ちをしながらじーっとしている銀髪のウマ娘…あーいや、これもしかしてゴルシか?? 逆立ちをしているからか分からないが、トレードマークである帽子を横に置いている。あれ、ヘッドホンも外しているのか。

 いやにしても本当に焦った。ゴルシってこの二つがなくなると一気に美人になるんだと驚きが隠せなかった。だがまぁ、ゴルシだと分かれば何も驚くことはない。

 

「何してるんだよゴルシ、ジャージにも着替えずに器用にスカートを片手で押さえて」

 

「ん? あぁー新人か。んや、アタシはなんでここにいるんだろうなぁってな」

 

「それがそれを考える時にする姿勢か?」

 

「人間時々ふと考えるだろ? なぜ生きているんだとか、なぜ自分はいるんだとか、なぜカーネル・サンダースなのかとか」

 

「最後のケンタッキーに関してはなんの意味があるんだよ、姿勢の答えにもなってないし」

 

「まっ、このゴルシちゃんには悩むことが多いってこった」

 

 よっと、という掛け声と共に、ゴルシはそのままくるっと器用にハンドスプリングで体を起こす。こいつ高身長でモデル体型だから、こういう動き地味に合うんだなぁ。

 にしてもゴルシっていつもあの帽子と耳当てをつけているよな、あれがトレードマークになっているっていうのはあるが、でもないほうが美人といえば美人だ。何か拘りでもあるんだろうか。

 

「なんだこのゴルシちゃんの顔を見て、なんもやんねーぞ?」

 

「いや、お前って美人なのにもったないよなぁってな」

 

「しばいて欲しいのか?? うちのじいばあちゃんに謝れやぁ!!」

 

「そこは両親じゃないのか…」

 

「っと、忘れてた。トレーナーがお前が来たらトレーナー室に来るように伝えろって忘れてたぜ」

 

「なら俺はそっちに行くよ、ゴルシもさっさと着替えて練習始めろよ〜」

 

 俺はそのままカバンを適当なところに置いてから、トレーナー室に向かった。

 

「…………」

 

       ・ ・ ・

 

 トレーナー室の前に来た俺は一度呼吸を整えてから、扉をノックする。返事が返ってきたので、「失礼します」と言ってから、扉を開けて部屋に入る。久々に入るトレーナー室はどこか埃っぽくなっているというか、あまり清掃がされていない感じがした。

 

「おぉ来たか、適当に座ってくれ」

 

 俺は適当に空いているソファーに座る。先生は簡単にお茶を淹れて出してくれる。いわゆる粗茶というやつだが、むしろこういうものでいいんだよ的な味わいがある。

 

「おまっ、まぁまぁ熱いから気をつけろよ?」

 

「え? あぁすみません、寒かったのでつい」

 

 今俺の目の前に出されたお茶は湯気がしっかりと立っていた。おそらく、ポットとかで保温していたお湯でそのまま出している。てことはだいたい90℃くらいのはずだ。それをふーふーもせずにそのまま飲んでしまったのだから、先生は火傷を心配したのだろう。

 とりあえずやっちまったものは仕方ないので、少しだけ舌を出し右手を扇ぐ。

 

「気をつけろよな。んでどうだ、久々の学園生活は」

 

「周りから迫害されるかなと思っていたけど、結構受け入れられていることに、ちょっと驚いていますね」

 

「迫害って、同じ学舎でそんなことが起きたら気まずいなんてレベルじゃないだろ」

 

「ははっ…確かに、アニメ見過ぎかもですね」

 

 先生のやれやれな口調に対して、俺は乾いた笑いしか返せなかった。

 

「それで、お前を呼び出したのはこれについてだ」

 

 ばさっと、先生は2枚の紙を机の上に出した。そこに書かれていたのは、『ダイワスカーレット」と『ウオッカ』。チーム・スピカにいる二人の練習やこれまでのレースデータ。そして現在のステータスを簡単にまとめているものがあった。

 

「先生これはどうい──」

 

「今から一週間以内に、お前が付きたい方を教えろ。そして半年間、そのどちらかがお前の担当になる」

 

「は??」

 

 衝撃が強すぎて、俺はあまりにも反射的に言葉を漏らしてしまった。半年間、お前の担当になる。ってことは、どちらかのクラシック期間の半分に、責任を持つということになるのではないか?

 それは、あまりにも学生トレーナーには重すぎる。いや、そもそも現時点でもだいぶ学生トレーナーとしては恵まれている方だ。なのに実際にクラシック期を迎える娘を担当する? そんなの許されていいのか?

 

「先生、それはあまりにも二人の未来を潰すようなことをしているんじゃないんですか!?」

 

「なぜそう思う?」

 

「だって先生と俺じゃ知識も経験も違いますし、それにクラシック期という大切な時の二人のどちらかを俺みたいなやつで潰すなんて二人が認めないですよ!?」

 

「ならお前は、どっちを選んでもそのどちらかの娘を破滅させるんだな」

 

 その一言を言ったトレーナーの声はとても鋭く、とても冷たかった。いつものお調子者の声なんかじゃない。今までで聞いたことのない、沖野トレーナーの声だった。

 

「玲音、お前はなんのためにここにいる」

 

「それは、もちろんトレーナーになりたくて」

 

「ならそのトレーナーは何をするんだ?」

 

「それは、あの娘たちを支えて、一緒に成長して、共に勝利を目指す」

 

「 大 前 提 は ? 」

 

「……」

 

 トレーナーにそう言われて、俺は何も答えることができなかった。俺がこの約一年間で学んできたことは、俺がさっき言った通りだ。ウマ娘と共に成長しながら、時には支え、時には支えられながら目標を目指していき、お互い切磋琢磨していく。それがトレーナーにとって”大切なこと”なはずだ。

 でも今先生は”必要なこと”を聞いている。それを答えることが、俺にはできない。つまりまだ俺は本当の意味で教わっていない何かがあるということだ。

 

「お前はウマ娘たちと距離感が近い。それは別に悪くない、それはお前のいいところだからな。だが、だからこそ蔑ろにしていることがある」

 

「蔑ろにしていること?」

 

「それは、ウマ娘の人生を預かる重責だ」

 

「じゅう、せき?」

 

 先生はその場から立ち上がると、そのまま俺の方に近づく。

 そしてゆっくりと手を伸ばし、俺の顔の目の前で手を開きながら止めた。正直一瞬、アイアンクローとか首を絞められることを覚悟していたが、そんなことはなかったようだ。

 

「お前は誰かの運命に、当たり前のように深くに突っ込むからこそ気づいていない。いいか、ウマ娘とトレーナーは一蓮托生とはいうが、その前にまずは赤の他人同士だ。トレーナーというものは、そこから他人の人生や運命に飛び込んでいくものだ。そして飛び込むだけじゃない、寄り添い支え合い、時に喜び傷つき合い、その娘の人生や運命を──」

 

 ぎゅっと、とても力強く俺の目の前でその拳を握る。シュッという手のひらの中にあった空気が抜ける音が嫌に耳に残った。

 ただ、先生から伝わるこの感覚。それはきっと、悔しさだ。ギリギリッと音を立てぐちゃりっと生ぬるい何かを握りつぶしているような、はたまたガラスで作り上げたそれを握り潰しガシャンッと砕けているような、そういったイメージが伝わってくる。

 伝わるんだ、この人からそれが。実際に堕ちないと分からないそのイメージを。

 この人にも、そんな存在がいるんだ。と俺は受け取った。

 

「その手で壊すことだってある」

 

「っ…」

 

「トレーナーには、そうした重責を背負う覚悟が必要だ。お前にその覚悟を見せて欲しかったが、俺の期待外れのようだったな。玲音、お前は──」

 

「待ってください!!」

 

 先生が言おうとした何かを遮って、俺は声を上げた。先生はきっとこんな俺の言葉を聞かずに、自分自身の言葉を続けても良かったはずだが、俺の発言を待ってくれるようだった。

 先生の目をしっかりまっすぐ見る。そうしないと、言葉が詰まって自信がなくなりそうだからだ。

 

「2日、ください。スカーレットとウオッカ、一人ずつ話し合って、どちらにつくか決めたいです」

 

「お前の前に通ったチャンスの前髪は、もうとうに通り過ぎているが」

 

「それでも俺は、この一瞬の判断ではなく。ちゃんとこの目と耳で見て聞いて、そして話し合って、どっちの夢を叶えたいかしっかり決めたいんです。半年間寄り添うなら、なおさら焦る方がダメじゃないですか」

 

「……甘い挑発に乗らないだけ、まだ成長か。よし分かった、二人と話し合うのに土日時間をやる。その次の月曜日に俺に報告しろ。できなかったら、このチームを去ってもらうからな。分かったら返事!」

 

「──はい!」

 




・ビヨンドスズカ、最高すぎません?? 最高すぎる

・次回はウオッカ回の予定です。
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