少年とウマ娘たち - ススメミライヘ - 作:ヒビル未来派No.24
・UA12000・13000、お気に入り200件突破しました。誠にありがとうございます。
・あらすじを少し変更しました。あと新キャラが出ます。(唐突)
早起きは三文の徳ということわざがあるが、それは人によりけりだと思っている。
別に起きるのが遅かったとしても、その分休息ができているということだからそれが減るのが徳かと言われれば少し微妙だ。
しかし人間の脳が活発になるのは起きてから2時間後と考えられていて、その時に仕事や勉強をするのが良いと言われている。
じゃあ俺はどっちなんだ? と訊かれたら……間違いなく後者、つまり早起き派だ。
理由としては活発になる点もあるが、一番の理由としては……。
そう考えながら、は自室内に響くゴリゴリという音と軽快な音と、全体に広がってくる甘い香りを嗅覚や聴覚……そして触覚で楽しむ。
「……よし、こんな感じかな」
今俺は何をやっているのか。それは……コーヒーを淹れているのだ。
中学校1年生の頃だろうか。自分の恩師が職員室でコーヒーを淹れているところを見て、真似したくなったのが全ての始まり。
そしてそれ以降定期的にコーヒーを淹れるのにハマってしまった。
最近は入学したてだったり、スズカの事やスピカの事があったりとドタバタしていて時間がなかったが……流石に心にゆとりができ始めていたので、今日からまた再開することにした。
「お湯は88度、蒸らしを60グラムのお湯で1分……蒸らしを含めた1:1:2で計300グラムっと……よし!」
コーヒーを淹れ終わって、少しだけカップの中に注いで淹れたてを味わう。
よく飲まれている缶コーヒーやペットボトルコーヒーは苦味が強いものが多いが、実際の淹れたてのコーヒーは豆によっては甘さを感じるくらい甘いやつもある。
そして何より……香りがすごくいい。
THE・コーヒーと言うよりはフルーティー・フローラルな香りだ。
「うん、いい感じ」
さて、ここからが本番。
あらかじめ用意していたコーヒー用の水筒に氷をたっぷりと入れる。
そして……まだ熱めのコーヒーを水筒に注ぐ。これでアイスコーヒーが出来上がる。
こうすれば学園のどこでもアイスコーヒーが飲める。
でも俺はこれで満足しない……水筒の横に置いてあった瓶の蓋を取って、瓶の中身をスプーンで掬う。
そして瓶の中身は……蜂蜜。それも普通のハチミツではなくてコーヒー蜂蜜。
そう! 俺が作っているのは蜂蜜アイスコーヒー!!
コーヒーを淹れ始めて1年くらい経った時に、あるお店で飲んだ蜂蜜アイスコーヒーが物凄く美味しかったのだ!
だからこうやって水筒に蜂蜜アイスコーヒーを淹れて、授業や学校で疲れた時に飲むのにハマってしまったのだ。
この蜂蜜アイスコーヒーは豆やその焙煎度を細かく調整し、50以上の蜂蜜を試して一番合うと思った玲音ブレンドのコーヒーだ。
・ ・ ・
「うわっなにこれ美味っ!?」
「ほんとほんと、甘くて……でもスッキリしている。うん……美味しい!」
お昼、俺と尊野と道は3人で食堂でお昼を取る。
んで、その時に蜂蜜アイスコーヒーを2人に振る舞った。
ちなみに俺自身水筒に口をつける行為自体がそんなに好きじゃないので、紙コップは持参しているのでそれに注いでいる。(でもペットボトルや缶・ビンの飲み物は口つけるのは大丈夫なんだよなぁ)
反応としては上々だった。
放課後になって部活の途中、俺はちょくちょく蜂蜜アイスコーヒーを口にしていた。
そしてその匂いが先生にも届いたのか「少し一口くれるか」と言われた。
紙コップにコーヒーを注いで先生に渡すと、先生はコーヒーを一気飲みする。
「お〜こりゃ〜いい。オハナさんといい勝負じゃないか?」
「おハナさん?」
「知らないか? リギルのトレーナーのオハナさん。あの人も豆から淹れるのが好きだからな……」
「へぇ〜……」
……ちょっと待て? チームトレーナーにはそれぞれ別々の個室が用意されているはず……なのになんでスピカのトレーナーである先生がリギルのトレーナーのところに行っているんだ?
……これ以上考えるのはやめとこう。
・ ・ ・
練習後にもチームのみんなに振る舞ってみた。
蜂蜜が使われているから、疲労回復にも良いだろうと思ったからだ。
「プハー! 玲音先輩、これ美味しいですよ!」
「ちょっとウオッカ、あんた普通に飲めないの? あっ、美味しいですよ玲音先輩」
「うわぁ……私コーヒー飲んだの初めてですけど、こんなに美味しいんですね!」
「……美味しい。レオくん、会っていない間に良い趣味見つけたんだね」
チームのメンバーにもまずまずの印象。
でもなぜだかゴールドシップはコーヒーを飲もうとせず、代わりにキンキンに冷えたお湯(つまり常温水)を飲んでいた。
なんで飲まないんだ? って聞いても「それは調べてみろ」と言われてしまった。
寮に帰ったら調べてみるか。
・ ・ ・
練習の後、俺は学園の近くにある公園に訪れた。
そしてそこのベンチで蜂蜜アイスコーヒーを飲む。
目の前には遊具で子供たちがわいわいと元気よく遊び、走り回っている。
その光景が……何となく俺は好きだ。
子供っていうのは良くも悪くも純粋無垢で穢れがない。
癒しになる……そう言った方が良いだろう。
「えぇーそんなー!!」
「ブウウゥゥー!!」
と、耳が劈かれるような誰か叫び声が俺の耳届き、俺は某探偵物語の主人公みたいに飲んでいたコーヒーを噴き出す。
「ケハッケヘ……な、何だ?」
俺はベンチを離れて声のした方に行ってみる。
そしてそこにいたのは……1人のウマ娘だった。
その子は地面に膝を付けながら、目の前の虚空を見ていた。
「Funny Honeyが今日やっていないなんて……ボクはどうすれば……」
「……あの〜、大丈夫?」
「えっ……あっ、大丈夫だよ」
そう言うと、そのウマ娘は立ち上がってこっちの方を向く。
「ごめんね、ちょっといつもやってる蜂蜜ドリンク屋がやっていなくてショックだっただけだから……」
……蜂蜜ドリンク屋?
最近若者の間ではタピなんとかドリンクが流行っているって言うのは耳にしたことはあるが……。
にしても……蜂蜜か。
ふと俺はカバンの中に入っている水筒を見る。
「迷惑かけてごめん、それじゃーー」
「あのさ……蜂蜜コーヒーならあるんだけど、よかったら飲む?」
「えっ?」
「……」
俺、なんて事を口走ったんだろう。
まださ、クラスメートや先生・チームのみんなに振る舞うのは良いだろ? だって見知らぬ仲じゃないしさ。
でも……目の前にいるこの子は今初対面した見知らぬウマ娘だ。
俺はともかく……彼女からしたら不信極まりない人がなんか変な事を口走っているようにしか聞こえないよな……うん。
「……あれ、その制服ってトレーナー学科の?」
「んっ? あぁ……」
「ふ〜ん……じゃあ貰おうかな、そのコーヒー」
「……んっ?」
なんか……会話が成立していないような気がする。
何でトレーナー学科だったら貰おうって事になるんだ?
そう思っていると目の前のウマ娘は一番近いベンチに腰掛ける。
「どーしたの、キミも座りなよ」
「あ、あぁ……」
俺もベンチに腰掛けて、紙コップにコーヒーを淹れて隣にいるウマ娘に渡す。
ちなみにこれが最後の一杯だ。
「あっ、これ美味しい」
「そう? ならよかった」
とりあえずお口に合ったみたいでよかった。
そして隣にいるその子はゴクゴクとコーヒーを飲み干した。
「ご馳走さま、ありがとね」
「どういたしまして」
コーヒーを飲み干し、こっちに笑顔を向けてくれるウマ娘……そろそろウマ娘って心の中で言うのも億劫になってきた。
この際、名前を聞いてみようか……いや、それは失礼じゃないか?
「キミはボクの名前を知っているよね? トレーナーなんだし」
「……すまん、分からない」
と言うかトレーナーじゃないだし、初対面だから分かる訳が無い。
「えぇ〜ボクのこと知らないの? ボクはトウカイテイオー! 夢はカイチョーみたいなウマ娘になること!」
「かいちょー……シンボリルドルフのこと?」
「そうそう! カイチョーのことはもちろん知ってるよね!」
その後俺はトウカイテイオーに『シンボリルドルフ会長の素晴らしいところ』を長々と聞かされた。
でもただのファンではなく……尊敬していて、そして同じところに立とうとしている覚悟が垣間見られた。
こういう子が……伝説を生むんだろうな。
そして何でトレーナー学科という理由で飲んでくれたのかトウカイテイオーに聞くと、彼女は俺のことをスカウトしに来た人だと思っていたらしい。
「えっ、じゃあスカウトしに来た訳じゃないの?」
「……あぁ」
「じゃあ何でボクに声を掛けたの?」
「いやまぁ……なんかほっとけなかったというか……自分でも分からないんだよな」
「なにそれ、変なの」
そう言うとトウカイテイオーは「よっ」と声を発しながら勢いよく立ち上がる。
「それじゃボクはそろそろ家に戻るよ、またね」
「うん、トウカイテイオーさんも気をつけて」
「さんは付けなくていいよ、気軽にテイオーって呼んで!」
「分かった……じゃあテイオー、またな」
「うん、またコーヒーご馳走してね〜!」
そう言いながら、テイオーはこの場を走り去って行った。
さてと、じゃあ俺は寮に戻るかな。
・新キャラはテイオーでした。(あらすじ、出会ったウマ娘)
・タピなんとかは一回も飲んだ事ないです。
・僕はカフェオレ・ラテが好きです。
・次回はマックイーン回の”予定”。(甘々むずい)