少年とウマ娘たち - ススメミライヘ -   作:ヒビル未来派No.24

16 / 120
 前回のあらすじ:玲音、まさかのスペのデビューレースの日に寝坊。

・UA19,000・20,000・21,000を突破しました。ありがとうございます。

・後編書いてたらあまりにも長くなったので、一つ玲音パート挟みます。後編(レースパート)もすぐ出す予定なので……みなさん、お許しください!(チャー研風)


悪夢か……現世か……

 俺は……いつも通りの時間に起きた。

 

 そう……”いつも通り”に起きてしまった。

 

 今の時間は7時00分。

 

 平日は早起きの俺だが、その代わり休日の寝起きは遅めなのだ。

 

 そしてその時間にいつも時計をセットしている。

 

「……」

 

 身体が震える……心なしか肌寒くもなってきた。

 

 とりあえず枕元に置いてある携帯のアラームを止める。

 

 そしてそれと同時に浮かび上がる……夥しいほどの不在着信……。

 

 その名前のほとんどが『先生』だった。

 

「っ!」

 

 すぐに不在着信の一つをタップして、そのまま先生に電話を掛ける。

 

 ワンコール、ツーコール、流れて……。

 

「お掛けになった電話番号は現在電波の届かない場所かーー」

 

 そりゃそうだ……今日は6時30分に東京駅集合だったんだ。もうスピカのみんなは新幹線に乗って阪神に向かっている。

 

 1時間くらいだから……もう熱海くらいか? あそこら辺は確かトンネルが多かったはず。

 

 あ〜もう! 考えるな!! 考える暇があったら動け!!

 

 着替えは予め椅子の上に置いていた、着替えるのには1分で十分!

 

 今から走って駅に向かって……乗り換えて……のぞみで向かう!

 

 ちゃんと財布は持った……よし走るぞ!!

 

   ***

 

「……チッ、ここらじゃあダメか」

 

 今俺たちは新幹線に乗っている。だがトンネルが多いこの区間は圏外になりやすい。

 

 それにしても……まさか玲音が寝坊するとはな。

 

 一応時間には余裕を取ってあった、だから今から向かえば玲音は間に合う。

 

 だが問題は……急ぐ事に意識が行ってしまい、事故を起こす可能性。

 

 玲音……こういう時こそ冷静になるんだ。急がば回れってやつだ。

 

 って言いたいがその手段がない。

 

「……何も起こすなよ、玲音」

 

   ***

 

「はぁはぁはぁ……よし、何とか乗れた」

 

 走ってギリギリだったが、何とか特別急行に乗れた。

 

 今から終点の新宿まで乗って、そこからJRに乗り換えて品川、んでそこで新幹線に乗って……。

 

「大丈夫、スペシャルウィークのレースには間に合う」

 

 ここで一息つこう……どうせ電車内は急いでもどうしようもない。

 

   ・ ・ ・

 

 駅内はダッシュしたらダメだ……周りの客に迷惑をかける。

 

 でも階段は一段飛ばしで少しでも時間短縮……んで、ここから新幹線……乗り場どこ?

 

 えっ? えっ? 何このパレスというかダンジョンというか迷路は? いやどれも同じ意味だけど。

 

 これ、どうやって行けばいいんだ?

 

   ・ ・ ・

 

 な、何とか新幹線に乗れた……。

 

 だけどのぞみは指定席orグリーン車、しかもグリーン車しか空いてなかったから、俺の財布の中にいた諭吉さんが1人余裕でグッバイしてしまった。

 

 一応領収書は印刷したが……これは学園が負担してくれるのかな。でも遅れたから自腹の可能性があるな……グッバイ僕の普通の食生活。ウェルカム・マーチもやし生活。

 

 まぁ、それはいい。

 

 後は2時間ずっと座っているだけだ……。

 

 あっ、そうだ、今ならまだ圏外にならないはず……よし、先生に向けてメールを送信。

 

 連絡番号からメールも出来るなんて、いい時代になったものだ。

 

 ……あれ、なんか眠くなって……いやダメだ、これは寝過ごしたら博多まで行ってしまう。

 

 でもそんな俺の意思とは裏腹に俺の瞼はゆっくりと閉じた。

 

   ***

 

 ガタンガタンと言う音と共に揺れる体……俺は電車に乗っていた。

 

 あれ、俺って確か……新幹線に乗っていたような。

 

 ここはどこだ?

 

 そう辺りを回してみると、不自然なところが一つあった。

 

 ……誰も乗っていないのだ。

 

 今日は平日、ここまでガラッとしているのはおかしい。

 

「まもなく仁川〜仁川〜、お出口は〜ーー」

 

 そう考えてると車掌アナウンスが流れた。

 

 仁川駅というと、阪神レース場の最寄駅だ。

 

 もう着いたのか……電車が駅のホームに入り、徐々にスピードを落としていく……停止し、ドアが開いた。

 

 俺は電車から降りる……すると、また不思議なことが起きた。

 

 改札を通ったつもりはなかったのに、もう駅の外に出ているのだ。

 

 なぜだ? とは思ったが時間がないので細かいことは考えないようにする。

 

 スマホのナビを起動して、阪神レース場に向かって全速前進DA☆

 

 俺はそう思い、阪神レース場に向かって走りだーー

 

 ……その瞬間、何が起きたのか分からなかった。

 

 何で俺は今吹っ飛んでいるのか……理解したのは1秒後。

 

(俺……トラックに轢かれたのか)

 

 何かバキバキと聞こえてはいけない音が俺の身体中のあちこちで鳴り響く。

 

 グサグサと身体中が何かに刺されたかのような痛みが襲う。

 

 パンッ! 自分が生きるために必要な大切な何かが破裂した音が耳に届く。

 

 そして理解したのは2秒後。

 

(あっ……こっちにまた突っ込んでくるな、これ)

 

 俺を轢いたトラックはそのままスピードを緩めずにこっちに向かってくる。

 

 まぁ、でももう最初に轢かれた時点で助からないと思うが……。

 

   ・ ・ ・

 

「次のニュースです。昨日お昼頃、仁川駅にてトラックが暴走、制御不能になり空き店舗に突っ込みました」

 

 トラックの運転手は脳梗塞により意識不明になり、アクセルが踏みっ放しになり暴走、数十メートル先で人を轢きながら空き店舗に突っ込んだ。

 

 この事故により10代男性とトラックの運転手が病院に運ばれたが、10代男性は死亡、トラックの運転手は両足の骨折するなどの重症を負った。

 

 そんなニュースが……俺の脳裏に浮かんでくる。

 

 その時、誰かが俺の名前を呼んだ。

 

 大事な物を失くして、それが帰って来て欲しいと懇願するように強く……泣き叫んでいる。

 

 アノ声ハ……ダレダ……?

 

   ***

 

「まもなく、新大阪です。東海道線と地下鉄線はお乗り換えです。今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました。」

 

「……」

 

 新幹線の自動車内アナウンスで目が覚める。

 

 新大阪って言うと……俺が降りる駅だ。

 

 いや……でもそれよりも……。

 

「っ、なんて夢を見ているんだ……俺は……」

 

 いくら夢とは言えど……縁起が悪過ぎる夢だ。

 

 とりあえず……降りる準備をしよう。んで降りたら一回先生に電話しよう。

 

 

 

 

 




・専用通路は? と分かる人は思う人もいるでしょうが、玲音は専用通路の存在を知りません。ですので駅から出てそのまま阪神レース場に向かうと思っています。

・後編もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。