少年とウマ娘たち - ススメミライヘ - 作:ヒビル未来派No.24
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・ライス・玲音回はまたの機会に……。
「んで、何か言い訳はあるか?」
「……」
ライスシャワーというウマ娘に会い、そして頭を撫でた後……俺はスピカの部室に行った。
そしてそこで待ってたのは……仁王立ちをした先生だった。
そうだ……俺って遅刻していたんだった。
あの屋上でいろんなことがあったから……すっかり忘れていた。
ていうか、スペのデビューレースで寝過ごすは今回遅刻するわ……最近の俺たるみ過ぎ?
確かに屋上に呼ばれたけど、それでも「遅れます」とか先生にメッセージを送っておけばよかった。
「……屋上に呼び出されて」
「ほ〜屋上に? 青春だな〜?」
「……」
青春……ってあれは言えるのだろうか。
「それで、返事はどうしたんだ?」
「いや、そういうのじゃなくて……いや、いいです」
「おいおいそんな恥ずかしがることじゃないだろ? おじさんに今の高校生の青春を話してくれよ」
「……面白くないですよ」
・ ・ ・
「会ったことがないのに懐かしく感じた。んで、その子の頭を撫でたと……」
先生に屋上で会ったことを全て伝える。
分かっていたことだが、先生は困惑した顔をしている。
そりゃそうだ、俺自身も分かっていないんだから。
「んまぁ、事情はわかった……お前も苦労してるんだな」
「自覚がないのが、1番辛いですけどね」
「まっ、そうは言っても遅れたからには、その分罰を受けてもらうがな」
そう言うとトレーナーは手に持っていた紙をこっちに差し出してくる。
そこにはウマ娘らしき記名とスピード、伸び、姿勢といった様々な項目が書かれている。
「明日の放課後にまだチームが決まっていない子たちによる合同練習と模擬レースが行われる。そこで玲音には逸材の子を見つけてきて欲しい」
「……それが罰?」
罰っていうレベルだからもっとこう……部室の部屋掃除を1週間とか、しばらくチームとの合流禁止とか、そんなものを覚悟していた。
でも実際言い渡された罰はかなり軽かった。
「罰って言っても別に運動をする部活でもないし、それに数年しかないんだから無駄な事をやってる暇はないぞ」
「……はい」
「それにある意味これは責任重大だから、ある意味罰とも言える」
「責任……重大?」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋は自然とまっすぐになる。
「そうだ。今のスピカはスペやスズカ、スカーレットにウオッカやゴルシなど、はっきり言ってかなり強い面子が揃っている」
それはなんとなく分かる。
今のスピカに入っているみんなは底知れない伸び代がある……特にスペ。
それは練習を見ていればなんとなく分かる。
「だが今だけが揃っててもいけない……チームは続いてこそ意味があるものだ、そのためには次の世代を担える力がいる」
「……新戦力を見つけるって事ですか?」
「そうだ」
俺はこの瞬間理解した。
先生が俺にどんな罰を背負わせたのかを……そして同時に不思議に思う。
この人は正気なのかと。
もともとウマ娘を素人の自分に任せたりとかはしていたが……まさかここまでの事をするなんて……正気じゃない。
「俺は、お前が新戦力を見つけれるくらい観察力があると思っている。現にこの前のスペのデビュー戦、お前は叫んだだろ?」
『躱せ、スペ!!』
確かに俺はそう言った。
でもあれは観察力というより、スペにタックル躱して欲しいがために全力で叫んだだけだ。
「……でも、あれは偶然でーー」
「偶然であんなぴったしタイミングが当てはまるか、普通?」
「……」
「とにかく、遅刻の罰はそういう事だ。しっかり見て来いよ」
・ ・ ・
チームの練習も終わって、そのまま解散した俺は……公園に来て蜂蜜コーヒーを飲んでいた。
理由としては……まぁ、気分転換だ。明日は集中する日だから今日はもう何も考えたくなかった。
だから癒されるためにここに来た。
最近知った事だがこの公園にはネコが住み着いている。
そしてそのネコが俺の座っている横で毛繕いをしている。
あ〜……癒されるわ〜。
やっぱ動物はいい。特に犬やネコ、もこもこしている感じの動物は見てるだけで癒しだ。
そしてそんな癒しを見ながら飲むコーヒーは格別だ。
「は〜……ずっとこのままでいれたらいいのに……」
でも時間というのは勝手に過ぎていき、やがて明日が来る。
……いや待てよ? よく考えてみれば、合同練習や模擬レースは何もこの一回だけではない……それにガチでだめだったとしても、先生は何か策を考えてくれるんじゃないか?
流石に素人に全て任せる訳ではあるまいし……俺が少しオーバーに解釈しているのかもしれないな。
でも、先生が信じてくれているんだ……期待には応えたい。明日の練習、しっかり見てーー
「あれ、玲音じゃん!」
「……テイオー?」
俺の目の前に現れたのはジャージ姿で少し汗を流したテイオーだった。
「やっほ久しぶり! 隣座ってもいい?」
「あぁ」
俺がそう言うと、テイオーはひょいっと俺の左横に座る。
よく見ると手には何やら黄金色のドリンクを持っている。
そしてその黄金色のドリンクを、テイオーはすごく美味しそうに飲んでいた。
「どうしたの玲音、こっちを見て?」
「いや……その飲み物はなんだろうなぁって」
「これ? これはね〜、Funny Honeyのはちみつドリンクだよ。よかったら一口飲んでみる?」
そう言ってテイオーははちみつドリンクの容器をこっちに差し出す。
気になった俺はそれを受け取り、一口飲んでみる。
……次の瞬間、どろっとした感触ととてつもない甘味が俺の舌を襲った。
「……おおっ、こ、濃い……!」
なんだろう……子供の頃、家の冷蔵庫にあった蜂蜜をチューと吸った時の味より何倍も濃かった。
俺はテイオーに容器を返して、すぐに水筒の中に入っているコーヒーを飲む。
「え〜? そんなに濃いかな?」
「濃いよ! すごく濃いよ!! あまりにも濃すぎて舌の上に蜂の巣ができたのかと錯覚したよ!!」
「それは流石に言い過ぎじゃない?」
そうして少し不貞腐れるような表情をしながら、はちみつドリンクを飲むテイオー。
まじか……あんな濃いものを……。
「やっぱこれくらい普通だと思うな〜」
「……すごいな、テイオーは……」
「ん? それはもちろん! だってボクは無敵のテイオー様だからね!!」
「……」
そういえばテイオーって、明日の合同練習って出るのかな。
「なぁテイオー」
「ん〜? なに?」
「明日の放課後にさ、チームが決まっていないウマ娘たちの練習・模擬レースがあるよな」
「うん、確かにあるね」
「それにテイオーって……出るのか?」
「もちろん出るよ! だってそこでしかチームにアピールできないからね……なんでそんなことを聞くの?」
俺は罰ということは隠して、テイオーに明日新戦力を見つけるため、その練習を見に行くことを話した。
「へ〜、玲音が見に来るんだ」
「まぁ、他のチームのトレーナーも見に来るとは思うけど」
新戦力の話は何もスピカだけの話なんかではない。
むしろ学園に登録されている全てのチームに言えることだろう。それがリギルなどの強豪だったとしても……。
「よし、分かった!」
「……何が分かったんだ?」
急にそう叫び、勢いよく立ち上がったテイオーに俺は少し困惑する。
それでもテイオーは純粋で真っ直ぐな瞳でこっちを見て、こう言う。
「明日の模擬レース、ボクが一番目立ってみせる……楽しみにしてて玲音!!」
「……」
「じゃあ今日はこの辺で、バイバ〜イ!!」
「あぁ、気をつけてな」
そうしてテイオーは寮の方へと駆け足で去って行った。
あの綺麗で真っ直ぐな瞳で言われると……少し期待してしまう。
明日の練習・模擬レースが……少しだけ楽しみになった。
・トウカイテイオーのタグもつけました。
・メジロマックイーン(スカイ)がやってきたー!(感極まりうまぴょい伝説した)
・次回は合同練習と模擬レース回。