少年とウマ娘たち - ススメミライヘ - 作:ヒビル未来派No.24
・UA48,000・49,000、お気に入り件数600件を突破しました。みなさま、ありがとうございます!
・前回の誤字報告ありがとうございます。
・前回、ルドルフの有マが馬になっていたので、ウマ娘の世界で使われる馬に変更しておきました。
それはテイオーが入って数日後のお昼の事だった。
いつも通り尊野と道とでご飯を食べようとしたが、携帯に先生の呼び出しメッセージが届いていたので、俺はご飯を食べる前に教員室に向かった。
「失礼します」
教員室内に入り、先生の席まで歩く。
いつもなら誰もいないその席に……今日は先生がいた。
「よっ、悪いな」
「要件はなんですか?」
この前のテイオーのこともある……意外と先生はそこまで大切な用事じゃなくても呼び出しをする人だ。
だから今回もそこまで大切な用事ではないだろう……そう思っていた。
先生は事務机の引き出しを引き出し、一枚の紙を取り出してそれを俺に差し出す。
俺はその紙を受け取り、その内容を見てみる。
ウォーミングアップにストレッチ、走り込みに直線ダッシュや併走トレーニング。
これは……練習メニューだろうか。いつも行っている基礎練が書かれている。
そして……最後の部分が空白になっている。5行くらい空いているだろうか。
何でこんなのを渡したんだろう……そう思っていると、先生が喋り始める。
「玲音、お前には今日やるトレーニングを一つ考えて来てほしい」
「えっ……俺に?」
確かに見習いトレーナーがお世話になっているチームの練習を考えるというのはよく行われていることだ。
だが……それはチームに完全に浸透し、信頼を得られた後のこと……時期にすれば1年以上先のことだ。
そんなことを……まだチームに入って1ヶ月くらいの俺が?
「は、早くないですか……まだ入って一月くらいですよ!?」
「玲音、お前は一人前のトレーナーになるんだろ? なら、早いとかそんなのは関係ない。俺は玲音に機会を与えるだけだ……安心しろオーバートレーニングかどうかはちゃんと見てやるから、好きなようにやってみろ」
「……はい」
・ ・ ・
「では第二段落を丸読み、それじゃあ16番のから鈴木くんから読んでもらいましょうかねぇ」
「はい……『モノが移動していた工業化時代の資本主義にはーーー』」
「……」
練習を考える……と言っても、どんなことをすればいいのだろうか?
一応俺はチームに入ってから練習風景を何度も見てきたから、行う練習がどんな効果を得るのかは何となく分かる。
でも全てを分かっている訳じゃない……それに俺にはまだウマ娘を観察する力はないに等しい。
このウマ娘にはどんな練習をさせるべきかとか……そんな細かいことは分からない。
それにこの紙を見る限り、これはチーム全員で行う練習になっている。
スペは少ししたら皐月賞……なら坂路ダッシュとかにするか?
でもキツすぎると入ったばかりのテイオーや面白くないことはやりたくないゴールドシップは文句を言うかもしれない。
……あれ、結構難しいなぁ。
何とかみんなが納得するような練習方法はあるだろうか。
……そういえば、サッカーやっていた時のトレーニングに何か様々なことを練習で収めるのがあったような……。
何だっけ、アストンマーティン? アルパインスターズ? スピードウェイ? ツインリング? なんか近いような遠いような……。
「……んっ、おやおや〜? 谷崎く〜ん、続きを読んでくださ〜い?」
……サーキット。
そうだ、サーキットだ!
2チームに分かれて1チームは用意した障害物を越えながらずっとトラックを回る。そしてもう1チームはずっと短距離ダッシュを行う。
あれって結構きつかったけど、楽しかったんだよなぁ……あれをみんなの基準に合わせれば、楽しくも少しキツイ、ちょうどいい練習になるはずーーー。
「谷崎く〜ん?」
「えっ……ア゛ッーーー」
目の前にいたのは……すごくニコニコしているが、目が笑っていない国語の先生がいた。
「谷崎くん、今は授業中ですよ〜? 教科書191ぺージ9段落目から読んでください……それとも私の授業はつまらないですかぁ? んっふっふ〜」
「いえ、読ませていただきます! に、『日本市場が閉鎖的だと非難されたのはーーー』」
・ ・ ・
放課後、チームのトレーニングが始まった際に考えてきた練習メニューを先生に見せる。
「なるほど、サッカーでやっていた練習をウマ娘用にしてみたのか」
「はい……ミニハードルで腿上げ、1.5m間隔で置いたコーンの上を踏み抜いてロングストライドのリズムを身につけ、置いたマーカーを避けるようにしてレースで必要なステップを、そして最後に坂路ダッシュ。もう1チームは20秒の100mインターバルダッシュです」
「……見た感じ、オーバートレーニングはなさそうだな。よし、これをやってみるか!」
「っ……はい!」
みんなが先生の用意した練習をこなしている中、俺はサーキット練習の準備を進めた。
ただ、サッカーだったら精々数十平方メートルくらいの大きさで済んだが、ウマ娘が走るこのトラックでやるとなるとかなりの広さになる。
だからサーキット練習の準備が終わった頃には、俺はかなりの汗をかいた。
正直、ここまでトラックが広いとは思っていなくて……すでに満身創痍だ。
そりゃそうだ……普通の学校のグラウンドの大きさは大体一周200〜300mくらいだもんな……その10倍は疲れるに決まっている……。
「はぁ……はぁ……お、終わりました……」
「お、おう……お疲れ様」
「ど、どうしたのレオくん……そんなに息を切らして?」
「あぁ大丈夫……ちょっと準備に疲れただけだから……」
スズカに心配されながら俺は息を整える。
そして息が整った後、今日みんなにやってもらうサーキットトレーニングの説明をする。
「つまり10分で交代して、ダッシュと障害物の二つをやるってことですか?」
「そう、苦しくなったら障害物の方で歩いてもいいよ」
「何それちょっと楽しそう!」
「あぁ、そんな練習他の連中もしているところ見たことねえからな! 面白そうじゃねぇか!!」
「じゃあ適当に今並んでいるところで真っ二つにして、スズ側がインターバル走、テイオー側がサーキットの方でまずはやってくれ!」
『はい!』「おうよ!」
・ ・ ・
そうして俺が考えたサーキットトレーニングをやった結果……スズカ以外のみんながターフの上で満身創痍になってしまった。
「ぶえぇぇぇ……玲音、結構これキツイよぉ〜……」
「俺もやり始めた頃はそんな感じだったけど、慣れるもんだよ」
「た、確かにこれはスタミナ鍛えれそうっすね……」
「サーキットは内容を変えれるから、応用も効きそうですね……」
……いや、まさかここまでキツイトレーニングになるとは俺も思っていなかった。
むしろサッカーやっていた時は結構楽な方に入るトレーニングだったから、ちょうどいいと思っていたが……。
「……やりすぎましたかね?」
「いや、最初だから慣れていないだけだろ? 俺はかなりいいと思っている……今後もこの練習を入れていくからな玲音」
「っ……! あ、ありがとうございます!」
「よかったね、レオくん!」
「あぁ!」
この日、少しではあるけど……一人前のトレーナーに近づけた様な気がした。
オマケ(元々やろうとしてたやつの名残)
練習の後、チームのみんなはストレッチを行っていた……その時である。
「わ〜、テイオーさんすごい体が柔らかいんですね!」
スペが声をあげていたので、テイオーの方を見てみると……テイオーは前屈を行っていた。
そしてその手は靴の裏側まで回っていた。
「すごいなテイオー……」
「えへへ……前屈は得意なんだ! 実はボク〜前屈の記録をも持っているだよね!」
「へぇ……」
前屈の記録……身体測定で学年一とかそんな感じだろうか。
「柔らかいのはいいことだ……可動域が広がるからパフォーマンスが良くなり、かつ怪我の防止になるからな」
「そこは他のスポーツと同じなんですね」
意外とウマ娘には、他のスポーツの知識も応用できることがありそうだ……。
そんなことを思っていると、テイオーがちょいちょいと俺を手招きしていたのでテイオーの近くに寄る。
「どうした?」
「今から開脚やるからさ、玲音が背中を押してくれない?」
「あぁ、別にいいぞ」
「やったー! じゃあよろしくね!」
その後、俺はテイオーの体の柔らかさをこの身で実感したのだった……やべえよ、あの柔らかさは……。
・ぶえぇぇぇ……、ネタ分かる人いるかなぁ。(夏の青さを、覚えていた)
・マックイーンの寝息ASMRが最高……。
・次回はチームのみんなでお花見をする"予定"です。