少年とウマ娘たち - ススメミライヘ -   作:ヒビル未来派No.24

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 前回のあらすじ:ゴルシの提案により、チーム・スピカは花見に行くことになった。そしてマックイーンも誘う玲音。

・想像以上に長くなったので中編も作りました。

・後編はできたら0時、出来なかったら次の0時に投稿したいなぁ……。



チーム・スピカでお花見に行こう(中編)

 ーーーピピピッ、ピピピッ、ピピッ!

 

「……ふあ〜」

 

 目覚ましの音で起きてベッドの上で一伸びした後、ゆっくりと床に足をつける。

 

 季節としては3月の下旬と春だが、朝の自室の空気は流石にまだ冷たい。

 

 だが目を覚ますには、それくらいがいいだろう。

 

 足の裏にジワーッと冷たさが伝わってくる……その感覚が全身に巡っていき脳にも達する。

 

 あ〜いや、実際の感覚は感覚神経から中枢神経を通ってから脳に行くから今の説明はちょっと違うのだが……俺からはそう感じ取れるってことだけだ。

 

「……よし!」

 

 今日は精一杯楽しもう……そう思い、俺は外出の準備を始めた。

 

   ・ ・ ・

 

 集合場所は最寄り駅……と決めているが、俺とチームのみんなはこのトレセン学園から出るから、実質先生との集合場所って言った方がいい。

 

 そして同じトレセン学園から出るからーーー。

 

「あっ、おっはよー玲音!!」

 

「おはようございます、玲音さん」

 

「おはようテイオー、マックイーン」

 

 集合する前に合流できる可能性もあるのだ。

 

 実際、弥生賞の時はスペとスズカに会ったりしてた。

 

 もちろん誰とも会わない時もあるが……やっぱり誰かがいた方が安心できる。集団心理、みんなでいれば怖くないみたいな感じだろうか。

 

「えへへ〜、今日は楽しみだねマックイーン!」

 

「えぇ……ただ食べ過ぎないようにしないといけませんわ」

 

 ちなみに昨日知ったことだが、テイオーとマックイーンは顔見知りだったらしい。

 

 何でも何回か練習をお互いにやって、練習後にすれ違うっていうことをやっていたらいつの間にか2人の間に友情が育まれていたらしい。

 

「にしても玲音はどうやってボクたちのお供を用意したの?」

 

「それ、わたくしも気になってました……あの人数のお供を用意するには費用も時間もかかると思うのですが……」

 

「それなんだけどな、先にマックイーンに謝っとく」

 

「なぜですか?」

 

「実は今回、メジロ家の力を借りたんだ」

 

「メジロ家の?」

 

 俺は昨日執事さんが言っていたことを2人にも伝える。

 

 マックイーンは「あぁそういうことでしたか」と言って納得していたが、テイオーは不思議そうに俺の方を見ていた。

 

「……玲音ってメジロ家とどういう関係なの?」

 

「関係かぁ……」

 

 多分テイオーは、俺が普通にメジロ家と関わっていることに驚いているんだろう。

 

 とは言ってもただ仲良くしてもらっているだけで、別になんか特別な待遇があるわけでもない。

 

 強いていうなら……。

 

「マックイーンの友達……だからテイオーと変わらないかも?」

 

「いやいや、ソンナハズナイデショ!?」

 

「それに今回はすごく運が良かったのもあるから……多分もうこんなことできないと思う」

 

「まぁ、晩餐会が中止になること事態、5.6年に一回あるかないかですし……」

 

「そーなんだ……」

 

「だから今日は存分に楽しもうぜ」

 

 今日のみたいな偶然は……多分もう起きない。

 

 あの時ゴールドシップが花見を提案して、誰も否定したり予定がなかったから花見をすることになった。

 

 あの時先生が金欠だったから、俺はメジロ家にお願いしようと思った。

 

 そして……あの時に晩餐会が中止になり、食材が余っていたから……お供を用意できた。

 

 どこか一つが欠けていたら……こんな結果にはならなかった。

 

 ならこの多くの偶然から生まれた機会を……全力で楽しむ! それが俺たちにできることだ。

 

「うん、そーだね!」

 

「わたくしも、今日は羽目を外しますわ」

 

   ・ ・ ・

 

「あっ、レオくん」

 

「おはようスズ……スペもウオッカもスカーレットもおはよう」

 

「「「おはようございます」」」

 

 時間としては集合時間の10分前、後来ていないのが先生とゴールドシップだが……。

 

 そう思いながら待つこと5分くらい、ポケットに入れていた携帯が震えた。

 

 先生からのメッセージか? と思い画面を見てみるが……そこにはメッセージではなく、写真が送られていると書いてあった。

 

 携帯のロックを解除して送られてきた写真を見てみる。

 

 そしてそこに写っていたのは……桜の前でなんか変なポーズ(右足のみで立ち、握った手を猫のように構えている)を取っているゴールドシップの写真だった。

 

 その写真に呆気に取られていると追加のメッセージが届いていた。

 

 周りのみんなも自分の携帯の画面を覗き見る。

 

『金欠だから車を使って先に取っておいたぜ! お前らも早く来いよ!』

 

 先生の名前でメッセージが送られているが……まぁゴールドシップが打った文なんだろう。

 

 それにしても先生……電車にも乗れないくらいお金に困っているんですか?

 

 そう聞きたいが……まぁ、大人には大人の理由ってものがあるんだろう。

 

「よし……じゃあみんな、電車に乗って行きますか!」

 

『お〜!』

 

   ・ ・ ・

 

 学園の最寄り駅から特急で2駅、その後3回乗り換えをして△△公園の最寄り駅に到着する。

 

「へえ、地下を走っている電車もあるんですね!」

 

「スペ、流石に地下鉄は北海道にもあると思うよ……てかある」

 

「えっ、そうなんですか!?」

 

 なんか地下鉄に異様に興奮していたスペ……周りの乗客の目線がすごく痛かった。

 

 というかスペって俺と同じ北海道出身だよなぁ……あ〜いやでも北海道も広いからな、ガチな田舎で育っていたらそれくらいになるもんかな。

 

 実際俺も引越しするまで地下鉄とか知らなかったしな。

 

 そんなことを考えながら〇番出口に繋がる階段を登る。

 

 〇番出口から出ると、その先は人混みと多くの車の音で騒々しかった。

 

「うわぁ、これみんな花見客か……?」

 

「違う人もいるとは思うけど……そのほとんどがそうじゃないかな?」

 

 朝からここまで人が多いってなると……もしゴールドシップや先生も電車で来ていたら場所取りが出来たか怪しかったな。

 

 とりあえず人混みの流れに従い、出口から見て左の方に歩く。

 

 正直△△公園なんて来た事がないから、どう行けばいいのか分からない。

 

 確かゴールドシップからは『桜の庭』というところにいるってメッセージに入っていたが……桜の庭ってどこだよ。

 

「ここまで人が多いと逸れてしまう可能性がありそうですね……」

 

「じゃあマックイーンはボクと手を繋ぐ?」

 

 そう言うとテイオーは隣にいるマックイーンに手を差し出す。

 

 マックイーンは少し恥ずかしそうにしながらも……その手を掴む。

 

 やっぱ仲が良いんだな……あの2人。

 

 なんて思っているとテイオーは俺の右手を握って来た……Why?

 

「テイオー? 何も俺の手を握らなくても……」

 

「別にいいでしょ、こうすればほぼ逸れないし!」

 

「いや流石にこの人混みで逸れることは……まぁ、いいか」

 

 そう言って、テイオーの手をしっかりと握る。

 

 テイオーは「にしし」と嬉しそうに笑っている。

 

「スズカさん、私たちも手を繋ぎましょう!」

 

「えっ……でも並列すると周りの人に迷惑が……」

 

「テイオーさんや玲音さんがやっているように縦に並べば大丈夫ですよ!」

 

「……そう、ね」

 

 そして隣のスズカもスペ、そしてそれに続いたウオッカっとスカーレットの列ができていた。

 

 これ、側から見たらどんな光景なんだろうな……。

 

 そして俺は片方空いている手を見た後、スズカの空いている手を見る。

 

「……ねえスズ」

 

「なに、玲音くん?」

 

「俺たちも握らないか……手を」

 

「……」

 

 スズカは少し頰を赤くしたが……スッと手をこっちに差し出してきた。

 

 俺はその手をしっかりと……そして優しく包むようにその手を握った。

 

   ・ ・ ・

 

「おーい! こっちだー!!」

 

 公園の案内板を見て、桜の庭の場所を知りそっちの方に歩いていると聞き慣れた声が聞こえ、声が聞こえた方を見てみる。

 

 そしてそこにいたのは腕をブンブン振っているゴールドシップと手を少し上げている先生の姿。

 

 俺たちは他の花見客の邪魔にならないように避けながら、先生たちの方に向かう。

 

「おはようございます先生」

 

「おう、おは……ってお前ら、いつの間にそんな仲良くなったんだ?」

 

『えっ?』

 

 そう言われお互いの姿を見てみる。

 

 そして分かった。自分たちは今手を繋いでいるのだ……それもみんなで。

 

 確かに周りから見たら少し変な光景かもしれない。

 

 でも、別にそれでいいと思う。だって仲がいいのは事実のはずだから……後逸れないようにという正当な理由もある。

 

「元々仲は良いですし、それに逸れないためですから」

 

「そっか……まぁ別に良いか」

 

「……」

 

 なんか視線を感じて俺は先生の隣にいるゴールドシップの方を見てみる。

 

 ゴールドシップは……俺の先にある何かを見ていて心を打たれているような顔になっていた。

 

 俺はゴールドシップの視線を追うように後ろを振り返ってみる。

 

 そこにいたのは……マックイーンだ。

 

 マックイーンもゴールドシップの視線に気付いたらしい……ゴールドシップの方を見て、少しキョトンとしている。

 

 そして2人とも硬直した後……ゴールドシップの方から動き出した。

 

 ゆっくりと……芝を踏みしめるように……マックイーンの前まで歩く。

 

「えっ……えっ……?」

 

 その瞬間、マックイーンはなにをされたのか理解が追いつかなかった。

 

 そして側から見ていた俺らもゴールドシップがなぜそんなことをしたのか分からなかった。

 

 ゴールドシップは……マックイーンを抱きしめたのだ。

 

 強く……強く……それはなんだか、久しぶりに会った友達と熱いハグを交わすかのように……。

 

「あ、あの……何なんですのいきなり……」

 

「お前……アレだな……じいさん家の部屋みたいな匂いがするな」

 

「は、はぁ……?」

 

 ……何か変な事があったが、こうしてチーム・スピカ with マックイーンのお花見が始まった。

 

 

 




・回収は遥か先……。

・後編もお楽しみに。
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