少年とウマ娘たち - ススメミライヘ -   作:ヒビル未来派No.24

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 前回のあらすじ:部室に忘れたブレザーとネクタイを回収。

・UA111,000、7話のUAが10000を突破しました。ありがとうございます!

・ライスお姉さまは次回に回します。ユルシテ…ユルシテ……



喫茶店で英語を

「……あの、えっ? きゅ、急にどうしたのレオくん?」

 

「勉強を……英語を教えてください!」

 

 ブレザーとネクタイを回収した次の日、俺は帰りのSHRが終わった後すぐにダッシュして幼なじみのスズカがいる教室に訪れた。

 

 同年代とはいえウマ娘しかいない教室……そんなところにトレーナー学科の、それも男子が急にやって来て、いきなり土下座を繰り出したものだから、周りの生徒たちは奇怪な目で俺を見てくる。

 

 だがそれでも構わん、男にはやらなきゃいけない時がある。

 

「英語を?」

 

「うん」

 

「別にいいけど、なんで土下座を?」

 

「(見たことあるマンガでは衣服を脱いでたけど)裏表のない誠意を表明するためだよ」

 

「そ、そう……」

 

 よし、ご教授をなさってくれるということらしいので、俺はゆっくりと立ち上がる。

 

 一応使われている教科書はウマ娘とトレーナー学科で違いがないと言うことは確認済みだ。

 

「勉強は図書室でやるの?」

 

「いや、この時期は図書館が混雑するのは分かっているから……ここに行く」

 

 そう言いながら俺は携帯を取り出し、画面をスズカの方に向ける。

 

「……喫茶店ユリイカ?」

 

「そっ、こっちだったら集中してできると思うんだ」

 

 勉強場所として提案した場所は自分がトレセン学園に来た頃に見つけた近場で穴場な喫茶店だ。

 

 ここの店主がハンドドリップで淹れるブレンドコーヒーはとても美味しく、店主が手作りしているフレンチトーストも中々美味しい。

 

 さらにトレセン学園からだとかなり近いのに全然ウマ娘やトレーナーの生徒、そして学園関係者が訪れない。少し前に行った時黒髪のウマ娘が一人いた程度だ。

 

「おい待て貴様、下校時の寄り道は校則で禁じられているぞ」

 

 スズカの横にすっと現れたのはクラスメートで元チームメイトのエアグルーヴだった。

 

 なんで彼女がと思ったが、そう言えば同じクラスだって言うことをリギルの観察中に言われたことを思い出す。

 

 さらに彼女は生徒会にも所属しているので、寄り道を提案しているようなセリフを聞いていたので堪らず声を掛けたのだろう。

 

「大丈夫だよエアグルーヴ。寮に帰った後に行けばただのお出かけだ」

 

「だが男女二人で出かけるというのは学生としてどうなんだ」

 

「大丈夫よエアグルーヴ。これは勉強を教えるというちゃんとした目的があるし、それに私とレオくんは幼なじみ……ほとんど肉親みたいなものよ」

 

「むっ、言われてみればそう、なのか?」

 

「よかったらエアグルーヴも来る?」

 

「いや、私はこれから図書館で後輩に勉強を教える予定がある」

 

 エアグルーヴはとても面倒見がよく、後輩のウマ娘にとても慕われている。

 

 実際観察期間でもかなり多くの後輩ウマ娘がエアグルーヴに相談したり協力を得ているところを何度も目撃している。そして自分自身も手伝ったので彼女の性格は理解しているつもりだ。

 

「おっと、そろそろ行かなくては……またなスズカ」

 

「またねエアグルーヴ」

 

 エアグルーヴはスズカに手を振ると教室を出て行った。

 

 俺も教室にカバンを置いてこの教室に来たので、先に寮に戻っていてと伝え、集合場所を決め、俺たちは一旦別れた。

 

   ・ ・ ・

 

 カバンを回収し適当な衣類に着替えた後、俺は集合場所に着いた。しかしそこにはスズカの姿はなかった。

 

 どうしたんだろ……まぁ、女の子は準備に忙しいって叔父さんの描いているマンガに書いてあったけど。

 

 メッセージを送ろうか悩んでいると遠くにスズカが見えた。スズカは俺の姿を見つけた後少し駆け足で近づいて来る。駆け足とは言っても自分の全火力全開のダッシュ並みの速さだが。

 

「ごめんねレオくん、お待たせ」

 

「ううん大丈夫、それじゃあ行こうか」

 

 そうして俺とスズカは喫茶店ユリイカに向かう。

 

 何気ない会話をしながら歩いていると、ある時俺の目は彼女の左手首に着けられた翡翠色のブレスレットを捉えていた。

 

「スズちゃん、その左手首のって」

 

「うん、貰ったんだからちゃんと使おうと思って……それにレオくんだって着けてくれている」

 

 そう言ってスズカは俺の右手首を指差す。そこにあるのは着けてきた水晶のブレスレットだ。

 

「結構気に入ったんだ。なんか不思議と力が出るというか……スズちゃんから貰ったからかな」

 

「嬉しい」

 

「俺もだよ」

 

 いつの間にかスズカの左手は俺の右手を掴んでいた。そして俺も右手の力を入れて優しく握り返した。

 

   ・ ・ ・

 

「『先週の日曜日にホテル出た』の場合、それは出ているという意味の原型 leave、さらに日曜日にと具体的な期間があるから現在完了形。つまり使うのは?」

 

「『過去分詞形』の……left?」

 

「うん、正解」

 

 喫茶店ユリイカに着いた後、俺はスズカに当初の通り英語の勉強を教えて貰っている。

 

 正直言って文法などがぱっぱらぱ〜な自分だが、スズカの教え方はとても上手でかなり分かりやすかった。

 

「レオくんは単語と複数になった時のスペルを覚えた方がいいと思う。見た感じ使う言葉は合っているんだけど、細かいスペルミスが目立つから……よかったら、これ」

 

 そう言うとスズカはカバンの中から英単語本を取り出し、それを俺に差し出す。

 

「私のお古だけど、使ってみて」

 

 よく見てみると学校で配られた教材とは別の出版社が出している英単語本だった。

 

 そしてところどころ傷などはある……しかしそこまで汚い感じはない。むしろ綺麗な方だ。

 

「ありがとう……使ってみるよ」

 

 その後英語を1時間やった後、今度は自分が教えられるところ……具体的に言うなら世界史を教えた。まぁ、スズカと俺の世界史の知識はちょっとだけ自分が上だけってだけだが……。

 

「レオくん、ちょっとこのページから問題出して」

 

「ほいっと……んじゃあ『フランス革命の後王権が停止、処刑された国王の名は?』」

 

「ルイ……17世?」

 

「惜しい、正解はルイ16世。マリーアントワネットを妻にしているから「処刑されたのは色男の16世」って覚えると分かりやすいよ。ちなみに17世は」

 

「へぇ……レオくんって世界史得意なの?」

 

「得意っていうか……叔父さんがそういう歴史の本を持っていたから暇な時に見たって感じかな。でも世界史や日本史が出来るよりも、英語が出来るほうがすごいよ。何かコツがあったりとかするの?」

 

「英語は特に基本となる5つの文法を覚えればいいの……それにーー」

 

 そこでスズカの言葉は止まってしまった。俺はその後に言葉が続くと思い、スズカが言葉を続けるのを待っていた。

 

 しかしスズカは首を横に振って、

 

「なんでもないわ……それより問題を出して?」

 

「……あぁ、じゃあ『ルイ16世の処刑後、ロべスピエールをーー』」

 

 スズカがさっき何を言いかけたのか。俺は少しだけ気になってしまい、その後の勉強は少し集中できなかった。

 

 

 




・作中から出題、『ルイ16世の処刑後、ロべスピエールを中心としたグループが革命反対派を処刑するなどして革命を進めた。これを何政治と呼ぶか』

・ウマ娘の寝息ASMR……あれ作っている人最高ですわ。毎日快眠ですわ!

・次はライスシャワー+αのお話の予定です。
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