少年とウマ娘たち - ススメミライヘ -   作:ヒビル未来派No.24

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 前回のあらすじ:玲音はスズカに英語を教えて貰った。

・UA112,000・113,000を突破しました。ありがとうございます!

・尊野……お前出るの3ヶ月ぶりなんだな……。



なぜ勉強をする? / 数学をお姉さまと

「なんで俺らは勉強をしなければいけないんだ?」

 

「どうした急に」

「どうしたの急に」

 

 昼休み、いつものように道と尊野で食堂に行き、昼食を取っていると向かいで激辛坦々麺をばくばく食べている。ちなみに自分は豚の生姜焼き定食、道はいくらウニ丼を食べている。

 

 そんな尊野が突然、前触れもなく急に質問をぶつけてきた。

 

「いやマジでどうしたんだ急に、辛さで舌だけじゃなく頭もイかれたか?」

 

「別にこの担々にに辛さや痛みはないだろ」

 

 それはそれでどうなんだろうか……あの坦々麺は学生の罰ゲームで食べる定番メニューとなっているが、罰ゲームで食べた生徒は決まって5・6時限目は保健室にお世話になる事は免れない。

 

 ただ辛いものが好きな一部の生徒からは「ここ以外で最高の激辛を食べられるところはない」と熱狂的な人気がある。実際リギルのエルコンドルパサーは辛いものが大好きで、現在この坦々麺よりさらに辛い料理をリクエストしているらしく、夜な夜な厨房室の裏を通ると目がやられるという噂がある。

 

「いやさ、俺らってトレーナーになるためにこの学園へ入学しただろ?」

 

「セヤナー」

 

「だったら普通の授業を俺らはする意味がないんじゃないか?」

 

「セヤ……いやなんでだよ」

 

「だってさ世界史や地理ができたとしても、それはトレーナーには活かせないだろ?」

 

 あぁ、なるほど。尊野はこう言いたいのか。

 

 『勉強は無駄である』と。

 

 恐らく全国の学生を経験したほとんどの人が考えたことがあるであろうこの問題。

 

 例を挙げるなら「数学を足し算掛け算とかできればいいので、二次方程式や証明は習う必要はない」「日本に永遠にいるから英語は習う意味がない」など、まぁそういうものだ。

 

 そして尊野は世界史が苦手……まぁ簡単に言ってしまえば現実逃避だな。

 

「確かに世界史とかはトレーナーには意味ないかもしれないけど、歴史から学べることもある」

 

「例えば?」

 

「例えば今回範囲になっているフランス革命のルイ16世は民衆の声を耳に傾けずに好き勝手やった結果民衆に不満を募らせ処刑までお追いやられた。他にもこの後にやるアメリカ独立宣言ではーー」

 

「オーケーオーケー……もうお腹いっぱいです」

 

「えぇ、せめて世界大戦まで喋らせてよ」

 

「やめてくれよ……こっちの脳の記憶容量はもうとっくにゼロだよ……」

 

 尊野はなぜだか頭を抱え出した。そんなにキツいものなのか、尊野にとって世界史というのは。

 

「それに普通の勉強だってトレーナーに活かせる事は多いと思うよ?」

 

「……どう言う風に活かせるの、道?」

 

「例えば英語は担当ウマ娘が海外に行くことになって付き添いで行く場合できると楽だし、数学もできれば理論的な考えで指導することもできると思うの」

 

「……確かに言われてみれば」

 

「それにこの学園はアメリカやヨーロッパ諸国から留学するウマ娘も多いから」

 

「あぁ、失礼のないようにって事か」

 

「そっ」

 

 なるほど、尊野は世界史を習う理由を理解したようだ。

 

 まぁ……英語と数学が苦手な俺にとっては心に致命的なダメージを負ってしまったがな……。

 

「た、谷崎!? どうしたんだ口から血を吐いて!? まるでギャクマンガのキャラみたいじゃないか!!」

 

「ふっ」

 

「あっ、そうだ……谷崎くんって英語と数学が……」

 

 隣にいる道にそれを指摘した瞬間、俺の体と周りがセル画になったように真っ白になる。

 

 そして思考も停止する。

 

「谷崎、応答しろ! 谷崎! 谷崎ぃぃいい!!」

 

   ***

 

 お昼休み、ライスは学食でお昼ご飯を取っていました。

 

 本当は同室のゼンノロブロイさんと食べる予定だったけど、チームのミーティングが突然入っちゃって一人で食べることになっちゃった。

 

 でもでも趣味でソロキャンプとかしているから、別に寂しくはない。一人は慣れているからね。

 

 そんな訳でご飯大盛りにオレンジとオリーブ香るにんじんサラダ……にんじんハンバーグ、ウィンナーと目玉焼き。ビーフストロガノフとデザートのイタリアンプリンを平らげてトレーを返却口に戻そうとした。

 

 その時、聞いたことのある声が聞こえてきた。

 

「いいんだ、俺はどうせ赤点回避できればいいんだから」

 

「そんなこと言うなよ! お前は数学や英語が出来なくても立派なトレーナーになれるさ!」

 

「フッ、いい台詞だ。感動的だな……だが無意味だ (^U^)」

 

「あぁ、その言い方は逆効果だよ尊野くん……」

 

「くっ……ばっちゃが言っていた。人生は勉強だけじゃない。最終的に幸せになればいいんだと」

 

「アモスへは言っていた。人生は金が全てだと」

 

「酷いな!? てかアモスへって誰だよ!?」

 

 その方向に近付いてみるとそこに居たのはクラスメートらしき人たちと談笑している玲音くんが居た。

 

 ただその玲音くんの表情はなんと言うか笑っているけど目が笑っていないような……なんとも言えない表情をしていた。

 

 それにしても、玲音くん数学苦手なんだ……。

 

 そうだ……!

 

   ***

 

「えぇ……なんで答えと違うんだぁ?」

 

 放課後、俺は図書館で数学をしていたが……正直もう限界だ。

 

 何度もなんどもナンドモ試験範囲となる『式と証明』とくにその中の二項定理を解くが……全然答えと合わない。

 

「何でだ……必ず小さいところを間違えている。それも毎回別の場所が間違っている」

 

 一つを直したとしても、その後違うところが間違っており、それを直すとまた別のところを間違い。それのループだ。

 

 自分は英語よりも数学が苦手だ。その理由として「方式と答えが決まっている」と言う理由がある。

 

 英語や国語は簡単な言葉に逃げれたり、答えが複数ある。

 

 では社会系や理科系はどうかと言われれば、それはマンガや実験などで楽しくそして自然に学ぶことができる。

 

 しかし数学、そして理科の物理の計算などは地道に地道に数式を立てて行き、たった一つの答えを導き出す。その際ミスは許されないし、数式にバリエーションがあっても、答えは一つにならないのであんまり難易度が変わらない。

 

 つまり俺にとって数学はつまらないものなのだ。

 

 正直昼に尊野が言っていたみたいに、数学って何の意味があるのだろうか。三角比・集合・平方根・因数分解? それが出来て一体何になると言うんだ。

 

 まぁこんな風に言っても、周りから見れば変な奴扱いされるんだろうけど。

 

 さて次の問題を解こう。

 

「……」

 

「あっ、そこ間違ってるよ?」

 

「へっ?」

 

 指差されたところを見てみると、確かにマイナス記号でなければいけないところがプラス記号になっていた。

 

 いや、そんなことより、その間違いを指摘した声は顔見知りのものだった。俺は隣を向く。

 

「ライス……お姉さま?」

 

「えっと、その言い方は〜ちょっとね?」

 

「あぁごめんなさい。ライスさん」

 

 そこに居たのはライスさんだった。

 

 自分が来た時隣は空いていた……ってことは自分はライスさんが来たのに気づかなかったんだな。

 

「玲音くんは数学苦手なの?」

 

「えぇ……まぁ」

 

「よかったら教えてもいいかな?」

 

 自分にとっては願ったり叶ったりの提案なので、俺は「よろしくお願いします!」と心の中では学校中に響くように、実際は小声で囁くように言った。

 

 そして自分は問題を解き、隣でライスさんに教わりながら勉強をした。

 

 自分で解いている時と違って間違えた時点でライスさんが指摘してくれたのでどこが間違えやすいのかが分かりやすくはなった。

 

 ただ数学というのは今はいいにしても、必ず復習しないと頭に入らない。

 

 きっついなぁ……でも頑張らないとな、スペの夢を見届けるためにも。

 

「うん、これだけできれば大丈夫だと思うよ。あとは復習だよ」

 

「はい、本当にありがとうございました!」

 

 勉強道具を片付けながら俺は隣にいるライスさんにお礼を言う。

 

 そうしてそのまま図書館を出ようとしたが、俺の足は止まる。

 

「ライスさん、それって現代文ですか?」

 

「うん。ライスちょっと苦手だから勉強しようかなって思ってたんだ」

 

 へぇ、ライスさんって現代文が苦手だったんだ。なんかちょっと意外、本とか好きそうなのに。

 

「でもでも、今回は評論だから多分大丈夫だと思うけどね!」

 

「そうですか……ではお互い頑張りましょう」

 

「うん、玲音くんもふぁいと、お〜だよ」

 

 そうして俺は図書館を出て、昇降口に向かって歩き出す。

 

 はっきり言って今日はとても幸運だった。まさか数学も見てくれるなど思っていなかったからだ。

 

「絶対、赤点は回避してやる」

 

 俺はそう意気込みながら、寮に戻った。

 

 

 

 (作中関係無しオマケSS 〜高二現代文ライスさん)

 

「じゃあ6段落を……ライスさん読んでください」

 

「は、はい! えっと……『今から一年ほどーーーー人間が目を覚ました時、自分の口は』……う、うさぎさんの……ち、血にまみれ、あたりには……うさぎさんの毛が、散らばっていて……うぅ!」

 

「ら、ライスさん!? だ、大丈夫ですか?」

 

「すみません、すみません……でも、涙が止まらなくて……!」

 

「それじゃあ隣のーーさん、そこから読んで」

 

「分かりました。『これが虎としての最初の経験であった。ーーーー』」

 

「ライスさん大丈夫ですか?」

 

「ロブロイさん……うん、大丈夫。でも授業の小説で泣いちゃうなんて、イケないことだよね……」

 

「そんなことはありませんよ。泣けられるってことは感情移入していると言うことです。それにライスさんは優しいですからね」

 

「ロブロイさん……! あ、ありがとうございます」

 

   ・ ・ ・

 

「よ〜し、今日はいい点をとるぞー。がんばるぞー、おー!」

 

「よし席つけ〜テスト始めるぞ〜」

 

「(うん、漢字や授業で習ったところは大丈夫……問題は最後に出る小説。えーっと……)」

 

『街中でピアノを探しましたが、ここにしかありませんでした。私は明日発ちます、ですから最後に思いっきりピアノを弾いておきたいのです』

 

「……ぐすっ」

 

「んっ? どうしたんだライスシャワー、どこか悪いのか?」

 

「うぅ……すみません……すみません」

 

「(その後も涙が止まらなくて、最後の問題はあまり解けませんでした)」

 

 

 




・夏休み開ける前にダービー行けるかなぁ、無理かなぁ。

・ハーフアニバーサリーのロビーめっちゃかっこいい!(青系が好きな人間です)

・次回は試験後、スペと世田谷のある神社へ行く話の”予定”です。(変わる可能性あり)
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