少年とウマ娘たち - ススメミライヘ -   作:ヒビル未来派No.24

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 前回のあらすじ:トレーナー、ゴルシのスクリューパイルドライバーを受ける。そしてスズカ、スペシャルウィークの走りを見る。

・誤字の指摘ありがとうございます。ウオッカがアルコール度数40度のお酒、または某コナンに出てくる黒ずくめの男の1人になってました。



初めて食べたお粥

 あ〜、くそ……嫌な夢を見た。

 

 なんで今になってあの頃の夢を見たんだろう。

 

 もしかすると、俺の心の奥にある何かが忠告や戒めとして、無意識に夢に出してきたのか。それとも本当に拒絶しているかのどちらかだろう。

 

 とりあえず、あの時の俺はスズカを拒絶した……そしてそれはこの後も尾を引くだろう。

 

 あ〜もう、何であの時の出来事をあの場で思い出してしまったんだろう。

 

 あの出来事さえ思い出さなければ、あのまま感動の再会で終わったのに……。

 

「はぁ……穴があったらそこで生き埋めになりたい」

 

「寝ながら、それもわたくしの前で不謹慎なことは言わないでもらえませんか?」

 

 深いため息と共にうっかり漏れてしまった独り言に対して、冷静にツッコミを入れる声が俺の耳に入ってきた。

 

 俺はその声を聞いて、うっすらと目を開けて見る。

 

 そして俺の視界に移ったのは紫の長い髪とぴょこぴょこと動くウマ耳とこっちを見てくる髪と同じ色の瞳。

 

「大丈夫ですか、玲音さん?」

 

「……マックイーン?」

 

 俺の隣にいたのは……メジロマックイーンだった。

 

 数々の優秀なウマ娘をこの世に出してきた名門メジロ家に生まれた、いわゆるお嬢様。

 

 彼女と俺の出会いは……まぁ、今はいいか。

 

 今はなんか頭がぼーっとする……ちょっとズキズキもしているかな。

 

「今おしぼりを冷やしますわ」

 

 そう言うとマックイーンは俺のおでこに乗せていたおしぼりを取って、すぐ近くにあった桶に浸けてから水を絞る。

 

 そして絞って冷やしたおしぼりを俺のおでこに乗せてくれる。

 

 すーっとおでこに溜まっていた熱が冷やしたおしぼりに吸収されていくのを感じる。

 

「どうですか、気持ちいいですか?」

 

「あぁ最高だよ……でも、なんで俺はマックイーンに看病されているの?」

 

「あなたは寮の廊下で、人差し指を寮の階段の方を指しながら倒れていたんですわ……それは覚えていますか?」

 

「いや……全然……」

 

「その噂がわたくしの耳に入ってきたんですわ……まさか本当とは思っていませんでしたけど」

 

 なるほど……俺はなぜだか知らないけど人差し指を階段の方を指して倒れていたのか。

 

 うん、イメージ的には希望の花 -フリージア- が咲いて、止まるんじゃねえぞっていう言葉が合いそうだな、うん。

 

「それでわたくしは学校が終わった後、すぐこっちに来たということですわ」

 

「……そっか、ありがとな」

 

 そう言って、俺はマックイーンの頭を優しく撫でる。

 

「ちょ、ちょっと……やめてください……」

 

 そうは言っているが、ウマ耳は少しずつ横の方を向いていっている。

 

 つまり落ち着いているということだ。

 

 しっぽもさっきよりブンブン左右に振っているしな。

 

「……あれ、そういえば服も変わっているけど、これもマックイーンが?」

 

「いえ、流石にそれは破廉恥ですので……私の主治医に」

 

「主治医です」

 

「うわっ出た」

 

 部屋の扉が開かれたかと思うと、そこにいたのはメジロ家の召使いである主治医さんだった。

 

 主治医さんは部屋に入ってくると、懐から体温計を取り出し、それを俺に差し出す。

 

 体温計を受け取った俺は少し体を起こして、体温計を脇に挟む。

 

 1分くらい経つと体温が計測される……36.8度。平熱より少しだけ高い体温だった。

 

「安定はしたようですね、明日には治るでしょう。このまま今日は安静にしていてください」

 

「はい、ありがとうございます。主治医さん」

 

「いえ、では私はこれで……」

 

 パタンと扉を閉めて、主治医さんは部屋を出て行った。

 

 そして部屋にはマックイーンと二人っきりだ……。

 

 そんな事を考えると「ぐ〜」となんとも間抜けな音が部屋に響いた。

 

「ごめんマックイーン……ちょっとお腹減ってて……」

 

「無理もありません……朝から飲まず食わずなのでしょう?」

 

 そう言うとマックイーンはカバンから、タッパーみたいなものを取り出し、俺の方に突き出す。

 

「ですから、これをどうぞ……」

 

「……これは?」

 

 そう言いながら受け取り、そして開けてみる。

 

 そしてタッパーに入っていたのは……水分を多く含んだ米……いや、これはお粥だ。

 

 黄色っぽいものもあるけど、これは溶き卵だろうか。

 

 そして全体に散りばめられているのはシラスと小口ネギ。

 

「これ……メジロ家のシェフさんがーー」

 

「違います! これは……わたくしが作りましたわ!」

 

「えっ、そうなのか?」

 

 マックイーンは顔を少し赤くして、真っ直ぐにこっちを見ている。

 

 だけどウマ耳は少し自信がなさそうに伏せている。

 

 つまり、本当に作ってきてくれたんだろう。

 

「ありがとう……いただきます」

 

「め……召し上がれ……」

 

 俺はスプーンでお粥を掬って、自分の口に運ぶ。

 

 ……うん、美味しい!

 

 ご飯がだし(多分白だし)をちょうどいい具合に吸っていて、卵とネギとシラスがちょうどいいアクセントになっている。

 

「ど、どうですか? お口に合いましたか……?」

 

「美味しいよ」

 

「ほ、本当ですか……!」

 

「ほんとほんと、俺が食べてきたお粥料理で1番美味しいよ!」

 

 とは言うがお粥を食べたのは人生でこれが初めてだ。

 

 小さい頃は風邪をひいても、いつものようにご飯を取るか、本当にひどい時はうどんを食べていた。

 

 だからお粥は食べたことはなかったんだが……まさかマックイーンが作ったのが初めてになるなんてな。

 

「もう……お世辞はそれくらいでいいですわ」

 

 そう言うマックイーンは顔をさっきよりも真っ赤にして、しっぽとウマ耳を忙しなく動かしている。

 

 それを見ていると、心なしかほんわかした気分になる。

 

 あれだ……ネコに甘えられているような、そんな感覚だ。

 

「……なんですの、その温かな目は……?」

 

「マックイーンに癒されているだけだよ」

 

「っ! ……知りませんわ」

 

 そう言って、ぷいっとマックイーンはそっぽを向いてしまったのだった。

 

 

 

 

 




・メインウマ娘の2人目はメジロマックイーンでした。お嬢様(?)口調が難しい……。

・ほのぼの〜。

・マックイーン星3持ってないんじゃあ(´;Д;`)

・次もマックイーン(出会い)回、スズカは次々回の予定。
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