少年とウマ娘たち - ススメミライヘ -   作:ヒビル未来派No.24

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 前回のあらすじ:玲音、トレーナーにライダーパンチを食らわした。そうしてスペに限界を超える方法をアドバイスした。

・今回はほぼオマケみたいな感じです。



四つ葉のクローバー

 スペとスズカが階段で併走した後、二人がこっちに降りてくることはなかった。

 

 恐らく次の練習になったんだろうと思い、俺は階段を上がる。

 

 それにしても改めて思うけど、この階段ってただ急ってわけではなく、石でできており、それも綺麗な階段ってわけではなく、歪な階段で登りにくい。

 

 そんな階段を40秒以内に登り切れるすごさもあるし、全然引っ掛からない正確さもある。

 

 ある意味先生はそこも狙っているのかな?

 

「流石にそれはないか」

 

 階段を登り切るとそこにはマックイーンがいた。

 

 鳥居に座り込んで、見た感じ俺を待っていた感じだ。そして自分の姿を視界内に捉えるとウマ耳をピンッと立てて、尻尾をブンブンと振っている。顔は凛々しいのに、ほんと態度は正直に現れる娘だなマックイーンは。

 

「玲音さん、お疲れ様です」

 

「あぁ、マックイーンも今日はありがとうな」

 

「いえ、今日は有意義のある時間が過ごせました……流石に玲音さんが空を飛んだ時は驚きましたけど」

 

「あはは……いつもはあんなんじゃないよ?」

 

「分かってますよ、あれがいつもだったらカオス過ぎですよ」

 

 マックイーンはクスクスと笑いながらそう言うが……俺は苦笑を浮かべながらマックイーンの言葉を流した。

 

 実際、このカオスさが時々混じるのがこのチームなのだ……ある意味、マックイーンが言っていることも否定はできないのだ。

 

「どうだった、チーム・スピカの練習は?」

 

「他のチームは規律などを守ってますけど、ここは結構自由にやっているんですね」

 

「そうだね、基本ウマ娘の意思を尊重するのが先生のやり方だな」

 

「ウマ娘の意思をする……ですか」

 

「リギルとかは確かに練習の精度も規律性もある。だけどあそこはトレーナーがそのウマ娘に合ったレースを決めて、そこに向かって練習をするってやり方を取っている。だからマックイーンとはある意味相性が悪いチームになるかも」

 

「……そう、ですね」

 

 俺はマックイーンが小学生の頃から背負い続けているメジロ家の悲願を背負っていることを知っている。

 

『天皇賞制覇』それがマックイーンが背負っているものだ。

 

 そしてその悲願に向けてマックイーンが小学生の頃からトレーニングに励んでいるのも知っている。マックイーンは同世代の中では比較的早熟なステイヤーだ。

 

「先生だったら、多分天皇賞・春に向けたプランを考えてくれると思うよ」

 

「そうですか……選ぶ基準の一つにしますね」

 

「ちなみに今はどれくらい入りたい気持ちがある?」

 

「そうですね……まだ見ていないチームもいますからまだ分かりませんけど、6割くらいですね」

 

「あら、意外とお高い」

 

「何ですか、その口調は……ふふっ」

 

 そんな風に笑い合っているとマックイーンはふいに自分の隣を見た。

 

 それに釣られて俺もそっちの方向に目を向ける。

 

 すると見えたのは……草むらに向かって手を伸ばしているスカーレット、ウオッカ、ゴルシ、テイオーの姿があった。

 

「あなたたち……何やってますの?」

「みんな……そこで何してるんだ?」

 

「あっ、玲音とマックイーン。ちょうどいいや、ちょっと一緒に探してくれないかな?」

 

「探すって……何を探すんだ?」

 

「四つ葉のクローバーだ」

 

 俺とマックイーンがテイオーの問いに困惑しているとゴルシがそう答える。

 

 四葉のクローバーって、あの幸運の象徴で有名なクローバーであろうか? いやそれ以外はないか。

 

 もしかしてあれかな、日本ダービーは最も幸運なウマ娘が勝つと言われている。だから幸運の象徴を渡して験担ぎにしようとしているんだろうか。

 

 なんと単純……いや、幸運=招き猫と考えた自分が言えることではないな。

 

「まぁ理由は新人が考えた通りだ」

 

「勝手に俺の思考を読まないで?」

 

 なんで自分の考えたことがゴルシに筒抜けなんだよ、ゴルシだからか(?)

 

「でも意外だな、ゴルシのことだからもうちょっと凝ったことをするかと思ってた」

 

「こういうのはシンプルな方がいいって爺ちゃんから学んでいるからな」

 

「へぇ、いい爺さんだな。大切にしろよ」

 

「おう……」

 

「あの玲音さんにゴールドシップさん? 二人で勝手に話を完結されてもわたくしは何が何だか分からないんですけど……?」

 

 マックイーンにうちのチームにいるスペシャルウィークが次のダービーに出ること。そしてダービーは最も幸運なウマ娘が勝つと言われている、そのため運気がアップする四つ葉のクローバーを探して欲しいということを伝える。

 

 そうして俺とマックイーンも混じってクローバー探しをするが……俺はある一つのことを指示する。

 

「そんな隅を探してもクローバーは多分ないぞ?」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「でも四つ葉のクローバーって見つかり難いんですよね?」

 

 スカーレットは驚き、ウオッカが質問をしてくる。

 

 確かにウオッカが言っていることは正しい。四つ葉のクローバーが見つかる可能性は確率的には1万分の1と言われている。

 

 だがここで勘違いしてはいけないのは、四つ葉のクローバーは決して遺伝による物ではないのだ。

 

 四つ葉のクローバーは三つ葉のクローバーが生長中に何かが原因で芽が傷つき、その傷から分裂して起こる奇形なのだ。

 

 だからスカーレットとかが探していた隅っこ過ぎるところにはなく、逆に俺とマックイーンが立っているような人が踏みそうなところに生えていることが多いのだ。

 

 さらに四つ葉が生えた辺りには三つ葉と四つ葉が混合していることが多い。

 

 その事を説明するとスカーレットとウオッカは納得してくれたらしく、こっちの方に来て四つ葉のクローバーを探す。それを聞いていたゴルシ、テイオーもこっちに来て草むらに手を突っ込み隈無く探す。俺とマックイーンも探す。

 

 それにしても、スズちゃんやライスさんのために身に付けた知識がこんなところに役立つなんてーー。

 

 あれ、俺今何を思った?

 

 スズちゃんや……ライスさんのため?

 

 いや待て待て、なんでそこでライスさんが出てきた? 俺とライスさんは四つ葉のクローバーなんて探しに行ってなーー。

 

『わぁ……本当に四つ葉のクローバーがあった!』

 

『ヘヘっ、だから言ったでしょ? 兄に任せとけって!!』

 

 また、この感覚……この前ゲームセンターで幼いライスさんが視界内に現れたやつだ。

 

 俺は彼女のために四つ葉クローバーを探したことがある。確かその理由は誕生日プレゼントで使うからだった気がする。

 

 だが、どうにも現実味がない……前はライスさんと一緒にいたから本当の記憶だと思ったけど、今回は自然に思い出したからだろうか。

 

 ただ一つ言えることは、自分の記憶は着実に埋まってきているということだ。

 

「みなさん! ありましたわ!!」

 

 マックイーンが声を上げたので俺たちは全員マックイーンの側に歩み寄る。するとそこにあったのは三つ葉に囲まれた一つの四つ葉のクローバー。周りを見てもそれ以外の四つ葉のクローバーはなかった。

 

「うっしゃ! でかしたぞマックイーン!! 今度駅前のパフェ奢ってやるからな!!」

 

「なんで貴女がわたくしの大好物を知ってますの!?」

 

 

 




・次回はダービー回です。
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