「じゃあ、私ちょっと出かけてくるから、何かあったら連絡ちょうだいね、ユニ」
そう言ってお姉ちゃんが出ていった。どこに行くか聞いても適当にはぐらかされたので、多分趣味のコスプレの衣装の材料でも仕入れに行くんだろう。お姉ちゃん的には他人には秘密にしてる趣味らしいけど、あたし含むみんなにはバレバレなんだけどね。
今日は仕事がないから、あたしもガンショップ巡りに出かけようと思ったけど、SNSで行きつけのショップのアカウントがほとんど臨時休業って情報を発信していたし、FPSをやろうと思っても、どうやら大型アップデートが近いらしいから今じゃなくてアプデ後にがっつりやりたい。バージョン末期ってあまり面白くないのよね。
友達と遊ぼうと思っても、ネプギアにはなぜか連絡がつかないし、ロムとラムは今日はクエスト行くって言ってたわね。あたしもクエストに行ってもいいんだけど、せっかくのお休みだから働きたくないしなぁ……
というわけで、今あたしは暇を持て余している。あまりにも暇だったからお姉ちゃんの執務室に勝手に入って、お姉ちゃんの椅子に腰をかける。勝手に入っても何もいじらなかったらバレないし怒られないわよね……?
うんうん、なかなかの座り心地。少し気分が舞い上がってきちゃった。
「ふふん、ラステイションの女神、ユニよ! …………なんてね」
「似合ってるよー、ユニちゃん」
「ひゃあああああっ‼︎ ね、ねねね、ネプテューヌさん‼︎⁇」
「おぉう、すごいリアクション」
「いつからいたんですか⁉︎ ていうかどうしてここにいるんですか⁉︎」
「ユニちゃんがノワールの仕事部屋に入る前からいたよ。ユニちゃんがウッキウキで入ってきたからなんか面白そうなものが見れそうと思って音と気配を消してそこらへんに潜んでたんだー。あ、ノワールには黙っといてあげるから安心してね」
ほっ、と胸をなでおろす。お姉ちゃんに言うって言われたら、ネプテューヌさんを相手に戦わなくちゃいけないところだった。
「あまりにも暇だからノワールで遊ぼうと思ったんだけど、その様子だといないっぽいね」
お姉ちゃん『と』じゃなくてお姉ちゃん『で』なんだ……
「お姉ちゃんはさっき出かけちゃったんですよ。そういえば、ネプギアって今何してますか? 連絡しても何も反応がなくて」
「あー、なんか良いパーツを沢山仕入れたって言って朝から部屋にこもってずっと機械弄ってるんだよね。おかげで全然構ってくれなくてさー、お姉ちゃん悲しいよー」
「そ、そうなんですか……」
あのネプギアがネプテューヌさんを放置するぐらい集中してるんだから、あたしからの着信に気がつかないわけだわ……
「じゃあさ、ユニちゃん。姉妹に見捨てられたもの同士、今日は一緒に仲良く過ごそうよ。一緒にゲームするのもいいけど、天気がいいから外に遊びに行こっか」
「えっ」
「よし、そうと決まれば善は急げだね! ラステイションの街へ向けてレッツゴー!」
「ちょっ」
……そのままネプテューヌさんに強引に外に連れ出されてしまった。けどまぁ、たまにはこんな休日も悪くない……かな?
*
「いつもネプギアとどんなことしてるの?」
「そうですね、ガンショップ巡りとジャンクショップ巡りをして、その途中でご飯食べてゲームセンターに寄ったり……ですかね?」
「ほうほう、ネプギアがいないからジャンクショップは無しとして……ガンショップ行く? わたしついて行くよ? 面白そうだし」
「今日はどこも休業らしいんですよね……ネプテューヌさんはどこか行きたいところありますか?」
「うーん、あ! ラステイションの中古ゲーム屋巡りがしたいな。ユニちゃん場所知ってる?」
「あまり行きませんけど場所は把握はしてます。案内しますよ」
「ありがとう!」
「あたしもレトロゲーを何かやり込んでみようかな。ネプテューヌさん、おすすめのレトロゲーはありますか?」
「たくさんあるよ! 良ゲー、バカゲー、クソゲー、虚無、どれがいい?」
「……できれば良ゲーでお願いします」
*
「見て見てユニちゃん! 『ブラックハート様の顔出しパネル』だってー! あはははは! あはははははは! 面白ー! あはははははは!」
「わ、笑いすぎですよネプテューヌさん……」
「さてと……どうかしら、ユニちゃん?」
「ちょっ、なんで変身してから顔出すんですか⁉︎ んふっ」
「あ、今ちょっと笑ったわね」
「だって、身体はお姉ちゃんなのに顔だけネプテューヌさんなのがすごくシュールなんですもん!」
「こほん……ラステイションの女神、ブラックハートよ! ……なんてね」
「全然似てませんね」
「ラステイションの女神、ユニよ!」
「それはもう忘れてください‼︎」
*
「お昼ご飯までご馳走になっちゃって……いいんですか?」
「いいのいいの! ここは先輩女神であるわたしの顔を立てて、ね!」
「はい、ありがとうございます!」
(ユニちゃんって、ノワールやネプギアにはツンデレを発揮するんだけど、わたしに対しては素直で可愛いんだよねー)
「あの……あたしの顔に何かついてますか?」
「ううん、なんでもないよー。ソースがほっぺについてるぐらい」
「ついてるんじゃないですか!」
「あはは。食べ終わったらさ、そろそろ行かない?」
「どこにですか?」
「そんなの決まってるでしょ、ゲームセンターだよー!」
*
「ユニちゃん、シューティングゲーム上手っ!」
「ネプテューヌさんもなかなかやりますね。ネプギアよりも上手いですよ」
「そりゃお姉ちゃんだからね! ドヤァ!」
「まぁあたしの方が上手いですけど」
「ぐぬぬぅ……スコアの差が二倍ぐらいあるから言い返せない……流石ガンナー……! あっ、それわたしが狙ってた敵ー!」
「そんなルールありませんからね!」
「少しは先輩を立てようという気持ちはないのー⁉︎」
「この瞬間に限ってはそんなものありません! シューティングゲームは遊びじゃないんですよ!」
「ねぷぅぅぅ!」
*
「格ゲーなら負けないよー!」
「ちょっ、ネプテューヌさんちょっとは手加減してください!」
「聞けない相談だね! さっきのお返しだよー!」
「……何もできずに負けちゃった……強いですね、ネプテューヌさん」
「ふっふっふ、これが仕事は欠かしてもゲームは欠かさない女神ことネプ子さんの実力だよ」
(それは女神としてどうなんだろう……)
(ゲイムギョウ界の女神として、ゲームが上手いことも大事だもんねー!)
(……⁉︎ 直接脳内に……っ⁉︎)
*
そんな感じで今日はネプテューヌさんと二人でラステイションを練り歩いていた。ネプテューヌさんとすごく仲良くなれた気がする。
「もう夕暮れかぁ、そろそろ帰らなきゃなー。じゃあね! ユニちゃん!」
「はい、今日はありがとうございました。それじゃ、さようならネプテューヌさん」
……違う、そうじゃない。挨拶も大事だけど、これを言わなきゃ!
「あっ……その……あの……ま、また誘ってください!」
緊張してみっともなく言葉が詰まってしまった。恥ずかしい。
けど、それを聞いたネプテューヌさんは、ほんの少しだけ驚いた表情をしてからにっこりと笑って、
「うん! また遊ぼうね!」
と言って帰って行った。正直すごく疲れたけど、それ以上に楽しかった。次はあたしがプラネテューヌに行ってネプテューヌさんを連れ回しちゃおうかな……なんて。
ネプユニを推してください。