「そこで私は考えたんだけどね」
「急に始まったわね」
ある日、ラステイション教会にて、ネプギアとユニがゲームをしている時のこと。
会話の流れをぶった切ってネプギアが言う。
「武装のバリエーションを増やしたいけど、M.P.B.Lの性能はこれ以上弄れないから、プロセッサユニット自体に新しい武器を装着してみるのはどうだろう……って」
「悪くない発想ね」
「最初は変形機能を作りたいなと思って、お姉ちゃんみたいに『ハードフォーム』に変身したかったんだけど、私にはできなくて……」
「あれどうやってるのかしら?」
「お姉ちゃん聞いてみたけど……
『ハードフォームのやり方? まず身体を丸めるでしょ? そしてこう』
……って言いながら目の前で変身されても、正直全く意味がわからなかったんだ……」
「あー……」
「武器のバリエーションも増やしつつ変形機能も付けられるようなアイデアはないかなぁ〜……」
「そんな都合の良いアイデアなんてあるわけないわよ」
「だよねー……」
少しの沈黙。
部屋には、カチカチとコントローラーをいじる音とゲーム音が鳴る。
\リボーンズガンダム! フハハハハ! リボーンズキャノン! /
「……これだよ‼︎」
「え?」
*
アイデアを思いついたネプギアは数日で設計開発を済ませ、再びラステイション教会にて、ユニの前でプロセッサユニットのパーツを組み立てながら実演する。
「なるほどなるほど、近距離戦特化高機動形態と遠距離戦特化砲撃用形態に変形換装しながら戦うってわけね」
ネプギアの完成させた新プロセッサユニットとは、一形態で性能を盛るのでなく、各レンジに特化させた二形態を変形換装させるというアイデア。
普段は前面が接近形態『アサルトモード』、背面が砲撃形態『バスターモード』となっており、使用する方が前面に展開され、状況に応じて切り替えられる構造になっている。
離れればバスターモードによる嵐のような砲撃で敵を殲滅し、砲撃を掻い潜ってきた敵はアサルトモードで圧倒する、という隙のない武装コンセプト。
また、性能を盛るとなるとどうしてもゴテゴテとしたフォルムになってしまう欠点を、二形態に分けたことによりカバーし、すっきりとしたフォルムとして完成させることができた。
「……どうしてあたしはあんたの背中に縛り付られているのかしら⁉︎」
ただ一つ、ネプギアの背部、バスターモードにユニがくくりつけられているという点を除けば。
「その……本当は砲撃形態にユニちゃんのエクスマルチブラスターみたいな巨大砲を付けたかったんだけど……今のプラネテューヌ教会にはそんなもの用意できるリソースはないってイストワールさんに言われちゃって……自分で作ろうにもお小遣いも足りなくて……そもそもエクスマルチブラスターの火器管制は私には難しくてユニちゃんじゃないとできないから……この際もう背中にユニちゃん付けて砲撃形態を任せちゃおうかな、って」
「任せちゃおうかな、じゃないわよ! 新プロセッサユニットが完成したからあたしの部屋で組み立てる、って言われて、どうしてあたしの部屋なんだろう……って思ってたらこういうことだったのね!」
「でもユニちゃん抵抗しなかったから……」
「理解が追いつかなくて動けなかっただけよ! あたかもあたしが受け入れたみたいな言い方しないでくれる⁉︎ とりあえず降ろしなさい!」
「ダメだよ! ユニちゃんは今から私の砲撃形態『バスターモード』になるんだから!」
「……あ、これ機械いじってる時の人の話を聞かないネプギアだわ。あたしもう詰みね」
ユニは全てを諦め、ネプギアが満足するまで耐えることを選んだ。
「ユニ、ネプギア、信者の方からお菓子をいただいたの。あなたたちもどうかし……ら……?」
ユニの部屋に入ってきたノワールは、その光景を見て目を丸くし言葉を失う。
「ありがとうございます! そうだ、ノワールさん! 私の新プロセッサユニット、どうですか?」
「新プロセッサユニット……ユニット……? もしかして、背中のユニも……?」
「はい! 私の新プロセッサユニットの砲撃形態『バスターモード』のユニちゃんです!」
「……ねぇ、ユニ。この子大丈夫?」
「ダメだと思う」
「そうだ! ノワールさん! 私と模擬戦やってくれませんか⁉︎」
「良いけど……もしかして、それ……使うの?」
「はい‼︎」
「……ユニはどう思う?」
「良いわよ。ていうか徹底的にやっちゃって。そしたらネプギアの熱も冷めるだろうし」
「それもそうね」
「あと、戦う半分はネプギアだけどもう半分はあたしってことになるのよ。だから、覚悟しててよね、お姉ちゃん!」
「あなたもなんだかんだでノリノリじゃない」
*
場所は変わって、ラステイション教会の修練場。
そこで向かい合うのは、女神ブラックハートと女神候補生パープルシスター(と背後にブラックシスター)。
「さて、やるからには思いっきり行くわよ。新プロセッサユニットがスクラップになっても恨んだりしないでね」
「ユニちゃんをスクラップにはさせません!」
「スクラップはあんたの頭よ」
試合の前の雑談を終わらせ、お互いが定位置に足をつけてから十数秒後、試合開始のブザーが鳴り響く。
「ユニちゃん!」
「任せなさい!」
試合開始の定位置は近接戦の間合いではないため、ネプギアは振り向いて背部をノワールに向けることでユニモードに変形。
既にエクスマルチブラスターは発射準備を済ませており、ビーム砲がノワールに向けて放たれる。
ちなみにアサルトモード、バスターモードという呼び名は早急に変更され、近接モードが『ネプギアモード』、射撃モードが『ユニモード』となった。
(……! そっか、背中にユニが付いてるものね……!)
ノワールは突然の射撃に驚きつつも、最低限の動きで回避しながら接近していく。
「ネプギア!」
「わかってる」
ネプギアが振り返り、ネプギアモードに変形。
そのまま、ネプギアのM.P.B.Lとノワールのソードがぶつかり、鍔迫り合いとなる。
「見た目はアレだけど、近遠距離それぞれの特化形態を作るって発想は悪くないと思うわ。ただ、特化形態ですら勝てない相手にはどうしようもないとも思うけど……ね!」
ノワールがソードに更に力を込める。
「それは……どうでしょうか?」
瞬間、ノワールの左右が光る。
「……っ!」
その光に反応し、ノワールはネプギアから距離を取る。
すると、二本のビーム方がさっきまでノワールがいた位置を横切った。
「……そういえば、そんな武器もあったわね」
ネプギアが使用したのはビット。
二基のビットに意識を向けながら正面からネプギアの相手をするのは少し分が悪い、とノワールは少し距離を取る。
「ユニちゃん!」
「オッケー!」
距離を取ると再びユニモードに変形し、ビットから砲撃も交えたビームの雨がノワールを襲う。
「くぅっ……!」
ノワールは大きく旋回しつつグネグネと動きながら弾幕を避けていく。
(昔のネプギアならまだしも、今のネプギアは私でも手を焼くほどの剣技がある……そしてユニの射撃能力は私たち女神の中でも随一。この二人が一つになってるってことはそりゃ強いわよね。おまけに背後も取れないし)
回避に専念しながら、相手の戦力を分析する。
(それに、さっき少し押し合ってわかったけど、今のネプギアのパワーは普段よりも強い。おそらく、ネプギアのシェアエネルギーとユニのシェアエネルギーの一部が共有されているってことでしょうね……)
女神は戦闘時には高い身体能力をシェアエネルギーで更に強化している。
そして、戦闘に使用できるシェアエネルギーの総量は守護女神の方が候補生よりも多い。これが守護女神と候補生の戦闘能力の差における大きな要因である。
しかし、ノワールの推測通り、今のネプギアは戦闘に使用しているシェアエネルギーが共に戦っているユニのシェアエネルギーの一部でかさ増しされている。そのため、エネルギーの総量が増えた分ネプギアのパワーも増しており、今のネプギアは本来近接戦闘では勝てないノワール相手に劣らないほどの力を手にしていた。
(……おそらくスペックだけなら私以上。馬鹿みたいな見た目してるくせに、普通に強いじゃない……‼︎)
苦戦しながらも、ノワールはニヤリと笑みを浮かべる。
強敵との戦闘も、それはそれで楽しいもの。
(けど、スペックだけが勝敗を左右する絶対条件ではないわ!)
ノワールはネプギアに距離を詰める。
しかし、距離を詰めただけで斬りかかろうとはしない。
(えっと、この距離なら……)
「なるほど、この距離は迷うのね」
「……っ⁉︎」
「『フォールスラッシュ』!」
ノワールが維持するのは、一瞬で間合いを詰めることができながらも、剣を振り合うほどではない絶妙な位置。
ネプギアが変形をするかしないか迷う一瞬の隙を狙い、攻撃を仕掛けていく。
「何やってんのよネプギア! あたしに変わりなさい!」
「でも、この距離だと……!」
「そうね、ユニの苦手な剣の間合いにすぐ近づけるわ。こんな風にね……『レイシーズダンス』!」
「「きゃあぁぁっ!」」
ノワールは一撃を与えても追撃はせずにすぐに距離を置き、先程の絶妙な位置に戻る。
「こうなったら、わざわざ切り替えるのはやめましょ、ネプギア」
「え? ……うん、わかった!」
ネプギアがM.P.B.Lを構え、その最後でユニもエクスマルチブラスターを構える。
(ユニには変わらずネプギアのまま射撃戦を行うってことね。ま、悪くない判断だわ)
ノワールは自らを捉えたM.P.B.Lの銃口から離れるように、ネプギアの側面に移動する。
(けど、あなたの射撃じゃ私は捉えられないわよ!)
「ユニちゃん!」
「ええ! 行くわよ!」
その掛け声と共に、前面のネプギアと背面のユニが、お互い照射ビームを撃ちながら回転する。
中距離戦における強力な牽制択、全方向へのビーム射撃。
「まず……っ!」
ノワールはたまらず上方向に飛び上がって回避する。
「離れたね!」
「なら、あたしの番よ!」
少し距離が離れたところに、再び襲いかかるユニモードの連射撃。
距離を詰めようとしてきたノワールに対しては、ビットで牽制しながら再びネプギアモードに変形して迎撃する。
そして先程苦戦した中距離には、ネプギアモードとユニモードどちらでもない射撃攻撃のばら撒きによって強引に距離を離すか詰める。
段々とネプギアとユニの息が合い始め、ノワールは追い詰められていく。
(やば……対応できな……っ!)
「今だよ、ユニちゃん!」
「ええ! 華麗に決めるわ!」
「「『シュタルクヴィータ』!」」
そして遂に手詰まりとなったノワールに対し、ネプギアとユニの連携技『シュタルクヴィータ』が炸裂する。
(……っ、負ける……! …………!)
瞬間、閃光が弾けた。
「えっ?」
黒と青の軌道が目にも止まらぬ速さで、ネプギアを横切ると、ダメージで変身が解け、ネプギアとユニはぺたんと地面に座り込む。
二人が振り返った方向に立っていたのは、ノワールの最強形態ネクストブラック。
「「ええ〜〜〜〜っ⁉︎」」
二人は負けてしまったことよりも、ノワールが大人気なくネクストフォームに変身したことに納得がいかない様子だった。
「お姉ちゃん! ネクストフォームはずるいわよ‼︎」
「ね、ネクストフォームが禁止なんてルールないわ!」
「でも、ノワールさんをそこまで追い詰められたってことですよね⁉︎」
「まぁそれは……そうね。強かったわ、あなたたち。えっと、じゃあ私仕事に戻るから! さようなら!」
ノワールはユニとネプギアの頭を優しく撫でると、そそくさとその場を去っていった。
「行っちゃった……」
「もー! 納得いかないわ!」
「それよりもユニちゃん! どうだった⁉︎ 私の新プロセッサユニット‼︎」
「悪くはなかったけど……その……」
「その……?」
「ぶっちゃけあたしとあんたが合体するより連携取りながら二人で戦った方が強いと思う」
「あー……確かに」
結局ネプギアとユニの間では、二人が合体して一つの強力な個を作るより、信頼する仲間と共に二人で戦う方が強いという意見で合致し、ネプギアの新プロセッサユニットはテスト運用のみとなり実装はお蔵入りとなった。
*
数日後。
「ユニちゃん! 今度はロムちゃんラムちゃんとも合体するのはどうかな⁉︎」
「変形合体はお蔵入りにしたでしょ! その考えから離れなさいよ‼︎」
ギャグっぽいSSが書きたいので練習中です。