『リバーシブル・ネプギア』の続きです。
半分くらいタイトル詐欺です。
プラネテューヌ教会、プラネタワーの居住スペースにて。
大画面のテレビの前に、ちょこんと座りながらアニメを見ているイストワール。
それを見たネプギアが物珍しそうに話しかける。
「いーすんさんもアニメとか見るんですね」
「たまには見ますよ」
「それにしても、少し古いアニメですね」
「そうですね。もう数十年前のアニメですけど。この主人公が好きだから、何度も見たくなっちゃうんです」
「へぇ〜。一緒に見ててもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
\ カツテセンソウガアッタ…… /
(ロボアニメってアイデアが転がってるから見てて楽しいんだよね。あっ、早速いいこと思いついた!)
*
「というわけで新しい武器を思いついたんだけど……」
ユニの腕を強く掴みながら話すネプギア。
「わかった! わかったから離して!」
「だってユニちゃんが逃げようとするから……」
「前みたいに背中に括り付けられる羽目にはなりたくなかったからね!」
「私はユニちゃんと一緒に戦えて楽しかったよ?」
「それはどういたしまして! とりあえず離しなさいよ!」
「わかった。でももしユニちゃんが逃げたら大声でユニちゃんの名前を叫びながら泣くからね」
「くっ……絶妙に嫌な脅迫ね……まぁいいわ、とりあえずどんなアイデアか教えて」
「簡単に言うと、ユニちゃんロボを作ろうと思ってね。私が前で戦ってる時に、後ろからユニちゃんロボに援護射撃してもらおうかなって。だからユニちゃんのデータが欲しくて」
「またイカれたことしようとしてる……」
「……ダメ?」
「はぁ……しょうがないわね」
「ありがとうユニちゃん!」
ユニは初動で逃げ遅れた場合には素直に従っておいた方が事が早く済むことを学んでいた。また、なんだかんだでネプギアと新兵器開発をするのはユニにとっても楽しみであり、それに加えてネプギアに頼られることは満更でもなかったりするのだ。
「ロボに援護させるって言っても、どうやって動かすのよ?」
「基本は自動での機械制御だけど、詳細な操作がしたいときは、私の脳波をNP粒子を媒介にしてロボに飛ばすんだ。そうすれば戦闘中でも簡単に動かせるよ。ビットの技術の応用かな。元ネタがそれだし」
「出た出た、プラネテューヌの超技術。お姉ちゃんがナナメブレイドの改良の為にその技術を欲しがってるんだけど、ネプテューヌさんに頭を下げるのは死んでも嫌だって言ってたわ。かと言ってあんたに聞いてその技術を流用するのは女神としてのプライドに関わるとも言っててね」
「あはは、ノワールさんらしいね」
和気藹々と会話しながらも、迅速かつ精巧な手捌きでパーツを組んでいく二人。
すると、部屋にノワールが入ってきた。
「ユニ、ネプギア。ブランから今年もブラン饅頭が送られてきたからあなたたちもどうかし…………」
部屋に入ってきたノワールの目に入ったのは、ユニのようなロボット。
「のわぁ〜〜〜〜⁉︎ ゆ、ユニがロボットにされてる〜〜〜〜〜〜っ‼︎⁇」
「お姉ちゃん、あたしはこっち」
「……あぁ、ロボの後ろにいたのね。死角になってて見えなかったわ。てっきりあなたがネプギアにロボットにされてしまったかと思って本気でビビったわよ……」
「まぁ……ネプギアならやりかねないわよね……」
「いくら私でも友達をロボットになんてしないよー!」
「この前はその友達を武器に、そして今はその友達を模したロボットを作ろうとしてるじゃない」
(こういう破茶滅茶具合を見ると、やっぱりこの子はネプテューヌの妹なんだなって思うわね……)
「でも確かに、援護射撃用の自立行動ロボを作るってのは良いわね。割と需要がありそうだわ」
「ノワールさんも要ります? 二機作れるかは分かりませんけど……」
「いえ、私にはホンモノのユニがいるから必要ないわ。ロボよりも頼れるもの」
「ふふっ、そうですね」
(……けど、その言葉は私じゃなくてユニちゃんに直接言ってあげればいいのに)
「さて、私は仕事に戻るわね。完成したら私にも見せてちょうだい」
「はーい」
ノワールはテーブルにブラン饅頭とお茶を置いて部屋から出ていった。
それから、ネプギアとユニはノンストップで作業を続けて、ロボットは完成へと近づいていった。
「これで完成度80%ってとこだね」
「ほとんどできてるのにまだ80? あとなにが必要なの?」
「音声かな。ユニちゃんロボだからユニちゃんの声を入れたくて」
「えぇ〜……どれくらい入れるの?」
「えっと、出撃時ボイス三種類、攻撃ボイス十二種類、被弾時ボイス五種類、あとは……」
「ちょ、そこまでやるの?」
「えー、だって音声が多い方が嬉しいし、それに、アクションゲームの収録をする時の声優もこれぐらいやってると思うよ」
「あたし声優じゃないし……」
「ユニちゃんが乗り気じゃないなら無理強いはしないよ。ユニちゃんのサンプル音声をAIに自己学習させればセリフなんていくらでも増やさそうだし」
「出た出た、プラネテューヌの超技術。だったら最初からそうしなさいよ」
「だってホンモノのユニちゃんのボイスの方が欲しいんだもん」
結局、容量の問題で音声はお蔵入りとなった。
そして、設定と微調整を何度も繰り返してついに。
「「できた〜〜‼︎」」
『ユニちゃんロボ』、完成。
体長はユニより一回り大きい、所謂ネプギアンダムのユニバージョンのようなもので、飛行能力搭載、エクスマルチブラスターもちゃんと装備していたりと、中々の完成度を誇る。
「イカれたメカでも、実際完成させたとなると達成感が心地いいわね」
「早速ノワールさんに見せてこようよ!」
「あんた一人で行ってくれない? 自分と似た姿のロボをお姉ちゃんに見せるの恥ずかしいから」
「しょうがないなぁ」
「譲歩してもらった感じになってるの死ぬほど納得いかないんだけど」
「へぇ、中々いい見た目してるじゃない。けど流石にホンモノのユニの可愛さには勝てないわねぇ……」
(それも直接ユニちゃんに言ってあげればいいのに……)
「そうだ。これ、早速使いたいでしょ? 相手になるわよ」
「本当ですか⁉︎ ありがとうございます!」
「先に訓練場で待ってるわね」
「はーい!」
「……というわけで、早速ユニちゃんロボを使ってノワールさんと模擬戦することになったよ!」
(なんか最近お姉ちゃんってネプギアのビックリドッキリメカの犠牲者枠になってない?)
「早速起動するよ! ユニちゃんロボ、起動!」
意気揚々とネプギアがユニちゃんロボの電源ボタンを強く押す。
「……」
「……」
「……あれ?」
しかし、ユニちゃんロボが動くことはなかった。
「起動しないわね。どうしたのかしら?」
「ユニちゃんに似てロボットも素直じゃないのかな?」
「ぶっとばすわよ」
「どっかの回路がダメになってるのかもしれない。どうしよう……ノワールさんもう待ってるし……」
「あたしが直すから先行ってなさい。お姉ちゃんは忙しいんだからあんまり待たせちゃダメよ」
「ユニちゃん……直せる?」
「あんたと一緒に作ったんだから構造は知ってるわ。なんとかなるわよ……多分」
「わかった。任せたよ、ユニちゃん」
ネプギアはノワールの元へ向かった。
「さて……」
*
「あら? ユニロボは?」
「えっと、不具合があって起動しなくて……ユニちゃんが直してくれてます。ユニちゃんに、ノワールさんを待たせないように先に行って、って言われたんですよ」
「別にそれぐらい待つわよ」
二人が待つこと数十分後、ユニちゃんロボがのそのそと歩きながら訓練場に入ってきた。
「ユニちゃん! ちゃんと直してくれたんだ!」
「……」
嬉しそうなネプギアに対し、怪訝そうな目でユニちゃんロボを見つめるノワール。
「……? どうかしましたか、ノワールさん?」
「……いえ、始めましょうか」
「はい!」
戦闘が始まり、ネプギアとノワールがプロセッサユニットの背部ウイングを展開、飛行する。
ユニちゃんロボも飛行し、ネプギアの背後につく。
「やぁぁぁっ!」
ネプギアがノワールにM.P.B.Lを振りかぶる。
それと同時に、ユニちゃんロボも援護射撃を放つ。
(うーん、調整した時よりもユニちゃんロボの反応が悪いな? でも、私の意図しないタイミングで援護くれるんだよね。ユニちゃんがプログラムいじったのかな?)
「……はぁ、そういうことね」
ノワールが何かに気づき、呆れたように溜息をついた。
「……全く、とんだ茶番ね。『フォールスラッシュ』!」
そして、ユニちゃんロボに飛ぶ斬撃を放つ。
「ユニちゃんロボーーーーッ!」
容赦ないノワールの攻撃に、ネプギアの悲鳴が漏れる。
ユニちゃんロボの機動力ではフォールスラッシュを避けられず、斬撃が当たった場所にヒビが入り、装甲が砕けた。
「……ぎこちない動きでロボットらしさを偽ったところで、ネプギアにはバレてなくても私にはバレバレよ、ユニ」
「えっ⁉︎」
ノワールの言う通り、ユニちゃんロボの外装が崩れると、その中からユニが出てきた。
「やっぱバレちゃったか」
「ユニちゃん……」
「ごめんネプギア……やっぱりあたしじゃロボット直せなかったわ」
「そ、そんな! 謝らなくてもいいんだよ!」
「……ううん、実は嘘よ。本当は直せなかったんじゃなくて、直さなかったの」
「え? どうして……?」
「……だって! ロボなんかに援護させる必要ないじゃない! あんたのことはいつだってホンモノのあたしが援護してあげるわよ!」
「ユニちゃん……!」
「だから、一緒に倒すわよ……お姉ちゃんを!」
「うん!」
戦闘そっちのけでイチャつくネプギアとユニを不満そうに眺めるノワール。
「……今までは茶番だったから手を抜いてたけど、あなたたち二人を同時に相手するってなったらもう手は抜かなくていいわよね?」
そう言ってノワールは、掌の上にハイパーシェアクリスタルを顕現させる。
「うっそ! マジの本気じゃない……!」
「大人気ないなんて言わないでよね。それだけあなたたち二人を評価してるんだから。決して普通にユニロボが楽しみだったのにがっかりしたことの憂さ晴らしの意味なんて込めてるわけじゃないわ」
「……良くそれで今『大人気ないなんて言うな』なんてこと言えたわねお姉ちゃん……」
「何か言ったかしら?」
「なんでもない」
実際、ネプギアとユニを同時に相手取るとなると、守護女神であっても通常の女神化では荷が重く、手加減していられるほどの相手ではないのだ。
ハイパーシェアクリスタルを使用し、ノワールはネクストブラックへと変身する。
「さ、行くわよ! 『ナナメブレード』、射出!」
そして、ソード型ビット『ナナメブレード』をネプギアに向けて射出する。
「……っ、『ビットズコンビネーション』!」
ネプギアも必殺技『ビットズコンビネーション』によりファンネル型ビットを展開し、ナナメブレードを迎撃する。
(……ビットの攻撃力では勝っていても、動きの質は劣ってるわね……悔しいけど、プラネテューヌとの技術力の違い……か)
ノワールの思った通り、ビット同士のぶつかり合いは拮抗していた。
「……けど、私を止められるかしら?」
ノワールはネプギアに距離を一気に詰める。
(来る……っ!)
しかし、ノワールの接近はユニのエクスマルチブラスターの砲撃に阻まれた。
「ネプギア! ナナメブレードはあたしが撃ち落とすから、その間お姉ちゃんからの攻撃は死んでも耐えて!」
「わかった!」
ネプギアのM.P.B.Lとノワールのソードの鍔迫り合いとなる。
しかし、力の差は歴然、ジリジリとネプギアの方に剣は傾いていく。
「ユニがナナメブレードを撃ち落とすまで、耐えられる?」
「私はユニちゃんを信じています! 私がやられる前に助けにきてくれるって!」
その時、ノワールの側面からビットのビーム砲が飛ぶ。
「おっと」
ネプギアは、ナナメブレードをユニに任せたことにより空いた自身のビットに近接援護をさせ、自身より遥かに強いノワールの猛攻をなんとか耐える。
(ネプギアが必死でお姉ちゃんの猛攻を耐えてくれてる! だから、あたしが出し惜しみしてる暇なんてない!)
「『ドルチェ・ヴィータ』! 乱れ撃つわ‼︎」
ユニは最強必殺技、魔法弾『ドルチェ・ヴィータ』を使用し、ナナメブレードを撃ち落とす。
そしてノワールに向かい数発ネプギアの援護射撃をし、ネプギアからノワールを引き剥がす。
「へぇ、やるじゃない。ユニ」
「ネプギア、大丈夫?」
「なんとか耐えたよ」
ネプギアを狙えばユニからの射撃をまともに喰らうハメになる。
逆にユニを狙おうとすればネプギアに隙を晒すことになる。
ステータス面では絶対的な優位を誇るネクストブラックでも、ナナメブレードを失ってしまったことで、この布陣は易々と崩せそうにない。
「でもまぁ、潰すならネプギアが先よね」
ユニの射撃を警戒し、高速で旋回しながらネプギアに斬りつける。
「く……っ!」
とはいえ、回避に気を回しながらの攻撃であるため、ネプギアを倒し切るには至らない。
ネプギアは隙を見てスキル『ヒール』を繰り返し、自身の耐久力を少しずつ回復させ、ノワールの猛攻を凌ぐ。
「……やっぱりちまちまするのは性に合わないわね。なら……」
一旦ネプギアから距離をとったノワールは、自身の剣にシェアエネルギーを込め、技を放とうとする。
「『トルネードソード』!」
「……っ、ネプギア!」
ネプギアに向けられたトルネードソードの斬撃を、エクスマルチブラスターの射撃で相殺しようとユニが少し前に出る。
「……っ! 違うよユニちゃん! 下がって‼︎」
その時、何かに気づいたネプギアがユニに警告するも……
「えっ……」
……もう遅かった。
トルネードソードの刃が捉えたのは、ネプギアではなく、その背後にいるユニだった。
「自分が狙われてないと思って少し油断してたわね、ユニ」
ノワールはユニから視線を逸らしていたが、逆に狙いはずっとユニだったのだ。
手品やスポーツなどで使われるテクニック、所謂
「そんな……っ」
耐久値が大きく削られ、変身解除して膝をつくユニ。
「さて」
ノワールはネクストフォームから通常の女神化に戻り、ネプギアの方に振り向く。
「後はあなた一人よ、ネプギア」
大きく疲弊したネプギアに対し、ネクストフォームになったことの疲労程度しか感じていないノワール。
勝負はすぐに決した。
*
『聞いたよノワール〜大人気なくネクストフォームになったんだって〜?』
その日の夜、ネプテューヌと通話しながらオンラインゲームをしていたノワールは、ネプテューヌに昼間の戦闘について色々と聞かれていた。
「そりゃなるわよ。ネプギアとユニを同時に相手取るなんて、普通の女神化じゃ無理なのはあなたにとってもそうでしょ?」
『確かに。あの二人同時はもうわたしでも無理かなぁ』
「それに、今回はネクストフォームで簡単に勝てたといっても、いつまでそうかはわからないわ。あの子たちの成長速度は日々加速してる。いつか二人同時だとネクストフォームでもきつくなるかもしれないわ」
『ネプギアもユニちゃんも、私たちを超える日がどんどん近づいてきてる気がするね〜。焦るような頼もしいような』
「まぁ、まだ負けてあげる気なんてさらさらないけどね」
『ふふっ、そうだね』
まだ姉である守護女神の方が強い。おそらく、明日も明後日もその次の日も、戦えば勝利するのは姉たちだろう。
しかし、そうでなくなる未来が近づいていることをノワールもネプテューヌも確かに感じていた。
そして、ネプテューヌの言った通り、妹たちが自身を超える日が来ることを焦る気持ちと期待する気持ち、その二つを併せ持っていた。
*
また後日、ラステイション教会ユニの自室にて、再びロボのパーツを持ち込んだネプギア。
「ユニちゃん! 今度こそユニちゃんロボを完成させるよ!」
「嫌」
「えっ……?」
「言ったでしょ。ロボなんかに援護させないでもいつでもあたしがしてあげるって。ロボなんか作る暇があったら少しでもあたしたち自身が強くなるの。わかった?」
「はーい」
結局『ユニちゃんロボ』作成はお蔵入りとなったが、ネプギアは嬉しそうに笑っていた。
「……? 何嬉しそうにしてんのよ?」
「んー? なんでもないよ、ふふっ」
何気ない日常の中でも、妹は姉の元へ一歩ずつ近づきているのだった。
多分またこんな感じのギアユニがバカみたいな兵器開発するやつやると思います。