深夜のおつまみネプユニです。
「ネプテューヌさぁん〜」
「え、えっと……」
満遍の笑みでネプテューヌの腕に抱きついてすり寄るユニと、困った様子のネプテューヌ。
「ぐ……ぬぬぅ……!」
「むすー……」
そんな二人を物陰から見つめるのは、最早憎悪レベルで嫉妬の表情を向けるノワールと、頬を膨らませながらいじけるネプギア。
「ひぇっ」
「ネプテューヌさん〜、こっち向いてくださいよぉ〜」
何故こんなことになったかは、数時間前に遡る。
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ネプテューヌはプラネテューヌとラステイションの国境にある渓谷のダンジョンに来ていた。
「あれ、ユニちゃん。こんなとこで何してんの?」
そこで同じくライフル片手にダンジョンを練り歩くユニと出会った。
「お小遣い稼ぎに適当に討伐クエストに来たんですけど……ネプテューヌさんもですか?」
「うん。コンパが薬草と素材アイテム集めたいって言っててさ。一人でダンジョンまで行こうとするもんだから、わたしが代わりに……って」
「そうですか……ここで戦うと邪魔になるかもしれないですし、あたしクエスト変えた方が良いかもしれないですね」
「いいよいいよ。わざわざそんなことしなくて。ユニちゃんが戦ってる間にパパッと集めちゃうからさ」
後輩を気遣うことは勿論ながら、ちゃっかり邪魔なモンスターの排除を任せようとしてる先輩なのだった。
「ネプテューヌさーん!」
「どうしたのー?」
「そこあたしの射線なので危ないですー!」
「あ、ごめんごめん」
クエスト中とは思えない緩い雰囲気で、達成率を上げていく二人。
そのままダンジョンの奥に辿り着くと、そこには巨大な花のようなモンスターが佇んでいた。
「おっ、なんかそれっぽいモンスターがいるねぇ」
ユニたちの身長の三倍はある巨体、ウネウネと動く触手のような蔦を何本も携え、頭部の花びらの綺麗さは逆にモンスター自身の不気味さを助長している。
「あっ触手だ! えっちなやつだよユニちゃん!」
「そういうこと言うのやめてもらえますか⁉︎ ……アレを倒せばクエスト達成でしょうね。ネプテューヌさんのアイテム採集も、アレ倒したらいい感じに素材落としてくれそうですし」
「ここのボスっぽいし、わたしも一緒に戦うよ」
「大丈夫です。小遣い稼ぎも兼ねつつ腕試しで来たんですから」
「そっか。じゃ、ファイト!」
「はい!」
巨大花はボス級の敵ではあるが、女神候補生であるユニの敵ではない。
迫りくる触手攻撃を華麗に回避し、種を弾丸のように撃ち出してくる攻撃は、手に持つライフルで撃ち落とす。
「それっ!」
ライフルと魔法弾で部位破壊していき、敵の抵抗力を奪っていく。
「良いよー! ユニちゃんー! すごいよー! かっこいいよー!」
後方から聞こえるネプテューヌの声援に少し顔を赤くしながらも、巨大花の耐久値をゴリゴリ削っていく。
「これで終わりよ!」
ユニは巨大花の懐に潜り込み、ライフルの最大火力で根から焼き付くす。
「……っ、ユニちゃん! 危ない!」
「えっ?」
しかし撃破される瞬間、巨大花は胞子のようなものを撒き散らし、ユニはそれを浴びてしまった。
「きゃっ……ごほっ、げほっ」
人間ならば気を失うぐらいの毒素を含んだ胞子だったが、強い肉体を持つ女神であるユニにとっては少しむせる程度のものだった。
「うぅ……なんか変な気分……っ」
身体"だけ"には影響はなかった。
「なんだろ……少し……ドキドキする……」
だが、ユニは状態異常『魅了』になってしまっていた。
しかし、魅了にされた瞬間に敵モンスターを討伐したため、敵モンスターにメロメロになることはなかったが、魅了状態が治り切ることなかったユニの目に最初に入ったのは……
「ユニちゃん、大丈夫⁉︎」
「ネプテューヌさん……あはっ❤️」
「え?」
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というわけで、今現在ユニはネプテューヌにメロメロなのである。
「もーネプテューヌさんったら〜。あたしを見てくださいよ〜」
ユニはネプテューヌの頬に手を添え、自分の方に振り向かせる。
「ねぷっ」
「やっと……目が合いましたね❤️」
「ひゃっ」
透き通るような赤い瞳、少し紅潮した頬、そして言うまでもない整ったユニの顔立ちを改めて認識させられたネプテューヌは、ダメだとわかっていても少し心が揺さぶられてしまい、顔を赤くする。
「えへへ……ネプテューヌさん……顔が真っ赤ですね……ドキドキしてます?」
「いや……その……」
「あたしは……ドキドキしてますよ……? ほら」
ユニはネプテューヌに抱きつき、胸を押しつけ、心臓の高鳴りをアピールする、
「あわわわわわ」
「ネプテューヌさん……❤️」
ネプテューヌの首の後ろに手を回し、少しずつ顔を近づけ始めるユニ。
「えっ、ちょっ、それは不味いよ!」
「うふふ……❤️」
「やばい! このままユニちゃんの可愛さにわたしが堕とされる! こうなったら……!」
ネプテューヌは最終手段に移った。
つまりは女神化である。
「ユニちゃん」
差し出されたユニの唇に人差し指を押し付けるパープルハート。
「気持ちは嬉しいけど、今のユニちゃんは正気じゃないの。そんな時に、こんな大事なことはするものではないわ。でも、私がもっとよく見てあげていれば、ユニちゃんがこうなることもなかったかもしれないのよね。ごめんなさいね」
そして、ユニを抱きしめて頭を撫でる。
「ふぁ……❤️」
「落ち着くまでこうしていてあげるから、ゆっくり休んで、ね?」
「はぁい……❤️」
頭を撫で、背中を摩りながら、ユニを眠りへと誘うパープルハート。
変身前に堕とされかけてから一転、ユニを手なづけることに成功した。
「すぅ……すぅ……」
「寝てくれたようね。少し……危なかったわ。それよりも……ねぇ二人とも」
パープルハートは、ネプギアとノワールが潜む物陰に視線を向けて呟く。
「そんなところで見てないで、助けてくれてもよかったんじゃないかしら?」
その声に反応し、物陰からのそのそと出てくる二人。
「……ギリギリで止めるつもりだったし、もしキスしてたらぶっ殺してたわ」
「あら怖い。でも、本気のあなたと戦えるのは悪くないわね。ユニちゃんにちゅーしちゃおうかしら」
「マジでやめなさい」
「その……お姉ちゃん……」
「もう、そんな顔しないでほら。あなたもおいで、ネプギア」
言いながらパープルハートは一旦片方の腕をユニから離し、ネプギアの方へ伸ばす。
「……うん!」
ネプギアは満遍の笑みで腕の中に収まる。
「全く、甘え上手なんだから」
「だってぇ」
「良いのよ。いつもは私の方が甘えてるからね」
「えへへ……」
パープルハートがネプギアを抱きしめて撫でまわしていると、呆れたような表情のノワールとふと目があった。
「……ノワールも来る?」
「遠慮しとくわ」