午前六時、アイエフ起床。
「……ぅ〜ん? ん……」
しかし、今日は休日。
平日なら目覚めるこの時間に、休日にも関わらず目を覚ましてしまったことに不満げな様子で二度寝を始める。
「んぅ……」
すやすやと眠りだし、三時間後、午前九時。
「……ん、もうちょい寝よ」
日々の激務の疲れから、起床して活動することより睡眠の継続を優先。
とこぞの守護女神が仕事をしない皺寄せによって、アイエフは多忙の日々を過ごしており、休日の疲労が尋常ではないのだ。
「……すぅ」
数分後、二度目の睡眠についた。
「……お腹減った」
そして、午前十一時半、空腹により目が覚める。
「なんもない……」
寝ぼけ眼を擦りながら、部屋の冷蔵庫を開けると、空。
アイエフは自炊をほとんどせず、教会の食堂か親友お手製のお弁当で食事を取るので、食材を買い込むことはない。
故に冷蔵庫は空。乾物用の戸棚も空。空腹を満たせるものは無い。
「……ふー」
深いため息。
食事を取るには、外に買いに行く、もしくは食べに行くという選択肢になるのだが、今のアイエフにとっては、寝汗をシャワーで洗い流し、ボサボサの髪の毛をセットし、最低限のお肌のケアをし、着替える、etc……これらの行動が面倒なことこの上なかった。
「……寝よ」
そして、全てを諦め、空腹を紛らわすために寝ることにした。
時刻は正午を回った。アイエフの休日の午前は、惰眠を貪ることのみで終了した。
「……寝過ぎて疲れた」
午後二時、アイエフ四度目の起床。
流石にもう眠くないので、枕元にあったスマホを弄る。
「……ふふっ」
ニュースサイト、動画サイト、SNSをあらかた巡り、気づけば二時間経っていた。
「もう夕方かぁ……」
時刻は午後四時。一日の終わりを感じ始める時間。
未だに寝巻きを羽織り、ベッドに寝そべるアイエフは、この際もう今日はどこも行くまい、とすら思っていた。
「……ゲームでもしようかしら」
言いながら起き上がり、ゲーム機を数週間ぶりに起動する。
アップデートに約十時間、アイエフはゲーム機の電源をつけたままコントローラーをクッションに投げ捨てた。
そして、再び寝転び、スマホ弄りを始めるのであった。
「あ、このアニメ全話無料配信してるじゃない」
動画サイトを開き、気になっていたアニメを視聴し始めた。そのまま約三十分のアニメを全十二話で約六時間、一気見した。
「えぇ、何この終わり方……? 主人公の自己犠牲モノって今時流行らないわよ」
最終話を見終わり、時刻は午後十時。
「えっと……明日の予定は……?」
アイエフは翌日からの仕事に備え、スケジュールを確認していた。
「後輩の子たちと戦闘訓練かぁ。苦手なのよねアレ。やりすぎるとケガさせちゃうけど、緩すぎても訓練にならないし」
寝る前のストレッチをしながら、ぼやくアイエフ。
「ネプ子ぐらい頑丈な相手なら本気でやれるんだけどね〜」
アイエフは、プラネテューヌ教会における女神と候補生を次ぐほどの実力者である。本人はそのことを誇りに思いつつも、ちょうど良い訓練相手がいないという悩みも抱えているのだ。
「そろそろ寝よ。こんなに寝たから寝られるかわかんないけど」
時刻は午後十一時、最低でも六時間以上の睡眠を心がけているアイエフにとっていつもの睡眠時間。
「おやすみなさい……」
そして、翌日からまた激務が始まるのだった。