サマー要素はありません
キキーッ!
ガガガガガガッ!
舗装されていない地面がガタガタの山道を、四人乗りのワンボックスカーがその車体をグラグラと揺らしながら駆ける。
「ちょ、ちょっとブラン! 本当にこの道で合ってるの⁉︎」
助手席のノワールが、今にも吹っ飛びそうなほど揺れる身体をなんとか抑えながら、運転手のブランに訴える。
「ナビは下の大通りを行けと言うけど、地図を見るとこの山道を突っ切った方が早いわ」
「早いか遅いかの問題じゃないんだけど⁉︎ ていうかちょっとスピード落としなさいよ!」
「スピードを落としたら……それは負けを意味するわ」
「何と戦ってるのよ⁉︎」
前の席で騒ぐノワールと平然としながらもハンドル捌きとアクセルブレーキの入れ方が激しいブランを気に留めることなく、後部座席のベールはティーカップで紅茶を嗜んでいた。
「ベールったら、こんなに揺れてるのによく優雅に紅茶なんて飲めてるわね……真夏にホットティーなのも相まって二重の意味で凄いわ……」
ベールは著しく揺れる車体の動きに合わせてカップを傾け、紅茶を一滴も溢すことはなかった。
「どんな走りをしようとも、わたくしは紅茶を溢したりしませんわ」
「どっかで聞いたような台詞ねそれ……それにしても、一番うるさそうな奴がやけに静かね。ネプテューヌ?」
山道に入るまでにテンションMAXでお菓子とジュースを貪っていたネプテューヌだったが、数分ぐらい前から全く言葉を発さず特に動いてる様子もない。
訝しんだノワールが振り返ると、ネプテューヌが青ざめた顔で口元を手で抑えていた。
「ネプテューヌ……?」
「ね、ねぷぅ……っ、は、吐きそう……うぷっ」
「ネプテューヌーーーーーーッ!」
現在、四女神は車旅行をしているのだが、何故この四人で旅行に行くことになったかは、数週間ほど前に遡る。
「……守護女神四人旅企画?」
「はい!」
プラネテューヌどころか四大国全域で放映されている人気番組のプロデューサーが、ネプテューヌたちにその企画を持ち込んで来ていた。
「人気アイドルグループや俳優たちでの旅行企画を度々放送してきたんですが、どれも人気を獲得できていまして、そこは今回は女神様たちにやっていただこうという所存でございます! そして、旅のVTRを候補生の皆様に実況してもらう形で番組を作ろうとかと」
「へぇ〜! 面白そうだね! わたしは良いよー!」
「そこで、我々も他の女神様に頭を下げには行きますが、ネプテューヌ様からも頼んで欲しいのですが……」
「うんわかったー! 任せといてー!」
プロデューサーは一番断られなさそうだからという理由でネプテューヌから話をつけ、ネプテューヌからも頼むように仕向けようという魂胆だったわけだが。
「ま、まぁ〜しょうがないわねぇ。私暇じゃないんだけど、ど……どうしてもっていうならやっても良いわよ?」
「その番組、この前ロムとラムが楽しそうに見てたからやるわ」
「構いませんわ。そしてその次もまたやりましょう。今度はベールお姉さんと四人の
そういう策略は関係なく、全員からほぼ二つ返事で了承を得ることができた。
そして企画が進んでいき、旅行当日。四女神、一泊二日の四人旅行がスタートした。素の四人を出してもらう為、番組感を薄れさせるようカメラマンなどは同行せず、ネプギアが開発した高性能超小型カメラ搭載ビットで撮影することになっている。
「さて、と」
待ち合わせ場所、プラネテューヌ中心街のある広場にいち早く到着したブランが、小さめのキャリーケースを杖代わりに立て、倒れない程度に寄りかかりながら他の三人を待つ。
「あら、ブランでしたか。てっきり一番早いのはノワールだと思っていたのですが」
続いてベールも到着し、ブランの隣に立つ。
「私も既にノワールがいると思ってたわ」
「お待たせ〜」
噂をすればなんとやら、巨大なキャリーケースを引き摺りながらノワールが到着した。
「……デカくない?」
「……デカすぎじゃありません?」
二泊三日どころではない量に見えるノワールの荷物に、ブランとベールが口を揃えて言う。
「そうかしら? 備えあれば憂いなしって言うじゃない」
「それにしてもよ。そんなに何が入ってるの?」
「え? まずは着替えと予備とその予備と──」
「いや藪蛇だわ長くなりそうだからやめとく。言わなくていいし聞きたくないわ」
「まだ少ししか喋ってないでしょー!」
聞いても碌なことにならないであろうことを察したブランがノワールとの会話を切り上げたところ、最後の一人ネプテューヌが到着した。
「お待たせ〜」
「ネプテューヌ……あなた……」
ネプテューヌの姿を見て、三人は怪訝な顔をする。
「「「荷物は?」」」
そして、声を揃えて言った。
「ねぷ? 荷物?」
「『荷物?』じゃないわよ、旅行よこれ。なんで手ぶらなのよ? 着替えとかあるでしょうが」
「着替えならあるよ。ポケットに明日のパンツ」
「それだけ⁉︎」
「だって誰かが言ってたもん。ちょっとのお金と明日のパンツさえあれば何処にだって行けるって」
えぇ……とドン引きするノワールと、本人がそれで良いならと納得するブランとベール。
「とりあえず、四人集まったんだから行きましょ。アレが番組の用意した車ね」
「車で移動するの? 変身して飛んだらすぐじゃない」
ノワールの発言に、他の三人が小さく溜息を吐いた。
「え、なにその感じ……? 私変なこと言った?」
「分かってないなぁノワールぅ〜、旅ってのはさぁ〜、移動も楽しみの一つなんだよ〜」
ネプテューヌがノワールの肩にポンと手を置きながら言う。ノワールは納得しきっていないが、そういうものなのだろうと理解はした。
「じゃ、誰が運転するー?」
「交代で行きましょうか。ここはプラネテューヌだからネプテューヌから運転してください」
「おっけー!」
番組が用意したワンボックスカーに乗り込んだ四人は、そのままプラネテューヌ中心街を出発した。
手っ取り早く街を出る為、ネプテューヌは車を高速道路に入れる。
「あっ」
「どうしたのネプテューヌ?」
「今の時間高速混むから下道の方が速かったかも」
「下道も混んでたように見えたけど」
「混まない抜け道がいくらでもあるんだよ」
運転席にネプテューヌ、助手席にブラン。
「急いでないから構いませんわー。それに高速からだとプラネタワーが見えますしー」
「プラネタワーなんて変身して飛んで行く時いつも見てるじゃないの」
「車の窓から見る景色としてのプラネタワーはまた違った趣きがあるんですのよー」
「そういうものなのね。ていうかあなためっちゃ寛いでるわね」
後部座席にノワールとベール。それが初めの配置で、プラネテューヌを抜けて初めのPAかSAで交代することにしている。
「それにしても、プラネテューヌ首都高は相変わらず入り組んでるわね。ナビ無しじゃ無理だわ私。よく覚えてられるわね」
「しかも覚えてる間に新しい道ができるもん。郊外への最短ルートなんて年ごとに変わるんじゃないかな」
「そんなに」
入り組んでることに加え交通費の多いプラネテューヌ首都高速道路を何食わぬ顔でスイスイと運転するネプテューヌと、標識や看板、カーナビの地図を見ながらなんとなくプラネテューヌ首都高の構造を頭に入れて知識を蓄えていくブラン。
「……ノワール暇ですわー。何か面白いことしてくださいなー」
「えっ、いきなり⁉︎ 景色が云々は?」
「飽きましたわ」
「えー……? お、面白いこと……? じゃあ面白いかはわからないけどこの間の仕事のミスの話でもしようかしら」
「ほうほう」
「眠かったのか知らないけど、書類に『ユニ』って名前書くところに『ウニ』って書いて提出しちゃったら、困惑した先方から生ウニの詰め合わせが届いたのよね」
「なるほど、この間ユニちゃんがみんつぶに『ユニのウニ丼、ユニ丼』って上げてた海鮮丼の画像ってそういう経緯でしたのね」
「眠いと変な誤字するよね〜。わたしも『ネプギア』って書くところを『ンギョ゛ッハ』て書いちゃったことあるし〜。その後ネプギアが根に持ったのかツボったのか、わたしがゲームしてる時に耳元で『プラネテューヌの女神候補生ンギョ゛ッハです』って囁いてきてさ。その時口に含んでたジュース吹き出しちゃってコントローラーにかかって大変だったよ〜」
「ネプギアってたまにボケの火力が異常に高い時あるわよね。それか、普段が真面目な分ボケた時の火力が高くなるって言うべきか」
「「わか
そんなこんなでSAに着き、適当にトイレと買い物を済ませ、四人座席を交代する。
今度の運転手はノワールだった。助手席にはネプテューヌが座っている。
「……大丈夫かしら。私ペーパーなんだけど……」
「大丈夫でしょ。ていうかこの前バイクで爆走してたじなん」
「車とバイクは違うのよ……っ! ごめんみんな走行車線をゆっくり走るわね……」
あまり運転が得意でないノワールは、左側の走行車線を法定速度ギリギリの速度でゆっくりと走っていた。
「……ん?」
後部座席のブランが窓から外を見ていると、自分たちの後ろを走る車が不審な動きを見せ、昼にも関わらず不必要なライトを点滅させる。
「……アイツ、今煽った」
「えっ?」
「ちょっとしばいて来るわ」
ブランはホワイトハートに女神化し、窓を開けて身を乗りだそうとする。
「ちょっとブランやめなさいよっ! ネプテューヌでもベールでもいいからブランを止めて!」
「待ってブラン! ……私も行くわ!」
ネプテューヌは止めるどころかパープルハートに女神化し、ブランに同行しようとする。
「いやいやいやそこ止めるところでしょネプテューヌ!」
「止めないでノワール! せっかくノワールがペーパーなのに勇気を出して運転してくれているのに、煽り運転のせいでノワールが運転を嫌いになったらどうしてくれるってことよ!」
「いや別にそんなんで嫌いにならないわよ! ああもうベール! この二人を止めてー!」
「ベールならブランより先にもう窓から行ったわ」
「ベールーーーーーーッ⁉︎ このシーン放送事故だから放映しないようにしてくださいテレビ局の人ーーーーーーッ!」
その後、女神三人が煽り運転車の窓から乗り込み、『説得』することでそのドライバーは更生した。
「はぁ……余計疲れた……」
「お疲れノワール!」
「誰のせいで疲れたと思ってんのよ……」
しばらくして最後のSAに寄り、また座席を交換する。
このSAを出るとすぐにあるICから高速を降り、そこからは下道を走ることになる。
「じゃ、次は私ね」
「うんお願いブラン」
次の運転手はブランだった。助手席はノワール、後部座席にはネプテューヌとベール。
ブランはペーパードライバーではなく、ネプテューヌのように運転には割と慣れている………ように見えた。
「なんか後ろの車スピード速いわね。譲ったら?」
「……嫌」
「嫌?」
「抜かれたら……順位が落ちる……っ!」
「え?」
後続車両がスピードを上げて近づいてくると、ブランはいきなりアクセルを全開にしそれ以上にスピード上げ始めた。
「ちょっ、ブラン⁉︎」
「こんな田舎道に歩行者なんていないから大丈夫よ」
「そういう問題じゃないわよ! ていうか前! ぶつかる!」
「……ふんっ」
急カーブを前にしてもブランはスピードを落とすことなく、ドリフトをして曲がり切る。
「きゃぁっ!」
「カーブとはいえもたついたら負けるのよ。覚えときなさい」
「負けるって何に⁉︎」
「うおおおアクセル全開! インド人を右に!」
ブランはマーリョカートをやり込んでいるせいでハンドルを握ると性格が豹変し、とにかくスピードを求めるようになってしまう。そう、それはまるでマーリョカートのGPで一位を求めるプレイヤーのように。
「さて、こっちの山道がショートカットコースね……!」
こうしてブランが爆走を始め、現在に至るわけだ。
「うぷ……出る……女神が出しちゃいけない液体が口から出るぅ……っ」
「吐くならカメラに映らないように吐いてくださいねネプテューヌ。ほら、背中さすって差し上げますわ」
爆走を終えたブランは、山道を抜けたところにあるコンビニの駐車場に車を止め、最後の座席交換が行われる。
運転手はベール、助手席にはブラン、後部座席に残りの二人という配置だった。
「〜♪」
ベールもそれなりに運転はできるようで、鼻唄を歌いながらゆっくりと走る。
アクセル、ブレーキ、ハンドルを切るタイミング全てがバッチリで、乗るものに一切の負荷をかけないようなお手本のような運転だった。
「すぅ……すぅ……」
「くー……」
「ねぷぅ……すやぁ……」
そんな揺籠のような乗り心地のベールの運転に、他の女神たちはうたた寝していた。
「は〜い、皆さん着きましたよ〜」
「むにゃ……」
「ふわぁ……ごめんベール、寝てたわ」
「さっきまで騒がしかったから静かで良かったですわ」
こうして紆余曲折を経て、四人は今回泊まる旅館に到着した。
そのままチェックインし、部屋まで荷物を運ぶ。
「おお〜」
畳が張られた部屋の中心に大きめのちゃぶ台、端に大きくも小さくもないテレビ、そこまで景色がいいわけでもないベランダ、国の代表者たる女神が泊まるにしてはあまりにも質素な大部屋が、四人の目の前に広がっていた。
「い、良いじゃない……!」
「そうそう、こういうのよねこれこれ」
「正に、という感じですわね」
しかし四女神は、そんなまるで修学旅行の四人部屋のような雰囲気が漂ようこの客室を、ひどく気に入ったようだった。
「そうだ、フロントでトランプ借りてきたよ」
「良いわねぇ〜、何やる?」
「最初は無難に簡単なゲームをやりましょう。ババ抜きとか」
「じゃあまずはババ抜きからに致しましょうか。わたくしカードきって配りますわね」
「ショットガンシャッフルはカードを傷めるぜ!」
「プラスチックトランプだから平気よ。ていうかあなたその一言の為に女神化したわけ? その微妙に伝わるか伝わらないか分からないギャグの為に?」
こういう時にやるトランプはどんなゲームよりも面白いもので、四人はゲームを変えつつ数時間トランプを続け、大いに盛り上がった。
それはまるで、くだらないことでも友達となら楽しかった学生時代のように────
「大浴場、気持ちよかったわね〜」
「疲れた……」
「サウナ勝負なんてするからでしょう?」
「ネプテューヌには負けたくなかったんだもの」
遊び終わった後、四人は大浴場で一度目の入浴を済ませたが、ゴールデンタイムのバラエティなので四女神の入浴シーンは青少年の健全なる育成の為にカットされた。
「さて、と。お夕飯はないんだっけ?」
「番組の取れ高的な意味で、外で食べるとこ探す感じらしいよ」
「そうなの……? ならまだお風呂入らなくてもよかったかも……」
「帰ってきたらもう一度入ればいいのですよ。設備の整った大浴場を何度も利用するのも、旅の醍醐味ですわ」
四人は旅館を出て、街中まで食事処を探しに歩く。
「何を食べましょうか?」
「あそこにサイ○リヤあるよ」
「なんで旅先でサイゼなのよ」
「……ここは港町だから特産は魚介ね」
観光ガイドの雑誌を読みながら、ブランが言う。
「もう夜だし、ここら辺は観光地でも田舎町だから早めに店閉めちゃうようね。やってるのはこの海鮮居酒屋ぐらいかしら?」
「いいじゃんそこで」
「私もいいわよ」
「わたくしも」
「じゃあ行きましょ。とりあえず席あるか電話で聞いてみるわね。あ、もしもし〜? 四人なんですけど……」
居酒屋に入り、四人は個室の座席に通された。
それぞれ食べたいものを注文し、晩餐が開始された。
「……こうして四人でゆっくり過ごすのなんて、久々ではありませんか?」
「世界とか色んな危機とかで集まることは多かったけど、緩く集まるのは久しぶりかもね」
「最近は喋るのもオンライン多めで集まらないもんね〜」
「私はぁ……機会があればいつでもみんなに会いたいわよぉ……」
「「「……え?」」」
ネプテューヌとブランとベールが、一斉にノワールの方へ向く。
「ふぇ……? どうしたのみんな〜……?」
顔を真っ赤にして目がトロンとしたノワールが、首を傾げながら言う。
実はノワールは下戸であり、数口お酒を飲んだだけで酔っ払ってしまっていた。
「私ねぇ……今日とっても楽しみにしてたしぃ……ほんとに楽しかったの〜。えへへぇ……みんな大好きぃ……!」
酔った勢いで、ノワールが本心をストレートに語る。
「「「くぅっ!」」」
その愛らしい姿に、ネプテューヌもブランもベールも心を打たれ、胸を抑える。
「ふわぁ……すぅ……」
そのまま寝てしまったノワールに、上着を毛布のようにかけ、三人は飲みを再開する。
「……どうすんのさこの空気?」
「ノワールの破壊力ヤバスギでしょ」
「一瞬妹にするか悩みましたわ」
数十分後、ノワールが起きたタイミングで四人は店を出て、旅館に帰って行く。
「ねぇみんな? なんでそんなに私に寄るの? 酔ってるの?」
ノワールの右腕にはネプテューヌが抱きつき、左腕にはブランが抱きつき、後ろからはベールが抱きついていた。
ちなみに、ノワールは自分が酔っていた時の発言は何一つ覚えていないようだった。
「んー? わたしたちがこうしたいからかなー?」
「私たちもノワールのこと大好きよー……!」
「酔ってるのは否定しませんわー。だから寝て酔いが覚めたノワールがわたくしたちを介抱してくださいなー!」
酔っ払った三人にダル絡みされていることに苦笑いしつつ、ノワールは三人を引き摺りながら旅館まで帰るのだった。
「ふーっ……」
旅館に戻り二度目の入浴を済ませ、部屋に戻り浴衣に着替えた四人だが、満帆の笑みで敷いてある布団から枕を持ち上げ始めたネプテューヌの姿を見て、他の三人は全てを察した。
「枕投げだーっ!」
言葉と共に、ネプテューヌがノワールに枕をぶん投げた。
「へぶっ」
「あらあら。ではわたくしも……それっ」
ベールも足元の枕を持ち上げ、ブランに投げた。
「わっ……この……っ!」
咄嗟にキャッチしたブランがベールに投げ返すも、ベールの胸がぽよんと跳ね返し、ブランの顔に当たる。
「くっそ……ベールーッ!」
「きゃっ」
ムキになったブランは、ベールに抱きつき、柔らかい布団の上に転ばせる。
「ふふふふっ、何しますの〜!」
ベールは楽しそうに笑いながら、ブランを引っ張って布団に引き摺り込む。
「それそれそれそれっ!」
「ちょっ、やめっ、このっ!」
ネプテューヌとノワールは枕を投げるのではなく、腕に持ちながらペシペシと枕で相手を叩き合う。
「あはははははっ!」
まるで小さな子どもがじゃれ合うようにはしゃいだ四人は、そのまま疲れて寝てしまった。
こうして波乱の一日目が終わり、二日目は旅館をチェックアウトした後、港町を観光しながらご当地グルメを食べ歩き、行きのように交代で車を運転して帰路に着く。
「楽しかったね!」
「……そうね」
「また……四人で行きましょ」
「ええ、もちろん」
番組の企画ということをすっかり忘れ、四人は旅行を満足したようだった。
「とりあえずブラン次から運転禁止ね」
「は……? なんで……?」
「自覚が無いのがタチ悪いですわね」
「煽り運転に変身して凸るのも禁止よ禁止」
「えー、それは無理だよー」
「だって私たち……」
「ノワールのこと大好きですものねー」
「「ねーっ!」」
「もう! 昨日からなんなのよそのノリー!」
こうして、四女神四人旅は終わった。
収録して編集したVTRを、女神候補生が実況したものが番組で放送されるわけだが、それはまたの機会である。
候補生の実況編はいつかやります。いつか。