ネプ短編まとめ   作:烊々

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 7/31 ネプテューヌワンドロ お題『ホワイトハート』にて投稿させてもらったものです。こんなタイトルですが半分ギャグです。



大決戦! ホワイトハートvsホワイトハート ( ブラン ホワイトハート )

 『四女神オンライン』に登場する主要キャラクターのNPCにはAIが搭載されており、プレイヤーとの会話から学習することができる。

 しかし、その学習に内容よってはトラブルが巻き起こることもある。これはそんなお話である。

 

 

 

 

 

 

 -大決戦! ホワイトハートvsホワイトハート-

 

 

 

 

 

 

「クエスト達成だ!」

「わーい! たっせーたっせー!」

「わーい……!」

 

 クエストを達成して拠点街「ウィシュエル』に戻ってきた三人。

 一人は侍のロム、もう一人は忍者のラム。そして最後の一人は四女神オンラインに登場するNPCの『秩序を司る守護女神、ホワイトハート』。

 

「なぁ、お前たち」

 

 街に戻ってくると、ホワイトハートがロムとラムに問いかける。

 

「どうしたの、おね……じゃなかった、ホワイトハートさま?」

「どうしたの……?」

「どうしてお前たちは他の女神じゃなくて私ばかりをクエストに連れて行くんだ?」

「それはね、おね……じゃなかった、ホワイトハートさまのことが大好きだからよ!」

「うん……! おね……じゃなくて、ホワイトハートさま大好き……!」

「……」

「ホワイトハートさま……?」

 

 ロムとラムの言葉を聞くと(正確にはチャット欄に書き込まれたコメントを見ると)、ホワイトハートは視線を上に向けて何かを考え込む。

 

(……そういえば、グリーンハートがベールっていうプレイヤーから『妹』という存在について教わったって言ってたな。妹とは尊いとかなんとか言ってたっけ。それを聞いた時は何とも思わなかったんだが……こいつらを見ていると何かこう、込み上げてくるものがあるな。もしかして、私に妹ってやつがいたならこんな感じなのか、って。あれ? なんかこいつらが可愛く見えてきたぞ?)

 

 上に向いていたホワイトハートの視線が、再びロムとラムに向く。

 

「お前たち……私の妹にならないか?」

「…………え?」

「ならないか、じゃないな。お前たち、私の妹になれ。私と一緒に神界で暮らそう」

「ちょっ、どうしたのよ、ホワイトハートさま⁉︎」

「そんなよそよそしい呼び方はやめてくれよ。お姉ちゃんでいいぞ?」

「えぇ……」

 

 ロムとラムにぐいぐいと詰め寄るホワイトハート。

 

(どうしようロムちゃん? ホワイトハートさまがなんかおかしい……)

(おかしいね……それに少し怖いよ……)

 

 痺れを切らしたホワイトハートが強引にロムとラムを連れて行こうとした時、

 

「……待ちなさい」

「「お姉ちゃん‼︎」」

 

 丁度ログインしてきたブランが、三人の間に割って入る。

 

「お前は……ブランか」

「人の妹をどこに連れて行くつもり?」

「神界だ。こいつらを神界に連れて行って私の妹にする」

「そんなことはさせないわ」

「私の妹ができる邪魔をするなら……共に魔王と戦う勇者だとしても容赦はしねえぞ……!」

 

 そう言ってホワイトハートは斧を構える。本来なら味方側のNPCであるホワイトハートが、プレイヤー側と敵対することはあり得ない。

 

「お姉ちゃん……どうしてホワイトハートさまはあんなことになっちゃってるの?」

「バグのせいよ」

「バグ……?」

「ええ、ベールが発見した『お姉ちゃんバグ』らしいわ。NPCの女神が特定のプレイヤーを勝手に妹だと思い込んで暴走し、場合によってはプレイヤーに攻撃までしてくる恐ろしいバグよ……」

「そうなんだ。ていうか、ベールさんはどうしてこんなバグ発見できたのかな……?」

「それは、このバグはベールが女神のAIに余計なことを吹き込んだせいで発生したバグだからよ」

「えぇ……ベールさん何やってるの……」

「ブラン! お前がそいつらの姉だって言うんなら、お前を倒して妹達をいただくとするぜぇっ‼︎」

「私の妹達は……誰にも渡さないわ……!」

「はっ! 人間如きが守護女神に敵うと思ってんのかぁ⁉︎」

「それはこちらのセリフよ。私を模して作られたNPC如きが……オリジナルに勝てると思ってんのかよ‼︎」

 

(お姉ちゃんのチャットの文面が変わった!)

(もしかして……お姉ちゃん変身しながらゲームしてる……?)

 

「下がってろ、ロム、ラム。あの女神は私が倒す……!」

「そんな、一人で大丈夫なの?」

「大事な妹を守れないで、姉なんか名乗れねえよ。任せてろ」

「わかった。お姉ちゃん、頑張ってね!」

「頑張って……!」 

 

 かくして、女神ホワイトハートと女神ホワイトハートの大決戦の幕が上がるのだった。

 

『 女神ホワイトハート が 現れた ▼ 』

 

 このゲームにおいて、守護女神のステータスは最高クラスに設定されてある。そして、それが高性能AIから繰り出されるキャラクターの動きと合わさって並のプレイヤーを寄せ付けない強さとなっている。

 しかし、

 

「……馬鹿なっ! 私が押されている……⁉︎ 守護女神であるこの私が……⁉︎」

 

 ブランのプレイヤースキルはそれをも凌駕していた。

 

「こっちの知り合いに最強のプレイヤーがいるもんでな! そいつと比べりゃ、ちょっと強いNPCなんて相手にならねえんだよ!」

 

 ジョブが魔法職の司祭であるにも関わらず、肉弾戦でホワイトハートをタコ殴りにするブラン。

 

「これで終わりだ!」

 

 そのままブランは、ホワイトハートを無傷で撃破した。

 

『 女神ホワイトハート を 倒した ▼ 』

 

 

 

 

「この度は、申し訳ありませんでした!」

 

 事が済んでから、ガイド役妖精NPC『ブーケ』に頭を下げられるブランたち。

 

「気にしなくていいわ。そもそも私たちの知り合いのせいで発生したバグなわけだし」

「後にお詫びアイテムを贈らせていただきます!」

「そう、ならもらっておくわね」

「バグ修正のための緊急メンテナンスを行いますので、一旦ログアウトしてもらってもいいですか?」

「わかったわ」

 

 ブランたちは、四女神オンラインからログアウトした。

 

「ふぅ、少し疲れたわね……」

「お姉ちゃん、かっこよかったよ!」

「かっこよかった……! ありがとうお姉ちゃん……!」

 

 どうやらロムとラムには、ゲームとはいえ自分たちを守るために戦っていたブランの姿がとても眩しく見えたらしい。

 

「妹を守るのは姉として当然のことよ……それに……」

「それに……?」

「いや、何でもないわ」

「……?」

 

(たとえ私相手でも、可愛い妹たちを渡したくないなんて、恥ずかしいから言えないもの)

 

 妹たちの一番は自分でありたい。そう思うブランであった。

 

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