うずめとくろめが普通に和解してます。「夢の中の戦い」の後の話だと思ってください。
プラネテューヌ教会、夕食の時にて。
(そん……な……!)
天王星うずめ、戦慄。
理由は目の前の自分の皿に広がる椎茸のバター醤油焼き。
椎茸好きにはたまらない一品。
反面、椎茸嫌いのうずめにとっては地獄のような一品。
椎茸嫌いを治そうと日々努力しているうずめにとっては、とても高すぎるハードル。
調理したコンパは、うずめの椎茸嫌いをうっかり忘れていた。
そんなコンパに椎茸が嫌いだから食べたくないとは言い出せない。
(うぐぐ……ど、どうすれば……っ!)
瞬間、うずめの頭に閃光走る。
(……そうだ!)
一瞬目を瞑り、再び開く。
「……ん?」
覚醒したのは、うずめの第二人格『暗黒星くろめ』。
(いきなりオレに身体の主導権を明け渡すなんて、一体どうしたんだ…………っ⁉︎)
暗黒星くろめ、戦慄。
理由は目の前の自分の皿に広がる椎茸のバター醤油焼き。
同一人物故に、くろめとうずめの嗜好は同じ。そして、椎茸嫌いも同じ。
(【俺】め……椎茸をオレに押し付けようというのか……!)
『おい!』
くろめは自らの脳内でうずめを呼びかける。
『…………』
しかし、返事はない。
うずめ、椎茸のバター醤油焼きを断固拒否。
くろめの呼びかけに一切応じず、心の奥底に避難。
(なんていうことだ……)
くろめもせっかくコンパが作ってくれた料理を、椎茸が嫌いだから食べたくないとは言い出せない。
(食べるしか……ないのか……っ!)
くろめが、目の前に広がる絶望(椎茸のバター醤油焼き)を諦めて受け入れようとしたその瞬間。
「そういえばさ、夕方にネプギアと散歩してたら、駅前に新しいケーキ屋さんができてたからさ、みんなの分も買ってきたよ。夕飯の後にみんなで食べようよ!」
ネプテューヌからの提案に、くろめは光明を見出す。
(ケーキ……だと……!)
ただ椎茸を食べるという苦行の先に、美味しいケーキが待っている。
(食後にケーキがあるなら、椎茸を乗り越えてみせる……!)
覚悟を超えた先に希望はある。
くろめが箸を持ち、椎茸に立ち向かわんとしたその時。
『【オレ】……! 俺も椎茸を半分食うから、ケーキ半分くれ!』
心の奥底に避難していたうずめが、急にくろめに呼びかける。
『やぁ【俺】。さっきはよくも無視してくれたな。けどいいさ、椎茸は頑張ってオレ一人で食べるよ。だからケーキもオレ一人でいただく』
『待ってくれよ! ケーキがあるなら話は別だ! 俺たちは一心同体。嬉しい時も悲しい時も一緒だって言って和解したじゃねえか!』
『黙れ。その一心同体のオレに一方的に椎茸を押し付けようとしたのは【俺】じゃないか』
『そ、それは……』
形勢逆転。一転攻勢。
身体の主導権を明け渡すことは容易だが、奪い取ることはほぼ不可能。
『【俺】は心の中で黙って見ているんだな。オレ一人がケーキを食べるさまをなぁ! ふははははは! はーはっはっはっは‼︎』
くろめ、愉悦。心の中で大笑い。
若干キャラ崩壊。
「あっ、そうだ」
すると、ネプテューヌが再び口を開く。
「うずめとくろめは二人ってことで、ちゃんと二つケーキ買ってあるからね」
くろめの愉悦、終了。
椎茸を食べないうずめにも降りかかる幸運。
不公平。
『……なぁ【オレ】』
『……なんだい? オレを笑おうってのか?』
『いや。悪かった。椎茸半分食ったら変われよな。もう半分は俺が食うから』
『あぁ……ありがとう。それとオレもすまなかったね』
くろめとうずめ、ネプテューヌの優しさにより和解。
そして、二人で嫌いな椎茸を分け合い頑張って完食し、ケーキを美味しくいただいたのだった。
たまにはこんな感じのうずめとくろめを。