4/30ネプテューヌワンドロお題『オレンジハート』にて投稿させてもらったものです。
一部オリキャラ要素があります。
××年前。
超次元ゲイムギョウ界プラネテューヌの守護女神が『天王星うずめ』だった頃の話。
「ルウィー、今やばいことになってるらしいじゃん」
窓から見える荒れた北の空を眺めながら、うずめが呟いた。
ちなみに、当時の天王星うずめの容姿も性格も、面影はあれど現在のものとは異なっている。
「犯罪神マジェコンヌの顕現により、国存続の危機を迎えているようです」
イストワールが言葉を返した。
「ねぇ、イストワール」
「ダメです」
「まだ何も言ってないよ?」
「ルウィーに救援に行くと言うのでしょう? ダメです。そんな危険なこと、教祖として女神様にさせるわけにはいきません」
「じゃあ、ルウィーが滅びてもいいってこと?」
「あなたに何かあるよりは」
「むー……」
当時は現在ほど国家関係が良好ではなかったため、女神ならまだしも教祖にとっては他国の存続を気にかける情というものは、あまり存在しなかったのだ。
「じゃあ、ルウィーを滅ぼした犯罪神がプラネテューヌに南下して来たらどうするの?」
「それは……」
「だったら、ルウィーの女神と協力してでも食い止めるべきじゃないの?」
「……」
イストワールは、うずめの意志を変えることができないと悟った。
「……わかりました。ですが、一つだけ約束してください。何があっても必ず生きて戻ってくると。これは、この国のためであり……私の願いでもあります」
「わかってる」
うずめは窓を開け、女神化する。
「犯罪神なんて、ちゃちゃっと退治してくるよ。だから、うずめの帰りを待っててね、イストワール」
「はい。行ってらっしゃい、うずめさん」
「うん、行ってくる」
うずめはそのまま窓から飛び出して、オレンジ色に光翼を広げ、ルウィーへ翔けて行った。
「うずめさん……お気をつけて」
イストワールは不安そうな顔で、オレンジハートの後ろ姿を見送った。
*
「酷い……」
ルウィーに着いて早々、声を漏らすうずめ。
犯罪神らしき巨大なモンスターが街を闊歩しているだけではなく、犯罪神の瘴気により凶暴化したモンスターまで市街地に侵入している。
街の至る所から火や煙が上がり、逃げ惑う人々の悲鳴が耳に入る。
その中で、国中を飛び回り、犯罪神やモンスターに攻撃を仕掛ける白い光がうずめの視界に入った。
「あれはルウィーの女神だよね……よし、助けよう!」
うずめは迷うことなく、当時のルウィーの女神の救援に向かった。
「人々の避難とモンスター退治……どっちからやれば……! それとも、あいつを、犯罪神を叩く方が先……⁉︎」
「おーい!」
「あなたは……プラネテューヌの女神、オレンジハート⁉︎」
「助けに来たよー! すぅぅ……ほにゃああああッ!」
そしてうずめは、メガホンから破壊音波を放ち、ルウィー女神の目の前にいたモンスターを殲滅した。
「大丈夫⁉︎」
「どうして、プラネテューヌの女神が……いいえ、助かりました。ありがとうございます」
本来、当時は国の中枢まで無断で他国の女神が入ってくるなど国際問題に発展するレベルの条約違反だったが、ルウィーの女神はそれを黙認し、ただ礼を言う。
「申し訳ありません。ルウィーの国民たちの避難を任せてもいいですか?」
ルウィーの女神は、畏まった態度でうずめに頭を下げた。
うずめは少し考えてから口を開く。
「それも良いけど、逆の方が良いかな」
「逆……とは?」
「君が国民を連れて逃げなよ。うずめはここで犯罪神を食い止めておくからさ」
「しかし、そんなことまであなたにさせるわけには……!」
「だって、国に加えて女神まで失ったら、ルウィーの国民たちは本当に絶望しちゃうでしょ。それに、あの犯罪神ってやつ。もうルウィーだけの問題じゃないよ。だから、まず君は生き残った国民たちをまとめて逃がして」
「……っ、わかりました。本当にありがとう。国民の避難が済んだらすぐに戻ってきます。その時まで……どうか耐えていてください!」
「大丈夫。うずめ、強いから」
ルウィーの女神は離脱し、国民の救助と避難させに向かった。
うずめは、それを見送った後、目の前のモンスターの大群と、犯罪神に目を向け、そしてルウィーの街並みを見下ろす。
「……こんなにメチャクチャにして」
うずめの心の中に、怒りの炎が燃え上がっていく。
ルウィーは自分の守る国ではない。しかし、そこに生きる人々の日常が、平和が踏み躙られたことを、許せるはずもない。
「許さ、な……いいいいいいいいいッ‼︎」
うずめは、先程よりも大きな声とシェアエネルギーをメガホンに込め、破壊音波を撒き散らす。
それだけで、かなりの数のモンスターがダメージにより薙ぎ倒されていく。
「とりゃああっ!」
うずめは攻撃の手を緩めることはない。倒しきれなかったモンスターたちが破壊音波で怯んだ隙に一気に距離を詰め、一体ずつ確実に拳で破壊していく。
その姿、正に獅子奮迅。
「数はある程度減らしたから……後は!」
うずめは、モンスターの大部分を蹴散らした後、我が物顔でルウィー中心部に佇む犯罪神に目を向ける。
「アレを……叩くよ!」
そして、犯罪神へ突撃していった。
*
「……んで、その後はぶっちゃけ一人だときつかったんだけど、ルウィーの女神が戻ってきてくれて、更にはラステイションの女神まで加勢しに来てくれたんだよ。それでもまぁ……犯罪神は倒しきれなくてさ。どうにかダメージを与えて、撤退させたんだよな」
「そうだったんですね」
「あぁ。その後、ゲイムギョウ界の滅亡より、ダメージを修復することを選んだ犯罪神が、自分で自分を封印したってわけだ。そうされちまったせいで、こっちも手が出せなくなったんだけど」
時代は現在に戻り、うずめは犯罪神と戦った当時のことをネプギアたち女神候補生に話していた。
「今の守護女神たちじゃ犯罪神を倒せないから後の世代に託すなんて、今思えば恥ずかしいったらありゃしないけどな……」
「そんなことないですよ……」
「それに、その後俺が妄想力でやらかしたせいで俺も封印されることになっちまったし……」
「それは……」
「しかも、あの時うずめが犯罪神と戦った記憶のせいで、くろめがぎあっちたちに迷惑かけることになっちゃったわけだしぃ……」
「めいわくなんかじゃないわようずめさん!」
「うずめさん、元気出して……!」
武勇伝を語っていた筈が、段々と意気消沈していくうずめ。果てには言葉遣いまで元に戻り、候補生たちは必死でうずめを慰める。
「……そうやってうずめさんも、ウラヌスさんも、お姉ちゃんも、プラネテューヌの、そしてゲイムギョウ界の平和を守ってきたんですね」
うずめの話を聞き、改めて女神への尊敬を深めるネプギア。
「あたしたちも、そんな女神になりたいわ。いや、なりたいじゃなくて、ならなきゃね」
「そうよ! わたしがみんなを守ってあげるんだから」
「頑張ろうね……!」
それに続くように候補生たちも改めて決意を固めていく。
「あぁ、期待してるぜ、後輩たち」
うずめは、ネプギアたちのそんな姿を見て、小さく笑うのだった。