6/4ネプテューヌワンドロお題『グレイシスター』にて投稿させてもらったものです。
シスシストゥルーエンド後の話なので、ネタバレと独自設定独自解釈に注意。
「私の勝ち……だね」
「……はい。参りました」
M.P.B.Lを突きつけるパープルシスターと、両手を挙げて降参のポーズを取るグレイシスター。
今回の模擬戦の勝者はネプギアとなった。
「やっぱり、ネプギアは強いですね」
「最近、調子がいいんだ。それでもまだお姉ちゃんには敵わないけど……いつかは超えてみせるよ」
「ネプギアならできますよ」
「それよりも……」
どうやら、ネプギアにはマホに関して気になる事がある様子だった。
「どうして、マホちゃんは変身すると喋り方が変わるの?」
『今の世界線』において、ぴーしー大陸の『マホ』という女神候補生は一部翻訳が必要なレベルのギャル語で話す、と知られており、普段の姿では実際にそうである。
しかし、女神化して『グレイシスター』となると、変身前の落ち着かなさは消え、丁寧な言葉遣いをするようになり、勿論ギャル語も使わなくなるのだ。
まるで『存在しなくなった世界線』の彼女のように。
「そうですね……理由は二つほどあります」
「あるんだ」
「その……聞いても笑わないでくださいよ?」
「う、うん。わかった」
どうやらそこまで深な理由ではないことを察するネプギア。
「一つは……ネプギアの真似というか……影響を受けたというか……誰にでも丁寧で真剣なあなたに憧れて、真似してるんです」
「そ、そうなんだ……」
少しだけ顔を赤く染めながら語るマホ。
それを聞いたネプギアも、照れ臭そうに目を逸らす。
ちなみに、これは『存在しなくなった世界線』でのマホと同じ理由である。
「もう一つが……その……カッコつけてるだけです。ねぷち……ネプテューヌさんが、パープルハートに変身すると、クールになりますよね? それと同じ感じで、ギャップによって人気を獲れないかなぁ……って」
「……ん、ふふっ」
予想外の理由に、ネプギアはつい笑い声を溢してしまった。
「あっ! 笑ったー! 笑わないでって言ったのにー! ぎあちーってば!」
それを見たマホは、顔を真っ赤にしながらネプギアに抗議する。つい言葉遣いも戻ってしまっていた。
「ご、ごめーん! だってぇ……!」
「……こほん、それに加えて、ぴーしー大陸の在り方を変えた今、人前に出ることも多くなったから、流石に公の場であの感じで話すのもどうなのかなって思いまして。あんりー……アンリにも言われましたし」
マホは今、ぴーしー大陸の在り方を変革している最中である。
以前までのぴーしー大陸では、女神はイメージを大事にするため国民に姿を見せることもなかったが、いつしかシェアの集まりが悪くなり、国の維持のためのエネルギーを供給するため、マホの姉は眠りについた。そして今も目覚めていない。
だからこそ、マホは姉の眠りを覚まし、初めて姉妹で話すため、国の発展に尽力しているのだ。今回ネプギアに挑んだ模擬戦もその一環であり、自分の戦闘力のスキルアップのためである。
「……そっか。マホちゃんも頑張ってるんだね」
「ええ。あなたに憧れるだけじゃなくて、並び立てるようになりたいから」
「そんなに憧れられると少し恥ずかしいよ。私だってまだまだなんだし……」
「たった今打ち負かした相手に、自分はまだまだ、なんて嫌味に聞こえちゃいますよ?」
「あっ、違……! そんなつもりじゃ……!」
「ふふっ、冗談です。さっき笑った仕返しです」
「ぁ……もー! マホちゃんってばー!」
今度はネプギアが少し顔を赤くし、マホに抗議した。
「……そうだ!」
すると、ネプギアは何かを思い出したような表情で、マホに問いかける。
「前からずっと気になってたんだけど、マホちゃんのその武器……」
ネプギアは目を光らせながら、マホの左腕についた盾型の武器を指差した。
「ああ、これですか?」
「うんうん、それは……盾なの? 武器なの?」
「両方です。盾としての機能はもちろんあって、後ろのスクリーンに映し出されたアイコンを操作して、使う技や魔法の切り替えをすると、その攻撃を打ち出すこともできるシステムなんです。戦闘中は一々切り替えてる余裕がなくて、予め使うものをある程度決めて置かなくてはいけないのが難点ですが」
「へぇ〜……じゃあ、後ろのアイコンを変えると、使う技も変えられるってこと?」
「そうなりますけど……今私が使える技の中で有用なものを並べたのがこのアイコンなんです。増やすのは難しいですね」
「そっか。じゃあ、例えばだけど……武器を量子変換して収納しておいて、技とか魔法みたいに取り出せるようにするってのはどうかな?」
「それは……考えはしたんですけど、私の得意じゃない領域なので」
「マホちゃんはソフト面は強いけどハード面はそこまで強くないもんね。そこで……!」
「ハード面……あっ!」
自信たっぷりに胸を張るネプギアと、ネプギアの言いたいことを察するマホ。
「私がハード面を調整すれば、不可能じゃないってことだよ!」
「そうですね、ネプギアなら……けど、良いんですか? いきなりこんなこと頼んでしまって」
「良いも悪いもないよ! マホちゃんと一緒に開発! 楽しみだなぁ! 早速やろうよ! まずは良いパーツ仕入れに行こっか! ほら、早く早く!」
「え、あ、はい」
ネプギアに手を引かれ、プラネテューヌに連れられていくマホ。ネプギアは興奮しすぎて、女神化を解除することすら忘れてしまっていた。
そんな曇りのないネプギアの笑顔を見て、マホは穏やかに笑うのだった。
(……ありがとうネプギア……ううん、ぎあちー。あーしとまた友達になってくれて)
マホもあえてネプギアに合わせて、変身を解かずについて行くのだった。
*
「……でね、ぎあちーったら、お金なくなっちゃって、欲しいパーツが買えなくてあまりにもしょんぼりしてるもんだからさ、あーしが買ってあげたんだよね」
ぴーしー大陸の教会に戻ったマホは、その日の出来事を話していた。
カプセルの中で眠り続ける姉に対して。
「ねぇ、お姉ちゃん。あーしは毎日楽しいよ。楽しくて、楽しくて、楽しくてしょうがないんだ。だからお姉ちゃんが早く起きれるようにして、お姉ちゃんともいーっぱい楽しいことがしたい……な。だから、頑張るね、あーし」
いつの日か、プラネテューヌの、ラステイションの、ルウィーの、姉妹たちのように心から笑い合えるその日を夢見て、マホは、グレイシスターは、女神候補生としての決意を更に固めるのだった。