ネプ短編まとめ   作:烊々

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 9/17ネプテューヌネプテューヌワンドロお題『大人ネプテューヌ』にて投稿させてもらったものです。
 https://syosetu.org/novel/260494/ ←これの続きみたいなもんです。


いつまでも"いつもの" ( アイエフ 大人ネプテューヌ )

 

 

「あ、おかえりあいちゃん」

 

 数年ぶりに会った親友は、数時間ぶりかのような口調でそう言った。

 自分が知るよりも背は伸び、身体の起伏は増え、同性に使うべき言葉かはわからないが色気も増した。

 しかし、自分の呼び名と向ける笑顔は当時と変わらない。

 

「……あのさ、聞きたいことは山ほどあるんだけど」

「うん」

「ここ私の部屋なんだけど。あたかも自分の部屋のように振る舞うのやめてくれる?」

「だってぇ、わたしの部屋無くなってたんだもん」

「そりゃ数年も空けてその間家賃も払わないんじゃ退居させられるわよ」

「だからわたしの帰る場所はここしかないんだよー」

「コンパの家があるじゃない」

「知らないおじさんが住んでたんだよね」

「……そういえば、コンパは最近勤務先の病院の近くに引っ越したんだったわね」

 

 普通に暮らしてるところに急に不審者に押しかけられたそのおじさんを気の毒に思いつつ、聞きたいことを一つずつ消化することにした。

 

「で? 何してたの今まで? 急に私たちの前からいなくなって」

「次元を股にかける昆虫ハンター」

「……そう。じゃ、どうやって私の部屋の鍵開けたの?」

「ピッキング」

「……ふーん。なんで急に帰ってきたの?」

「なんとなく顔が見たくなったから」

「……はぁ。もういいわ」

「え?」

「なんでもない。ただいま。そしておかえり」

 

 数年ぶりに会ったはずなのに、身体の大きさ以外何も変わらない親友に拍子抜けて、昔と変わらないようなやりとりをしてしまう。

 言いたいことは沢山あった。突然いなくなったから、寂しかったし、心配しすぎて泣いたこともあった。

 けど、実際急に目の前に現れると、何もかも吹き飛んでしまった。この子が元気でいる。それだけでもうなんでもよかった。

 

「うん、ただいま。あいちゃんはさ、今何してるの?」

「諜報員よ。プラネテューヌ教会のね」

「コンパは……看護師って言ってたね」

「そうよ。昆虫ハンターさんよりちゃんとした仕事してるのよ、私たちは」

「えー、わたしだってちゃんと昆虫ハンターしてるよー? 捕まえたレア虫見る?」

「見ない。それより、あんた夕飯食べたの?」

「食べてないよ」

「コンパがそろそろ仕事終わるって言うから鍋パしようと思ったんだけど、あんたも食べる?」

「食べる!」

「じゃ、買い出し手伝ってね」

「わかったー!」

 

 親友は、元気よく勝手に座っていた私の愛用してるゲーミングチェアから立つ。勝手に座りやがっていくらしたと思っているそれ。

 いなくなる前は私の方が背が高かったのに、今はもう背を越えられていた。

 そして立ち姿にどこか風格があって、剣の振り方を教えたのは私のはずなのに、この子はきっと私よりもいろんな経験をして、私よりも強いんだろうな、って気がした。

 

「言っとくけど、具材は割り勘よ」

「え? わたしこの次元のお金もう持ってないんだけど。プラネテューヌオオヒラタクワガタ払いでいい? 市場だと一匹数千円だからさ」

「要らないわよクワガタなんて。現金一括しか受け付けてないわ」

「が〜ん。わたしの夕飯はお水だけかな……」

「冗談よ。今日は私の奢り」

「ありがとうあいちゃん……! 心の友よ……!」

「あーもう抱きつくな!」

 

 大きな二つの塊に圧迫されかけ、本気で殺意が湧きそうになった。何故私のだけ小さいんだ。

 スーパーに着き、食材をカゴに入れつつ、無駄にお菓子をカゴに入れようとする親友の腕を叩いて止め、会計を済ませ、帰路につく。

 

「……で、別次元だっけ? 次はいつ出発するの?」

「明日かな。本当はあいちゃんとコンパの顔見てすぐ行こうと思ったんだけど、鍋の誘惑には勝てなかったよ」

「そう」

「……止めないの?」

「止めて欲しいの?」

「欲しくはない、けど」

 

 しばしの沈黙。

 そうか。この子もこの子で、私たちの前に帰ってくることに少しの葛藤もあったのだろう。

 

「……あんたが帰ってきた時、驚いたけど安心もしたのよね。あんたにとって、私たちはまだ帰る場所なんだ、って」

「……」

「だから、それでもう良いかな、って思ったのよ。その次元を股にかける昆虫ハンターってのが、今一番あんたのやりたいことなんでしょ? 私もやりたいことやってて、コンパもそうで、あんたもそう。なら、それで良いじゃない」

「あいちゃん……」

「ま、たまには帰ってきなさいよ。久しぶりに顔見れて嬉しかったんだから。そうだ、今度はピッキングなんてしなくていいように合鍵渡しとくわね。私は当分あそこから引っ越すつもりないし」

「……ありがとう」

「どういたしまして」

 

 たとえ、会えない日の方が多くても、次元の向こうに離れていても、私たちはいつまでも親友だ。それ以上でもそれ以下でもない。それで良いのだ。

 さてと、買い物は済ませたし、準備をしつつ、もう一人の親友を待つとしよう。

 

「あいちゃん、お待たせで…………って、えぇええぇぇぇぇえええ⁉︎ ね、ねぷねぷがいるですぅうううう⁉︎」

 

 あ、やば。コンパにネプ子がいるって言うの忘れてた。

 

 

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