三人称視点ですが、最初の独白だけはユニ視点の一人称です。
最近あまり調子が良くない。
お姉ちゃんやネプギアとの模擬戦で負け込んでいる。お姉ちゃんには元から全然勝てないから置いといて、ネプギアにも連戦連敗で試合内容も酷い。そして負けて悩んで更に負けるの悪循環。
こうなるとあたし一人だけで考えていてもダメそうだから、誰かに相談してみよう。うーん……ネプギアの戦い方を良く知ってて、お姉ちゃんの戦い方も良く知ってるような人いないかしら? うーん、まぁそんな都合のいい人いるわけ……
…………
……あ、いた!
*
「……なるほどなるほど。ゲイムギョウ界最強の守護女神たるこのネプ子さんに教えを乞うとは、ユニちゃんお目が高いね!」
プラネテューヌ教会、女神の部屋。ユニは該当の人物であるネプテューヌの元に来ていた。
「え⁉︎ ネプテューヌさんって最強なんですか⁉︎」
「ツッコミを入れられると思ったのに普通に驚かれちゃったよ……マジレスすると、多分みんな自分が一番強いと思ってるんじゃないかな」
自分の言葉を真剣に聞き入れるユニを見て、ノワールに対して行うようなボケをユニにやってもあまり意味はない、そう学んだネプテューヌだった。
「で、話を戻すけどさー」
どうやらおふざけモードを終了した様子のネプテューヌは少し真面目な表情に切り替え、ユニに問いかける。
「ユニちゃん、目的と手段が逆になってない? ユニちゃんが強くなりたいのってノワールとかネプギアを超えるためじゃなくて、理想の女神として相応しい強さを手にするためとかでしょ?」
「それはわかってます……けど、最近ネプギアにボコボコにされっぱなしでなんかムカつくから、ネプギアをけちょんけちょんにしてやりたいんです!」
「それネプギアの姉であるわたしに言っちゃうんだ……あ、でもユニちゃんのそういうとこ好きだよ」
「あ、はい……なんかごめんなさい。つい熱くなっちゃって……」
「いやいや、ネプギアもそんぐらい強気になってほしいんだよねー……よし! それじゃあ、ネプ子さんがユニちゃんを鍛えてあげよう!」
「あ、ありがとうございます!」
かくして、国の違う女神と女神候補生の秘密の特訓が始まった。
*
場所は変わってバーチャフォレスト。特訓をするにはプラネテューヌの訓練所かコロシアムの方が好ましいのだが、『秘密の特訓』ということで、二人はあえて人目のつかないダンジョンに来ていた。
そして、お互い適当に準備運動で身体を慣らした後、変身して模擬戦を始めたのだが、二人の力量の差……というよりも、ユニの調子の悪さから一瞬で勝負がついてしまった。
「……なるほど、これじゃネプギアに勝てないわけだわ」
変身したネプテューヌ-パープルハートが模擬戦用の刀をユニ-ブラックシスターの首元に突きつけながら言う。
「これでもかなり手加減した方なんだけど、負けが続いて調子が落ちてるのは本当みたいね。あまりにも動きが消極的すぎる」
刀を下ろし、話を続ける。
「まずは調子を戻すところからね。ネプギア対策はその後にしましょう」
「ネプテューヌさん……あたし……」
「大丈夫よ、ユニちゃんは弱くなんてないわ。ただちょっと勝ち方を忘れてしまってるだけよ」
そう言って、不安そうに俯くユニの頭を優しく撫でる。
「ダンジョンに来たのはもう一つ理由があってね。あそこ」
そして、ダンジョンの奥にいるモンスターに指を差す。そこにいるのはスライヌの群れ。ユニならば片手どころか指だけで倒せる程度のモンスターである。
「最初はあのレベルから倒していって、それからどんどん強いモンスターに挑んでいって、少しずつ勝ち方を思い出していくのよ。そうね、あそこにいるのはユニちゃんなら寝てても勝てるような相手だけど、手を抜かずに真剣に戦うこと。いいわね?」
「はい!」
元気の良い返事とともにモンスターに向かっていくユニの背中に小さく手を振るネプテューヌ。
(少し……面倒見すぎかしら? でも、他の国の子に教えてあげるのは私にとっても良い経験になるし、ユニちゃんが強くなればなるほどネプギアも気合を入れるだろうし、たまにはこういうのも良いわよね)
こうして最初の特訓はモンスター狩りで終わったのだった。
*
一週間後、二回目の特訓。一回目の特訓からネプテューヌのアドバイス通りにモンスター狩りの自主練を欠かさずに行っていたユニは、すっかり調子を取り戻していた。
今日の特訓メニューは、寄られた時の相手の攻撃の捌き方。ガンナーであるユニが距離を詰められてしまうという不利な状況に置かれた場合にどう立ち回るかの訓練である。今回は変身をせず、模擬戦用の刀を振り合っている。
「うんうん。この前とは全然違うね、ユニちゃん!」
「……っ! ……!」
談笑する余裕のあるネプテューヌに比べて、ユニはそれについて行くのに精一杯の様子であった。ネプテューヌは手を止めずに話し続ける。
「ネプギアは真面目なんだよね。それは長所だけど短所でもあるんだよ」
「短所……?」
「例えば、上半身に意識を向けてる時に足払いとかするとめっちゃ効くよ。ユニちゃん足技得意だから割とアリだと思う」
「……こんな感じですか?」
姿勢を低くし、足払いをするユニ。
「おっと!」
ネプテューヌはそれに反応し、飛び上がって回避する。
(跳んだ……っ! けど!)
今のネプテューヌは変身をしていないため飛行ができない。一度跳び上がってしまうと、空中での移動は不可能となり、更に着地という隙を晒すことになる。ユニはその隙を狙い澄ましていた。
「とりゃあっ!」
……しかし、それを読んでいたネプテューヌは、落下の勢いを攻撃に乗せて斬りかかる。
「……きゃっ!」
ユニは迎撃しようとするも、その力強い斬撃に押し負けて、尻餅をついてしまった。
「中々良い足払いだったけど、ネプギアに通用する技でもわたしには通用しないんだなーこれが」
ネプテューヌはそう言って座り込んだユニに手を差し伸べ、手を取ったユニを引っ張って立ち上がらせる。
「だいぶ動けるようになってきたね。今のユニちゃんなら、ネプギア相手にもうボコボコに負けることはないと思うよ。でもノワール相手は厳しいかなぁ。ノワールも真面目なところはネプギアと似てるんだけど、今みたいな行動に全部対応できちゃうから」
「そうですよね……」
「ノワールはわたしがアドバイスしたぐらいで勝てるようになる相手じゃないからねー。こればっかりは頑張れとしか言えないかなー」
「……」
「でも、ユニちゃんがユニちゃんの力を充分発揮できれば勝てない相手じゃないと思う。ゲイムギョウ界最強の守護女神たるこのネプ子さんが保証するよ」
「それ、みんながみんな自分のことを最強だと思ってるだけって前言ってましたよね?」
「あはは、覚えてたか」
ネプテューヌは、ジト目になってツッコミを入れてきたユニから、自分への接し方から緊張が消えてきていることを実感し、少し喜んでいた。
「よし、じゃあもう一回模擬戦やって今日は終わりにしよっか。今度は本気でいくよ! ユニちゃん!」
「はい! ネプテューヌさん!」
そう言って両者は距離を取り、シェアクリスタルを顕現させ……
「刮目せよ!」
「アクセス!」
……掛け声と共に女神化する。
「行きますよ!」
「ええ、特訓の成果、見せてちょうだい!」
*
それから更に数週間後、プラネテューヌ教会女神の部屋にて、わかりやすく落ち込んでいる様子のネプギア。
「はぅぅ……」
「どうしたのネプギア? 最近元気ないね」
「最近ユニちゃんに全然勝てなくて……昨日も負けちゃったんだ……」
どうやらネプテューヌの指導は、ユニがネプギアとの模擬戦で連戦連勝するほどの効果があったようだった。
「そ、そうなんだ……」
ネプテューヌは実質自分のせいで愛する妹が落ち込んでいることから、気まずそうに苦笑いする。
「ううん、しょぼくれてる暇なんてない! ユニちゃんに勝てるようにもっと鍛えなきゃ! お姉ちゃん、ちょっと訓練に付き合って!」
ネプギアはその真面目さからすぐに気持ちを切り替える。ネプテューヌは、そんな妹の頼みを快く受け入れる。
「いいよー!」
「じゃあ早速やろうお姉ちゃん! はやくはやく!」
「わかったから、そんなに急がなくてもお姉ちゃんは逃げないよ」
気合が入っているからか、ネプテューヌよりも早歩きで訓練場に向かうネプギア。
(……まぁ、多分ネプギアならすぐにユニちゃんに追いつくでしょ。なんたってこのわたしの妹だもんね。今はわたしの方が強いけど、いつか超えられちゃうかもなぁ。それにしても……)
そんな妹の背中を見て、後輩たちの成長に期待を寄せながら、
(……やっぱりわたしは、指導者としての才能もあるんだなぁ。ふっふっふ……)
ちゃんと自画自賛も忘れない、そんな『ゲイムギョウ界最強の女神』のネプテューヌだった。
頼れる先輩やってるネプ子さんが書きたかったのです。
あとネプユニを推してください。