5/13ネプテューヌワンドロお題『アイエフ』にて投稿させてもらったものです。
「……あいちゃんに、フリッフリな可愛い服を着せたい」
ネプテューヌが呟いた。
「すーーーーッ……」
それを聞いたネプギアが、深く深呼吸して。
「わかる」
力強くうなづいた。
次の瞬間、二人の部屋のドアがバン! ……と勢いよく開けられた。
「話は聞かせてもらったです!」
そして、やる気に満ち溢れたコンパが部屋に入って来る。
しかし、問題がある。
アイエフは、可愛いお洋服を着て、と頼んでも素直に着てくれるような性格ではない。
早くも大きな壁に当たり、思い悩む三人。まるで世界の危機に立ち向かっているかのような気迫だ。
「……いや、私に考えがあるです」
コンパが手を挙げながら言った。
「私、あいちゃんの部屋の合鍵を持っているんですけど、夜あいちゃんが寝ている間にあいちゃんの部屋に忍び込み、服を全て隠して、代わりに可愛いお洋服だけを置いておく……というのはどうです?」
普段のコンパからは考えられないほどハキハキとした喋り方で、作戦は説明された。
それを聞いたネプテューヌとネプギアは、コンパにビッ、と指を差し。
「「採用!」」
ハモリながら言った。
だが、更にもう一つ問題があった。
「あいちゃんに似合うようなフリフリの服って……どうやって調達しよう?」
ネプテューヌもネプギアもコンパも、あまりそういった服を着る機会がなく、故に所持もしていない。
「……ぷるるんに作ってもらう?」
「悪くない案だけど……次元を超えるためのシェアの消費にいーすんさんが首を縦に振ってくれるか……」
「どうすれば……どうすればいいです……⁉︎」
再び大きな壁に当たり、まるで世界の滅亡に瀕しているかのような絶望感で思い悩む三人。
「……いいえ、一つ策があります」
今度はネプギアが手を挙げながら言った。
「ラステイション教会に行きましょう」
*
「フリフリの衣装を貸してくれ⁉︎」
ラステイションに着いた三人は、趣味コスプレの女神ことノワールに頼み込んでいた。
「コスプレといえばノワール、というわけでお願い!」
「私別にコスプレなんて興味は……」
「いやもうそういうのいいんでほんと。ワンドロでそういうくだり書いてる暇もないし」
「すごいメタな攻め方ね⁉ ワンドロでそういうくだりを書いてる暇がないからしょうがないわね……けど、アイエフのサイズに合う衣装なんてない……うん、ないわよ」
三度目の大きな壁に当たった、ネプテューヌとコンパがそう思った時、ネプギアが口を開いた。
「……ユニちゃんのサイズなら、アイエフさんに合いますよね?」
「え? いや、どうしてユニ……?」
「ノワールさん。確かにあなたのコスプレ趣味は一人で隠れてやっているつもりで全然隠しきれていなかったものです。けど、あなたはその趣味をいつか妹のユニちゃんと共有し、一緒にコスプレしたいと思っている。そして、そのための衣装を既に買い込んだり作っている────違いますか?」
かけてもいないメガネをかけ直す動作と共に、ネプギアがノワールを若干早口で問い詰める。
「ノワールさん、私たちはアイエフさんが可愛いお洋服を着ているところが見たくてたまらないんです。これ以上抵抗されれば、手段を選ぶことができなくなります」
「こっちは女神が二人いるんだよ」
「微力ですが私もいるです!」
追い詰められたノワールは、苦悩に満ちた表情で首を縦に振った。
「アイエフの写真……私にも送りなさいよ」
そして、作戦と道具を揃えた三人は、プラネテューヌに帰還し、その日の夜に決行するのだった。
*
次の日。
「ネプテューヌさん、今日はやけに素直にお仕事されてますね?」
「……まぁ、たまにはね」
ネプテューヌは、教会でデスクワークに勤しんでいた。来る時を待ちながら。
「そういえばアイエフさんはまだ出勤して来ませんね。まだ時間はありますが、いつもは早くに来てお仕事をされているのに……」
イストワールの言葉を聞き、ネプテューヌとネプギアとコンパがニヤリ、と笑う。
このタイムラグは、勝利を意味するものだと。
「お、おはようございます……」
直後、声を震わせながら、アイエフが出勤してきた。
フリッフリの可愛いお洋服を身にまといながら。
「……っ、ネプ子ぉ!」
そして、ネプテューヌに問い詰める。
「おはようあいちゃん。可愛い格好だね」
「あんたの仕業でしょこれ!」
「そうだよ。わたしと……そしてネプギアとコンパの仕業だよ」
「そういうことか……みんなグルかよぉ!」
怒るアイエフだが、あまりにも格好が可愛すぎるため迫力がない。そんなアイエフをニヤニヤしながら見つめる三人。
「イストワール様! イストワール様からこの三人に何か言ってください!」
「しかし……普通に似合っていますし……特に悪いことは……」
「ぐ……」
味方と呼べる者がいなくなり、頭を抱えるアイエフ。
「あいちゃん、嫌がってるように見えるですけど……」
その肩をぽん、と叩き、コンパが言う。
「あいちゃんが今着ているそれ、私がクローゼットの奥の方にしまっていたやつですよね?」
「……っ!」
その言葉を聞き、アイエフはびく、と震える。
「私が、あいちゃんに一番似合って一番可愛いと思ったから、あえて奥の方にしまっていた服……ですよね?」
容赦なく追撃を仕掛けるコンパ。
「それに例えば、あいちゃんは早起きさんなので、前の方にしまわれていた服をすぐ手に取っていれば、こんなに出勤に時間がかからなかったと思うです」
「コンパ……やめて……それ以上言わないで……っ!」
アイエフは、自分の行動がコンパに読まれていたことを察する。
「楽しかったですかあいちゃん? 可愛いお洋服を片っ端から着て自撮りしたのは?」
「あああああぁぁぁぁぁっ〜!」
そして、それを言い当てられたアイエフは、顔を真っ赤にしながらその場に崩れ落ちた。
なんだかんだで、アイエフもそんな服を着てみたかったらしい。
「……」
数分後、羞恥が限界に達したアイエフは、すっ、と立ち上がり、お洋服に手をかける。
「……脱ぐ」
「え?」
「もういい、私今日は下着姿で仕事する」
「ちょっ!」
「離してネプ子ぉ! こんな屈辱もう耐えられないわ! もう脱ぐぅ!」
「落ち着いてあいちゃん! 下着姿で仕事する方が屈辱だと思うよ! それに教会の風紀が!」
「脱ぐぅ‼︎」
お洋服を脱ごうとするアイエフを、必死で抑えるネプテューヌ。
「写真送ってって言ったけど、なんとなく見に来ちゃったわネプテュ……」
その時、ノワールが気まぐれでプラネテューヌ教会にやってきた。
そんなノワールの目に最初に入ったものは……
「……あ」
「……え?」
服を半脱ぎのアイエフと、それに覆い被さるネプテューヌだった。
何も知らない者が見ると、まるで今からナニをおっ始めようとするような構図である。
「そ……」
ノワールの顔が真っ赤に染まっていく。
「……そんなプレイをするために貸したんじゃないわーーーーッ‼︎」
ノワールの羞恥に満ちた怒号が、プラネテューヌ教会中に響き渡った。