俺と粘着な女の子   作:歩(ホ)

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27話。

「昔この大陸は竜が支配していた。魔法という力を思いのままに操る竜に、人々は敵うはずも無かった。しかし、そんな暗黒の時代に―――」

 

「どんな会話の導入だよ。いきなり設定公開とか返答に困るわ」

 

「次でボケて」

 

「仮にも真面目な話をしてる所にボケを挟むってハードル高いってレベルじゃねーよKYだよ。普通ツっこむ所だよ」

 

「ツっこむとか仮にもまだ乙女のわたしに言わないでください変態っ!」

 

「お前が乙女だったら世の女性みんな女神だよ」

 

「―――そんな暗黒の時代に1人の女神が現れ、こう予言しま……」

 

「続けんのか。とっつき辛過ぎる」

 

「とっつきなんて卑猥です変態っ!」

 

「なんでお前は会話をそっち方面に持っていきたがるんだ」

 

「貴方のとっつき兵器はドミナントでしたね」

 

「どこのキサラギ社製だよ」

 

「キサラギ社製とか発想が古い。時代はネクスト」

 

「アルゼブラか」

 

「GAです」

 

「ドーザーはとっつきとは呼べねーよ!」

 

「やっぱりかあぁぁぁ!」

 

「キルドーザーは帰れよ。事件自体は悲しい出来事だったよ」

 

「大丈夫、貴方のは月光」

 

「もう下ネタやめろよ。お前に対する評価が物凄い勢いで落ちていってるよ」

 

「? 男の人はそういうの好きだって聞いた」

 

「……間違っては無いな」

 

「貴方男。わたし男の人の好きな話題に合わせる。どこが不都合?」

 

「ある意味ピュアなお前が俺には眩しいわ」

 

「褒めてる?」

 

「神々しいまでのアホだって事だよ」

 

「神聖視とか照れる」

 

「誰かコイツに常識を教えてやってくれ」

 

「性教育ですか」

 

「ちょっと黙れよ脳味噌ピンク少女」

 

「……流石のわたしでもその言葉は不快に感じた」

 

「どこがアウトだったのか……―――あーいや、すまん。言いすぎたな」

 

「……」

 

「う……」

 

「ショッキングピンクにすべき」

 

「!?」

 

 

 脳味噌ショッキングピンク少女が誕生した所で会話を一旦切り上げる。

 

 話過ぎたせいか喉が乾いたので俺にもたれ掛かっていた女の子を引っぺがしてコタツから抜け出す。

 

 コタツの温もりから一瞬でも離れる寂しさを、纏わり付いている熱気ごと振り払い、買い置きしてある缶コーヒーを取りにベランダへと続く扉へと向かう。

 

 ガラスから透けて見える太陽はまだ高く空は明るい。時計を見ても11時ちょっとだ。

 

 そして、いざ開けようと扉に手を掛けると、その鉄製の器具の冷たさに嫌な予感を覚える。

 

 ここで引き返すことも出来るがそうやって逃げて残るのは喉の渇きだけだ。何だか背後に居る女の子も手招きしているような気がするが気にしない。

 

 

「今日寒いよ」

 

 

 今日一度も外に出ていない俺に女の子が語りかけてくる。恐らく朝の新聞配達で知ったのだろう。

 

 だがしかし俺は喉が渇いたのだ。冷蔵庫にあるの飲めばいいじゃないか、と思わなくも無いが、俺は缶コーヒーが飲みたいんだ。マックスコーヒー。

 

 逃げちゃだめだ。と何度もシンジ君のように心で呟きながら扉を開ける。

 

 前髪を逆立てるほどの冷風っ!!

 

 コタツの熱を纏った俺に風っ!!

 

 さらに第一波で致命傷(コタツの熱バリアが吹き飛んだ的な意味で)をっ!!

 

 起こる風の1つ1つが、なんて威力っ!!

 

 あぁ俺の夏休みどこに行ったんだ。つい1話前まで夏だったろうが。

 

 振り返ると女の子の姿が無かった。コタツの中に潜り込んだと思われる。なぜだろう、俺の自業自得なのに女の子に怒りを覚えてしまう。

 

 こうなれば早く目的の品を手に入れて戻るだけだ。

 

 冬にさしかかった秋の寒さに凍えながら缶コーヒーを回収して早足で室内へと戻る。

 

 ドアを閉める→ビニール袋から缶コーヒーを取り出す→手間取る→ドアを開ける→飛び込む

 

 このプロセスだけで薄着だった俺にはいっぱいいっぱいだ。寒すぎる。

 

 ドアを閉めてそのまま立ち尽くす道理など無いので、さっさと元の場所へと戻りコタツに足を突っ込む。

 

 途端に女の子がコタツから飛び出してきた。

 

 首に腕をまわして、頬を寄せて、耳を甘噛みしてくる。

 

 コタツの熱で暖められた人肌の温もりは、さっきまで凍えていた俺にとってとても心地が良い。

 

 

「どう? あったかい?」

 

 

 返答する代わりに、俺も女の子に腕をまわして熱を奪うように抱く。相変わらず女の子の肩は細くて背中は狭い。

 

 耳たぶを嘗め回されて、首筋を強く吸われるが、悪い気分はしないので放置する。

 

 しばらくそうやった後に机の上に置いておいた缶コーヒーを手に取り、女の子の首筋に当てる。

 

 

「ひやゃ!?」

 

 

 反応は上々だった。身をよじらせて逃げようとする女の子を抱きしめて更に冷えた缶コーヒーを当て続ける。

 

 しばらくそうやって女の子を虐めた。楽しい。缶コーヒーは2本持って来ているので、1本は女の子にあげる。ちなみにマックスコーヒー。

 

 

「恩を仇で返すとはこのことか」

 

「最後らへん楽しそうに笑ってたお前が愚痴を漏らすのは何かおかしい」

 

「どっちかって言うとMだから」

 

「何で人はそうSとかMとか、両極端にしか決められないのだろうか」

 

「優柔不断は良くないから」

 

「真理を突かれたような気がしてならない」

 

「せめて痛みを知らず安らかに死ぬがよい」

 

「秘孔を突くな」

 

「でもゆうじゅうふだんの『ゆう』は『優しい』と書きます」

 

「どこのいちご100%だよ。なんで東城フったんだよ真中」

 

「人気投票の結果です」

 

 

 ちくしょうだからジャンプは嫌いなんだ。嘘だけど。

 

 そうこうしてると外に出た時の冷風で吹き飛んでいた眠気が、コタツの温もりで再燃しはじめる。カフェインが効いて来るのは摂取してから30分ほどかかるとか。

 

 バイトも大学も無い貴重な1日を寝て過ごすのはとても勿体無いような気がするが、特にすることもない。

 

 逆らう理由も無いので、眠気に誘われるままにコタツの中に体を深く入れて横になる。

 

 座布団を枕にして寝ようとすると、隣に居た女の子もモゾモゾと動いた後、背中から腕を回して体を密着させて来る。

 

 

「わたしも寝る」

 

「掃除とか洗濯とか……あぁもうやったな」

 

「わたしは手際が良い」

 

「俺も手伝ってやったしな」

 

「きっといい嫁になる」

 

「一昔前の考えだなぁ」

 

「……こっち向いて」

 

 

 言われた通りに女の子の方を向いて女の子を抱く。

 

 ひとしきりコタツの中で足を絡ませて互いに落ち着く体位を探す。

 

 

「腕枕して」

 

「注文多いな」

 

「恋人だもん。このくらいの我侭言ったっていいはず」

 

「誰も嫌なんて言ってないだろ」

 

「……うん」

 

「もう眠い。俺もう寝る」

 

「寝る前にすること、まだしてない」

 

 

 主語を出されずともほぼ日常と化してることなので素直に女の子の唇に口付けをする。

 

 柔らかくて潤った女の子の唇から唇を離し、軽く女の子を抱いて意識を落とす。

 

 さて、近頃悩みなのが夢だ。

 

 5回に1回くらいだろうか。忘れたのを含めるともっと多くなるかも知れないが、夢の中、俺は何度も言われる。

 

 

「ロリコン」

 

 

 と、きっとあの時の店長の発言のせいだろう。如何わしいことは何1つ(キスも含めるならしてるが)してないのだが。

 

 この夢を見た後に、女の子の寝姿や先に起きていて挨拶をしてくる女の子を見ると、どうにも罪悪感のようなものが湧いてしまう。

 

 女の子に好きだと抜かした時点で自分がロリコンと認め始めているが、まだどこか後ろめたさのようなものがあるのだろう。

 

 手を出さないのがいけないのか。

 

 というか、出すにしても若すぎるだろ。アイマスの覚醒美希のランクAエンドじゃあるまいし。

 

 14だぞ。この前15になったけど。自重しろよ20歳。

 

 まぁ出す出さない以前の問題なんだけどさ。性的興奮なんざあの日以来1回も覚えが無い。

 

 隣に居てくれるだけで幸せだよ。ほんと。

 

 女の子もそう思っててくれればいいんだけどな。最近、枕の裏しきりに調べたりしてるけど。

 

 そうこうしてる内に目が覚めて、昼を少し過ぎていた。

 

 少し遅い昼飯にチンジャオロースを自作して女の子と食う。

 

 ふと思ったが、店でチンジャオロースをピーマン抜きで頼むことはできるのだろうか。

 

 チーズバーガーの肉抜きを注文した勇者は居たらしいけど。

 

 

「ばんざーい」

 

 

 壁に背中を預けコタツに足を入れてラノベを呼んでいると、洗い物を終えた女の子がいきなり目の前で両腕をあげる。

 

 どう反応したものかと眉を顰めると女の子は腕を下げた後に、

 

 

「ばんざーい」

 

 

 また同じように両腕を上げる。何度も繰り返す女の子を放置していると、女の子はムッと不満そうな表情をする。

 

 

「どうしろと?」

 

 

 流石にこれ以上の放置は危険だと察し、当たり障りの無い言葉を発してみる。

 

 

「ばんざいして、ばんざい」

 

「こうか?」

 

 

 ラノベを持ったまま両腕を持ち上げて上に腕を伸ばす。伸びも兼ねてしてみると、肺に溜まった温い空気が口から押し出される。

 

 視線を向けて次の行動を女の子に促すと、女の子は俺に背を向けた後、胡坐を掻いた俺の脚に腰を乗せてきた。

 

 

「お邪魔しまーす」

 

「……こうしたいなら最初っからそう言えよ」

 

「貴方はロマンがわかってない」

 

「お前ほんとロマン好きだな」

 

「本片方持ってあげる」

 

「……断っても無駄なんだろうな」

 

「当然」

 

 

 ラノベを片方ずつ持った後、余った手同士指を絡めあって2人して読書をした。

 

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