感染少女 ReBORN   作:キラトマト

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第十八話 作戦開始

「……作戦、開始だ」

 

 20時、きっかり。唸りを上げた軍用車が学校西側のバリケードに突っ込んだ。

 

「何事だッ?! 敵襲か?!」

 

「申し訳ありませんッ! ハンドリングが故障してしまい!」

 

 栗子が軍人らしいかしこまった口調で政府軍の増援へと返答する。

 

「あれは娶小隊の軍車ッ!」

 

「わー、とまりませーん」

 

 突っ込んだ車は、そのまま校庭を暴れ、そのままバリケードを壊して周り、最後反対側のバリケードから出ていった。

 

「何が起きた?!」

 

「い、いえそれが娶(めと)小隊の軍用車が校庭に直撃でッ」

 

「はぁ?! あの女、何をやってるんだ!」

 

 表の騒動から離れ──校舎裏に潜む僕ら。

 

「よし来栖崎、音爆の時間だ」

 

「……。……はいはい」

 

 来栖崎が石ころ状のものを数十個投げる。そして、校庭へと寸分の狂いもなく降り注ぐ。

 

「ビビビビ!」

 

「な、なんだ!?」

 

「と、突如空から……ぼ、防犯ブザーが落ちてまいりましたッ!?」

 

「はぁ?!」

 

「た、隊長っ! 音につられて、ぞ、ゾンビが大量に侵入してきました!」

 

「な、なにぃ!? 直ぐに防犯ブザーを破壊しろ!」

 

「そ、それが……次から次へと降ってきて、既に30個を超えてますッ!」

 

「ま、全く意味がわからん! 飛んできている出処を探せ!」

 

「そ、それが……ほぼ垂直空から……落ちてきているので……」

 

「な、なんだって!」

 

「ぞ、ゾンビが数十、いや数百を超えてッ!!」

 

「くそッ、急ぎ迎撃に当たれッ!」

 

 来栖崎が投げた防犯ブザーは、彼女の運動神経だよりに、高度100mから落下している。

 

「よっし、ざまぁねぇぜ! さっさと侵入するぞッ!」

 

 甘噛が門と扉を蹴破り、────僕らは校舎に突入した。

 

 軍服に変装して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘は最小限にッ、目指すはトップがいる部屋だッ」

 

「4階からしらみ潰しにするのが早いッ」

 

「本当に校長室じゃ、ないんですかね?」

 

「いや、その可能性はゼロじゃないが、軍事拠点で入口近くに司令室を作るバカはいない!」

 

「そうですか……」

 

「お、おい待てお前たち! 今は外のゾンビを掃討しろと命令が!」

 

「あ、いえ、リーダーに緊急で届けないといけない書類がありまして」

 

 勿論、嘘である。一か八かの賭けなのだが……

 

 ここでリーダーの居場所を吐いてくれればいいのだが。

 

「そうかッ、だが少佐殿は2階校長室だろう、なぜ上に?」

 

「あほ」

 

「あほ、ですね」

 

「ありがとさん、軍人さん」

 

「なッ……」

 

 僕はその言葉と共に、居場所を教えてくれたありがたーい軍人を気絶させる。

 

「ふぅ……」

 

「何カッコつけてんのダサすぎワロタ」

 

「それよりっ、2階に行くんでしょう!」

 

「じゃ、行きますか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む、何処の所属だ止ま────ぐわぁ!」

 

「上出来だ。甘噛」

 

「ふふー、サン様ー。もっと褒めてくださいまし」

 

「帰ったらしてあげるから、それに来栖崎もそう不機嫌にならずに……」

 

「……別にいつもと同じだし」

 

「おい、お前たちッ! そこでなにして────」

 

 来栖崎が問いかけてきた軍人を切り捨てる。

 

「な、なぜ仲間を攻撃している!」

 

「邪魔だよ」

 

 僕も来栖崎に続いて軍人の頭を掴んで、地に叩きつける。

 

「まったく、サンくんも随分と脳筋になってきたみたいだね」

 

「来栖崎程じゃありませんよ」

 

「……それって、どういう意味?」

 

「い、いや、悪い意味じゃなくて」

 

「貴様たち! そこで何を────」

 

「来栖崎! 甘噛!」

 

「分かってるッ!」

 

「了解しましたわ!」

 

 そこから、軍人の増援が駆けつけて、戦闘がはじまる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よしッ、校長室はもう目と鼻の先だ」

 

「外のゾンビ掃討も、そろそろ終わりそうです!」

 

「大丈夫、僕らの方が少しばかり────早いッ」

 

「校長室です! ですが、扉の前に護衛が……」

 

「来栖崎ッ、強行突破だ!」

 

「ははっ、もとよりそのつもりよ!」

 

 そういえば、最近来栖崎、僕に対して反抗しなくなってきたな。嬉しいことだが、僕なんかが来栖崎と────

 

「ボーッとすんじゃないわよ!」

 

「ハッ……すまん!」

 

「まったく、私が倒してやったんだから、感謝くらいしなさいよね!」

 

「あ、あぁ、ありがとうな。来栖崎」

 

「智将さん! はやく校長室へ!」

 

 百喰さんの一喝で、僕は本来の目的を思い出し、急いで校長室へと入る。

 

「な、なんだ貴様らは……」

 

「では、神峰透露を出してもらおうか」

 

「な、なぜその名を……!」

 

「おや、お呼びかな? 少年くん」

 

 そこに現れたのは────この後化物にされてしまう少女と、一人の紳士であった。

 

「──────ッ!」

 

 僕はすぐに戦闘態勢にはいる。

 

「おやぁ、そこまで怖がらなくてもいいんだよ?」

 

「お前が、神峰透露か……?」

 

「そうだが、なぜ私の名前を知っているのかな?」

 

 彼のその飄々とした態度に、僕の怒りが有頂天に達してしまい、奴へと殴りかかってしまいそうになるが、来栖崎に取り押さえられてしまう。

 

「離せよ! アイツが……アイツが……!」

 

「もう殺させたりさせる訳にはいかないでしょ! ちょっとは頭冷やせ! ケツパ!」

 

「いやぁ、怖い怖い。私を殺そうというのかね?」

 

「では仕方がない、これを使うか……」

 

「来栖崎ッ! 奴を取り押さえろ! またあの化物が……!」

 

「なんですって?!」

 

 来栖崎は急いで透露へと駆けるが、一歩遅く、少女へと注射器が刺されてしまう。

 

「嫌っ……あっ……やめぇぁぁぃやああああぁ゛ば……ぁああぐぇ」

 

「野郎、よくもぉおおお!!!」

 

「来栖崎ッ! その刀を寄越せ!」

 

「いや、私がトドメをさすわ」

 

「だったら早く! あの少女が意識を失う前にっ!」

 

 来栖崎が少女だったものを切り捨て、神峰透露の首筋へと刀を突きつける。急いで僕もやつの元へと駆けつける。

 

「おい、お前は今、あの少女に何をした」

 

「少女? ……ああ、そこの産声形態、いや、なりそこないのことか」

 

「ああ、そうだ」

 

「おいおい、それは誤解だ少年」

 

「そもそも、元となった素体は少女じゃない」

 

「クローン、と言ってな」

 

「知っているッ! でも、クローンでも、感情がある限りは人間なんだよ!」

 

「お前は、それをあんな化物にしたんだ。罪は償ってもらう」

 

「おや、私を殺そうというのかね?」

 

「ああそうだ」

 

「ちょ、ケツパあんた……!」

 

「透露さんっ!! 逃げて!!」

 

「チィッ、少佐か!」

 

 生き残った少佐によって僕たちにスモーク弾が撃たれる。

 

 そして、やつが逃げた後、手榴弾が投げ込まれる。

 

「危ない来栖崎ッ!」

 

 僕は咄嗟に来栖崎を押し倒して庇う。

 

「皆ッ、作戦は失敗だッ! 早く逃げるぞ!」

 

「姫片ッ!」

 

「サン、てめぇが一番おせぇんだよ! 早く乗れ!」

 

 みんなが乗った軍用車が現れる。

 

「来栖崎ッ、動けるか?! 早く乗るぞ!」

 

「わ……分かってるわよ!」

 

 僕らは急いで校舎から脱出して、車へと乗り込む。

 

「武器庫にたんまり武器があったから乗っけてきたけどよ──」

 

「ありがとう、助かる!」

 

「それより早く帰還するぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、作戦会議を始めます」

 

「まず、やつが言っていたクローンについて」

 

「これはこのポートラルの存続に関わるかもしれない話なんですけど、言った方がいいですかね」

 

「もちろんだよ! それに、今までそれを乗り越えてきたんだから、なんとかなるって!」

 

「じゃあ、言いますね。礼音が……クローン……でした」

 

 一同、驚愕! と、なると思っていたのだが、みんな余りいつもと変わっていないように見える。

 

「ちょ、みんな、なんか反応は無いのか!?」

 

「な、なんだってぇええ!? こうか?」

 

 姫片がふざけた声を出す。

 

「別に、驚きはないよ、サンちゃん。人外ならサンちゃんもいるしね。それに、アヤネルはクローンである以前に、私たちの味方だもん!」

 

「アドッ」

 

「モグッチ、それに、あの注射器を撃たれない限り、人間なんだよ」

 

「アド……」

 

「サン様が守ると仰るなら、わたくしもついて行きますわ」

 

「それに、サンが不死身ってことよりは現実味あんだろーよ」

 

「姫片くん……サンくん」

 

「サンくんの分も感謝するよ。ありがとう」

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