感染少女 ReBORN   作:キラトマト

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第二十三話 絶望の淵に

「で、これからどうすんだ?」

 

 戦いを終えた後、その強化装甲を解除した姫片は口を開く。

 

「どう、って……どうする?」

 

 僕は答えに迷ったので百喰さんに話を丸投げする。

 

「っ……」

 

 百喰さんは少し考えた後に具体的な案を出してくれた。

 

「まずは生存者を探すのが先決でしょう」

 

 そして、それを聞いたアドが大声でみんなに合図を出す。

 

「ちゅうもぉぉ──く!! これからみんなで! いや分担して! 生存者の捜索をしてもらいます!」

 

「いや小学校の先生かよ」

 

「ということで、これから班わけをしたいと思います!」

 

 アドが勝手に話を進める。

 

「11人だから、一つだけ2人のところがありますね」

 

「とりあえず、このレイドライザーを持ってる奴らはできる限り固まらないようにして、沙織ちゃんと沙南ちゃんは……うーん、じゃあ僕の班に来て」

 

「でもよぉサン、それじゃあてめぇ1人でこの姉妹守らなきゃいけねぇってことになんぜ?」

 

 姫片が危惧する。

 

「その辺は大丈夫。もし襲われて感染したとしても僕の血があるから」

 

「ちょっとサン、それじゃあ次はこの二人が苦しむことになるじゃないの」

 

 ひさぎもそのことを心配いているようだ。

 

「大丈夫だって、多分さっきの奴らで周辺のゾンビは片付いたと思うし」

 

「本当に大丈夫かしらね」

 

 そんな一抹の不安を残したまま、僕達生存組合『ポートラル』は生存者の捜索を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一区切りが着いたらさっきの建物に集まるということを頭に残しておく。

 

 ────辺りの建物内も見てみるが人の気配はない。

 

「兄ちゃん、もうみんなと合流した方がええとちゃう?」

 

「だから兄ちゃんじゃなくてサン……もうツッコムのも馬鹿らしくなってきたし兄ちゃんでいいよ。とりあえずアドからの通信があるまでは探索を続けるぞ」

 

「わかった!」

 

 沙織ちゃんは快く了承してくれる。……相変わらず沙南ちゃんは黙ったままだけど。

 

「はぁ……ここもいないか……」

 

 探索を続けるが、何ひとつとして手がかりはない。すると……

 

「キャーッ!!!」

 

 建物内を探索していると、悲鳴が屋外から聞こえてきた。

 

(どうする……?)

 

 この二人をこの建物で待たせておくのは危険だし、かといって連れていくのも……。

 

「兄ちゃん、急ぐで!」

 

 そう言って沙織ちゃんが悲鳴のした方向へと走り出した。

 

「待っ……」

 

(……こうなったら仕方ない)

 

 僕はレイドライザーを腰にまきつけてキーをその中に入れる。

 

『レイドライズ eternaling humann!!』

 

 そんな電子音が流れて僕の体に装甲が装着される。

 

「沙南ちゃん、お姉ちゃんのところに急ぐぞ!」

 

 僕は沙南ちゃんを連れて沙織ちゃんの走った方向に駆けだす。

 

(間に合え……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……」

 

 僕たちは出くわした、『ソレ』に。羽のようなものを全身に纏った白い『ソレ』は、数多のゾンビを引き連れて、街中を練り歩いていた。

 

「なんだよこれ……」

 

 そんな声を漏らしていると、沙南ちゃんが『ソレ』に向かって走り出す。

 

「なっ、やめろ!!」

 

 僕は沙南ちゃんの走った方向をよく見る。すると、見覚えのある顔が、ゾンビと化して『ソレ』の近くにいることが確認された。

 

(ありえない、あんな短時間でゾンビ化なんてするはずがない。そもそも外傷が見当たらないぞ……?)

 

 いや、まさか……。

 

「沙南ちゃんそいつから離れて!!」

 

「……え?」

 

 しかし、僕の声に気を取られたせいで、沙南ちゃんは『ソレ』の大きな腕によって弾き飛ばされてしまった。僕は急い沙南ちゃんの方へと走る。そして、自分の血を飲ませる。が……

 

「なんでだよッ、ふっざけんなよッ!!」

 

 一向に息は吹き返さない。

 

「……」

 

 沙南ちゃんは、その目の輝きを失ったまま、その場に仰向けで倒れている。

 

「……」

 

 僕は、無言のまま『ソレ』へと歩き出す。

 

「……」

 

『ソレ』へと切りつけ、そして二振りの刀で『ソレ』の両腕を切り落とす。

 

「……」

 

 そして、ゾンビの弱点……いや、生物全ての弱点である心臓があるであろう右胸に刀を突き刺す。

 

「……死ね」

 

 僕はそのバケモノにそう吐き捨てる。そして、残ったゾンビの掃討を開始する。

 

(数は大体30から40。今の僕なら……!)

 

 順調に進んでいき、残りの数が一桁をきった頃だった。────背後から、大地を揺るがすような轟音が響いてきた。ビックリして後ろを振り返ってみると……。

 

「沙織……ちゃん……?」

 

 ゾンビ化したはずの、沙織ちゃんが、妹を抱き抱えたままその場にへたりこんでいた。

 

「守って……くれる言うた……やんか」

 

 完全にゾンビ化したはずなのに喋れている……だと? 

 

 そして、そのふたりを守るように、狼のような、白い生き物が僕の前に立ち塞がり、そしてそのふたりを抱えてどこかへ走り去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……忘れていた。この世界が、残酷だってことを。全員を助けるなんて空想論、叶えられるはずがないってことを。レイドライザーなんて力で、少し強くなったぐらいで、調子に乗っていた。

 

「ぁぁああああぁぁぁぁああ!!!!」

 

 僕は、誰一人としていなくなった街で一人、絶叫の雨を降らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 私たちの班、梨花って子と百喰と私は、探索の末に誰も見つからなかったので一旦あの建物へと戻った。

 

「おっヒサぎんも帰ってきた! あとはサンちゃんたちだけだね!」

 

 どうやら、まだサンは帰ってきていないようだ。

 

「サンがあの姉妹を襲ってねぇといいけどな」

 

 栗子が軽口を叩く。

 

「まさか、サンくんに限ってそんなこと。なぁ、来栖崎くん」

 

「そうよ。サンはそんなことをするような男じゃないわ」

 

(それに第一、サンは私の……)

 

 そんなことを考えていると、突然遠くからこちらにも届くような轟音が聞こえてきた。

 

「なにっ?!」

 

「私が見てくるよ」

 

 礼音は誰の意見も聞かずにレイダーを装着し、翼を展開させて音のした方向へと向かっていった。

 

「ただ事じゃなさそうだし、みんなで行ってみようよ!」

 

 アドが提案する。

 

「ですがアド、ここにはレイダーを装着していない者だっているのです。なので、あと一人レイダーになれる者を行かせる方がよろしいかと」

 

「じゃあ私が行くわ」

 

 私は迷わずに手を挙げた。

 

「いいのですか? 来栖崎さん。なにか戦いがあったように思えましたが……」

 

 甘噛は私のことを心配してくれる。

 

「大丈夫よ。たとえあの力がなくたって、今はサンや……沢山の仲間がいるもの」

 

 私は、そう言ってレイドライザーを腰に巻き付けてキーをさして装甲を装着する。

 

「じゃあ……行ってくるわ」

 

 多分、あの音と、サンが帰ってこないことは繋がっている。だからこそ、私は志願したのだ。

 

「……生きて帰ってこいよ、来栖崎」

 

「そうだよヒサぎん! 死んだら容赦しないんだから!」

 

 みんなが口々に私への応援の言葉を投げかけてくれる。……サン、今、助けるから……!

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