僕たちが海を渡っている最中。
『生体反応を確認 生体反応を確認』
という声が脳内……というかマスクの中から聞こえてきた。マップを見てみるとどうやら座標はここで合っているようだ。ということは……。
「海底……か」
「なにサン。急に」
「あぁ、どうやらこの地点に生きてる人がいるらしくてな。で、行こうと思うんだが、いいか?」
「まぁ、うん。いいけど……でも、帰ってきてね」
僕の問いかけにひさぎは何となく心配するような声色で承諾してくれた。
「じゃあ、行ってくるから。ひさぎたちは先行ってて」
「あぁ、わかったぜ」
「了解しました、です」
「はいっ」
「ちっ、海ん中は暗くてちっとも見えないな……」
僕はマップだけを頼りに目的地へと進む。
(あれ?)
目的地に近づくにつれて、辺りの明度が上がっていくのに気がついた。そして、ある建物を発見した僕は、そこに入ることにした。そして入る。二人の女性の声がすることに気がついた僕は息を殺してその会話について聞き入る。
「ですが姉様。この場所、バレないでしょうか?」
「案ずるな、こんな海底数百メートルの地点の実験室など、誰にもわかるまい」
「まぁ、そうですね。では、処分してしまおうか」
処分という言葉に危機感を覚え、その部屋を覗いてみると、沙織ちゃんと沙南ちゃんがベッドに手足を縛り付けられていた。僕は戦闘になると思い、キーを変える。
『eternaling human!』
「誰だ?!」
レイドライザーのシステム音声を聞いたであろう一人の女性がこちらへ振り返る。もう隠れる必要もない。堂々と僕は二人の前へと出た。
「……僕たちの仲間に……何しやがった……」
「あらぁ、この子たちのお仲間さん? というか、その格好なに? コスプレかしら? ま、見られたからには帰すつもりは無いけど」
「そうそう。姉様の研究を見たからには、死んでもらわないと」
そう言ったと同時に、二人の女性はあの羽を身体中に纏ったような化け物に変貌した。
(薄々気づいてはいたが、あれが人だったとはな……)
だが、今はそんなこと関係ない。コイツらを殺すだけ……。
「……はァッ!!」
僕は片方の化け物の両腕を切り落とす。そして、トドメを刺そうとした瞬間……。
『守って……くれる言うた……やんか』
過去の記憶がフラッシュバックする。
「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙あ゙ぁ゙」
気がつくと僕は、目の前のゾンビに何度も剣を突き刺していた。
「……え?」
僕は気づいた。
「沙織……ちゃんに、沙南……ちゃん……?」
僕は戦闘に集中するあまり、助けるべき者の安否を、気にしていなかったのだ。僕は急いで彼女たちを抱きとめる。
「沙織ちゃん! 沙南ちゃん! 沙織ちゃん! 沙南ちゃん────」
何度呼びかけても返事が無い。
「僕は……僕は……僕のせいで……」
『守って……くれる言うた……やんか』
「やめてくれ……もう……あ゙ぁ゙あ゙ぁ゙!!」
僕の叫びに呼応するように、腰のレイドライザーが光り始め……。
『Humans ability』
「え……?」
そんな音声が鳴り、肩アーマーの赤色の部分のハッチが開き、そこからかなり小さいドローンのような物が出ていく。そして、それが二人の身体中に纏わり付き、そして離れた。そして……。
「治った……のか?」
◇◇◇
心配になって綴と二人で私はサンをつけると、ある建物を発見した。サンが入ったまま、数十分も出てこないので心配で見に来てみるとそこは……。
「なによ、これ」
飛散した血によって真っ赤に染まった部屋。そして、その部屋の真ん中には愛しき人の戦闘姿。そしてその腕に抱えられているのは……。
「沙織……」
「沙南ちゃん……ですわ」
そう、あのオオカミみたいなバケモンにさらわれたっていう夢氷姉妹が、こんな海の奥深くにいた。
「ちょ、ちょっとサン様、なにが、ありましたの……?」
綴がサンへと質問する。
「あ、あぁ、ちょっと……な」
サンはなんとも要領を得られない返答をする。
「……まぁいいわ。それより、なんでこんなところにこの子達がいるのよ?」
◇◇◇
「なんでこんなところにこの子達がいるのよ?」
ひさぎが質問してきた。
「それは……」
言うかどうか迷ったが、言うことにした。
「ここに来た時に────」
僕は、全てを話した。あの謎の治癒能力のことも、それを使うことになった経緯も。
「サン様……」
「でも、どうやって連れて帰るのよ」
「どうやって……」
僕は考えを張り巡らす。……結果、思いついたのは、あの例の能力を応用した案であった。そして、僕は全員にそれを話し、承諾を得た後、海面へと出て、そしてマップを頼りにアドたちフェリーの着く場所へと辿り着いた。
なんで海底数百メートルからあの治癒能力あったとはいえ無事に帰ってこれたんでしょうねぇ。