感染少女 ReBORN   作:キラトマト

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「遂に……遂に完成したぞッ!」
少女は一人、研究室で歓喜の声をあげていた。


劇場版 感染×少女 最強のゾンビと不死身の男 後編

「ぶ、武器だと……?」

 

「そうだよサンちゃんっ」

 

 満面の笑みで言うアド。

 

「……見つけた」

 

 遠くから微かに声が聞こえてきた。僕はその声の方向をむく。するとそこには……。

 

「誰だ……!?」

 

「ふっ、無意味な問いだな」

 

「は……?」

 

「厨二病かいお主?」

 

 アドはそう言いながら気さくに近づいていく。────ふと、その少女の手に光るものが見えた。

 

「アド下がれッ!」

 

 僕はアドを手で押し退け、自分がその少女の前へと出る。

 

「……自己犠牲とは感動するね少年」

 

 ……よし、まだ僕が不死身だとは知られていないようだ。そして、目の前の少女は手に持っていたナイフを僕へと全力で投げる。

 

「死ねッ!」

 

 そして、僕の左肩に深々と突き刺さる。

 

「ッ……!」

 

 僕はわざと膝をついてダメージリアクションをとる。そして手で後ろにいるみんなに待機の合図を出す。

 

「ほーら、だーれも助けてくれない。じゃ、気の毒だけど殺すねー」

 

 言い方に腹が立つ。が、ここは我慢我慢、奴が近づいてくるまで待つんだ。

 

 奴はスキップしながら意気揚々と近づいてくる。

 

「……武器の配布、ありがとさん」

 

 僕は勢いよくナイフを抜き取り、相手の首元へとナイフを当てる。

 

「殺したくない。だから降伏してくれ」

 

 いくらこんな世界で生きていたって、生きてる人を殺すのは躊躇われる。

 

「はぁ……仕方ないなー。降参するよー」

 

 そう言って手を挙げたので僕はナイフを持った手を下げた。

 

「……ふふっ」

 

「ケツパ危ないッ!!」

 

 来栖崎が声を荒らげる。

 

「……いきなさいゾンビ共」

 

 手で号令を出す少女。そして、ビルの間からゾンビが100……いや、200を超える匹近くわらわらと湧いてくる。

 

「ゾンビを……使役している……だと?」

 

 ありえない。

 

「真綾様、使わせてもらいます」

 

 少女は懐から取り出した注射器を首元へと突き刺し、そしてその中に入っている薬品を身体の中に入れる。

 

「うぐっ、はぁっ、あぁぁっぁああああ!?!」

 

 すると、彼女の体はみるみるうちに変形していき……。

 

「なんだよコイツ……?」

 

 姫片は驚嘆の声を漏らす。

 

「あんなもの、真綾は研究していたというの……?」

 

 アドも声を上げた。

 

「どうすんだよこんなの……」

 

 みんなが絶望の声を漏らす。……たった2人を除いて。

 

「なに絶望してんのよケツパ」

 

「来栖崎さんの言う通りですよサン様。私たちであのゾンビ共を片付けますから、その間にサン様」

 

「来栖崎に甘噛……」

 

 そして、その声にいち早く返答したのはアド。

 

「そうだよみんな!! ゾンビが沢山いたって、みんながいるんだから、きっと大丈夫に決まってるよ! ほら、みんな、立ち上がろうず!」

 

「ふっ、そうだな。こんなの、あの14日間に比べれば、なんてこたぁねぇ」

 

 姫片……いや、みんなが気をもちなおす。

 

「よぉーし、生存組合『ポートラル』、行っくよー!」

 

 アドの掛け声と共に、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

「あったれー!!」

 

 両手に携えたハンドガンで、アドは周りのゾンビを撃ち殺す。

 

「モグッチッ!!」

 

「わかってますッ」

 

 そして百喰は、アサルトライフルでアドが撃ち漏らしたゾンビの掃討をする。

 

「はっ、雑作もねぇ! だよなぁ!? やちる!!」

 

 大鎌でゾンビを一掃するのは姫片。その、かなり重いであろう大鎌を軽々と振り回すその様子は、とても華麗であった。

 

「その通り、です」

 

 やちるはそう言って自慢のシューズで地面を軽やかに滑り、そしてそのシューズでゾンビの頭を正確に蹴り殺す。

 

「ふむ、何かおかしいな……」

 

 みんなから離れたところで援護射撃をしている礼音さんは呟いた。

 

「倒したゾンビが……復活していく、です?」

 

「おいおい嘘だろ……?」

 

 そう、倒したはずの、頭を砕いたはずのゾンビたちが、起き上がってきたのだ。

 

「こんなのありえないですッ」

 

「残念ながらモグッチ、これは現実だよ」

 

「くっ、やはり嫌な予感は当たったか……」

 

「無駄口を叩いている場合ではありません皆さんっ!」

 

 そう言ってトンファーでゾンビたちの頭を潰していく。

 

「そうだねツヅリン!!」

 

 アドは大声で答えて、そして戦闘を再開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

「やっぱりナイフだけじゃあ心許ないか……」

 

「うごぉ……」

 

 目の前で奇声を発するゾンビのような何か、化け物と対峙しながら僕は呟く。

 

「どうすればいいってんだよ……」

 

 僕はアドの言葉を思い出す。

 

『武器があるんだよ』

 

 ……そうだ! 

 

(……よし)

 

 僕は心の中でそう呟き、化け物の目にナイフを突き立てる。そして、その化け物が目を抑えて悶え苦しんでいるうちにまだ奴に壊されていないたった一つの建物に入る。

 

「……あった」

 

 僕はその建物内にあった二振りの剣を手に取る。

 

「これなら……!」

 

 僕はその建物が潰される直前に外へ出る。

 

「……間一髪、か」

 

「うごぉ……がぁぁああ!!」

 

 奇声を発しながら拳を振り上げる化け物。そして、その口を開けた一瞬の隙に、口の中に片方の剣を投げ入れる。

 

(少々もったいない気もするが、今はなりふり構っていられない)

 

 そして、身体の中に剣が入ったことにより苦しんでいる隙に、首元へと剣を当てる。が、予想以上に固く、3分の1程度しか刃が通らなかった。

 

(ダメなのか……? もう……僕たちは……)

 

「諦めるんじゃないわよケツパッ!!」

 

 僕の手に、来栖崎の手が重ねられる。

 

「えっ、来栖崎……?」

 

「何ボケーッとしてんのよ! さっさと力入れなさい!」

 

「……あ、あぁ!!」

 

「「はぁぁぁぁぁあああああ!!」」

 

 二人で、化け物の首を切り裂く。

 

「がっはぁ……う、うごぉおおお……」

 

 首を完全に切り落とされたその化け物は、その場に倒れ伏し、そしていつものゾンビとは違って死体が塵となって跡形もなく消滅してしまった。そしてそれと同時に僕らが持っていた剣も光となって消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

「復活の次は消滅かよ……」

 

 誰かが呟く。そう、今まで戦っていたゾンビたちが、全て塵となって消えたのだ。いくら区一帯がゾンビウイルスに侵されるという非現実な事態に慣れたとはいえ、物体が砂のように消えるのは初めてなのだ。驚くのも無理はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 そしてその後、無事に、誰一人として死ぬことなく合流したポートラルは、結局目当ての武器も手に入らないまま(アドは『危険な化け物を先に倒せたんだからいいじゃないか!』と言っていたが)、拠点に帰還したのであった。

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