感染少女 ReBORN   作:キラトマト

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「……まさか、こんなにも早く言うことになるとは……」
「? なんか言った?」
「い、いや、なんでもない。……ってことで早速第4話、スタート!」
「誤魔化し方が下手すぎんのよあんたは……」


第四話 作戦、開始!!

翌日、サンたちはアドの号令により会議室に集まっていた。

 

「今日集まってもらったのはぁ他でもない。くっくっくー、おめぇら、金玉と覚悟ぉ、引っさげて集まったんだろうな」

 

「なんだこのテンション」

 

「昨日書店で極道漫画読んでたぞ」

 

「なるほど、小学生か」

 

「くっくっくー! 邪推はぁよくない、あぁよくないぜぇ、ってなわけで!」

 

「記念すべき第一回『南の海まで修学旅行大作戦──母なる海をたずねて三千里──』の始動だぜ!」

 

「第一回……ですか」

 

「不穏です……」

 

百喰ややちるから不安の声が漏れる。

 

「せいせいせい! てめぇらちょいとお黙りなさいだぜぃ! あたし立案の作戦にケチつけようなんざ、片腹痛いぜぇ!」

 

やちるの言うことも最もである。だが、あまりにも失礼ではないだろうか。

 

「アドさん立案。不穏です……」

 

「はいはい、皆こっちに注目」

 

そこでサンがようやく口を開く。

 

「今回の作戦、立案こそアドですが、監査から計画まで僕がやらせてもらってるんで、安心してください」

 

「「「ならよかった」」」

 

 すると、皆から安堵の声が出る。

 

「なので、一応ですが僕から説明させていただきますね」

 

「お、鈍器配布はねぇんだな」

 

この前の鹿狩の際のガイドブックのことがまだ記憶に残っていたのだろうか。

 

「二度と鹿肉解体してやらんぞ」

 

「おいおい寂しいこと言わないでくれよサン、あたしとオメェの仲だろ?」

 

そう言ってサンと肩を組む姫片。

 

「……ったく……。とまぁ、まず作戦概要についてですが、アド語を翻訳すれば作戦名は、『南方調査遠征作戦』となります」

 

「南方……遠征調査とは、まさか」

 

「はい、お察しの通り、ペトラ橋を超えた先──」

 

 

一呼吸おいてサンは言葉を放った。

「渚輪区本島への上陸を決行します」

 

「……本島上陸とは、具体的には本島のどこまで調査する予定なのですか?」

 

「ふっふふー、何処までとはモグッチ、知ってて質問してるぞね?」

 

「いえ……答えは?」

 

「南の海岸線」

 

 がしゃん、とみな手に持っているものを落とし、サンの方向に、驚愕の視線を送る。

 

「南海岸線って……ここニュータウンは本島の北の海岸線にあるんですよ?」

 

「それに、ペトラ橋は今ゾンビによって封鎖されてるんですよ?」

 

「そうだね。こわーいゾンビが沢山邪魔してる。けどぉー……じゃじゃん!」

 

「スーパーサイキン人、ヒサギンがいるから実行にうつせるではないか!」

 

「ぶふぉっ」

 

 来栖崎は思わず口に含んだ水を吹き出してしまう。

 

「サイキン人?! どこ由来だよ!?」

 

次いで、サンがその呼び名に対してツッコミを入れる。 

 

「ふっふふー、穏やかな心を持ちながら激しい怒りで目覚めた戦士のことだよ」

 

「それ完全に○ラゴン○ールの○空じゃねぇか!」

 

「凄いねぇサンちゃん。そんな昔の漫画知ってるなんて」

 

「まぁ今の僕の人格は100年くらい前の人なんで……」

 

「そっか…… うん! そうだったね!」

 

一瞬気まずい空気になってしまったがそれは仕方ない。まあサンは面白いと思ってやっているのだが。

 

「なんかアイツら前より仲良くなってねえか?」

 

「それに、アドさんのテンションも戻ってますね」

 

「おいそこの2人。聞こえてるぞー」

 

「サーセン」「……すみません」

 

サンは内心、罪悪感を感じていた。

 

「それにヒサギン。あたしらさ」

 

「こんな狭いニュータウンに閉じ込められて、救出待ってるだけじゃダメだって」

 

「違うね。救援なんて本当は来ないんじゃないかって、薄々気付いてる」

 

「ねぇアンタ。そこら辺の記憶とかないの?」

 

「あぁすまない。思い出そうとしても思い出せなくて……」

 

「別に、思い出せないならいいわよ。いい記憶じゃなさそうだし」

 

「気遣いありがとうな」

 

「で、話を戻して、君たちの力があれば、あたしらはこの小さなニュータウンから出て、真実を知れるかもしれない」

 

「希望を掴めるかもしれない。だから」

 

 力をかしてけれ、と。アドはみんなに優しくはにかんだ。

 

 アドの意見に反対する理由も、人間もいなかった。それはもちろん、

 

「勿論だ」

 

「……分かったわよ」

 

 サンや、来栖崎も含めてである。

 

 ──意見は一決した──

 

 かつてない大規模作戦。南方調査遠征作戦の幕は上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーなんて、意気揚々と高らかに作戦を掲げたのにも関わらず、アドはかなり不機嫌な様子であった。

 

「ぶーぶー。ぶーぶー」

 

「……おい。誰だ豚を探索チームに組み込んだ阿呆は」

 

酷い言い草だが、これだけ言ってもアドは全く動じなかった。

 

「良く見てみろサン、そいつは我がリーダーだぜ」

 

姫片の言葉に、サンはようやく気が付いた、と言った声を上げた。

 

「あ、ホントだ。豚かと思ったよ」

 

「むかぁ! まったく、ぷくぷくピーだ!」

 

「サン様、なにゆえあの子豚さんはこうも五月蝿いのでしょうか?」

 

「やいとさんに、『遠征はどんなに長くても24時間、片道12時間まで』って約束させてたんだよ。それからこの有様さ」

 

「あらやだわ。デパートの皆様を心配させないためなのでしょう? そんなサン様の優しさを子豚さんは分からないのですね」

 

「まぁな。でも綴は偉いなぁ。文句の一つもも言わないなんて」

 

「当たり前です。サン様を困らせる訳にはいきませんもの」

 

「ぅぉお……」

 

そんな他愛もない会話をしていると、前方のコンビニの店頭に10数匹のゾンビが駐在しているのが見えた。

 

「そ、それよりも皆さん……。ゾンビがコンビニに屯してますけど……どうします?」

 

「勿論、排除する」

 

そうして、甘噛はトンファーを持ってゾンビの群れへと突撃していく。そして数分後、甘噛の手によってゾンビは殲滅された。

 

「てか、腕から離れてくれないか甘噛」

 

実は戦闘が終わってからすぐに甘噛はサンの腕に抱きついたのである。そしてそれからずっとこの有様だ。

 

「なぜです?」

 

「腕にしがみつかれちゃ歩きづらい」

 

「そんな……酷いこと言わないでくださいまし。サン様、わたくしはゾンビが怖いんですの」

 

「もう、サンちゃん。鼻の下伸ばしちゃってぇーぷくぷくピーだ!」

 

「お前は黙れ」

 

「ぷくぷくぷくぷくピーピーピーピー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────だからさ、僕らは知らなきゃいけないんだ。感染のこと、日本がどうなっているのか」

 

「このまま今の生活を続けてても、いつかは綻びが見え始める」

 

「…… ……けど……」

 

「いえ、ならサン様は」

 

「ウゴォ……」

 

「気をつけろ! 看板の影にゾンビがいるぞ!」

 

「サン様ッ! 危ないッ!」

 

 そのまま、甘噛はゾンビをなぎ倒し、僕に駆け寄ってきた。

 

「サン様ッ、お怪我はありませんですの?!」

 

「大丈夫だ。このぐらいすぐ治る。それよりも、ゾンビが怖くて仕方がなかったんじゃなかったのか?」

 

甘噛はしまった、という様子で答えた。

 

「サン様もお人が悪い……。・・・ええ、怖いですわよ」

 

「けれどサン様がいなくなってしまわれる方が、私はもっと怖いのです」

 

「だから大丈夫だって。僕は不死身と言ったろう? どんな傷でもすぐに治る。なんなら僕を盾にしてもーーーー」

 

「そんなこと、冗談でも言わないでくださいまし!」

 

サンは冗談のつもりで言ったのだが甘噛はそれに激高した。

 

「す、すまん・・・」

 

サンは反省し、これからは不死身ネタで笑かすのはやめようと心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニュータウン南部まで来るのは久しぶりですね」

 

「だね、モグッチ。ポートラル結成当時は、毎日ペトラ橋まで足繁く通ったもんだよ」

 

「ええ。あの頃、私が静止を促してなければ、何度ゾンビ化していたことか」

 

 その言葉に、サンは思わず苦笑する。

 

「面目ナッシングッ!」

 

「全然反省してないじゃないか。全く」

 

「いえ、過去を顧みず道を示し続ける。リーダーとしての長所でもありますので。新参のあなたが知った口を聞かないでください」

 

「はぁ……」

 

「でも、リーダーの短所を補うのも参謀の勤めでして……」

 

「それに、規則に従うのも大事だが、時には自分の感情で動いてみたらどうだ?」

 

「なっ……」

 

 百喰の反論しようとした言葉は、ゾンビのうめき声によって掻き消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、ったく。あたしの血がそんなに飲みてぇのかねぇ、この腐れ共は」

 

「太ももが……重点的に疲れたです」

 

「んだ? やちる、電磁力ブーツの電源切ってやがるのか」

 

「節電、だから」

 

「ああ、いつも滑るみたいな動きしてんなーって思ったら、電磁力性のブーツ履いてたのか」

 

「磁力の力で……浮いていますゆえ」

 

「へはっ、素敵な魔法にでも見えたか?」

 

「便利な靴もあるもんだな。まぁ僕が使いこなせるかは、分からねぇけど」

 

「その通り! この靴はヤチルンにしか扱える代物じゃないんだよ!」

 

「だってヤチルンは、第54回シベリアゴリンピック、女子フィギュアの最年少日本代表、豹藤やちるなんだよ?!」

 

「へー、そうなんだ。僕の記憶の主にも、なんか特技とかあったらいいのになぁ……」

 

「あれ、知らなかったの?」

 

「ああ、今の記憶が入ったことで、昔の僕の記憶が少し消えちゃったみたいでね」

 

「それとさ、サンちゃんの記憶の持ち主ってどんな人だったの?」

 

「いや、分からないんだ。知識はあるんだが、人物像が思い出せないんだ……。少なくとも、100年以上前に生きてたってことはわかっているんだがな」

 

「そうなんだ…… でも、気になるから、思い出したら言って欲しいな!」

 

「あぁ、無論、そのつもりだ。

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