俺達の戦いの後、貴族による圧倒的な魔力による戦いが行われており、アスタはそれを見て羨ましそうに見ていた。そして、俺はいまなぜか、一人の貴族の女の子に絡まれてる。
「ごきげんよう、私はミモザ・ヴァーミリオンですわ。よろしくお願い致します」
「え、えっと、こちらこそ、よろしくお願い致します。トウマです。俺になにかようでしょうか?」
貴族の令嬢が、一体俺になんのようだろうか?
「はい!先ほどの戦闘で使っていたその剣、名前はなんというのでしょうか?それに、その小さなグリモワールは?あと、そこまでかしこまらなくてもよろしいですわ」
「そんなわけにはいきませんよ、あなたは貴族、俺は平民なんですから。「チッ!これだから貴族として振る舞うのは嫌なんですわ」えっと、なにか言いましたか?」
「いいえ何も?」
「そ、そうですか。この剣でしたよね?この剣は火炎剣烈火といいまして、この赤いグリモワールと一緒に俺の前に現れた剣なんです。この小さな本は、このグリモワールの中から出てきたもので、たぶんですけど、俺が強くなればなるほど、この中から出てくるんだと思います」
「へー、とても良い剣裁きでしたが、魔法は使わないのですか?」
「俺には魔力が、生まれつきなかったので、魔法が使えないんです」
「っ!そうでしたか、すみません余計なことを」
「いえいえ、気にしてませんよ」
ミモザさんと話していると、周りがざわざわとし始めた。見ると、ユノが前に出ている。どうやら、彼の出番が来たようだ。
「あ、あれって!」
「サリム、じゃないか?」
「あの名門!ハプシャス家の!?」
相手は貴族か。だけど、アイツなら。
「では、はじめ!!」
「この、サリムド・ハプシャスと戦えるだけで、名誉なことなのだよ。村に帰ったら、一生語り継げるだろう」
挑発するように、髪をいじりながら、言うユノの相手。だが、ユノは表情一つ変えず、冷静に相手を見ている。
「せめてもの土産に!貴族の必殺技、雷神の、ライジングサリムをお見舞いしてあげよう!!」
そう言って、グリモワールを開き、空中にものすごい電撃の玉作り出す相手。
必殺技に自分の名前いれるかな?
ユノも、グリモワールを開く。すると、相手は作り出した玉を飛ばしてくる。
必殺技って言うから派手なのかと思えばそこまでなんだなぁ。だけど、威力は強いのだろう。
そして、ユノは玉が直撃する寸前に、魔法を発動。
「風魔法、暴乱の塔!!」
ドでかい竜巻が起こり、玉を受け止める。そして押し返していき、ついには玉を巻き込み、相手は吹き飛ばされていった。
「すごいですわ・・・」
「でしょ、あれ、俺の友達なんだ。俺とあそこにいるアホ面のアスタ。そして、ユノは同じ村の出身なんです」
「そうだったのですか!?それはすごいお友達をお持ちで」
「アイツ、そこまですごくないですよ。小さい頃は泣き虫でー」
すると、俺の横を風の玉が通っていった。見ると、こちらを睨み付けてくるユノがいた。
「言っちゃダメだったみたいです」
「ふふ、そのようですわね」
そして、試験は進んでいった。
夕方
試験は終了し、遂に、入団だ。
「以上で試験は終わりだ!それでは、番号を呼ばれたから受験生は前に出てきてくれ!」
「その受験生の入団を望む騎士団長が、挙手をする。挙手した団に入団するか否か、そして挙手した団が複数の場合に、どこの団を選ぶかは、受験生の自由だ!」
「ただし!挙手する団がない場合、魔法騎士団には入れない!!」
「早々に立ち去るが良い」
俺に、手をあげてくれる団はあるだろうか?魔力がない俺を必要としてくれる団が、居てくれるといいな。
「一番の受験生!前へ!」
「あ、はいぃいい!!」
次々に呼ばれていき、入団したもの、入団できず、涙を流した者がいた。そして、遂にユノの番になった。
「つぎ、164番!」
「はい!」
ユノが前に出ていき、胸を張って立つ。
「希望者は挙手を」
すると、全団が手をあげた。周りは騒然。だが、妥当な結果だ。さて、ユノはどこを選ぶのだろうか?
「金色の夜明け団でお願いします!!」
やっぱりそうなるよね。魔法帝になるための一番の近道だ。
「つぎ、165番!」
んで、アスタだけど。大丈夫かなぁ?
「お願いしまーす!!」
気合いを入れて出ていく。だが、アスタに手をあげてくれる団はなかった。すると、一番の恥にいるムキムキの団長さん。ヤミ団長が声をあげた。
「そりゃぁそうだろうなぁ!たとえ高い戦闘能力を持っていようが、それが得たいの知れねぇ力じゃあ、誰も手ぇ出さねーわ」
確かに、アスタの力は、得たいの知るないものだ。魔法を斬っているんだもんな。だけど、あそこまで言わなくてもいいじゃないか。
俺は右手に持つ火炎剣の柄を強く握りしめた。
その時、火炎剣の刃が、薄く、紅の光を放った。だが、それに気づいたのは、隣にいた、ミモザ・ヴァーミリオンのみであった。
「光った・・・」
ヤミ団長は話を続けた。
「なんやかんやで、結局魔法騎士に求められるのは、魔力だ!」
すると、ものすごい量の重圧が、周囲に放たれ始めた。だが、それはすぐになくなった。だが、周りは苦しんでいる。なんでだ?
「もしかして、火炎剣、君が止めてくれているのかい?」
俺がそう言うと、そうだと言わんばかりにキラリと刀身が光った。
気づくと、ヤミ団長は降りてきており、アスタに近づいていた。もしものことがあれば、と、俺はブレイブドラゴンのワンダーライドブックを取り出し、ソードライバーに火炎剣を納めた。
「魔力のないお前なんざ、誰も欲しがらねぇ。これが現実だ!お前さっき、魔法帝目指してるとか言ってたなぁ?つまり、俺達九つの騎士団の団長を越えるってことだよなぁ?いま、俺の目の前でもまだ、魔力もない分際で、魔法帝になるとかほざけるか?」
俺は、徐々に徐々にブックを装填スロットに近づけていく。
「トウマさん、あなたでは・・・」
「でも、もしも何かのことがあれば、誰かが助けないと」
「そうですが」
「こ、ここで」
すると、アスタがヤミ団長に言い始めた。
「魔法騎士団に入れなくても、何度転けても、誰に、何を言われようと。俺はいつか、魔法帝になって見せます!!」
覚悟を決めたように宣言したアスタ。この宣言が、ヤミ団長にはどう聞こえたのだろうか・・・。もし、気に入らなかった場合は、どうなるのか。それが気がかりだ。
すると、重圧がなくなっていき、皆の顔色ももとに戻る。そして、ヤミ団長は大声で笑い始めた。
「アッハッハッハッハ!!お前、面白い!!うちの団に来い!」
「え?」
どうやら、好印象にとられたようだ。それに、アスタが魔法騎士団に入れたようだ。
俺は笑みをつくりながら、ブックをグリモワールにしまった。
「黒の暴牛団に入れてやるって言ってんだ!ちなみにお前に拒否権はない」
「えー・・・」
「黒の暴牛で、くそぼろになるまでさんざんな目に合わせてやるから、覚悟しろ!フッハッハッハッハ!!」
「ええええええええええ!?」
「そして、いつか、魔法帝になって見せろ」
「はい!!」
よかった。これで、心配ごとが一つ減った。それじゃ、次は俺の番だ。本当は、人の心配なんてしてる場合じゃなかったんだけどな。
「それではつぎ、166番!」
俺は覚悟を決めて前に出ていった。
「先ほどのアスタと同じく、魔力がない者ですが、よろしくお願いします!!」
俺は目をつむり、結果が出るのを待った。すると、周りがざわざわと騒ぎ始めた。目を開けてみると、そこには、驚くべき光景が広がっていた。
「な、なんで?」
すべての団長が自分に手をあげていたのだ。