前回の続き
「アスタ、シスターは聖職者だから結婚は出来ない、あと15歳以下も結婚出来ない」
「うるせぇ、ユノテメぇ、勝負だユノー!!」
「嫌だ」
「何でじゃうらー!!」
この掛け合いはもうなんかいもしたのか、いつものように返すユノ。
「時間がもったいないから」
「なんだとコラァー!!!」
「やめとけってアスタ、お前がユノ兄に勝てるわけないじゃん」
火を指から出しながらアスタに言う少年。これもいつもの光景のようだ。
「喰らえ、必殺!おらぁー!!!」
「だって、トウマ兄と同じで魔法が使えないんだから」
手をつき出すアスタ。だが、一切魔法が出るような気配はなく、ただアスタが間抜けな格好をとっているだけである。
「なぁ、アスタ、今日は諦めようぜ、諦めが肝心っていう言葉もあるし」
「それだと負けてるみたいじゃんか!!俺はぜってぇ諦めねぇ!!」
「ううん、違うよアスタ、諦めることは負けじゃない。今日は無理かもしれないけど、明日はいけるかもしれないだろ?だからそのために力を残しておく。それも諦めることで得るいいことなんだよ?」
「そ、そうなのか?」
「ああ」
「あーあ、また駄目な知識をアスタに教えちゃったよ」
「ううん、駄目な知識なんてないんだよナッシュ」
そう諭すトウマ。しかし、やる気無さそうに無視するナッシュ。
「そうだ、これ見てよアスタ!」
「お?なんだ?」
「これ、教会のシスターと結ばれた青年の話が書かれた本なんだけど!」
「え!?」
シスターが驚きの声をあげる。
「そ、それは見せちゃ駄目よトウマ!!」
トウマから本を持っていってしまうシスター。
「な、何でですか!!」
「いらない知識はつけさせちゃ駄目!トウマもしばらく読書禁止!!」
「ええ!!そんなぁ~」
落ち込むトウマ。本が大好きな彼からしたら、本を読むのを禁止されてはなにもすることがなくなってしまう。
「なら俺と一緒に特訓しようぜぇ!」
「ええ~、アスタの特訓は特訓で言わないと思うんだよねぇ」
「なんだとぉ!?あれのどこが特訓じゃないっていうんだよ!!」
「あれはただの筋トレ、特訓は技術を磨く、知識つける、もちろん筋トレも入るけど、筋トレだけやってたら特訓じゃないんだよ」
「うーん、難しいことはわかんないけど、とにかく、筋トレ以外のこともやればいいんだな!!」
「まぁ、そうなるけど」
「なら筋トレ以外のこともやるぞー!!」
張り切るアスタ。しかし、いつものように筋トレをしてしまうのであった。
「そうだ!薪足りてなかったよな!薪割りしてくるぜ!」
そう言ってアスタは斧を片手に薪が山積みになっている場所へ行く。斧を振りかぶり、薪を割ろうとした直後、ユノが風の力で割ってしまった。
「ちくしょう!なら洗濯を!!」
しかしユノが魔法でやってしまっていた。止めと言わんばかりに、神父がユノを教会の希望だと言い始めた。
塞ぎ混んでしまうアスタ。そこへシスターが来て励ます。
「明日は授与式、グリモワールに触発されて、アスタも魔法が使えるようになるわよ。もちろんトウマもね」
「ううん、無理だよシスター」
「え?どうして?」
「魔法には、魔力っていうエネルギーが必要なんだ。それが、俺たちにはないんだよ」
「ええ!?トウマたちには魔力がないんですか?」
「うん、本で読んだんだ。たまにそういう子が産まれてしまうみたい」
「そ、そうだったの、ご、ごめんねアスタ」
シスターが謝ると、余計にアスタは塞ぎ混んでしまった。
「さて、俺は部屋に戻って続きを書こうか」
小説家になりたいトウマ。なので、少ないおこづかいで買った紙とペンで直筆の小説を書いている。ジャンルはさまざま。恋愛に冒険、英雄譚色々と書いている。
いつもの日常。それを過ごすトウマたち。しかし、運命の日が明日に迫っている。それをトウマたちは、まだ知らない。